30年以上継ぎ足し!全国に名を轟かせる「いまむかし」のお茶漬けカレー

2018.06.26 更新

大分県のとあるカレー店に「お茶漬けカレー」というメニューがある。その名の通り、お茶漬けとカレーを組み合わせたメニューだ。この衝撃的なカレーは1990年代後半、全国各地から殺到した客で、連日行列ができるほど話題になった。それから20年以上経った今でも、地元の人などに愛され続けている。梅肉のパンチが効いた「お茶漬けカレー」は、夏バテで食欲がない時にもサラリと食べられる一皿だ!(by カレー調査隊隊長・井上岳久)

どうも、こんにちは!
カレーの第一人者である井上岳久先生と、一番弟子りかです。私たち2人は「カレー調査隊」として、ぐるたび編集部に届いた耳寄りカレー情報をもとに全国津々浦々を旅しています。

今回は、大分県にある「お茶漬けカレー」のうわさを調査してきました。

創業30年以上!「お茶漬けカレー」で全国に名を轟かせた「カレーハウス いまむかし」

りか「ぐるたび編集部宛てに、こんな調査依頼のメールが届きました」

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大分県に「お茶漬けカレー」という珍しいカレーを提供しているお店があるそうです。インターネットで調べたのですが、あまり情報が出てこないので、どんなカレー店なのか調査してきてもらえないでしょうか?
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りか「え、『お茶漬けカレー』!?そんなカレーがあるのですか!」

井上先生「懐かしいなぁ。大分県玖珠(くす)郡にある『カレーハウス いまむかし』というお店が生み出したカレーでね。1990年代後半に全国で話題になったんだ。私もこのカレーを食べに大分まで行ったことがあるよ」

りか「さすが先生!大分県までカレーの調査に行っているんですね。どんなカレーなのか、私も食べてみたいです!」

井上先生「よぉし、久しぶりにお店がどうなっているのか調査に行ってみよう!」
ということで、やってきたのはJR久大(きゅうだい)本線・豊後森(ぶんごもり)駅から徒歩約17分の「カレーハウス いまむかし」。創業30年以上を誇るカレー専門店です。
「いらっしゃいませ!」
そう声をかけてくれたのは2代目店主の安達恵子さん。

井上先生「実は『お茶漬けカレー』が全国で話題になった頃、食べに来たことがあるんです」

安達さん「ありがとうございます!当時は珍しいカレーがあると、全国ネットの情報番組に取材してもらっていました。他にもラジオやグルメ雑誌など、たくさんのメディアに取り上げてもらって、全国からのお客さんで行列ができるほどだったんです。だけど最近は1人でお店をやっていることもあり、ほとんど取材を断っていて」
▲店内は古民家風の造り。団体でも利用できる座敷のほかに、カウンター席やテーブル席もある

りか「なるほど、インターネットに情報が少ないのは取材を断られているからなんですね」

安達さん「はい。今は行列こそないですが、地元の方や常連さんをはじめ、いろんな地域から足を運んでもらっていますよ」

さっと掻きこんで食べるのがコツ!梅肉のパンチが効いた「お茶漬けカレー」

全国に名を轟かせた「お茶漬けカレー」とは、一体どんなカレーなのでしょうか。さっそくいただきましょう!
▲「お茶漬けカレー」(税込790円)。セットでサラダもついてくる

ごはんで塀を作り、その中にカレーソースと梅肉、カイワレ大根などをトッピング。ごはんの周りには緑茶がかけられています。

井上先生「そうそう、これこれ!見た目は当時と変わってないね」

りか「普通のお茶漬けのように盛られていると思っていたので、ちょっと予想外の盛り付けです!まずは食べてみましょうか!」
井上先生&りか「いっただきまーす!」
まずは梅肉とカレーソースをよく混ぜてから、外側からお茶とごはん、カレーソースを一度にすくって食べるのが、おいしくいただくコツとのこと。またお茶漬けのように、温かいうちに、さっと食べてしまうのが良いそう。
▲パクっ

りか「おお~!濃厚なカレーソースの中に梅肉のパンチが効いていておいしいです!カレーソースは濃厚だけど、緑茶が口の中をリセットしてくれるから、さっぱりした味わいですね。サラリと食べられるので、夏バテなど食欲がない時に食べるのも良さそうです」
井上先生「梅干しとカレーの組み合わせは、よその店でもやっているんだけど、お茶があることで梅の酸味がより生きていると感じるよ。さっぱりしているし、お酒を飲んだあとの〆にも良さそうだね」

安達さん「そうですね。お酒の〆にもいいと思っているんですが、20時が閉店時間なので、なかなか飲み会のあとに使ってもらえないんです(笑)」

梅干しとカレーの組み合わせを考えた末に誕生したカレー

そもそも「お茶漬けカレー」はどのようにして生まれたのでしょうか?安達さんに聞いてみました!

