アートを通じて全身で新潟の自然と歴史を体感できる「水と土の芸術祭2015」へ、いざ!

2015.09.11 更新

新潟の、水と土によって形成された独自の風土や文化に注目した現代アートの芸術祭「水と土の芸術祭2015」が開催中!新潟市民にとっては常にそこにあって当たり前の「潟」。一方で新潟市外の人にとっては馴染みの薄い「潟」(そして県外の人にとっては漢字自体が書きづらい「潟」)。そんな「潟」をメインフィールドとした芸術祭で一体何を体感することができるのか!?現地レポートをお伝えします!

<「水と土の芸術祭2015」の開幕前取材記事はこちら>
五感を刺激するアート!「水と土の芸術祭2015」で体験したいアートと自然と歴史の融合

[上堰潟]海抜0m地点の水が迫りくる視覚的迫力

まずは上堰潟(うわせきがた)へ!
ここでまず見つけたのが<藤野高志/生物建築舎>の作品「曲」。
角田山をバックに、自然の中にすーっとひと筆で描かれたような長いアーチ状の橋は、上に乗ると自分の動きや風によって緩やかに波打ちます。そこにいるだけで、潟にゆっくりと流れる時間を体感したり、自分で揺れを起こすことで、日常のせわしなさとは違う時間の流れ方に自然と心が踊る、童心に還るような感覚を覚えたりしました。ちょっと俯瞰で見る上堰潟の景色も新鮮!

そしてそのすぐそばには<土屋公雄APT(=アートプロジェクトチーム) 田原唯之+木村恒介>の「海抜ゼロ(2009)」が。
潟の中へ延びるスロープの先端まで行くと、水面が胸の高さまで迫ります。水が迫ってくる恐さと見慣れない潟の中からの景色に「湿地帯だった新潟を乾田化した人たちは、こんなところに入っていって開墾したのか」と想いが巡ったり。葦(アシ)が自分の背よりも圧倒的に高く生えている水辺の様子など、これまで遠巻きに見ていたからピンとこなかったことが、ダイレクトに理解できました。

[ベースキャンプ(旧二葉中学校)]新潟の過去・現在・未来を体感する

そこから一気にベースキャンプの旧二葉中学校にワープ!
まずは「Niigata 水の記憶マップ(2009)」<酒百宏一>。とある教室をのぞくと、新潟市内の「水の記憶」が残る場所やもの(石碑など)に紙を乗せて色鉛筆で刷り出した作品が壁一面に。そして、その箇所をプロットした大きな地図が床に広がっています。
こんなにたくさん水にまつわる場所があるんだ!という発見。普段の生活だけでは感じられない、新潟と水の関わりの深さを体感できます。地図に乗る感覚も楽しい♪黒板にあった「年表には記されない壮絶な民の営み」という言葉が印象的でした。

体育館の2階に飾られたインスタレーションは市民が手がけたプロジェクト。
新潟市民には馴染みの深い「白鳥」の鳥凧が飛び、郷土玩具である愛らしい「鯛車」が迎えてくれます。体育館との立体的でダイナミックな空間構成がすごくハマってる!
「明後日朝顔NIIGATA2015」<日比野克彦>は、天井いっぱいのアサガオの写真が斬新!新潟のあちこちから寄せられたアサガオの種や黒板の説明が、人、地域を繋げ、全国的に広がっていく「明後日朝顔プロジェクト」の繋がりや絆を感じました。外では実際に育てられたアサガオも見ることができます。

[街中]香りと音色で海を感じる、巨大アート出現

そして新潟市の象徴、萬代橋がバックに架かる信濃川沿いの「新潟の夢-Dream of Niigata-」(通称バンブーハウス)<王文志(ワン・ウェンヂー)>。
竹でできた巨大なアート作品には、メッセージが書かれた東北の牡蠣の殻が吊るされ、風にそよいでカラカラと心地よい音を奏でます。竹はとてもしなやかに曲がりながらフォルムを形成しているけど、実際に踏んでいる感触はとても硬く、ゴツゴツした節の感触と合わせて、普段整ったアスファルトや床を歩いている足には新鮮な感覚。美しく組み上げられた竹の隙間から見上げる空は、すっごい爽快!!!!
差し込む光と細やかな影、ほんのりと潮の香りも漂い、水面を撫でる風とともに心地よさ抜群です。

[鳥屋野潟]訪問者が作品を育て、作品の一部となる

今回最後に訪れた鳥屋野潟(とやのがた)で出会ったのは、うっそうと樹々や植物が生える中から、潟に向かってまさに出港するような「田舟で漕ぎ出す。」<大矢りか>。
素材は鳥屋野潟にあった枝や土、近くの海岸にあった流木で、なんと中では稲が育っていて、水をあげることができます。
意外な組み合わせと、作品の世界の一部になる感覚、そしてこの土地でしか生まれ得ない存在であることが、アートとの距離感をグッと縮めてくれました。すぐそばで育つペパーミントの香りがとっても爽やか。
そこから歩くこと5分ちょっとで出会う「BOAT HOUSE DOCK YARD[船の家 造船所]」<日比野克彦>は、「市民活動が生まれていく拠点」として位置づけられており、潟を眺めながら寛ぎを覚えるスポット。この作品からつながっている、日比野さんの躍動感溢れるペインティングが施されたデッキも迫力です。
巡るうちに自然と心がはやるというか、作品はもちろん作品を取り巻く「額縁」である自然も含めて歩き回ることで、普段の暮らしでは見落としがちな自然の機微に敏感になったり(暑いなぁ、と思っていても水辺の木陰は風も通ってとっても心地いい!)、まるごと“新潟の自然・暮らし・そこからしか生まれ得ないアート”が詰まった作品を愉しむことができました。

作品が持つ力と環境の掛け合わせで生まれる、新潟に暮らす人にとっては知ったつもりになっていた場所の新しい魅力の発見が、新潟以外の人にとってはお米やお酒以外のこれまで語られることが少なかった新潟の新しい表情の発見が、ここにはあります。

会期は10月12日(月・祝)まで。これから約1カ月のうちにきっと、景色も屋外作品の趣きも変わってくるはず。次に行く時はどんな景色が広がっているのか、楽しみです。
ちなみに本芸術祭に遊びにいかれる際、車での移動の場合は事前に駐車場の確認をしておくとスムーズです(少し離れている場合もあるので)。
丸山智子

丸山智子

ライター・コピーライター。新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」参加ライター。東京の編集プロダクション、広告制作会社を経て2014年より新潟でフリーランスに。イベントの宣伝・広報、地方情報誌、住宅情報誌、会報誌等での執筆、広告の企画制作などの分野で活動中。関心分野は、和菓子・日本文化・舞台芸術。

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