東京の郷土料理に外せない!下町伝統の味・桜鍋を老舗「中江」で味わう
東京の郷土料理といえば、もんじゃ焼き、ちゃんこ鍋、深川めしなどを思い浮かべる方が多いのでは?実は、馬肉を使った「桜鍋」も東京で欠かせないグルメなんです。今回は桜鍋とはどんな鍋料理なのか、魅力をリポートします。

明治時代の流行の食べ物!吉原発祥の桜鍋は東京の歴史と密接な関係があった
今回訪れたのは、浅草にほど近い東京の下町・吉原大門のすぐ目の前にお店を構える「桜なべ中江」。明治38(1905)年創業、桜鍋の名店です。

なぜ東京で桜肉?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実は、日本有数の歓楽街だった吉原遊郭では、借金のかたに乗っていた馬を置いていく人が多く、その馬をどうにか活用しようと生まれたメニューが桜鍋だったと一説では言われています。
当時の吉原は多くの人が集まったことから、流行の発信地としても重要な役割を担っていました。そして、吉原の入口でもある吉原大門周辺には何十軒も桜鍋のお店が並び、桜鍋は流行の食べ物だったそうです。

店構えは重厚な造りで外観から歴史を感じられ、これぞ老舗、といった堂々たる雰囲気。さっそく暖簾をくぐってお店の中へ入ります。

店内に入るとまず、目に飛び込んできたのが、調理場で調理をしている職人の姿。ここで桜鍋ができるんだなと思いながらも座敷へ向かいました。
桜鍋を初体験!箸が止まらなくなるおいしさに驚愕
待つこと5分。「ザク」と呼ばれる具材のセット(白滝、麩、焼き豆腐、しめじ、江戸菜、ネギ)と、卵がテーブルに用意され、仕上げに割下を入れた鍋を卓上コンロにセット。これが桜鍋!

赤身と脂身のバランスが良い、綺麗でおいしそうな肉が鍋いっぱいに敷き詰められています。鍋の大きさもすき焼きに比べると小さいことにびっくり!予想を裏切られました。
火にかけて約1分、グラグラし始めたら外側の肉からひっくり返していきます。

最後に全体が味噌だれに絡むようにグルッとひっくり返したら、さらに5秒煮込んで完成!割下に味噌が溶け出し、味も見た目も濃厚な様子が一目でわかります。
作り方がわからない人は仲居さんにお願いすると作り方を教えてくれるので、初めての方でも安心です。

煮込みすぎると肉が固くなってしまうので、ひっくり返しながら、煮えた肉からどんどん食べていくのが正解。生でも食べられる肉を使っているので、レア肉でもおいしく食べられます。

桜肉を馬刺し以外で食べたことがなかった筆者は、その味にびっくり!味噌だれの甘さと、割下の醤油味が相まって濃厚で絶妙な味付け。そこに程よく脂が溶け出し、旨みだけでなくコクもプラスされ、ごはんにもお酒にもぴったりの味。牛肉や豚肉とも違い、しっかりとした食感もベスト。桜肉を煮込むとこんな感じになるんだ、と驚きの連続でした。


肉と味噌だれは追加できるので、もっと食べたい、という人はぜひ追加オーダーしてくださいね。
ザクは肉を一通り食べ終わる頃に投入するのがおすすめ。野菜などから水分が出て水っぽくならないうえに、肉から溶け出した脂や旨みが野菜にもしみ込んで、おいしく食べることができます。桜鍋のおいしさに箸が止まらず、食べることに夢中になりすぎて、友達と無口になって鍋をつつきました。



桜鍋がとってもおいしかったので、どのように作られているのか調べるべく、調理風景を見せてもらいました。
調理場では職人が、大きな肉を部位により包丁を使い分け、桜鍋用の肉を丁寧にカットしています。

現在、中江で提供されている桜肉は、北海道生まれ、九州・久留米育ちの国産馬のみを使用しているそう。馬刺し用の肉は柔らかくて色が綺麗な1~2歳の馬が多いのに対し、中江では鍋用に6~7歳まで育てた馬肉を使用。育てながら熟成させることで、臭みもなく、味と脂がのって旨みが増すんだとか。また、東京まで冷凍ではなく冷蔵のまま運ばれるため、食感も良く、味もおいしくいただけるそうです。

