伊豆急行から眺める美しい海の風景と駅前足湯コンプリートの旅!/古谷あつみの鉄道旅Vol.27

2018.04.08 更新

全国の鉄道を巡る、古谷あつみの鉄道旅!今回は東京からも気軽に出かけられ、美しい車窓が楽しめる伊豆急行の旅です。今回も鉄道ライターの土屋武之さんをアドバイザーに、カメラマンの久保田敦さんと一緒に旅をしてきました。伊豆急行の新しい楽しみ方も、提案したいと思います。

▲伊東駅から旅に出発!

今回の見どころはここ!

1.まずは全線完乗、伊豆急自慢の観光電車とは?
2.旅のお供に!伊豆急行のグルメ
3.伊豆急行の新しい楽しみ方、〇〇めぐりとは?

1.まずは全線完乗、伊豆急自慢の観光電車とは?

伊豆急行は伊豆半島の東岸、伊東駅から伊豆急下田駅までの45.7kmの区間を走る路線です。東京などからJR東日本の特急列車が直通で乗り入れており、週末などにふらっと出かけるのに、おすすめです。
▲観光地の雰囲気が漂う伊東駅前

古谷「ついにやって来ました、伊豆急行!」
土屋「なんか気合いが入ってるねぇ。」
古谷「観光地の雰囲気がいっぱいでテンションが上がります!」
土屋「仕事だよ。」
古谷「わかってますって!今回はたっぷり伊豆急行の魅力を伝えますよ。」

実は私、古谷あつみは「伊豆急行オモシロ駅長」を過去に2年間、務めていたのです。それならばと、今回のカメラマンは、現役のオモシロ駅長である久保田敦さんにお願いしました。 まさに伊豆急行にぴったりのコンビですね!

「伊豆急行オモシロ駅長」は、伊豆急行のPR大使。駅を利用して自分が得意とする活動を行ったり、伊豆急行のイベントに参加するなど、伊豆を盛り上げるために活動しています。人間だけではなくて、ゆるキャラや、ウミガメなども任命されているんですよ!
▲「黒船電車」が伊東駅に到着

久保田「今回は伊豆急行が舞台ということで、僕もいつにも増して張り切っていますよ!よろしくお願いします。」
古谷「私も今日は一日、またオモシロ駅長に戻ったつもりで、しっかり伊豆急行のPRをさせていただききます!」

伊豆急行の見どころといえば、綺麗な車窓です。 まずは伊東駅から伊豆急行を全線完乗したいと思います。さっそく、出発です!
▲黒い電車が走るシーンは迫力がある

最初に私たちが乗り込んだのは、伊豆急行を代表する「黒船電車」。

黒船とは、鎖国をしていた江戸時代の日本に来航して、開国を迫ったペリー提督が乗っていた船。その黒船に見立てて、2100系電車を改装した列車です。
黒い色の列車は全国でも珍しいんですよ!駅に入線してくる姿は迫力満点です。
▲2100系は現在、3編成ある。左端から「黒船電車」「THE ROYAL EXPRESS」「キンメ電車」

2100系は、1985(昭和60)年から1993(平成5)年にかけて伊豆急行がデビューさせた観光向けの車両です。展望車や、海を眺めやすくした左右非対称の座席配置など、斬新な発想が話題を呼びました。

現在、在籍している3編成は、それぞれ内外装をテーマに沿ってリフレッシュし、登場した順番に「黒船電車」「キンメ電車」「THE ROYAL EXPRESS」となっています。
▲展望車の最前列からの眺め。まるで運転士になったような気分だ

2100系は、伊豆急行の美しい車窓を存分に楽しめるよう工夫されています。もちろん黒船電車、キンメ電車などに改装されても、特徴はそのまま。

まずは展望車に乗り込みましょう。運転手気分を味わえる運転台のすぐ後ろの席が、私のお気に入りです。
▲海沿いを走るキンメ電車

黒船電車や後ほど紹介するキンメ電車は、熱海~伊豆急下田間で普通列車として運行されています。

普通ということは、この素敵な列車に乗車券のみで乗れるということ。特別な料金は必要ありません。これは伊豆急行ならではのポイント!なんだかとってもお得に思えちゃいますね。
▲黒船電車やキンメ電車には海向きに固定された座席もある

