福井・小浜「食彩 ごえん」でいただく『若狭ぐじ』は、白身魚の概念を変える逸品だった!

2018.08.27 更新

若狭湾でとれるアカアマダイは別名「若狭ぐじ」と呼ばれ、昔から京で珍重されてきた高級魚。しかし、若狭湾でとれたアカアマダイがすべてそう呼ばれるのではなく、厳しい基準をクリアしたものだけが、見事「若狭ぐじ」の名前を与えられるのです。今回は若狭ぐじの本場、福井県小浜市の名店でその美味しさを味わってきました!

「御食国」と呼ばれた若狭小浜

小浜市といえば、若狭湾に面した魚介のまち。若狭の海は暖流と寒流がぶつかる天然の好漁場(こうぎょじょう)で、一年を通じて旬の海の幸が水揚げされています。

奈良・飛鳥時代は宮廷へ食材を献上する国として「御食国(みけつくに)」と呼ばれていた若狭小浜。古くから塩や海産物を納め、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。また、若狭から京都への物流ルートだった「鯖街道」を通じて、新鮮な海の幸を運び続けてきたため、京都をはじめとする関西圏の食文化をも支えたと言われています。
▲日本遺産第1号に認定された「鯖街道」は小浜が起点

小浜漁港は「若狭ふぐ」や「若狭かれい」をはじめ、さまざまな魚介類が水揚げされる、まさに魚介のパラダイス!なかでも「若狭ぐじ」と呼ばれるアカアマダイは、夏から秋にかけてが特に美味しいと言われています。
▲若狭ブランドのぐじやふぐ、かれいなどが水揚げされる小浜漁港

なぜ「ぐじ」という名前がついたのかは後ほど説明するとして、今回は小浜で大人気のお店で絶品の若狭ぐじ料理をいただきます!

新鮮魚介類が大人気の「食彩 ごえん」

やってきたのはJR小浜駅から徒歩約10分の場所にある「食彩 ごえん」。若狭近海でとれた新鮮な魚介が美味しいと評判の海鮮料理店です。
▲ランチ時は開店前から列ができることも

なかに入ると、家族連れやグループでも利用しやすそうな広々とした座敷が。
▲「人魚の浜海水浴場」に面しているので、座席からは小浜の海が一望!

北陸の地酒をはじめ、海鮮料理に合うお酒も幅広く取り揃えられています。
▲日本酒だけでも常時10種類以上がラインナップ。車で来るんじゃなかった……

若狭ぐじってどんな魚?

今回、若狭ぐじについてうかがったのは女将の後藤幸江さん。明るく軽快なトークでファンが多く、後藤さんに会いに県外からやって来るお客さんも多いのだとか。
▲小浜出身の後藤さん

女将さーん、早速若狭ぐじについて教えてください!

「あいよー!まずは実物を見てもらおうかな」と出してもらったのは、この日の朝とれたばかりの若狭ぐじ。
▲どーん!40cmくらいある大きな若狭ぐじです

アカアマダイの別名である「若狭ぐじ」。年中とれる魚ですが、特に8~12月頃、市場に多く出回ります。
アマダイは名前のとおり、身に甘みがあることから名付けられた魚。別名「くずな」といいますが、頭の形が角ばっているので、「屈頭魚(くつな)」の字を当てるようになり、それがなまって「ぐじ」と呼ばれるようになったそう。
しかし、若狭でとれるすべてのアマダイが「若狭ぐじ」になるわけではなく、厳しい基準があると後藤さんはいいます。

「若狭は底曳網(そこびきあみ)やこぎ刺し、釣り、延縄(はえなわ)などいろんな方法で漁をするんですが、若狭ぐじは鮮度が落ちやすく、傷がつきやすいので、釣りや延縄で漁獲されたアマダイのなかから、見た目が美しくて大きいものだけを『若狭ぐじ』と呼ぶんです」
「若狭ぐじ」に認定されたアカアマダイには、一匹ずつ水揚げした漁港と漁船の名前が入ったシールが貼られます。
▲これぞ、若狭ぐじの証!
▲尾びれのグラデーションはまるで虹みたい!

港に運ぶときは、厳重に温度管理をするため、ぐじ専用の保冷ボックスに入れて5度以下に保ちます。しかも、ぐじに直接氷が触れないように魚と氷の間にウレタンシートを敷くなど、管理体制にも細かい規定があるのだとか。
こうして水揚げから流通まで徹底した管理のもとで高い鮮度が保たれた若狭ぐじ。一体どんな味なのでしょうか?ということで、早速、「ごえん」の名物、「若狭ぐじの一本焼き」を注文です!

身の甘さを最大限に引き出した「若狭ぐじの一本焼き」

▲背開きにした「若狭焼き」は、やわらかいうろこも食べられます

「若狭ぐじ」の伝統的な食べ方と言えば、本来はうろこをつけたまま背開きにし、塩をしたものを焼いた「若狭焼き」が一般的ですが、「ごえん」では若狭ぐじの身の甘みをより引き出すため、うろこを取り、一本丸ごと焼き上げます。
▲火加減に注意しながら焼き上げていきます

塩水に20分~30分ほど浸した若狭ぐじを串に刺し、じっくり火を通していきます。塩水に浸すことで、身の甘さが引き立ち、ふんわりとした食感になるんだとか。最後は高熱のガス火でぐじを一気に焼き上げ、うまみを閉じ込めていきます。こうすることで、皮はパリっと身はふっくらとした「若狭ぐじ」に仕上がるのです。
さぁ、焼き上がった「若狭ぐじ」の登場です!
▲「若狭ぐじの一本焼き」(税込1,800円~、大きさによって値段が変わります)

お箸をすっと入れると、骨から身がほろほろと取れる身離れの良さ!そしてしっとりふんわりした身はとにかく甘くて上品です。魚特有のくさみは一切なく、淡白ななかにも味に深みがあるので、どんどん食べ進められます。白身魚のイメージが変わりそう!
「タイなどの白身魚は焼くとパサパサしてしまうけど、ぐじはこのしっとりした身が美味しいとお客さんから好評なんです」と後藤さん。
▲「うちの子はお食い初めの時もタイではなく、ぐじを食べたんよ」

一本焼き以外にも人気なのが、「若狭ぐじの唐揚げ」。香ばしい衣の中はぐじの身がほっくり、骨やヒレもサクサクっと食べられます。これは間違いなくビールに合うはず!
▲「若狭ぐじの唐揚げ」(税込1,200円)

「ごえん」では固定の仕入先を持たず、毎朝新鮮な魚介を入手した魚屋から買い付けています。常に一番美味しい状態の魚を出すことにこだわっているため、日によっては入荷がない場合も。若狭ぐじ狙いで訪れる場合は、事前に問い合わせると確実です。

ちなみにお店の目の前は、NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」のロケ地にもなった「マーメイドテラス」。海沿いの散策や海水浴、ツーリングもおすすめです!
▲ここから見える夕日も美しいんですよ!

今が旬の「若狭ぐじ」、小浜の絶景とあわせてぜひ堪能してくださいね。
石原藍

石原藍

ローカルライター。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。

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