“学ぶ”だけじゃない「九州国立博物館」の楽しみ方教えます!

2018.06.10 更新

東京・奈良・京都に次ぐ4番目の国立博物館として、2005年10月に「太宰府天満宮」のお隣に開館した「九州国立博物館」。貴重な特別展を多く企画し、2017年8月には来館者数1,500万人を超えました。博物館、と聞くと何だか堅苦しいイメージ?そんなことはありません!建築の美しさや展示、イベント、グルメなど、特別展がある期間はもちろん、それ以外の時期だって楽しめるんですよ。子供も大人もワクワクする、こんな楽しみ方いかがですか。

▲最寄りの西鉄太宰府駅までは、福岡市の中心・天神から西鉄電車で約35分、博多駅から直通バスで約40分。西鉄太宰府駅からは徒歩約10分です

山々に溶け込む曲線美と素材。自然に優しい建築美を楽しむ

まず、目に入って驚くのが緩やかな曲線を描く博物館の外観。壁面はガラスに覆われているので、木々が映り込み、建物自体も角がない曲線で設計されているため周囲の森と共存しているかのよう。
▲コロンとした形の九州国立博物館。何だかキュート!この曲線は、玄界灘の波をイメージしたという説も

今回の取材でお話を伺ったのは広報課の岩橋さん。まずはこの博物館の特徴について聞いてみました。
――そもそも、「九州国立博物館」を中心地である福岡市ではなく太宰府市に建てた理由は何なのでしょう?

「当館は太宰府天満宮のお隣。太宰府は「遠(とお)の朝廷(みかど)」とよばれた日本古代史上の一大舞台です。そんな歴史的環境に育まれながら、新しい文化的景観の形成に寄与できるような存在になっていければという願いを込めて、この地に造られました。」
▲学問の神様・菅原道真を祀った太宰府天満宮

――なるほど。歴史ある地に学びの場所を造る…。確かに意義がある気がします。ほかの国立博物館にない、九州国立博物館の特徴があるのでしょうか。

「九博(九州国立博物館)のコンセプトは“日本文化の形成をアジア史的観点から捉える”なんですが、まず特徴としてはアジア諸地域との文化交流の歴史を中心に展示していることです。
また、見るだけでなく、触れたり、嗅いだり、五感で体感できる展示も九博の魅力の一つです。特に『あじっぱ』は、日本と交流のあったアジアやヨーロッパの国々の文化を五感で体感することができる施設で、子どもたちにも大人気なんですよ。」
▲入場無料の「あじっぱ」。後ほど詳しく紹介

「そして、大きな特徴がもう一つ。市民と共生する博物館を目指しているということです。だからボランティアや地域の方々と協働してイベントを開催することもありますし、市民にとって憩いの場のような存在となることを目指しています。」
▲館内のカフェテラスは、ガラスから日が差し込み気持ちが良い!

――壁は一面ガラス張りだから、館内にいても緑を感じます。改めて見てみると、天井は全部木なんですね!目に飛び込む緑の風景と木のお陰で、近代的な設計なのにあたたかみを感じます。
▲見上げると曲線を描く天井は全部木!1階は空間を生かした造りで、コインロッカーや荷物預かりサービス(すべて無料)もあり!

「そうなんです。実はこの木はすべて九州各地の間伐材(かんばつざい)を使っています。その他、快適な温度を保つために紫外線を99%カットしたダブルスキン構造採用で、ダブルスキンガラスを約2,000枚使用しています。また、太陽光発電や雨水、地中熱を利用したりと、自然エネルギーを利用する設備も整っているんですよ。」
▲吹き抜けなので開放感があり、あちこちに木材が使用されているのでほっと落ち着く空間に

――近代的な設計・最新の設備ですが、すべて環境に配慮されているんですね!ガラスの壁から緑が目に入ってくるから館内にいる感じがしないです。

「そうなんです。だから、鳥がガラスがあると気づかずにぶつかっちゃったこともあって…。もちろん、ぶつからないような対策も講じているのですが。」

――鳥も建物と認識しないとは!それだけ自然に溶け込んでいる…とも言えますね(笑)
そして、博物館から太宰府天満宮へと通じる通路もまた見ごたえあり。見てください!この近未来感!
奥から宇宙人とか出てきそうじゃないですか?

