【2018年最新版】隅田川花火大会の見どころ&穴場ガイド

2018.07.10 更新

毎年7月の最終土曜日に東京の夜空を彩る「隅田川花火大会」。2018年は7月28日の19時から20時半に開催される(荒天等で実施できない場合は翌29日に順延)。日本の花火大会としては最も長い歴史を持ち、約95万人(主催者発表)という想定観客数も国内最大規模。今年ならではの楽しみ方と、穴場の探し方をお伝えする。

▲「東京スカイツリー」とセットで見られるのが隅田川花火大会の魅力

隅田川花火大会は、桜橋と言問橋(ことといばし)の間の「第一会場」と、駒形橋と厩橋(うまやばし)の間の「第二会場」で行われる。橋の上で花火を上げるのではなく、どちらも「台船(だいせん)」と呼ばれる平らな船の上から打ち上げる。
▲台船は約50m×約30m。アンカー(いかり)を沈めて固定する

大都会ならではの非日常感が魅力

では、隅田川花火大会ならではの特色とはなんだろうか。
隅田川花火大会実行委員会の事務局を務める墨田区文化芸術振興課の河村さんに聞いてみた。ちなみに河村さんは、花火大会で有名な長岡市(新潟県)の出身で、子どもの頃から花火を見て育ったという花火愛にあふれる人物である。

「最大の特徴は、大都市の真ん中で開かれるということだと思います。たとえば長岡や土浦、また都内の他の花火大会では、広い土手に座ってのんびりと鑑賞する。それに対して隅田川は、ビルの合間や路地の軒先など、ふだんの生活空間から不意に花火が現れる。一年に一度だけの独特の非日常感が醍醐味です」
▲浅草の街角から。「角を曲がったら急に花火が見えた」という非日常感が隅田川花火大会らしさ

「都会で行なわれるがゆえの制約もあります。両岸に建物が密集しているため安全に配慮しなければならず、玉の大きさは第一会場は5号玉まで、第二会場は3号玉までと決められています」(河村さん)
▲第一会場を台東区側から

1号は直径1寸(約3cm)なので、5号玉は直径約15cm。
現代の花火は最大で40号(直径120cm)があり、長岡大曲土浦といった広い会場では10号玉(直径約30cm)がポンポン打ち上げられている。それに比べるとたしかに小さい。打ち上がる高さは5号玉で約200m、10号玉で約300mという差がある。
▲第二会場を下流から

ひとつひとつの玉は小さいが、発数は多い

「でも、玉が小さいぶん発数は多くしています。第一会場で9,370発、第二会場で1万650発。合計2万20発という数は、全国でも有数の規模です」(河村さん)

大玉を一発一発じっくり見せるというよりも、「スターマイン」と総称される連発花火を小気味よく打ち上げていくのが隅田川らしさだ。
▲第二会場の連発花火

「花火師の方にお話をうかがうと、小さな玉だから簡単ということはなくて、観客の皆さんが遠くにいても近くにいても、この隅田川上でいかにして最高の花火の打ち上げを演出することができるかを考えて、さまざまな工夫をしているそうです。花が開いたあとに色を変化させたり、光を点滅させたり、和火のやさしい橙色と洋火のあざやかな発色を組み合わせたり……」(河村さん)
▲第二会場の色とりどりの花火

また、隅田川上に光と色がどのようにして映えるかなど、細かいところまで考えをめぐらせて玉づくりを行なうそうだ。玉の号数は小ぶりであったとしても、いかにダイナミックかつ華麗に見せるかが花火師の腕の見せどころだという。

コンクールが行なわれる第一会場、リズムが魅力の第二会場

2018年の打ち上げは、第一会場を「ホソヤエンタープライズ」(あきるの市)が、第二会場を「丸玉屋小勝煙火店(まるたまやおがつえんかてん)」(府中市)が担当する。どちらも経験と実績のある東京の老舗である。
▲スカイツリーとの見事な共演。第一会場を台東区側から