こちらの、海向きシートがある車両もオススメです。途中で移動してみるのも楽しいですね。

ただし席の予約はできないので、早い者勝ちです。ここに座りたければ、混み合う季節や時間帯には早めに駅に行き、並ぶのが良いでしょう。
▲片瀬白田~伊豆稲取間などでは、車窓から海が望める

海側の席に座れば、海に浮かんでるのかと錯覚してしまいそうなほど美しい、相模灘の景色を眺めることができます。

古谷「窓が大きくって気持ちが良いですね。」
土屋「実は窓というのは、ただ高さがあればいいという訳じゃないんだ。」
古谷「何でですか?広く見えて良いじゃないですか!」
土屋「窓は、下辺が肘あたりまでくるとすごく大きく感じるんだ。自分の視界に入るのって、自分の目線より下だろう?」
古谷「あぁ、そうですね!なるほど。なんだか今度から窓の下の方ばっかり注目しちゃいそうなことを聞きました。」

穏やかな海を眺めていると心が癒されます。 美しい海の風景は、季節を問わず楽しめるのも嬉しいところ。
▲坂本竜馬の真似をしてみた…

約1時間のプチトリップ。伊豆急下田に到着です。

古谷「ってあれ…土屋さん?それ、坂本龍馬のマネですか?」
土屋「どうだい?」
古谷「どうって……(笑)」

土屋さんの微妙なモノマネはスルーしますが、黒船電車の車内には黒船来航から明治維新までの歴史をまとめた資料なども展示されています。
坂本龍馬とペリーも車内にいるので探してみてくださいね!
▲関所の門を模した、伊豆急下田駅の改札口(出口)

古谷「この改札口を見ると下田まで来たー!って実感がさらに湧きますね。」
土屋「ところで、このあとはどうするんだい?」
古谷「実はですね、今回の旅にはテーマがあるのです。勝手に決めました。」
土屋「おいおい、アドバイザーは僕だぞ。」
古谷「私は、元オモシロ駅長ですよ。」
土屋「なんてこった…。」
古谷「今回のテーマを発表する前に、まずは、お弁当をここで調達します!」

2.旅のお供に!伊豆急行のグルメ

伊豆の魅力は海の眺めの他にもたくさんあります。 真っ先に思い浮かぶのは、新鮮な魚ではないでしょうか?
伊豆急下田駅の売店では、そんな魚介類をふんだんに使用した駅弁を購入することができるんです。
▲伊豆急下田駅の売店で買える駅弁の数々。「金目鯛の塩焼き弁当」(右)、「あじずし」(左)、「からあげ弁当」(上)

今回、私たちが選んだお弁当はこの3点。

まず外せないのは、沿線の名産である金目鯛を使用した「金目鯛の塩焼き弁当(1,130円)」。そして「あじずし(1,130円)」は土屋さんオススメの駅弁です。
そして私は…魚介類アレルギーのため、可愛いパッケージが目をひく「からあげ弁当(700円)」です。
くぅ~…悔しいですが、このからあげ弁当も美味しいんですよ!
▲黒船電車の次に乗ったキンメ電車内で、駅弁を開けた

お弁当は、やっぱり車内でこんな風に食べるのがオススメ。綺麗な車窓で、お弁当が何倍も美味しく感じますよ。

古谷「土屋さん、金目鯛の他に、あじずしを選んだんですね。」
土屋「『金目鯛の塩焼き弁当』はなんと言っても、分厚い切り身の塩焼きだね。食べ応えが満点だ。そして『あじずし』は伊豆を代表する名物。ほどよく酢で締められたアジの味わいを、何より楽しんでほしい駅弁だ。」
▲金目鯛の色を模したキンメ電車(左)

黒船電車の他に、もう1種類走っている「キンメ電車」は金目鯛をイメージしたもの。伊豆急行の沿線6市町と共同で伊豆の特産品をPRする地域プロモーション列車ですが、キンメ電車で金目鯛を食べるというのも、面白いですね。

なお、黒船電車やキンメ電車の運行時刻は、伊豆急行の公式サイトで公開されていますので、出かける前には、ぜひチェックしてください。
▲「IZUCUBE」(1個205円・6個入り1,340円)

駅弁を食べた後には、やはりデザート!