この光は赤、ピンク、青…などの各色に光った後、写真のような虹色になることから「虹のトンネル」と呼ばれています。ここを抜けると太宰府天満宮の本殿へと通じます。近代的な博物館と築年数400年以上の本殿をつなぐ通路…まるでここでタイムスリップできるみたいでワクワクしますよね。

季節ごとに変わる常設の「文化交流展示室」を楽しむ

▲4階にある「文化交流展示室 ~海の道、アジアの路~」

ココ「九州国立博物館」には、現在1,000件を超える収蔵品があります。
そして実は、これらの収蔵品をほぼ毎週一部入れ替えながら展示しているのが「文化交流展示室」(平常展)。かくいう筆者も今まで多分10回以上は足を運んでいるのですが、恥ずかしながら特別展ばかりで文化交流展は初めて。
▲1,000件を越える収蔵品の中には、3件の国宝、40件以上もの重要文化財も含まれています。どんな収蔵品が展示されているかはホームページに記載

展示室に入ると、その広さにビックリ!旧石器時代から近世末期(開国)までを5つのゾーンに分けて展示しています。正直、「こんなにゆったり見れるんだ!」ってくらい、展示スペースは広々。各部屋には椅子はもちろん、子供が楽しめる絵本ブースもあったりと、かなり快適!
日本語以外にも英語、中国語、韓国語の4カ国語に対応している音声ガイドのほか、ボランティアガイドなどの無料サービスを利用するのもおすすめですよ。
▲「スーパーハイビジョンシアター」の上映作品は月替わり。2018年6月は「受け継がれるおもい、小さな島の教会群」を上映。320インチの大画面から繰り出す3,300万画素の映像…と聞いてもその規模が分からないかもしれませんが、とにかくスゴイです

出入口付近には、現行ハイビジョンの16倍(!)の超高精細8Kスーパーハイビジョン映像を上映する「スーパーハイビジョンシアター」も。コレですね。もう、びっくりするほどの迫力と美しさ!映像はココまで進化したのか…と思わず感激する世界最高峰の映像をぜひ!

「あじっぱ」で、アジア文化に触れて楽しむ

▲無料なので、お散歩がてら訪れる近所の子供連れも多いとか

そして、人気のスペース。前述した体験型展示室「あじっぱ」はマストで楽しんでほしい場所です。このアジアのマーケットのような賑やかな外観!ワクワクするでしょう~。
▲「アジアの原っぱ」が語源。看板もカラフルで可愛い

靴を脱いで中に入ると…
楽しそうなおもちゃや伝統民芸品がたくさん~!
取材日は近くの保育園の子供たちが遊びに来ており、みんな夢中になって遊んでいましたよ。
▲ベトナムのお皿(プラスチック製ゆえご安心を!)や、アジアのフルーツのおもちゃでおままごともできます
▲テーブルスペースでは、塗り絵や折り紙、各種工作体験ができるようになっています

子供だけが楽しめる場所でしょって?いえいえ、そんなことはありません。女性グループやカップル、ご年配の夫婦なども色んなモノで童心に帰って遊んでいるそうですよ。
▲インドネシアのガムラン。スタッフさんに言えばバチを貸してくださいます。ごわ~~~ん!と良い響き!
▲こちらはモンゴルの馬頭琴(ばとうきん)。絵本「スーホの白い馬」で見たことある!
▲こちらは「南蛮人なりきり体験コーナー」。時期によっては別の民族衣装を用意することも
▲インドネシアのダゴンというおもちゃ。遊び方は各ブースに表記されていますよ

奥にあるスペース「あじぎゃら」では、定期的に展示内容が変更。取材日は、「九州国立博物館」が収蔵している「針聞書(はりききがき)」の企画でした。
「針聞書」とは、1568(永禄11)年に書かれた針灸をどこに打つかを示した医学書。ユニークなのが、「癇癪(かんしゃく)」「はらのむし」「蟯虫(ぎょうちゅう)」などが具体的な生き物として本当に体の中に居ると伝えられていること!それらの虫たちが(多分想像で)描かれているのですが、これがキモ可愛い!
▲脹満(ちょうまん/左)などユーモラスな虫は全部で63種類!
▲手前は肝積(かんしゃく)、奥は脾積(ひしゃく)
▲マネキンを使用して人体の内臓を説明。これらはすべてスタッフさんの手作り!

