南魚沼市の「里山十帖」。自然に包まれた至極の宿で、本当の豊かさを体感

2015.11.17

関東から越後への玄関口・南魚沼市。新潟県南部の魚沼盆地に位置する同市は、日本有数の豪雪地帯。スキー場は11ヶ所、13もの温泉エリアが点在するなど、自然に恵まれた観光資源を有する土地です。この土地で、日本人だけでなく海外からも人があつまる至極の宿泊施設があります。「南魚沼」という地域と「日本の食」を再編集&リ・ブランディングしたライフスタイル提案型の宿泊施設「里山十帖」。新幹線を使えば東京駅から1時間45分。人里離れ、大自然に包まれて過ごす、特別な時間を体感してきました。

「里山十帖」は、2014年5月に雑誌「自遊人」を発行する株式会社自遊人がオープンさせた新潟県南魚沼市・大沢山温泉の温泉宿です。株式会社自遊人は、2004年に東京・日本橋から南魚沼の地に本社を移転。雑誌を発行する出版社ながら、食品販売や、農業を始めたり、新しい挑戦を次々としてきました。そんな中、「ある温泉旅館が廃業するのだけれど」と、相談を持ち込まれ、建物と周囲の景色に一目惚れし、買い取ることとなりました。

その温泉宿を「自遊人らしく」全面リノベーションし、「里山十帖」が誕生しました。ただの宿泊施設ではなく、新しい「ライフスタイル発信メディア」として、築150年の古民家を移築したレセプション棟や、オーガニック&デトックスの食、地元の骨董や作家の作った食器、デザイナーズ家具、アート作品など、細部まで世界観が作りこまれた空間。ここでの体験、発見、感動を演出することで「真に豊かな暮らし」を提案・発信しています。

古民家の良さと現代の快適性を追求した、温故知新の空間

「里山十帖」のある大沢山温泉は、人里離れ山々に囲まれた閑静な温泉。寛永7年(1630年)の開業と伝えられています。
道中には「スノーシェッド(雪覆道)」もあるほど、冬は背丈を遥かに超える3メートル以上の積雪がある豪雪地帯です。
沢沿いに山道を登ると緑に囲まれた看板が。
この坂を登ると「里山十帖」に到着です。新幹線ならば上越新幹線越後湯沢駅からタクシーで約20分。上越線(在来線)大沢駅から無料送迎もあります。
重厚な扉をくぐると、築150年の古民家を改修したレセプション棟の洗練された空間へ。
高柳町(現:新潟県柏崎市)から移築されたもの。豪雪に耐え続けてきた立派な梁や柱を活かしたまま、リノベーションにより現代風の空間に生まれ変わっています。
▲高さ10mもある吹き抜けの開放空間
▲チェックインはデザイナーズチェアに座って

いわゆる昔ながらの古民家ではなく、「現代生活の快適性と古民家の良さを感じられるように」と空間づくりを心がけたという館内。囲炉裏ではなく暖炉、座布団ではなくデザイナーズチェア。こだわりの家具や、現代アート作品などが散りばめられ、新しい古民家の暮らしを提案しています。徹底した壁・天井・床の断熱工事によって、古民家特有の床の冷えもなく、本当に快適!
▲玄関を入ってすぐ。インパクト大の作品は、彫刻家・大平龍一さんの「福小槌」
▲支えているのは大黒様!?
▲ベルギー製の薪ストーブ。ここで温めた空気を館内に循環させている
▲中二階はかつて養蚕を行っていた空間
▲梁に囲まれた中二階で無料のコーヒーを一杯
▲こだわりのデザイナーズ家具で和モダンな空間
▲柱に埋め込まれた扇。かつての日本建築の贅沢な嗜好

部屋ごとに異なるテーマ。まるでショールームのような宿泊棟

築150年のレセプション棟から宿泊棟へ移動。こちらも、木造建築を全面リニューアルしたもの。

3階建ての建物に客室が12室のみという贅沢さ。しかも、全室異なるデザインになっています。部屋の造りも家具も、アート作品も違うので、泊まる部屋ごとで過ごす時間も変わってきそう。
▲R205 露天風呂付きコーナーファミリールーム
▲R303 露天風呂付きコーナースイートルーム
▲R202 露天風呂付きメゾネットスイートルーム
部屋の間取りはもちろん、ベッドのマットレスまでも部屋ごとに違うのです。リピーターの中にはお気に入りの部屋を指定して来る方もいるのだとか。

宿泊棟の一階には、共有スペース。
▲ラウンジ/ギャラリー 「hito - bito」

宿泊者は無料で利用できる休憩スペースです。バータイムにはウイスキーや日本酒が無料で振る舞われます。
プロジェクターもあり、イベントや展示会などで使われることもあります。

さらに、ショップも併設されています。
▲Life Style Shop -THEMA craft & products-

ここでは自遊人が雑誌で扱うような、手間ひまかけた商品の他に、実際に「里山十帖」で使われているデザイナーズ家具も販売されています。宿泊の間に使ってみて、気に入ったら買える。実際に体験してもらえることができるのが、宿泊施設の強みですね!普通のショールームではそうはいかない。「里山十帖」は、まさに「体感できる雑誌」のよう。
▲寝具も販売。購入されていく宿泊者も少なくないのだとか!