安達さん「『お茶漬けカレー』は、このお店を創業した母が考案したメニューなんです。私も詳しいことは分からないのですが、お店をオープンするにあたり、何か看板になるメニューを作らなくては…と試行錯誤していたそうで」
安達さんによると、お茶漬けカレーというアイデアを思いついたお母様が、ワサビやカラシなどを使ってどんな味付けにしようかと検討していたところ、ある日、近所の方から「カレーに梅干しを合わせて食べる」という話を聞いたのだとか。そこで1987年頃に、梅干しを使った「お茶漬けカレー」を生み出しました。

安達さん「母が店に立っていた2000年代後半頃までは、梅干しを食べられない人や猫舌の人には提供していませんでした。また一見さんにも『まずは普通のカレーを食べてから』という理由から『お茶漬けカレー』を出していませんでした」

というのも「お茶漬けカレー」は、お茶漬けのように掻きこんで食べることを推奨しているため、カレーソース単体をゆっくり味わうことができないメニューだから。まずはカレーの味を知ってもらうために、一見さんには「お茶漬けカレー」を提供していなかったそうです(現在は梅干しが食べられない人や猫舌の人、一見さんでも注文できます)。
りか「お茶漬けとカレーを組み合わせるという珍しいアイデアはもちろんですが、そういう店主のガンコな感じも、ファン心理に火をつけたような気がします!行列になったのも納得ですね」

完成するまでに4日かかる!創業以来継ぎ足しの濃厚カレー

「お茶漬けカレー」が生まれた背景もわかったところで、今度は自慢のカレーソースをどうやって作っているのか聞いてみましょう!
安達さん「カレーソースのレシピを開発したのも母で、創業以来30年以上継ぎ足ししています。まず、玖珠産の玉ねぎをとろ火でゆっくり炒めます。その後、ニンジンやリンゴなど10種類以上の野菜と果物を加えて煮込み、独自に調合したカレー粉を投入。それから、さらに煮込んだり寝かせたり。カレーソースが完成するまでに4日もかかるんです」

井上先生「4日!?完成するまでにずいぶんと時間がかかりますね」

安達さん「完成する頃には、鍋いっぱいにあった水分が半分以下になっていますね。作る時間を短縮したいけど、煮込みが足りなかった時に、常連さんから『今日は煮込みが足りないね』と指摘されたこともあって(苦笑)」

井上先生「はは!常連さんがすごいな」
安達さん「ちなみに継ぎ足して作っているので、その日分のカレーが売れれば、鍋にカレーソースが残っていてもお店を閉めるんです。継ぎ足しの種がなくなったら困るので」

りか「なるほど、継ぎ足しならではのこだわりもあるんですね。それにしても30年以上継ぎ足しってすごいですね。私より長生きしているカレーですよ!」
お米は、なんとご自宅の庭で育てた自家製のものを使用!トッピングの梅は豊後梅を使用し、こちらも自家製なのだそう。また、サラダに使用している野菜は周辺の農家が栽培したものを、緑茶は地元のお茶屋さんで購入したものを使用していると言います。まさに地産地消カレー!

では井上先生、カレーの評価をお願いします。
井上先生「『カレーハウス いまむかし』のカレーチャートはこちら!」
井上先生「なんといってもカレーとお茶漬けを組み合わせたアイデアがすごいよね。だからオリジナリティは5!それに、自家製のお米や地元で栽培された野菜などを使っていたから、ご当地グルメ度も4!全国で話題になったカレー店が、ブームが去ったあとでも地元の方に愛され続けていることがわかってよかったよ」

りか「はい!ただメニューが珍しいだけでなく、30年以上も継ぎ足しているカレーソースなど、味へのこだわりもわかったので調査しに来てよかったです!」
▲最後は安達さんとパシャリ!

大分県でカレーを食べるなら、「カレーハウス いまむかし」の「お茶漬けカレー」がおすすめ!
ご協力ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

名久井梨香

名久井梨香

フリーライター。毎日カレーを食べるカレー愛好家で、現在はカレーパンも研究している。カレー大學、カレー大学院卒。趣味はカレーとJリーグ。

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