第一会場では、19時40分頃から約20分間、花火コンクールが行なわれる。前記の2社を含めた隅田川ゆかりの打ち上げ事業者と、大曲や土浦などの花火競技大会で優秀な成績をおさめた国内を代表する打ち上げ事業者を合わせた合計10社が参加する。

コンクールの約20分間は、各社の趣向をこらした大きな玉をじっくり見せる時間帯である。花火大会公式ホームページには打上玉のタイトルと、そこに込められた想いが掲載されているので、打ち上げ開始前に一読しておくと楽しさがさらに深まるだろう。
▲第二会場を下流から。川面に光る花火が美しい

一方、第二会場は、1時間半を通して途切れることなく小さい玉がリズムよく打ち上がる。じっくり見られる場所を確保できたらコンクールを見たいが、歩きながらであれば第二がおもしろそうだ……。どちらを目指すか、なかなか悩ましい。

2018年からの新しい試み「カウントダウン」

隅田川花火大会では2018年から新たな試みをスタートさせる。それは19時と19時30分の両会場の打ち上げを、声を合せたカウントダウンで開始することである。

「2020年のオリンピックイヤーに向けて、花火大会を“参加型”にすることで、花火大会が人と人とのつながりを深めるきっかけとなり、愛着・誇りを感じてもらえるようにしたいと思って企画しました。どこか1カ所の会場に大型モニターを設置して、というやり方ではなく、アプリを活用して、いつもの観覧場所あるいは屋内にいても、どこからでも参加できるようにします。秒読みがゼロになったら、両手を広げる“すみはなポーズ”をして、みんなで大輪の花火を咲かせましょう」(河村さん)
▲カウントダウンとすみはなポーズの流れ

また、アプリでは、江戸時代から続く隅田川花火の歴史のほか、花火の見どころポイントや種類などの豆知識、浴衣を着ているときの雨対策など、「花火大会がより楽しくなるコラム」が大会当日に向けて随時配信される。これまでとは一味違った隅田川花火大会を楽しむことができるだろう。

390年の歴史をもつ隅田川の花火

現大会は昭和53(1978)年に始まったが、そこに至るまでには長い前史がある。
隅田川で花火が上げられた最古の記録は390年前の寛永5(1628)年。浅草寺を訪れた僧・天海が隅田川で船遊びをしながら花火を見たという。

花火は急速に江戸の人びとに受け入れられ、慶安年間(1648~1651)頃には5月末から8月末までの3カ月間、隅田川で町人や武士が船遊びの際に花火を楽しむようになった。
▲天保14~弘化4(1843~47)年頃に描かれた渓齋英泉(けいさいえいせん)画、「江戸八景 両国橋の夕照」。右上に花火が見える(すみだ郷土文化資料館所蔵)

打ち上げ花火が開発されたこともあり、寛政12(1800)年頃から5月末の船遊びの初日が重視されるようになり、やがて「川開き」と呼ばれるようになる。海開きのように泳ぐわけではなく、夕涼みのための屋形船などが営業しはじめる日だった。
8月28日まで花火を上げることが認められていたので、船遊びをする客のために花火がたびたび打ち上げられた。
▲文政年間(1818~30)頃に描かれた國美画、「両ごく川ひらき」。(すみだ郷土文化資料館所蔵)

とくに両国橋西の柳橋周辺にある料亭は、花火組合を結成して大規模な花火を上げるようになり、明治に入っても柳橋料亭組合が花火のスポンサーとなって年1回の大きな花火大会を開催した。
第二次世界大戦中の中断をはさんで続けられたが、隅田川の水質悪化や堤防の建設、料亭文化の衰退といった事情から昭和36(1961)年で中止になった。

その後、美濃部亮吉都知事時代に再開の機運が高まって昭和53(1978)年に復活、東京都・台東区・墨田区が中心となって、さまざまな民間団体、官公庁と協力して運営を行っている。その中でも事務局運営は台東区と墨田区が毎年交互に担っており、2018年は墨田区の担当である。河村さんによれば台東区とのライバル意識はなく、姉妹区でもあることから、区をまたいだひとつのチームとして日々協力し合っているそうだ。
▲昭和56(1981)年のパンフレットの表紙。すみだ郷土資料館が所蔵するパンフレットのなかで最も古いもの

