花の御寺・奈良「長谷寺」で、日本最大級の観音様とご縁を結ぶ

2018.08.08 更新

古くから観音信仰の聖地とされてきた「長谷寺」。一年を通じてさまざまな花が咲き誇り、「花の御寺(みてら)」と呼ばれています。ご本尊は、約10mもの高さを誇る日本最大の木造観音像。観音巡りをする多くの参拝者で賑わいます。女性に嬉しい「美」にご利益があるというお守りも見逃せない、奈良の名刹をご紹介します。

お寺の歴史を学んで境内を巡りましょう

真言宗豊山派(しんごんしゅうぶざんは)の総本山として、全国に3,000余の末寺を持つ長谷寺。『源氏物語』や『枕草子』などの古典の中でも記される、歴史あるお寺です。

最近では、美しい写真で今の長谷寺を紹介する公式のインスタグラムが話題に。プロの制作会社にまかせず、僧侶が1人で撮影から編集まで行っているにもかかわらず、フォロワー数は1万5,000人を超えているというから驚きです!
長谷寺の公式インスタグラム(@hase_dera)より。この写真は観音様の縁日である毎月18日に行われる護摩。僧侶ならではの視点で撮影されています

長谷寺は、奈良から三重県・伊勢へと続く初瀬街道を見下ろす初瀬(はつせ)山の中腹に立ちます。「隠国(こもりく)の泊瀬(はつせ)」と『万葉集』に詠まれるなど、古代から奥深い山に隠れた里であり、聖なる場所でした。
▲初瀬山の中腹にあり、新緑に囲まれるように立つ長谷寺の本堂

創建は、朱鳥元(686)年、道明上人(どうみょうしょうにん)が天武天皇のために銅板法華説相図(どうばんほっけせっそうず/千仏多宝仏塔、国宝)を西の岡に安置したことが始まり。
奈良時代の神亀4(727)年、道明上人の弟子である徳道上人(とくどうしょうにん)が聖武天皇の勅願により、東の岡に十一面観世音菩薩を造立しました。

徳道上人は、近畿と岐阜県に点在する33か所の観音霊場を巡拝する、西国三十三所観音霊場巡礼を始めたといわれ、長谷寺は観音信仰の発祥であり、また聖地として発展してきました。
▲西国三十三カ所霊場の第八番札所としても知られる長谷寺

石畳の参道を進むと、長谷寺の総門にあたる大きな「仁王門」があります。
両脇の仁王像が見守る、三間一戸入母屋造本瓦葺(さんげんいっこいりもやづくりほんがわらぶき)の立派な総門です。
▲現在の総門は明治27(1894)年に再建されたもの

門をくぐると現れるのが、屋根付きの階段「登廊(のぼりろう)」。
平安時代の長暦3(1039)年に、奈良の春日大社の宮司・中臣信清が我が子の病気平癒を長谷寺に祈願したところ無事に回復したことから、その御礼に登廊を寄進したのだそうです。
▲重要文化財に指定されている登廊(下廊)。形に特徴のある長谷型の灯籠が吊るされています。中登廊・下登廊は明治27(1894)年に再建されました

長いこの階段は上登廊・中登廊・下登廊と3廊に分かれていて、総数はなんと399段!
下廊は写真からもわかるように1段の段差が低く、中登廊、上登廊と続くほどに段差が高くなっています。
ハァハァと息を切らしながら399段を上り切り、本堂に到着です!
▲登廊のゴール。階段を上がれば左側が本堂です
▲入母屋造本瓦葺の本堂。国宝に指定されています

本堂は断崖絶壁に建てられており、京都の清水寺と同じ懸造(かけづく)りといわれる建築方法です。本堂の前が舞台造りになっていて、ここからの眺望は最高です!
▲本堂の前がせり出していることから「舞台造り」といわれています
▲舞台からの眺望。目の前には愛宕山(あたごやま)が見えます。深呼吸して眺めると気持ちがリフレッシュしますよ