この「針聞書」の虫たち、九州国立博物館の人気者。この企画展示は期間限定で終了してしまいましたが、大丈夫。1階にあるミュージアムショップでは、虫たちのオリジナルグッズを常時販売していますよ!

ここだけのオリジナルグッズやお土産を楽しむ

ということで、次の楽しみ方はミュージアムショップ。
▲こちらもガラス張り!
▲店内は博物館の展示に関わるグッズのほか、博多織などの博多土産もあります

明るく開放的な店内には、お菓子や手ぬぐい、焼き物、文房具など様々な商品がズラリ。その中には、九州国立博物館でしか購入できないオリジナルグッズも。
室町時代、中国や朝鮮との外交文書に捺された足利将軍の印を対馬の宗家が模造した「徳有鄰(とくゆうりん)」や太宰府の海などをモチーフにした「和三宝(わさんぽう)」は、見た目も可愛いらしく上品な甘さで人気のお菓子。
▲九州国立博物館オリジナルの干菓子「和三宝」864円

「徳有鄰」の印や、「針聞書」の虫たちのイラストが描かれた「オリジナル手ぬぐい」もカラフルでステキです。
▲「オリジナル手ぬぐい」各1,296円

そして「針聞書」の「腹の虫シリーズ」もたくさん。ラムネに虫たちを描いたその名も「虫整錠(ちゅうせいじょう)」は450円。
▲本当のお薬みたいですね!

さらに、針聞書の虫たちの手作りフィギュアを瓶詰にした「針聞書フィギュアシリーズ」は各540円。
▲全部で15種類あります!揃えたくなる~!

博多の郷土品「博多おはじき」にも、針聞書の虫たちが登場。
▲「博多おはじき」各648円

思わずクスッと笑ってしまう、キモ可愛い「腹の虫シリーズ」。ぜひ、お土産にいかがですか?
▲オリジナルではないけれど、仏像や埴輪など美術工芸品のガチャガチャ(1回200~400円)も。こちらも大人に人気だとか

ホテルメイドのランチをゆっくりと楽しむ

そして、九州国立博物館を訪れたらぜひ、ランチもどうぞ!
博物館を出て、太宰府天満宮側へ。前述した近未来を感じさせる通路の手前に「レストラン グリーンハウス」があります。
▲こちらもガラス張り!ティータイムだけでももちろんOK
▲店内からは、博物館と同様に緑や風景を一望

こちらは、「ホテルニューオータニ博多」が経営するレストラン。だから提供する料理はすべてホテルシェフ監修のメニューなんです。
パスタやカレー、オムライスなど単品メニューも揃いますが、おすすめはランチコース。和食の「プレミアム松花堂弁当」は2,100円(特別展時は2,700円)、洋食の「ニューオータニ特製ランチ」は1,800円(特別展時は1,900円)!いずれも大満足の内容ですよ。
▲「プレミアム松花堂弁当」はおかず4品、白飯、お吸い物、香の物付き※写真は一例
▲「ニューオータニ特製ランチ」はスープ、サラダ、魚or肉料理、ライスorパン、コーヒー付!※写真は一例

この他、お肉&お魚のメインディッシュプレートに、デザート盛り合わせまで付くちょっと贅沢な「シェフスペシャルセット」(2,300円/特別展時も同じ)もありますよ。

特別展開催時に行くなら、展示内容に沿ったランチもおすすめ!2018年5月19日~7月16日開催の特別展「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」の期間限定ランチでは、お皿をキャンバスに見立て、「絵画」をイメージした彩りも美しいプレートに。
▲「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」のランチは、魚&お肉料理のメインディッシュに加え、食後にはデザート盛り合わせも!

他、特別展に応じてシェフが毎回メニューを考案しているので、味はもちろん目も楽しめるランチを味わってみてはいかがでしょう。

バックヤードツアーや夜の博物館を楽しむ

さて、最後にちょっと違う博物館を楽しみたい!という方へ。九州国立博物館では、より身近に文化や歴史を感じて欲しいという思いから色んな催しを実施中です。中でも一番人気な催しが「バックヤードツアー」。
▲窓越しに収蔵庫も見学できる「バックヤードツアー」(無料)は、毎週日曜14:00から開催(定員30名)。窓の向こうの様子は残念ながら写真でお伝え出来ず…ぜひ参加して確かめてください!

