最果てなのに大行列!利尻らーめん味楽は東京から8時間かけても行くべし

2018.08.20 更新

北海道の北西に浮かぶ利尻島には、一杯のラーメンを求め行列ができる店があります。その店の名は「利尻らーめん味楽(みらく)」。『ミシュランガイド北海道 2012 特別版』と同『2017 特別版』にてビブグルマンとなった名店です。東京からこの店まで片道8時間以上かかりますが、天然のうま味が凝縮した絶品ラーメンはわざわざ食べに行く価値あり!どんなラーメンなのかレポートします。

▲この一杯を求め、全国各地から多くのラーメン好きが北国の離島、利尻島までやってきます

「利尻らーめん味楽」の営業時間はお昼時のたった2時間30分。しかも場所は日本の北端にある離島なので、東京から行くなら飛行機と船とバスを乗り継いで8時間以上かかります。食べに行くにはかなりハードルが高いにもかかわらず、連日満員御礼の繁盛店。ラーメン一杯を食べるために、国内外各地から評判を聞きつけた人々がわざわざやってくるのです。

利尻昆布の出汁がききまくった「焼き醤油らーめん」を食べるべし!

多くの人を惹きつけるこの店の看板メニューは「焼き醤油らーめん」。高級料亭などで重宝されている利尻昆布を大量に使った、昆布出汁のききまくったラーメンです。
▲「焼き醤油らーめん」(850円)。オプションでとろろ昆布(左下、100円)をつけることが可能

まずは、どんなラーメンなのか紹介します。

焼き醤油らーめんのスープは、濃厚な利尻昆布出汁のスープに、豚骨と鶏ガラと野菜からとった動物系スープをブレンドした、いわゆるダブルスープです。
名前のとおり、醤油ダレは「焼き」入り。香ばしさを引き立たせるために、注文が入ってから中華鍋で焼いて程よく焦がしています。
▲自家製醤油ダレを中華鍋で焦げる寸前までグツグツ焼き上げます

焼きが少ないと甘く、焼きすぎると苦くなります。何分何秒焼けば完成というわけではなく、見た目や匂いなどでベストな頃合いを見極めているそうです。
▲ちょうどよい焼き加減になったら、スープを入れて合わせます
▲醤油ダレとスープがよく混ざり合ったら、モヤシを投入

スープや具材の調理と並行して麺の調理も。
焼き醤油らーめんは黄色の中太ちぢれ麺が基本。リクエストすれば細麺での提供も可能です。
▲茹でる時間は1分10秒。感覚で勝負するスープと異なり、麺は正確な時間がポイント
▲麺が茹で上がり、スープのモヤシに火が通ったら器へ

最後に自家製チャーシューとメンマ、ネギ、焼き海苔を添えたら完成!
▲ひと手間もふた手間もかけて作られた焼き醤油らーめん

まずはスープをひと口。見た目はあっさり淡泊な印象なのですが、スープを口にすると濃厚な味わいがガツンときました!濃厚といっても塩辛さや脂っこさではなく、まろやかな昆布出汁の風味の強さと、昆布出汁に負けないくらい強い焦がし醤油の香ばしい風味です。後味心地よく、いい風味がいつまでも鼻から抜けるような感覚です。
▲濃厚な風味のスープに、プリッとした食感の中太ちぢれ麺がよく合います!

少し食べ進めたところで、オプションのとろろ昆布を追加してみましょう。
▲とろろ昆布をわっさわっさと投入。スープがみるみるトロッとしてきました

昆布の風味がさらに増強!昆布の強い風味が口と鼻に残ります。これはスゴイ!ラーメンを食べているというより、出汁がききまくった高級な鍋物を食べているような気分です。
▲とろろ昆布がたっぷり絡み、昆布麺に

化学調味料を使わず、うま味成分が凝縮した利尻昆布を大量に使っているということもあり、最後の一滴までスープを飲めちゃいます。これは間違いなく、わざわざ食べに行きたくなるラーメンです。

なぜこんなに昆布出汁がきいたラーメンを?

