どんぶり好きなら一度は食べておきたい!千葉・鴨川の「おらが丼」

2018.05.30

千葉県の房総半島に位置する鴨川市は、海と山に囲まれた風光明媚な景観が魅力。また、そこで獲れる新鮮な魚介類や野菜が味わえることから、毎年多くの観光客が訪れる県内有数の観光地です。そんな鴨川のご当地グルメの代表格が「おらが丼」。今回は、その中から気になる3店舗をご紹介します。

▲海あり、山ありの鴨川市は、海の幸、山の幸ももりだくさん!

「おらが丼」ってそもそもなぁに?

「おらが」とは、房州弁(南房総周辺の方言)で「うちの」「我が家の」という意味。鴨川市の商工会食文化研究会の働きかけにより、鴨川の美味しい食文化をもっと広めようと2005年におらが丼協会が本格始動しました。今では39店舗がこれに賛同し、その店ならではの「おらが丼」を作って、自慢の味を競い合っています(2018年5月現在)。
▲「おらが丼」やってますよ~の旗印がこれ

飲食店がおらが丼に参加するルールは、鴨川のブランド米「長狭米(ながさまい)」をはじめ、地元で獲れた新鮮な海の幸、山の幸を素材とすることだそう。値づけにも制限があるため、それぞれの店舗が、季節感とオリジナリティーを駆使し、店自慢の丼を実現。まさにここでしか味わえないソウルフードなのです。
▲観光案内所やおらが丼参加店舗でもらえる「おらが丼」食べ歩きパンフレット。中面の地図とともにおらが丼が食べられるお店を紹介

新鮮な伊勢海老を一匹まるごと!インスタ映え必至「元祖 伊勢海老天丼」

最初に訪れたのは、JR安房鴨川駅から徒歩約3分と便利な立地の人気店「地魚処 すずき家」。ご主人の鈴木さんは鴨川市出身で、地元の美味しい地魚を食べられる店を開きたいと、平成7(1995)年にこの場所ですずき家をオープンしました。
▲すずき家の自慢は、新鮮な伊勢海老と地魚。創業当時から使っている暖簾の伊勢海老が目印

この店のおらが丼の主役はなんと!伊勢海老です。
▲鴨川港で水揚げされたばかりの伊勢海老。今にも動き出しそう。これがもうすぐおらが丼に!

待つこと15分ほどで、おらが丼が運ばれて来ました。
▲立派な伊勢海老が丸ごと!フレームにおさまりません。おらが丼(1,700円・税込)。

大きな伊勢海老をを丸ごと揚げて、旬の野菜と一緒にオリジナルのたれで仕上げています。ひげを合わせると高さは30cmくらいあるでしょうか。そのダイナミックさにみな驚くそう。
「パリッと揚げているので、頭から足まで全部召し上がれますよ。食べやすいので遠慮せずに手づかみでいって下さい」とご主人。それでは、と手づかみでエビをいただきます。
▲伊勢海老に隠れて見えませんが、天ぷらのナス・インゲンも、もちろん地元産

まずはポリポリと足をかじると、香ばしさが口に広がります。続いて身をいただくと、こちらはやわらかくてジューシー!頭につまっていた味噌と絡めると、風味がよく、素材の味が引き立ちます。
「エビの味噌を衣で閉じ込めているから、磯の風味がそのままなんです」とご主人。この味を求めて、全国からたくさんの方が訪れるというのも納得です。

天丼などのたれは甘めなことが多いですが、こちらのたれは甘さが控えめで伊勢海老の味を引き立てています。もっちりとしたご当地米・長狭米とよく絡んで、最後まで美味しくいただくことができました。
▲バリバリと身を開くと、ぷっりぷりの白身が出現!美味し~

それにしても、なぜ豪華な伊勢海老をリーズナブルなおらが丼に?気になって尋ねると、「千葉県の伊勢海老漁獲量は全国トップを争います。でもそのことがあまり知られていないんです」とご主人。千葉県の伊勢海老の認知を推進するために、創業時からの人気メニュー「元祖 伊勢海老天丼」をすずき家のおらが丼に決めたそう。
また、おらが丼だけではなく、その日に水揚げされた新鮮な地魚を味わえる海鮮丼(1,800円・税込)もすずき家の自慢の一品。旬の魚が堪能できます。この日は海鮮丼には珍しい初ガツオやマトウダイものっていました。
▲この日の地魚は初ガツオ、マトウダイ、わらさ、真鯛、アジ。見た目も豪華です
▲マトウダイは厚みがあってぷるぷる!カツオも脂がのっています

