3年に1度の「大地の芸術祭」。年々進化する、雪国が生み出すアートの祭典
「越後妻有」と呼ばれる新潟県十日町市と津南町地域で行なわれる世界最大規模のアートの祭典「大地の芸術祭」。前回の記事では、開催前に芸術祭に関わるボランティアグループ「こへび隊」に魅力を語ってもらいました。今回は、実際に会場を訪れ、年々進化する大自然に包まれたアートの旅を体感してきました!

今年も過去最大の作品数!大地の芸術祭2015
6回目を迎えた今回のテーマは【人間が自然・文明と関わる術こそが「美術」】。過去の芸術祭から、これまでに蓄積されてきた約200点のアート作品に加え、新作約180点。35ヶ国・地域の作家による合計約380点の現代芸術作品が公開されています。
作品の展示に加え、さらに、廃校が劇場に変わった越後妻有「上郷クローブ座」も開演。アジアを中心とするパフォーマーたちが、各拠点施設や集落を巡り公演するなど、イベントやパフォーマンスが充実。芸術祭は、年々進化し続けています。
芸術の旅の玄関口へようこそ!「キナーレ」

今回はこちらで作品鑑賞パスポートを購入。これを一冊持っていれば、会期中に各施設のアート作品や屋外作品をすべて鑑賞できます。(※作品への入館は1回のみ有効。2回目以降は、パスポート提示で通常の個別鑑賞料が半額に)

池の中央の島には滝が流れ、霧のような水蒸気が漂っています。周囲には、わら細工で作った舟や飛行機のオブジェが。






廃校が舞台。土を使った作品満載の「もぐらの館」
お出迎えは、直径4メートル以上の土の球体。インパクト大!







「土」だけで、ここまで世界観を作れるとは……表現の奥深さを感じました。
まつだい「農舞台」のランチビュッフェで地元食材を満喫!

寄り道をしながら車を走らせ、気づけばもうお昼時。今回のお昼は、草間彌生の作品や、「棚田」でお馴染みのまつだい「農舞台」でいただくことに。まつだい駅と直結したこの施設は、約50の作品が点在する「里山フィールドミュージアム」の中心地です。
お目当ては、「越後まつだい里山食堂」。ここでは、20種類以上の里山料理を楽しめるビュッフェを開催。忘れられつつある郷土料理を生かした、新しい料理の形を提案しています。





まつだい「農舞台」には、食堂以外にもギャラリーや、ショップが併設されています。大地の芸術祭会期中、ギャラリーでは特別企画展「今日の限界芸術百選」が開催されています。


背筋がゾクゾクする空間「最後の教室」

2006年の作品で、廃校となった旧東側小学校を活用した回遊型インスタレーションです。1階から3階までの教室や廊下、そして体育館など校舎をフルに活用して、「人間の不在」を表現しています。
一歩踏み込むと、思った以上に暗い空間が。目が慣れるまでは暗闇で何も見えないくらい。だんだんに見えてくるのは、体育館に並べられた扇風機が、生暖かい風を起こして首を振っている姿。床に敷き詰められた藁の匂いがムンムンと立ち込め、何か怪しい雰囲気です。

暗い廊下に進むと、中を真っ黒に塗りつぶされた額縁が飾られ、元理科室らしき部屋では心臓の鼓動のような音が響いています。また、額縁が一面に飾られた部屋や、棺桶を想起させる透明な光るケースの展示など、なんとも重苦しい雰囲気。





スケール大の注目プロジェクト「土石流のモニュメント」

一見すると大きな鋼製の円柱形をした砂防ダムが作品のようですが、違います。黄色のポールが作品です。土石流の原因となった長野県北部地震は2011年3月12日に起きた地震。その前日の3月11日に東日本大震災が起きたことからあまり報道されていませんでしたが、津南町で土石流の被害があったとは……


(展望台は金・土・日のみ公開)





異色のアート!?「ザ キュウリ ショー」






ついつい寄り道したくなる!これが「大地の芸術祭」の醍醐味!






もちろん、ここで紹介した作品はごく一部。約380点もの作品が、東京23区よりも広い妻有の大地約760キロ平方メートルの大地に点在しているので、一度に回るのはほとんど不可能なくらい。どこをどう見たらいいか迷ってしまうという人は、公式ガイドブックを参考にしたり、テーマに合わせたツアーが多数企画されているので参考にしてみて下さい。
アートに導かれ、妻有の大自然と人の魅力に触れる旅へ、あなたも飛び出してみてはいかがでしょうか?
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ
[会期]2015年7月26日(日)~9月13日(日)の50日間
[開催地]越後妻有地域(新潟県十日町市、津南町)760平方キロメートル
[主催]大地の芸術祭実行委員会
[共催]NPO法人 越後妻有里山協働機構

唐澤頼充
編集・ライター。新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」編集長。農学部卒業後、マーケティング会社に勤務後、独立。現在はNPO職員として勤務する傍ら各種媒体で執筆活動を行っている。「情報流通量の多さが地域の豊かさ」をモットーに、地域に眠る資源をコンテンツ化し、発信する活動を行う。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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