伊豆急行と旅行情報誌の編集部が共同開発した「伊豆のフルウツケーキ」がオススメです。 
これは「素材は伊豆産の果実を使用する 」「果実類のコンフィチュールを生地で包むスタイルとする 」といった、いくつかの“おきて“を守って開発されたお菓子の総称で、今回、選んだのは「IZUCUBE」。沿線の名産品である、ニューサマーオレンジやみかんが使用されており、四角い見た目が可愛らしいケーキです。外側はしっかりした歯ごたえが感じられるのに、中はしっとりとした食感をしています。

伊豆高原駅やまもプラザ内「ぷらとー」などで販売されていますので、 伊豆急行の旅のお供にいかがでしょうか?

3.伊豆急行の新しい楽しみ方、〇〇めぐりとは?

▲「足湯めぐり」を伊豆急下田駅から、伊東駅方面へ向けてスタート

古谷「ゴッホン。では、ここからの旅のテーマを発表します。」
土屋「なんだか偉そうだなぁ。」
古谷「なんと、足湯めぐりをします!」
土屋「足湯めぐり?」

伊豆急行は駅ナカや駅前に5つもの足湯がある路線なのです。さすが伊豆。温泉地ですよね。 しかも私、温泉ソムリエでもあるのです。
みなさんも、伊豆急行に乗る際はタオルを忘れずに持って来てください。足湯の魅力は、お友達や家族など誰とでも一緒に楽しめるところです。
▲伊豆急下田駅前「開国の湯」

まずは、伊豆急下田駅の駅前ロータリーに面した「開国の湯」からスタートです。

古谷「この温泉は、単純温泉といわれる温泉で、日本で最も多い泉質です。含まれる化学成分が少なくて、無味無臭、そして色も透明なものが多いんですよ。」
土屋「それは、特に特徴がないってことかい?」
古谷「身体への刺激が少ないため、高齢者でも安心して入浴できるんです。急に刺激の強い温泉に入ると、湯あたりを起こしてしまうこともあるので、足湯めぐりのスタートにはもってこいの温泉なんですよ。」
土屋「たまには君も、マトモなことを言うんだね。」
古谷「失礼な…。さぁ次行きますよ!」
▲伊豆急下田から7駅目の伊豆熱川駅では、ホームにまで湯気がたちこめる

続いてやってきたのは、伊豆熱川駅です。駅のホームからは湯けむりが見え、ワクワクしてしまいますね。

そして、駅前には「熱川湯の華ぱあーく」という足湯があります。
▲屋根付きの足湯「熱川湯の華ぱあーく」

広々とした綺麗な足湯です。ここは「ナトリウム‐硫酸塩泉(芒硝泉/ぼうしょうせん)」と呼ばれる泉質です。芒硝泉は、高血圧症、動脈硬化症、外傷に効果があると言われています。この温泉での泉質表には、神経痛や筋肉痛などへの効能も書かれていました。
▲「熱川湯の華ぱあーく」では、温泉玉子も楽しめる

ここでのお楽しみは温泉玉子を作って食べること。足湯の隣にある熱川温泉観光協会で玉子(1個100円)を販売しています。温泉旅の雰囲気も盛り上がります。
▲温泉玉子を作ってみる

土屋「うわ……熱い!」
古谷「土屋さん、芒硝泉は高血圧や五十肩にも効果があると言われてるんです。入った方がいいですよー!」
土屋「大きなお世話だよ。それより、なんで僕が玉子係なんだか…」
古谷「土屋さんが作った方が美味しいですって、きっと。」
▲玉子には塩やスプーンもつけてくれる

土屋「ほら、できた。」
古谷「土屋さん、きっちりタイマーで15分計って作っていましたね。さすがです!」
土屋「どうだい?」
古谷「トロトロで美味しいです。個人的な感想ですけど、芒硝泉で作った温泉玉子って、身体の疲れが取れそうでいいですね。」
土屋「単純だな。次はどこだい?」
▲伊豆大川駅舎の真向かいにある「足湯処(そっとこ)」