ほかに、地魚を漬けた「漬け丼(1,100円・税込)」も人気だそう。次回は、ぜひいただいてみたいと思います。
▲「いちおしメニューだからこそ、味も素材も手を抜けません」とご主人の鈴木さん。お値段以上の価値があること間違いなしです
▲店内は座敷とテーブル席。2階席は30名で貸し切りもできるそう(2階のみ予約制)

おらが丼は海鮮のみと思うなかれ!「かずさ和牛のステーキ重」

2軒目に訪れたのは、鴨川を代表する高級旅館「鴨川館」。海が近く、鴨川シーワールドからも徒歩圏内のため、家族連れなどたくさんの観光客が利用しています。日帰り温泉や足湯もあるので、宿泊客以外の人も多く訪れるそう。
▲鴨川館は鴨川市では知らない人はいない高級旅館。春夏秋冬、大勢の観光客で賑わいます

そんな鴨川館内のレストラン「きゅいじーぬ 四季彩」のおらが丼は、なんとステーキ重です。
「おらが丼は魚介を扱う店が多いので、他店でおらが丼を食べられたお客様が、翌日またうちのおらが丼を楽しんでいただけるようにと、ステーキ重を提供しています」と鴨川館の広報担当・吉田さん。
▲高級旅館の味をリーズナブルにいただけるとあって、地元でも人気のおらが丼です

ステーキには、地元房総のブランド牛「かずさ黒毛和牛」を使っています。かずさ黒毛和牛は、脂身が甘く、ジューシーでありながらさっぱりとした肉質が特徴だそう。お話を伺いながら待っていると、おまちかね、おらが丼が運ばれてきました。
▲おらが丼「かずさ和牛のステーキ重」(2,000円・税込)

お肉と野菜が交互に並んでいて、まずはそのヘルシーな華やかさに目を奪われます。さっそくお肉をいただいてみると、柔らかさにびっくり!食べやすい大きさにスライスされているので、一枚ずつご飯と一緒にいただきます。

醤油ベースのソースが長狭米とよく合い、上品な味わいです。サシの入ったお肉は噛むとわずかに甘みがあります。ステーキ重と聞くと、脂っこいイメージがありますが、こちらのステーキ重はさっぱりとしていて、食べやすいです。
▲お箸でいただくスタイルも人気。希望すれば、焼き方も調整してもらえるそう

「お子様からお年寄りまで、幅広い方に食べていただけるよう、味や盛り付けにも工夫をしています」。確かにお箸で切れるほどの柔らかさなので、小さいお子さんでも食べられそう。

付け合せにはパプリカ、ズッキーニのほかに、旬の菜の花が添えられており、季節感もたっぷりです。付け合わせの野菜は季節によっても変わるそう。旬の食材を美味しいお肉と一緒にたっぷりいただける、見た目も味も大満足なおらが丼です。
▲広々とした店内。大きな窓は宿泊客用のプールに面しています

おらが丼に次いで人気なのは房総ジビエのカレー(サラダ・特製ピクルス・コーヒー付き。1,300円・税込)。「実は鴨川館ではジビエ料理も自慢なんです」と吉田さん。鹿肉とイノシシ肉を親しみやすい調理法で食べ比べしていただけるようリーズナブルに提供しているそう。おなかに余裕があれば、こちらもチャレンジしてみたいですね。

3つの食べ方がミラクル!なめろうをとことん楽しむ「三楽流☆まかない丼 」

最後に訪れたのは、「地魚寿司 中乃見家(なかのみや)」。こちらのおらが丼は、南房総の漁師料理「なめろう」を使った、「三楽流(みらくる)☆まかない丼」。なぜ、なめろうを起用したのか早速ご主人にお話を伺いました。
▲東京・中野坂上にある大正2(1913)年創業「中乃見家」から暖簾分けにより昭和63(1988)年に鴨川市で開業

「鴨川はたくさんの地魚が獲れるんです。季節や日によって魚の種類も違いますが、旬の地魚を味わってもらうため、いろいろな魚を使ったなめろうをおらが丼にしました」と大将の上村さん。
▲なめろうはその日に水揚げされた魚を叩いて味噌で仕立てた郷土料理。この日はマグロ、ブリ、タイなどを使います

複数の魚を粗みじんにして味噌で仕立てて作るなめろう。通常はネギを入れるところ、中乃見家ではタマネギを使います。大将いわく、血液サラサラ効果があると言われているタマネギでヘルシーに仕上げているのが特徴だそう。
▲こちらがおらが丼の「三楽流☆まかない丼」(2,000円・税別)。なんて豪華!