すみだ郷土文化資料館で「隅田川花火の390年」展を開催中

歴史についてもっと詳しく知りたい人は、すみだ郷土文化資料館の「隅田川花火の390年」展をご覧になってはいかがだろうか。筆者も見学したが、江戸期の浮世絵から昭和のポスターまで、資料が充実していて見ごたえがあった。観覧者には特製のクリアホルダーも配布している(なくなり次第、配布終了)。会期は2018年8月26日まで。
▲「隅田川花火の390年」展。2、3階で浮世絵などの史料を展示している

会場から約2km圏内で穴場を探してみる

隅田川花火大会は、他の花火大会のような広い河川敷がないので座る場所もない。人が密集している中で立ち止まると歩行者の身動きがとれなくなって危険なので、会場近くの混雑する路上では立ち止まらないのがルールである。
▲吾妻橋のアサヒビールのモニュメント前にも注意喚起の横断幕

というわけで、基本的に散歩しなが見る花火大会といえる。とはいうものの、混雑しない穴場から見てみたい……。

「ネット上で穴場として紹介されている場所、たとえば『銅像堀公園』などは、実際には当日立ち入りできないエリアもあったりします。また、ビルが新たに建てられて見えないなど情報が古かったりする場合もあります。一方で、空いている場所は見えにくく、比較的見やすい場所は混雑していると思います……」(河村さん)

人のいない場所=見えない場所だから、人のいない穴場というのはなかなかむずかしい。しいていえば、大きな通りであれば、初めての方でも迷わず歩けるので、比較的安心して楽しめるのではないか、と河村さんは教えてくれた。
▲公式の会場図。赤枠内は交通規制区域

自分なりに穴場を見つける方法を考えてみた。
会場図の赤枠内は交通が規制されるほど人がごった返すから、穴場を見つけることはあきらめる。第一会場から汐入公園までが直線で約2.3kmなので、各会場から2.3kmの円を描いてみて、その範囲で開けている土地を探してみた。
▲上の円が第一会場からの2.3km圏。下の円は第二会場からの2.3km圏。国土地理院の「電子地形図25000」をもとに作成した

比較的距離の近いところでいえば「横網町(よこあみちょう)公園」周辺が有力か。しかし駅から近いので人は多そうだ。
隅田川東岸の「東白髭公園」は駅から離れているので、人は少ないかもしれない。
2.3kmの円の外側だが、「猿江恩賜公園」は敷地が広くていかにも見えそうだ。

筆者が穴場として期待するのは、「上野公園」の両大師橋(りょうだいしばし)から観光バス駐車場を経てパンダ橋のあたり。よく知られているように、山手線の線路を境に上野台地は標高が20mくらい高い。線路との境が崖になっていて見晴らしがよい。花火は小さくなるかもしれないが、ビルの合間から見えるポイントがあると思う。
▲上野駅北方の両大師橋
▲上野駅公園口そばのバス駐車場
▲上野駅の東西を結ぶパンダ橋

さて、見えなかったらどうするか。心配はない。会場まで2.3kmなので、20分も歩けば会場近くに到達できる。ぶらぶら散歩しながら自分だけの穴場を見つけるのはきっと楽しい。隅田川花火大会とは、花火を見つけに行くというひとつの旅なのである。
今年は浴衣でも着て、花火を見つける旅はいかがだろうか。
▲ビルの合間からドラマチックに現れる花火

どうしても人ごみを避けたいという方には、船上クルージングもおすすめだ。
※掲載されている花火の画像はすべて2017年以前に撮影したものです。
大塚真

大塚真

編集者・ライター。出版社兼編集プロダクションの株式会社デコに所属。最近編集した本は、服部文祥著『サバイバル登山入門』、松崎康弘著『ポジティブ・レフェリング』(ともにデコ)ほか。ライターとしては『TURNS』(第一プログレス)、『BE-PAL』(小学館)などで執筆。

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