花の御寺・奈良「長谷寺」で、日本最大級の観音様とご縁を結ぶ
古くから観音信仰の聖地とされてきた「長谷寺」。一年を通じてさまざまな花が咲き誇り、「花の御寺(みてら)」と呼ばれています。ご本尊は、約10mもの高さを誇る日本最大の木造観音像。観音巡りをする多くの参拝者で賑わいます。女性に嬉しい「美」にご利益があるというお守りも見逃せない、奈良の名刹をご紹介します。※本記事の情報は取材時点のものです。最新情報は直接施設にお問い合わせください。

お寺の歴史を学んで境内を巡りましょう
最近では、美しい写真で今の長谷寺を紹介する公式のインスタグラムが話題に。プロの制作会社にまかせず、僧侶が1人で撮影から編集まで行っているにもかかわらず、フォロワー数は2.9万人を超えているというから驚きです!

長谷寺は、奈良から三重県・伊勢へと続く初瀬街道を見下ろす初瀬(はつせ)山の中腹に立ちます。「隠国(こもりく)の泊瀬(はつせ)」と『万葉集』に詠まれるなど、古代から奥深い山に隠れた里であり、聖なる場所でした。

創建は、朱鳥元(686)年、道明上人(どうみょうしょうにん)が天武天皇のために銅板法華説相図(どうばんほっけせっそうず/千仏多宝仏塔、国宝)を西の岡に安置したことが始まり。
奈良時代の神亀4(727)年、道明上人の弟子である徳道上人(とくどうしょうにん)が聖武天皇の勅願により、東の岡に十一面観世音菩薩を造立しました。
徳道上人は、近畿と岐阜県に点在する33か所の観音霊場を巡拝する、西国三十三所観音霊場巡礼を始めたといわれ、長谷寺は観音信仰の発祥であり、また聖地として発展してきました。

石畳の参道を進むと、長谷寺の総門にあたる大きな「仁王門」があります。
両脇の仁王像が見守る、三間一戸入母屋造本瓦葺(さんげんいっこいりもやづくりほんがわらぶき)の立派な総門です。

門をくぐると現れるのが、屋根付きの階段「登廊(のぼりろう)」。
平安時代の長暦3(1039)年に、奈良の春日大社の宮司・中臣信清が我が子の病気平癒を長谷寺に祈願したところ無事に回復したことから、その御礼に登廊を寄進したのだそうです。

長いこの階段は上登廊・中登廊・下登廊と3廊に分かれていて、総数はなんと399段!
下廊は写真からもわかるように1段の段差が低く、中登廊、上登廊と続くほどに段差が高くなっています。
ハァハァと息を切らしながら399段を上り切り、本堂に到着です!


本堂は断崖絶壁に建てられており、京都の清水寺と同じ懸造(かけづく)りといわれる建築方法です。本堂の前が舞台造りになっていて、ここからの眺望は最高です!


本堂は、十一面観世音菩薩立像が安置される正堂(内陣)と礼堂(外陣)をつなげて一つにした「双堂」と呼ぶ様式。正堂と礼堂の間には石敷の土間があり、参拝者はそこから観音様を拝めるようになっています。

秋になると、真っ赤に染まる「床もみじ」に!

こちらの礼堂では、毎朝6時30分(10~3月は7時)から、数十名の僧侶と一緒にお経を読む「朝の勤行」が行われており、誰でも参加することができます。
早朝の澄み切った空気の中、僧侶らが唱える迫力ある読経は圧巻です。清々しくとても有難い体験ができますので、一度参加されることをおすすめします!