博物館の命ともいえる収蔵庫(国宝や重要文化財を収蔵している部屋)を窓越しですが、見学できちゃうんです!その他、文化財保存修復施設なども案内してもらえる約50分のガイドツアー。

その他、研究員が「文化交流展」の内容を面白く、易しく解説してくれる「ミュージアム・トーク」(第2・4週以外の火曜15:00~/無料※但し、文化交流展の観覧料要)も人気。
また、毎週金・土曜は開館時間を延長し20:00まで博物館が楽しめる「夜の九博」を開催。「土日は込み合うから空いている時間に行きたい」「仕事帰りに立ち寄りたい」「ライトアップした博物館を見たい!」など、色んなニーズに応えてくれますよ。

「夜の九博」に合わせて、コンサートや夜のミュージアムトークなど様々なイベントも開催。中でも人気のある「夜の博物館たんけん隊」(第1土曜18:00~/無料※但し、文化交流展の観覧料要)は夜間開館の時だけ実施するバックヤードツアー。展示室の裏側を見学したり、文化財を運ぶ大型エレベーターに実際に乗降することもできます。
▲大型エレベーターは幅3m、奥行5m、高さ3.8mで大きな文化財も楽々運べるサイズ!

再現文化財(レプリカ)に触れたり、プロジェクターを使用した説明で子供にも人気の「夜のミュージアムトーク」(第2・4土曜18:00~/無料※但し、文化交流展の観覧料要)も。内容は毎回異なるので、テーマは事前にホームページでご確認くださいね。

ほか博物館には、講演会やコンサートができるミュージアムホールや研究室、和室、茶室もあり、催しの場として一般にも貸出していますよ(有料)。
▲茶会などに使える茶室「宝満亭」(ほうまんてい)は、茶室8畳・4畳の木造平屋建て

特別展以外でもこんなに様々な楽しみ方ができる「九州国立博物館」。すべては、スタッフさんの“博物館を身近に感じてもらいたい!”という思いがあってこそ。

岩橋さんはこう言います。
「博物館、と聞くだけで敷居を高く感じてしまう方が多くて少し残念なんです。難しく考えず、見て、触れて、遊んでいただければそれだけでいいと思います。『あじっぱ』は遊んでいただくだけでアジアの文化に触れることができますし、収蔵庫や展示室の裏側をのぞける『バックヤードツアー』も九博ならではではないでしょうか。」
▲バックヤードツアーの案内はボランティアガイドさんたちが活躍中!

「開館から10年以上経ちますが、本当に色んな方に親しまれていることを実感するんです。数年前非常勤で来ていた大学院生の女の子は“子供の頃、弟と「あじっぱ」によく来ていた”と。勝手にゴングを鳴らしたことがあるらしく、怒られる!と覚悟していたら、正しい叩き方を当時のスタッフから教えてもらったそうです。」
▲「来館者にとって憩いの場になれば」と岩橋さん

「展示を見に来るだけじゃない、文化や人に触れる場所を提供したいんです。毎日お孫さんと『あじっぱ』に遊びに来るおばあちゃんがいらっしゃるのですが、本当にそんな風に公園感覚で来て欲しいですね。」と岩橋さんは笑います。

「見る」だけじゃない、「触れる」「感じる」「遊ぶ」「食べる」…色んな楽しみ方ができる「九州国立博物館」。しかも、体験型展示室「あじっぱ」や様々な催しが開催されるエントランスは、無料で誰でも気軽に入れます。

福岡旅行に来られた際の太宰府天満宮への参拝後に、仕事帰りに、お散歩ついでに。難しく考えずに、ちょっと立ち寄ってみてはいかがですか?きっと楽しい発見が待っていますよ。
※記事中の価格・料金はすべて税込です
桑野智恵

桑野智恵

フリーの雑誌ディレクター/ライター。福岡生まれ、福岡育ちの博多女。3つの出版社を渡り歩き、雑誌編集歴はや18年。3歳娘の子育てをしながら、旅行情報誌を中心に活動中です。

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