中乃見家のおらが丼は、この後紹介する食べ方で「3つの味が楽しめる丼」として「三楽流(みらくる)丼」と名付けられました。その後、地魚そのものも味わいたいというお客さんの要望に応え、なめろう丼に地魚を盛り付けた「三楽流☆まかない丼」としてパワーアップしたのだそう。お話を伺ううちに、おまちかね、おらが丼ができあがりました。
▲ミラクルの所以である食べ方については、大将自らがレクチャーしてくれます

どんぶりには3つのなめろうとお刺身が盛られています。まずそのひとつ目を皿に取って酢につけておきます。
▲食べる前にまずはなめろうを一つ、お皿にとって酢をかけておきます

なめろうの3通りの食べ方はこちら。

1.なめろうを醤油でいただく
なめろうそのものの味を楽しみます。こちらでは醤油もお味噌も手作り。地魚の甘みが、やや辛口のお醤油によく合います。

2.「酢なめろう」をご飯といただく
先ほど酢につけておいた「酢なめろう」をご飯と一緒にいただきます。こちらはさっぱりとしていて、地魚とタマネギの歯ごたえが楽しめます。

3.丼に「まご茶」を注いでいただく
ご飯が3分の1くらいになったところで、「まご茶お願いします」と声をかけると、残った丼にワカメ、ネギ、唐辛子をトッピングして、まご茶を注いでくれます。
▲残った丼に「まご茶」をかけてお茶漬け風にさらさらと

「まご茶」とは、野菜や魚介で作った特製のだし汁のこと。やさしい味のまご茶が、なめろうの味を和らげ、まったく別のお料理のよう!おなかがいっぱいでも、さらりといただけてしまうのです。
南房総の食文化に触れつつ、地元食材を、3通りの味で楽しめるおらが丼。1杯で何倍もの満足感が得られること請け合いです。

おらが丼でもう大満足ではありますが、中乃見家の自慢はなんといっても、旬の地魚。新鮮な地魚の握りもおすすめ。こちらもこの地ならではの味です。
▲地魚の握り(2,800円・税別)。鴨川でその日に揚がった魚介のみを使っています

なかでもぜひ味わってもらいたいのが、なめろう握り(写真奥)。こちらは先ほどのなめろうを軽く握り、バーナーで焼きます。するとなめろうに香ばしさが加わり、さんが焼のような美味しさに。
▲なめろう握り。その場で炙ってくれるので、温かいうちにいただきます
▲まかないで出したところ、あまりにも美味しいのでメニューに加えたそう。単品での注文も可能(2貫300円・税別)

中乃見家を訪れた際は、こちらもぜひ、いただいてみてください。
▲昼は観光客、夜は地元の人で賑わう店内。椅子に座れるお座敷もあります
▲15歳から東京の寿司屋で腕を磨き、30歳で奥様の実家、鴨川で開業した上村さん。おらが丼は中乃見家自慢のメニュー

「実はもうすぐオーベルジュをオープンするんです」と上村さん。東京のホテルで働く息子さんと一緒に、2019年に鴨川の海沿いで宿泊のできるフレンチを開業予定だそう。現在のおらが丼については、その後どうするかはまだ未定とのことですが、新しいお店のオリジナリティあふれるおらが丼の誕生が今から楽しみです。

鴨川の恵みをそのまま食せる「おらが丼」

今回訪れてみて感じたのは、おらが丼は、その道のプロフェッショナルが食材を厳選し、味にアレンジを重ねた、店はもちろん鴨川市を代表する味なのだということ。それぞれのお店がしのぎを削り、一杯の丼という制限の中で、クリエイティブを駆使して、提供するソウルフードが美味しくないわけがありません。

2018年5月現在、おらが丼を実施しているのは39店舗。味よし、コスパよし、彩りよしの自慢の一杯を、食べ歩いてみてはいかがでしょうか。
平間美樹

平間美樹

某広告代理店で情報誌・Webサイト等の広告企画・制作を経て独立。現在、企画制作会社CLINK(クリンク)を運営し、結婚・進学・就職・旅行など幅広い分野で企画・ライティング活動中。テニス・フラ・猫にハマる日々。 テニス観戦でグランドスラムを達成するのが目下の目標。

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