本堂は、十一面観世音菩薩立像が安置される正堂(内陣)と礼堂(外陣)をつなげて一つにした「双堂」と呼ぶ様式。正堂と礼堂の間には石敷の土間があり、参拝者はそこから観音様を拝めるようになっています。
▲大きな長谷型提灯が吊るされる礼堂。床に萌える新緑が映り込む「床みどり」が美しく、インスタ映えすると人気の撮影スポット

秋になると、真っ赤に染まる「床もみじ」に!
▲見惚れてしまう「床もみじ」。紅葉の時期の必見スポットです(写真提供:長谷寺)

こちらの礼堂では、毎朝6時30分(10~3月は7時)から、数十名の僧侶と一緒にお経を読む「朝の勤行」が行われており、誰でも参加することができます。
早朝の澄み切った空気の中、僧侶らが唱える迫力ある読経は圧巻です。清々しくとても有難い体験ができますので、一度参加されることをおすすめします!
▲本堂内で本尊に向けて読経した後は、周囲の山の神様にも遥拝します。※「朝の勤行」は当日参加可。勤行開始30分前から受付。1月1日は休止。参拝料500円。お参りにふさわしい服装で参列すること(写真提供:長谷寺)

日本最大級の観音様とご縁を結びましょう

本尊の十一面観世音菩薩立像は、高さ12.3mを誇る日本最大級の観音様です。
通常、正堂と礼堂の間の拝所から拝みますが、春と秋の年に二度、普段は入ることのできない正堂内の入堂が許され、観音様の御足(おみあし)に直接触れてお参りすることができます(特別拝観の時期はホームページなどでご確認ください)。
▲観音様の大きさにビックリ!有難く御足(おみあし)を触らせていただきました
▲私の手と比べると御足の大きさは一目瞭然。直接触れることで観音様のパワーをいただけたよう

上記写真で筆者が左腕につけているのは「五色線」というもの。
観音様との結縁(けちえん)の証として、特別拝観の入堂の際にいただけます。
参拝後も普段からできるだけ身に付ける方がいいそうで、左腕につけていてもいいですし、結び方を変えて根付(ストラップのようなもの)などにしてもいいとのこと。

その場合、長谷寺で薦めているのが「総角(あげまき)結び」という結び方。古来から飾り結びとして使われてきた結び方で、魔除けや護身の意味も込められているそう。カバンや車につけておくといいそうですよ。
▲左の腕輪になった状態で授与いただきます。右が総角結び。結び方は長谷寺のホームページやインスタグラムにも掲載されていますのでチェックしてみてください

境内には本堂のほかに、「大黒堂」「開山堂」「本長谷寺」「弘法大師御影堂」などのお堂があります。
なかでも間近で拝していただきたいのが、「五重塔」。昭和29(1954)年、戦後日本に初めて建てられ「昭和の名塔」と呼ばれています。
本堂の舞台からも見えるのですが、近くで見ると迫力が違います!
▲新緑に朱塗りが映える五重塔

牡丹をはじめ、境内は四季折々の花に囲まれます

長谷寺は「花の御寺」と呼ばれるほど、一年中さまざまな花に彩られるお寺です。
春は桜やシャクナゲ、夏はアジサイやハス、秋は紅葉やキンモクセイ、冬は寒牡丹やサザンカ、ロウバイなど、ここでは挙げられないほど多種類の花々が咲き誇ります。
なかでも最も代表的なのが、春に見頃を迎える牡丹。
▲登廊の横を赤やピンク、白の牡丹が色を添えます。牡丹は150種7,000株もあり、見頃は例年4月中旬~5月上旬

毎年開花時期に合わせて、献花祭や茶会、特別法話などさまざまなイベントが行われる「ぼたんまつり」が開催され、とても賑わいます。

長谷寺の牡丹には、こんな伝説があるんです。
唐の皇帝の妃・馬頭夫人(めずぶにん)は顔が馬に似ていましたが、長谷寺の観音様に七日七晩祈願したところ、観音様の霊験によって絶世の美女になりました。そのお礼として牡丹の苗木を送ったことから、境内にたくさんの牡丹が植えられるようになったそうです。