昆布出汁がきいたラーメンの逸話を、店主の江刺家美次(えさしかみつぎ)さんに教えてもらいました。
▲江刺家さんはもともと公務員でしたが退職し、母親の出身地である利尻島にて2007年にこの店を創業

「母親が作る味噌汁はあたりまえのように昆布出汁だったので、汁物の美味しさは出汁が命という信念がありました」
こう語る江刺家さん。

身近にある利尻昆布を活かして何か料理を提供したい。昆布出汁をしっかりとった汁物は美味しいに決まっている。
そう思い、試行錯誤の末に行きついたのが昆布出汁をたっぷり使ったラーメンです。
「ラーメンらしさを出すために、豚骨などの動物系スープを追加しました。かなり強い昆布出汁のうま味に負けないよう、考え抜いてできたのがオリジナルの焦がし醤油ダレです」

香ばしさを際立たせた醤油ダレの風味が、昆布出汁の濃厚なうま味とバランスよく調和。ガツンと感じる濃厚なうま味の所以です。
▲この先は江刺家さんの息子、堂真(たかまさ)さんに案内してもらいました

高級な利尻昆布を惜しげもなくたっぷり使った焼き醤油らーめん。
「利尻昆布の使用量をわかりやすく換算すると、ラーメン1杯に対し、利尻昆布を名刺大1枚くらい使っています」
なんと、そんなに使っているのですね!自分で料理をする人ならハンパない量を使っていると実感するのでは?
▲お店の倉庫には利尻昆布が山積み!ここにあるだけで仕入れ値は100万円単位。宝の山です
▲昆布ってこんなに大きいのですね

これだけの利尻昆布を仕入れられるのは、親戚が昆布漁師をしているから。しかも通常より安く手に入ります。
「この仕入れがなかったら1杯の値段が1.5倍か2倍にしないと成り立たないのでは…」
こう語る堂真さん。
大量の利尻昆布を使ったラーメンを1杯850円で提供できるカラクリです。

夏は昆布出汁100%スープの冷製ラーメンをぜひ!

ラーメンの秘密に触れた後は、焼き醤油らーめん以外におすすめのメニューを教えてもらいました。
それは、暑い日にピッタリなこちら!
▲夏限定メニュー「冷塩(れいしお)ラーメン」(900円)

名前のとおり冷製の塩ラーメンなのですが、こちらは焼き醤油らーめん以上に昆布出汁の風味がもの凄いんです。なぜなら、なんとスープは昆布出汁100%!
▲昆布出汁めちゃめちゃ濃い色をしています。大量の昆布を使っている証。このまま飲んでも美味しいそうですよ
▲器に昆布出汁を入れ、自家製の塩ダレを合わせ、茹でた鶏ムネ肉とネギ、とろろ昆布をトッピングします

出汁の美味しさを引き立たせるために、さっぱりと食べられる細麺を使用。素材の味わい同士が主張し合わないよう、具材はあえてシンプルにしているそうです。
▲かなり上品な味わい。高級料亭の創作料理を味わっているような気分です

このほかにも、「塩らーめん」や「味噌らーめん」「つけ麺」のほか、「カレーライス」などもあります。もちろんどれも利尻昆布の出汁を使用。地元客には味噌らーめんが人気なのだそうです。

サイドメニューでのおすすめは餃子。
▲「ひとくち餃子3色」(400円、左からジューシー・ピリ辛・熊笹)

肉肉しいジューシーと、食べた瞬間「辛っ!」と声をあげてしまいそうになるピリ辛、笹の香りがふんわり鼻に抜ける熊笹の3つの味が楽しめます。
ノーマルな味わいが好きな人には、ジューシーが1皿3個の「ひとくち餃子白」(400円)もあります。

利尻島観光の想い出に、焼き醤油らーめんをお土産に

昆布出汁がききまくったラーメン。一度食べたらきっとこの美味しさは忘れられません。「また食べたいっ!」って思うこと間違いありません。ならば、自宅でも味わってみませんか?店内ではお土産用の焼き醤油らーめんも販売しています。
▲「おみやげラーメン」(1個1人前・400円、焼き醤油らーめんのみ)

