北九州に根付く“角打ち文化”。初心者も安心の3軒をはしご酒!

2015.11.13

九州や関東の一部の地方では、酒屋の店先で飲むことを「角打ち(かくうち)」といい、北九州市内には、この「角打ち」ができる酒屋が約150軒もあるそうです。そこで今回は、「北九州角打ち文化研究会」の常軒(つねのき)貴美子さんに、初心者や女性も気軽に訪れられる「角打ち」をご紹介いただきました。

角打ちをこよなく愛する「北九州角打ち文化研究会」とは?

▲「北九州角打ち文化研究会」の須藤輝勝(てるかつ)会長と今回のナビゲーター・常軒さん

今回、ナビゲートしてくださったのは、「北九州角打ち文化研究会(角文研)」のメンバーである常軒さん。「角文研」とは、角打ちをこよなく愛する人々の集まりで、20代から70代までのメンバー約250名が活動しているそうです。常軒さんの趣味は「角打ち」や大衆酒場めぐりと日本酒を愛でること。福岡市在住でありながら、福岡市内だけでなく北九州市内の角打ちにも足繁く通っているそうです。
▲表紙イラストは北九州出身の画家・牧野伊三夫さんによるもの

「角文研」が2012年に発行した小冊子「北九州文化 角打ちのすすめ」には、北九州の角打ち文化に関するさまざまな情報が掲載されています。そもそも、この地域には昔から多くの角打ちがあり、今なお角打ちができる酒屋が多く残っているのはなぜなのか、ということも、丁寧に解説してくださっています。

(以下引用)
1901年の八幡製鉄所の開所をきっかけとして北九州には多くの労働者が集まった。彼らにとって、疲れた体を癒し明日への英気を養うために、酒は不可欠だった。とりわけ、三交代で働く工員達にとっては、いつでも酒が飲める場所はありがたい存在だった。夜勤明けの興奮した体と気持ちを静める場所として、職場と家庭の間で意識を切り替える空間として、角打ちは機能してきたのである。
(引用ここまで)

そのほか、北九州を中心に博多や関東の角打ち情報も。今や入手困難と言われるこの冊子。どこかで入手できるとラッキーですが、それ以外にも「角文研」のホームページやフェイスブックページで、「角打ち」に関するさまざまな情報を得ることができます。

北九州角打ち文化研究会

すてきな女将さんが迎えてくれるから初心者も安心!

2015年9月某日。
常軒さんとJR小倉駅で待ち合わせて、徒歩15分ほどの場所にある「平尾酒店」を訪れました。「平尾酒店」は約80年の歴史を誇る老舗の酒屋さん。周辺は飲食街で、“0次会”に訪れる人も少なくないそうです。
ガラリと扉をあけると、上品な女将・平尾ユカリさんが笑顔で出迎えてくれました。
取材に伺ったのは木曜日。毎週木曜日に集う「木曜会」のメンバーの皆さんが、どうぞどうぞと私たちを間に入れてくれました。
▲平尾酒店の名物「ソーセージ 玉ネギサラダ」(写真右)などのアテも評判

まずは飲み物を注文します。角打ちといえば、その安さも魅力の一つ。ビール(大瓶)370円、日本酒は1合260円(いずれも税込)。アテは缶詰や乾きものが中心ですが、木曜会の皆さんから「コレを食べんと帰れんよ!」と教えていただいたのは、魚肉ソーセージにタマネギのスライスをのせ、マヨネーズに酢、醤油、一味で味付けした「ソーセージ 玉ネギサラダ」(200円・税込)。シンプルながらもどこか懐かしい味わいにビールが進みます。
▲販売スペースでは座って飲むこともできます

多種多彩に揃うお酒と惣菜に心踊る!

▲向かって左側、暖簾があるところが角打ちの入口です
次に訪れたのは、JR戸畑駅からほど近い「はらぐち酒店」。酒屋としてはまもなく100年、角打ちとしての営業は50年以上という老舗で、日本各地の地酒15種以上が1合300円(税込)から楽しむことができます。また、グラスワイン(赤・白)やカクテルも1杯300円(税込)。さらには「ザ マッカラン 12年」(50ml 400円・税込)など、シングルモルトやブランデーまでも揃えており、お酒好きにはたまりません。
▲お隣・山口県の「長陽福娘 純米辛口」(1合400円・税込)をいただきました

角打ちにあるフードメニューは乾きものや簡単なものが中心ですが、ここ「はらぐち酒店」は、女将さんとお嫁さんによる惣菜が楽しめるのも人気の理由。「塩さば」(300円・税込)や「里芋煮物」(250円・税込)など、15種類以上のメニューが揃っています。
▲ショーケースに並ぶ惣菜も1品200円(税込)~とリーズナブル!
▲取材に伺った日は3代目のお嫁さんが切り盛りされていました
▲この店を初めて訪れた男性(写真左)もいつの間にか馴染んでいます

この日、ナビゲーターの常軒さんは、この店の常連でもある「北九州角打ち文化研究会」のメンバーと待ち合わせ。

「角打ちにはルールなどないけれど、初めて訪れる場合は、常連さんがどんなふうに楽しんでいるかを観察して、お店の空気を乱さないことが大切。そうすれば、常連さんもお店の方も優しく接してくれるので、より心地よく過ごせると思いますよ」と、メンバーの大内田さん(写真中央)が教えてくださいました。

風情ある通りを抜けて、老舗の角打ちで国際交流!?

戸畑駅に戻り、再びJR鹿児島本線に乗って折尾駅をめざします。乗車時間は約20分。折尾駅東口に出て、かつて石炭運搬に利用されたという堀川沿いの風情ある道のりを歩きます。歩くこと約5分。「高橋酒店」の看板が見えてきました。店先では、外国人のグループも角打ちを楽しんでいます。

2015年で創業98年を迎える老舗でありながら、若い客も、外国人客も気軽に訪れるこちら。日本酒は「佳撰 国の寿」(100cc 130円・200cc 250円/いずれも税込)をはじめ、常時4種類が揃います。そのほか焼酎やウイスキーも100cc 100~200円(税込)で楽しむことができます。
▲カウンターには惣菜や乾きものがズラリ! 

カウンターに置かれている「天ぷら」や「あじの開き」などは、店内の七輪でこんがりと炙ってくれます。
▲えびせんにマヨネーズ。ちょっとした工夫が嬉しい

初めて会ったのに、気づけば楽しく話しているのも、立ち飲みゆえの距離の近さがあるからこそ。角打ちは、酒屋に併設しているため、酒屋の閉店時間に合わせて19時や20時に閉まってしまう店も少なくないけれど、ここ「高橋酒店」は20時45分まで営業しているので、少し遅めの時間でも安心です。
▲なんともインターナショナルな光景!
それぞれに個性が光る3つのお店を案内していただきましたが、今回ご紹介したお店は、いずれも初心者でも気軽に行きやすいところばかり。まずは常連さんとコミュニケーションを取りながら、北九州の角打ち文化をお楽しみください。
寺脇あゆ子

寺脇あゆ子

福岡を中心にグルメや旅などを中心に活動するフリーの編集者・ライター。美味しいものがあると聞けば、行かずにはいられないフットワークの軽さが自慢。主な仕事はグルメ情報誌「ソワニエ」、greenz.jpなど。

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