その牡丹をかたどった可愛らしいお守りが「花守り」。
身体健全、容姿端麗、金運上昇などにご利益があるといい、カラーバリエーションも豊富。自分用のほか、色違いを家族や友人へのお土産にするのもおすすめですよ。
▲花守り500円。赤、ピンク、白、黄色、水色など9色ほど揃います

牡丹のほかに、四季を通じて境内に咲く花をご紹介します。
▲桜は4月の1カ月をかけて、時期をずらしながらシダレザクラ、ソメイヨシノ、ヤマザクラ、奈良ヤエザクラなどを愛でることができます(写真提供:長谷寺)
▲本堂の脇にずらりと咲き誇るアジサイ。見頃は例年6月上旬~7月下旬
▲秋、本堂の舞台から見る紅葉と五重塔の競演が見事!見頃は例年10月中旬~12月上旬
▲雪よけの藁(わら)傘の中で懸命に咲く寒中の牡丹。見頃は例年11月中旬~12月下旬(写真提供:長谷寺)

また境内ではお抹茶をいただけるスポットもあります。
▲登廊の途中、右側にある「月輪院(がちりんいん)」

「月輪院」ではお抹茶とコーヒーがいただけ、参拝の休憩処として人気です。
▲窓側のテーブル席からは四季の木々の様子が見えるほか、毛氈(もうせん)の上に直接座ってくつろげる席もあります
▲お抹茶500円。ボタンを描いた抹茶碗は、奈良を代表する陶器・赤膚焼(あかはだやき)。干菓子は門前の和菓子店が長谷寺用にと特別にあつらえているもの

期間限定で、抹茶碗にソフトクリームを盛った「ちゃわんそふと」も(春と秋に登場予定)。
▲抹茶と同じ赤膚焼の茶碗に、ソフトクリーム、抹茶アイス、小豆が盛られた「ちゃわんそふと」500円

色とりどりの花が咲く広い境内を巡り、国宝の本堂で観音様と結縁し、「美」にご利益があるという可愛いお守りをいただけた長谷寺詣り。女性が心晴れやかになり、パワーをもらえる素敵なお寺です。

門前の名物・草餅を求めて寄り道

長谷寺を出たら門前で、名物の草餅を買って帰るのをお忘れなく!
昔ながらの雰囲気が残る参道には、草餅のお店が多く立ち並びますが、その元祖といわれるのが「総本舗白酒屋」。
▲明治8(1875)年に造り酒屋として創業。長きにわたり参拝客に愛されるお店

こちらの草餅は、全国から厳選した天然ヨモギの中でも3月に摘んだ新芽のみを使うので、ヨモギの繊維が細かく口当たりがなめらか。生地とヨモギを杵を使って手でつくことで、手作りならではの粘りと食感が生まれ、風味も豊かになります。
中には、生地に合うように作られた、北海道産の最上級小豆を使った自家製餡がたっぷり。
昔ながらの製法で手作りする「くさ福餅」。右列が鉄板で焼いた香ばしい「お焼き」、左列がこし餡を生地で手包みしたモチモチの「青」。各1個120円(税込)。それぞれ食感が違い、おいしいので両方買いがおすすめです。10個入り1,200円(税込)。
▲長谷寺の参道。ゆるやかな上り坂になっていて、両脇には名物を販売するお店が並びます

いにしえの人々もこの参道を上り、登廊の階段を上って観音様に会いに行っていたのかと思うと、有難く嬉しい気持ちになります。今も変わらず多くの人に愛されている観音信仰の聖地へ、あなたもぜひ。
白崎友美

白崎友美

奈良の編集制作会社EditZ(エディッツ)の編集者。大阪、京都で雑誌や通販カタログなどの制作を行い、現在は居住する奈良県に軸足を置き、奈良の観光関連のガイドブックやホームページなどを制作。自社媒体の季刊誌『ならめがね』にて、「ユルい・まったり・懐かしい」奈良の魅力を発信している。

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