日本最大級の観音様とご縁を結びましょう
通常、正堂と礼堂の間の拝所から拝みますが、春と秋の年に二度、普段は入ることのできない正堂内の入堂が許され、観音様の御足(おみあし)に直接触れてお参りすることができます(特別拝観の時期はホームページなどでご確認ください)。


上記写真で筆者が左腕につけているのは「五色線」というもの。
観音様との結縁(けちえん)の証として、特別拝観の入堂の際にいただけます。
参拝後も普段からできるだけ身に付ける方がいいそうで、左腕につけていてもいいですし、結び方を変えて根付(ストラップのようなもの)などにしてもいいとのこと。
その場合、長谷寺で薦めているのが「総角(あげまき)結び」という結び方。古来から飾り結びとして使われてきた結び方で、魔除けや護身の意味も込められているそう。カバンや車につけておくといいそうですよ。

境内には本堂のほかに、「大黒堂」「開山堂」「本長谷寺」「弘法大師御影堂」などのお堂があります。
なかでも間近で拝していただきたいのが、「五重塔」。昭和29(1954)年、戦後日本に初めて建てられ「昭和の名塔」と呼ばれています。
本堂の舞台からも見えるのですが、近くで見ると迫力が違います!

牡丹をはじめ、境内は四季折々の花に囲まれます
春は桜やシャクナゲ、夏はアジサイやハス、秋は紅葉やキンモクセイ、冬は寒牡丹やサザンカ、ロウバイなど、ここでは挙げられないほど多種類の花々が咲き誇ります。
なかでも最も代表的なのが、春に見頃を迎える牡丹。

毎年開花時期に合わせて、献花祭や茶会、特別法話などさまざまなイベントが行われる「ぼたんまつり」が開催され、とても賑わいます。
長谷寺の牡丹には、こんな伝説があるんです。
唐の皇帝の妃・馬頭夫人(めずぶにん)は顔が馬に似ていましたが、長谷寺の観音様に七日七晩祈願したところ、観音様の霊験によって絶世の美女になりました。そのお礼として牡丹の苗木を送ったことから、境内にたくさんの牡丹が植えられるようになったそうです。
その牡丹をかたどった可愛らしいお守りが「花守り」。
身体健全、容姿端麗、金運上昇などにご利益があるといい、カラーバリエーションも豊富。自分用のほか、色違いを家族や友人へのお土産にするのもおすすめですよ。

牡丹のほかに、四季を通じて境内に咲く花をご紹介します。




また境内ではお抹茶をいただけるスポットもあります。

「月輪院」ではお抹茶とコーヒーがいただけ、参拝の休憩処として人気です。


期間限定で、抹茶碗にソフトクリームを盛った「ちゃわんそふと」も(春と秋に登場予定)。

色とりどりの花が咲く広い境内を巡り、国宝の本堂で観音様と結縁し、「美」にご利益があるという可愛いお守りをいただけた長谷寺詣り。女性が心晴れやかになり、パワーをもらえる素敵なお寺です。

総本山 長谷寺
奈良県桜井市初瀬731-1
[拝観時間] 4~9月8:30~17:00、10~11月・3月9:00~17:00、12~2月9:00~16:30 ※牡丹まつり期間等時間延長あり
[拝観料] 大人500円、中・高校生500円、小学生250円
[定休日]なし
0744-47-7001
門前の名物・草餅を求めて寄り道
昔ながらの雰囲気が残る参道には、草餅のお店が多く立ち並びますが、その元祖といわれるのが「総本舗白酒屋」。

こちらの草餅は、全国から厳選した天然ヨモギの中でも3月に摘んだ新芽のみを使うので、ヨモギの繊維が細かく口当たりがなめらか。生地とヨモギを杵を使って手でつくことで、手作りならではの粘りと食感が生まれ、風味も豊かになります。
中には、生地に合うように作られた、北海道産の最上級小豆を使った自家製餡がたっぷり。

総本舗白酒屋
奈良県桜井市初瀬746
[営業時間] 10:00~17:00 ※行楽シーズンは9:00~17:00
[定休日] 不定休 ※行楽シーズンは無休
0744-47-7988

いにしえの人々もこの参道を上り、登廊の階段を上って観音様に会いに行っていたのかと思うと、有難く嬉しい気持ちになります。今も変わらず多くの人に愛されている観音信仰の聖地へ、あなたもぜひ。

白崎友美
奈良の編集制作会社EditZ(エディッツ)の編集者。大阪、京都で雑誌や通販カタログなどの制作を行い、現在は居住する奈良県に軸足を置き、奈良の観光関連のガイドブックやホームページなどを制作。自社媒体の季刊誌『ならめがね』にて、「ユルい・まったり・懐かしい」奈良の魅力を発信している。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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