金沢カレー/全国カレー巡礼の旅Vol.2

2015.07.16

今や世界中で愛されるカレー。しかし、ひと言でカレーといっても日本人に馴染み深い欧風カレーに始まり、スープカレーやキーマカレー、さらには独自の進化を遂げた個性派カレーまで、カレーの世界というのは本当に奥深いもの。

この企画では、これまで7,000店舗以上のカレー店を制覇したカレーの第一人者・井上岳久先生(株式会社カレー総合研究所代表取締役)と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!前回は神奈川県横須賀市のよこすか海軍カレーを巡礼しました。さてさて今回は……?


ある日の午後。
こん「北陸新幹線が開通してもう3ヶ月かぁ。北陸には美味しいモノがたくさんあるっていうし行きたいなぁ……」
こん「よし、今回は北陸のお店を紹介してもらおう!」

ということで……
やってきました!本日は北陸の都、石川県金沢市から名物カレーをお届けします。
こん「茶屋街ってのは本当に風情がありますねぇ。これぞ金沢って感じ!さて、今日はどんなお店をご紹介いただけるんでしょうか」
井上「今日はね、全国に金沢カレーの名を広めた名店へ行きますよ。この店なくして金沢カレーの誕生はなかったといっても過言ではありません!」

こん「金沢カレーといえば、前回話題に挙がりましたよね。たしか“キャベツ”がキーワードだったような」
井上「そう!そして、ここが今日の舞台『カレーのチャンピオン』さんです!」
こん「広い!この規模のカレー店は東京ではなかなか見かけないですね」

今年(2015年)で創業54年の「カレーのチャンピオン」。現在、北陸3県を中心に45店舗を展開しており、ここ野々市市にある本店では週末ともなると20~30人待ちの行列ができるのだとか。そんな人気カレー店の看板メニューは……
じゃん!ルーの上にキャベツと特大サイズの豚カツが乗った『Lカツカレー』です!多いときには1日700食も売れるとか。

井上「ちなみに、チャンピオンのカレーは略して『チャンカレ』と呼びます」

こん「あ!さっきのタクシーの運転手さんもそんなこと言っていたような」

井上「そう。地元の人はもちろんチャンピオンのことをちょっと知っている人ならみなそう呼ぶんですよ」
こん「先生、あらためて金沢カレーの定義を教えてください」

井上「ずばり、ステンレス皿を使い、ライスの上にカレー、キャベツ、カツの順で乗っているのが鉄則です!」

こん「ふむふむ……って先生、大変!これ、スプーンじゃなくてフォークです!」

井上「やっと気がつきましたか。金沢カレーはライス、キャベツ、カツ、カレーの4つを同時に楽しむため、フォークもしくは先割れスプーンで食べるのが定番なんです」
こん「よかった、お店の人が間違えたのかと一瞬焦りました」

井上「そんなわけないでしょ」

こん「では、いただきまーす!」
井上「こうやってキャベツとカツを乗せて……」
(パクッ)

こん「んー!お肉がやわらかくてジューシー。こりゃ止まりませんね!キャベツのみずみずしさもいいアシストしてます。それにこの衣。サクサクと軽くてペロッと食べちゃいそうです」
松本店長「ありがとうございます。揚げ油は1日ごとに取り換え、酸化しないよう気を付けています」

こん「油の種類は何ですか?」

松本店長「ラードです」

こん「これまでラードって重くて油っぽいイメージがありましたが、こちらのはまったくそんなことありませんね!あ、先生。たしか金沢カレーはルーもラードで作るんでしたよね?」
井上「そう!普通はサラダ油やオリーブオイルなんかを使うのですが、ラードだと独特のコクが出る。これを考案したのは、すでに閉店していますがレストラン『ニューカナザワ』の洋食部門のチーフを務めていた田中吉和氏です。以降、弟子たちによってそのレシピは脈々と受け継がれ、今では金沢カレーといえばラードが鉄板なんですよ。ここチャンピオンは田中氏が作ったお店です」
こん「あ、お店の壁に当時の写真や資料が展示されていますね」
松本店長「これは初代社長のレシピノートです」

こん「(よ、横文字過ぎて読めん……)」
井上「そういえばご飯の量が多めですよね」

松本店長「ミニで180グラム、レギュラーで300グラム、ジャンボで450グラムなのでたしかに多いですね。今召しあがっていただいているのはレギュラーです」

こん「って、ジャンボ450グラムなんて頼むお客さんいるんですか!」

松本店長「それが意外と多いんですよ~。全体の4割くらいかな。お腹を空かせた学生さんがほとんどです(笑)」
こん「むむ、ところどころに酸味を感じるような」

井上「カツにかかったソースですね。この酸味があるおかげでカツとルーの組み合わせでも重たくなりません」

松本店長「はい。当店で使用しているソースにはさまざまなフルーツを使っており、隠し味的な役割も担っています!」
井上「いや~、それにしてもカツのサクサクっぷりが素晴らしいですね!」

松本店長「ありがとうございます。決まった時間を超えた場合は廃棄するなど、揚げたてにこだわっています」

こん「純粋に豚カツとしても食べたいくらいです。ちなみに店長が好きなメニューは何ですか?」

松本店長「チキンカツカレーです!」

こん「いやそこはLカツカレーでしょ!」

松本店長「Lカツも好きですが(笑)、チキンのさっぱりとした感じがまた美味しいんですよ~」

こん「正直者め」
こん「はぁ~美味しくいただきました!それでは先生。そろそろ格言の方を」
じゃん!

井上「味・食べ方スタイルを注目するとさらに美味しくなる!」
こん「キャベツ&カツでさっぱりモリモリチャンカレー!」


井上「こんさんさ~、前回もそうだけど、格言というかキャッチコピー寄りだよね」

こん「すみません。完全に“さっぱりモリモリ”の音重視でした」

初代社長が考案した元祖金沢カレー。ルー、カツともにラードを使っているとは思えないほどペロッと食べられるのは、きっとキャベツのおかげ。そこのあなた、「たかがキャベツ、されどキャベツ」と侮ることなかれ。いい仕事してますから!
最後はチャンピオンポーズで記念撮影。カレーのチャンピオンさん、ごちそうさまでした!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。


井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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