次は伊豆熱川から2駅先の、伊豆大川駅前広場にある足湯「足湯処」。近くにある「美味の宿 伊豆おおかわ」のお湯が駅前へ引かれています。

ここの泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。伊豆熱川の足湯と効能は似ていますが、少し色味がかっているのが特徴です。

古谷「けっこう温まりますね!」
土屋「かなり熱めの湯だね。」
古谷「まだまだ、伊豆高原駅と城ヶ崎海岸駅にも足湯はあるんですよ~。」
土屋「じゃあ、ゆっくり入れるよう、城ヶ崎海岸へ先に行くか。時刻表をよく見たら、そちらの方が滞在時間が長く取れる。」
古谷「釧網本線の旅でやった『ジグザグ旅』ですね!」
▲城ヶ崎海岸駅の駅舎はログハウス

伊豆急行の足湯めぐりの醍醐味は、やはり列車を眺めながら入る足湯。
伊豆大川から2駅先になる、城ヶ崎海岸駅のホーム脇にある「ぽっぽの湯」が、いちばんのオススメです。
▲駅の改札口の中、ホームのすぐ脇に足湯がある

なんといっても、このロケーション!線路のすぐ横で入浴できる、とっても贅沢な足湯です。こんな写真は旅の記念にもなりますよね。

こちらの泉質は、伊豆大川駅前の足湯と同じナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。列車を眺めながらだと効果がアップしそうな気分になります。

そして、列車を眺めながら入れる足湯は、ここだけではありません!
▲電車がすぐそこに見える「美足(おみあし)の湯」

最後に紹介する、とっておきの足湯は、伊豆高原駅前の足湯「美足の湯」。なんと伊豆急行の車庫を目の前に、足湯を楽しめるのです!

泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。城ヶ崎海岸駅の「ぽっぽの湯」と同じですが、温度が少し高めです。足ツボを刺激する石が埋め込まれているためか、さらにポカポカと身体がぬくもります。旅の締めくくりにふさわしい、温泉ですね。
▲取材の最後にのんびり…

古谷「どうでしたか?足湯めぐり。」
土屋「いつもの鉄道旅とちょっと雰囲気が違ったけれど、伊豆急行沿線には、こんなにたくさん足湯があることを知ってもらいたいね。」
古谷「そうですよね。移動するあいだに、いろいろな列車にも乗れますし、ゆっくりと景色も楽しめます。」
土屋「新しい、伊豆急行の楽しみ方だね。」
古谷「一日で、足がツルツルになりました(笑)」

みなさんもぜひ、温泉にグルメ、車窓や可愛い列車も楽しめる伊豆急行の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか?

※記事内の価格表記は全て税込です

土屋武之(鉄道ライター)

鉄道を専門分野として執筆活動を行っている、フリーランスのライター・ジャーナリスト。硬派の鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」メイン記事を毎号担当する一方で、幅広い知識に基づく、初心者向けのわかりやすい解説記事にも定評がある。
2004年12月29日に広島電鉄の広島港駅で、日本の私鉄のすべてに乗車するという「全線完乗」を達成。2011年8月9日にはJR北海道の富良野駅にてJRも完乗し、日本の全鉄道路線に乗車したという記録を持つ、「鉄道旅行」の第一人者でもある。
著書は「鉄道員になるには」(ぺりかん社)、「誰かに話したくなる大人の鉄道雑学」(SBクリエイティブ)、「新きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)、「ツウになる!鉄道の教本」(秀和システム)など。

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

小学生の頃、社会見学で近くにある車両基地へ行き、特急電車の運転台に上げてもらったことがきっかけで、根っからの鉄道好きとなる。 学校卒業後は新幹線の車内販売員、JR西日本の駅員として働く。その経験から、きっぷのルールや窓口業務には精通している。 現在はタレント活動のほか、鉄道関係の専門学校や公立高校で講師をしている。2015年には、「東洋経済オンライン」でライター・デビューし、鉄道旅行雑誌「旅と鉄道」等で執筆活動中。

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