常温保存OKなので保冷剤は不要。持ち帰ることもできますし、国内宛なら自宅発送も可能です(配送料別途)。
▲箱をあけると、袋入りの生麺とスープが1セット入っています
▲自宅で利尻島の味を再現!具材は入っていないので、自宅にあった野菜をトッピングしてみました

お店の味と全く同じ味とは言えませんが、醤油と昆布の風味をよく感じます。これはかなりイケてます!途中でとろろ昆布を入れたらさらに美味!食べながら利尻島旅行の想い出にも浸れますよ。

食べ終えてふと気づいたのですが、スープを割る時、お湯ではなく昆布出汁を作って入れたらさらに美味しくなったかも…。次回買った時、リベンジ!

食べに行くハードルは高いのですが、いつかぜひ!

利尻昆布の出汁の深い味わいがたまらない絶品ラーメン、あなたも食べに行ってみませんか?

らーめん味楽がある場所は、利尻島西部の沓形(くつがた)地区。
▲沓形港近くにある沓形岬から眺めた沓形地区。背後の山は利尻山です

お店から歩いて15分程度の場所にフェリーが発着する沓形港がありますが、ここはお隣の礼文島との間を結ぶ船便が夏季限定で1日1便やってくるのみです。
▲沓形岬からの眺め。沖に見える島影が礼文島です

らーめん味楽へ行くなら以下のルートが一般的です(2018年8月現在)。

羽田空港または新千歳空港→稚内空港(直行便で羽田空港から約1時間50分、新千歳空港から約55分、各1日2往復)
稚内空港→稚内港(バス約35分)
稚内港→利尻島の鴛泊(おしどまり)港(フェリー約1時間40分~1時間50分、夏季は1日3往復)
鴛泊港→沓形(バス40~50分)
沓形→らーめん味楽(徒歩1~2分)

夏季なら以下ルートが便利です。

羽田空港→新千歳空港(約1時間30分、多数運航)
新千歳空港→利尻空港(約55分、夏季限定1日1往復)
利尻空港→沓形(バス約30分、空港発着バスは1日2往復)
沓形→らーめん味楽(徒歩1~2分)

どれも乗り換え時間や待ち時間を含んでおらず、便数が少ない路線ばかり。行くだけで1日がかりです。
▲稚内港と鴛泊港を結ぶフェリー。利尻島観光の主要交通機関です

とにかく遠い、利尻島のらーめん味楽。しかも、営業時間は11:30~14:00。
となると、東京から営業時間に合わせて訪れるなら、飛行機やフェリーの時間を考えると、行きは途中か利尻島内で1泊必要、帰りは夏季であれば食べてすぐ利尻空港へ向かうと、その日の夜に都内へ戻ることは可能です。
▲まるで一軒家の住宅のような佇まいのお店です。ここに行列ができるなんて信じ難い!?

訪問難易度がかなり高いお店なのですが、地元の人だけではなく全国から客が集まります。たった2時間30分しか営業していないのに、1日あたり多い日は焼き醤油らーめんが約130杯も出るそうです。つまり、平均すると1、2分に1杯オーダーが入るということ。
どんなに遠くても、食べに行くのが難しくても、噂を聞きつけた観光客や美味しさの虜になったリピーターがひっきりなしに来店しているという証です。
▲閉店後の店内。営業時は満席でフル回転です
▲小あがり席もあるので、小さな子ども連れでも気兼ねなく。ただしこちらも満席になることが多々あります

「食べてみたい!でも、どうしても行けない…」という人は、神奈川県横浜市にある「新横浜ラーメン博物館」にも出店しているので、こちらで味わってみることも可能ですよ。ただ、こちらの焼き醤油らーめんは850円ではなく900円なのであしからず。
とはいえ、このラーメンはぜひ利尻島で味わってほしいです。ほかの場所でどんなに美味しいラーメンを再現することはできても、その土地の雰囲気や空気感まで再現することはできません。島の空気や島の風土、島の人に触れながら味わう至極の一杯は格別です。
訪れにくさでは日本トップクラスの有名ラーメン店ですが、行ってみる価値は十分あり!いつかぜひ、利尻島観光とともにらーめん味楽へ!
※記事内の料金はすべて税込です
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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