中江の桜鍋は、直径15cm程度の浅い専用鍋の縁に沿って肉を敷き詰めるように並べ、中央に特製の味噌だれを入れ、さらに肉で覆い隠すように盛り付けます。



〆はこれで決まり!桜鍋の旨みがギュッと詰まった「あとご飯®」セット

「あとご飯®」セットは仲居さんにお願いすると作ってくれます。まず、鍋に桜肉の中落ちやおぼろ豆腐を入れます。すぐにおいしそうな匂いがしてきました。その後、溶き卵を入れ、かき混ぜます。卵の固さは好みですが、半熟に仕上げるとごはんと程よく絡み、食べやすいのでおすすめです。


「ごはんにかけて食べてくださいね」との案内どおり、ごはんにたっぷりかけていただきます。一口目で口の中に広がる、肉だけの時とは違うさらに甘くて濃厚な味。なにこれ!おいしい!!どんどんご飯が進みます。おなかはいっぱいなはずなのに、おかわりして鍋に残った卵を全部すくって食べちゃいました。これを目当てに来店する人がいるのにも納得です。大満足!

桜肉は、秋から春にかけて脂がのっていておいしいとのこと。一方、馬の出産シーズンである春から夏はさっぱりして食べやすい肉になり、冷房で冷えた体を温めるために食べにくる方も多いそうです。つまり、通年おいしく食べられるということですね。
中江の桜肉は一味違う!アラカルト料理も見逃せない

常連客だった画家・岡本太郎氏のオーダーで作られたタロタロユッケや、お酒のおつまみにぴったりの煮込みなど、アラカルトメニューも充実していて、家族で訪れても楽しめるメニュー展開です。


国指定登録有形文化財のお店は、店内の装飾も必見です
宮大工が造った建物は、国指定登録有形文化財に指定されています。歴史ある建造物が評価されたからです。店内には数々の貴重な絵や珍しい装飾などが展示されているので、料理が出てくるまでの間も楽しむことができます。




「中江は、東京大空襲の時に3軒隣に落ちたのが不発弾だったので焼けずに残った建物です。まさに運が良い建物だということで、ラッキースポットとして来店する人も少なくなく、中江で桜鍋を食べて願掛けをしたから出世した、万馬券が当たった、合格した、という喜びの報告もある」と、四代目の中江白志(なかえしろし)さん。願い事が叶うかもしれないと思いながら桜鍋を食べるのも素敵ですよね。

お店に訪れる際は予約をするのがおすすめです。予約は2名からですが、当日席が空いていれば1名でも大歓迎とのこと。来店前に電話で問い合わせると、混み具合を教えてくれるので確認してみてくださいね。
今回取材した店舗は、実は本館になり、そのほかに、会員制・完全予約制の個室で桜鍋を楽しめる別館「金村」があります。初めて中江を訪れる方は本館のみの利用になりますが、一度、本館で食事をして名前を登録すると、次回から別館を利用することができます。別館は自分で鍋を作る必要があるので、必ず本館で作り方を覚えてから利用してくださいね。



※記事内の価格はすべて税込です。
桜なべ 中江
東京都台東区日本堤1-9-2
[営業時間]火~金曜17:00~22:00(L.O.21:30)/土・日曜・祝日11:30~21:00(L.O.20:30)
[定休日]月曜 (祝日の場合営業、翌火曜休みの場合あり)
03-3872-5398
桜なべ中江別館 金村
東京都台東区千束4-16-7
[営業時間]17:00~22:00(来店は19:30まで)
[定休日]月曜 (祝日の場合営業、翌火曜休み)
※完全会員制・予約制
03-3872-5398

岸 久美子
東京在住フリーライター。好きなことは海・山・ビールにワイン、たまにスポーツ観戦。気になる場所には行ってみないと気がすまない性分で、ちょっと暇ができると旅に出るフットワークの軽さがウリ。知らない文化に触れ刺激を受け、一緒に暮らすウサギに癒される日々。(制作会社CLINK:クリンク)
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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