さて、私が今回泊まったのはR301。
▲R301 露天風呂付きたたみツインルーム

「眺めが里山十帖の中でも最高ですよ」と、マネージャーさんが教えてくれました。
露天風呂のあるバルコニーからは、大自然が一望できる絶景が!秋は紅葉、冬の雪化粧も素晴らしいとのことです。
▲晴れていれば星空も満喫できそうです
▲コットンのルームウェアを着てくつろぐ私

タオルやルームウェア、ガウン等のアメニティも、豪華というわけではないですが、環境に配慮したという自遊人のこだわりを感じるものでした。

プロも絶賛する天空の絶景温泉!

続いて、大人気の絶景露天風呂へ!
湯処「天の川」は「旅のプロ30人が選んだ 2014年度・日本一の名旅館」(週刊現代)の「最高の温泉」部門で第一位を獲得するなど評価の高い温泉なんです。
客室も少ないので、他のお客さんと一緒になることも少なく、最高の眺めを独り占めできちゃう!
季節での景色の違いはもちろん。朝、夕、夜でも自然は違う顔を見せてくれるはず。何度も入りたい温泉です。
この日はあいにくの曇りでしたが、晴れていれば夜空に満点の天の川が見られるそう。
大沢山温泉はこの地域でも珍しい「ぬるぬる」した感触のお湯。湯船に入って身体を撫でると、ツルツル、ぬるぬるとした触り心地なんです。このお湯が、昔から美肌の湯・美人の湯と言われ、皮膚病に著効があるとされているそう!お風呂をでてもお肌がもちもちしている気がします。

自然の恵みを活かして、おいしくデトックス

「里山十帖」の食事はオーガニック&デトックスがテーマ。ダイニング「早苗饗 -SANABURI-」は、食事だけの利用もOK。無農薬&有機栽培の野菜を中心に、日本の伝統を大切にしながら、新しい食のスタイルを提案しています。
▲季節の野菜をさまざまな味つけと彩りで楽しむ「天然色」(手前)と、枝豆をソースにした「生産量日本一」(奥)

地元・南魚沼市の食材を中心に使用した、ここでしか味わえない創作料理が味わえます。
▲「24分の5」

メニューのタイトルもセンスが光ります。「24分の5」は、24種類以上の品種が栽培されている作付面積日本一の新潟県のナスから、5種類を厳選したナスづくしのお盆。同じナスでもまるで違う素材のように楽しめます。
また、料理に使っている器も地元で保管されていた骨董などを活かしています。
▲越後もち豚を杉スモークした「森を守ろう」

お肉や魚は少し。メインはあくまでも野菜。本当に身体の内側から綺麗になるようなメニューでした。
▲「実はメインディッシュ」土鍋で炊いた魚沼産コシヒカリ

魚沼産コシヒカリの中でも、特に名高い南魚沼産コシヒカリを土鍋で炊くと、それだけで「ごちそう」!
▲白米だけでご飯がすすむほど美味しい!

スタッフさんが「プレゼンテーター」として、食材や料理、地域の魅力を語ってくれるので、食への理解が何倍にも増します。

この日頂いたのは、「里山十帖コース」。食事だけの場合、ランチは6名様から12,800円(税抜)で頂けます。


翌朝の朝食も野菜づくし!
▲朝食

奥の土鍋はなんと、お味噌汁!
味噌の量を調節して自分好みのお味噌汁を作って食べられます。

「里山十帖」で食べられる「地味ですが滋味」というコンセプトの創作料理は、都会の豪華な食事とは違うけれども、田舎料理とも違う、身体が芯から喜ぶような贅沢が味わえる。この場所でしか食べられない料理ばかりです。

全身で体感できる体験プログラムがたくさん!

ただ泊まるだけではない「里山十帖」は、体験プログラムも充実しています。次の日の朝、早起きして車で坂道を登りやってきたのはスキーのリフト降り場。スキー場も充実し、ウィンタースポーツを楽しめるこの地域ですが、雪のないシーズンもアウトドア遊びがたくさん。
体験させてもらうのは早朝MTBライドです。登りはなく、一気に坂道を下ります。
<早朝MTB体験ライド>
●2時間コース(午前6:30~8:30):1名 5,000円(税抜)
●4時間コース(午前6:30~10:30):1名 8,500円(税抜)
※4日前までに予約。最大4名まで。宿泊者のみ。
朝日に包まれながらフル装備でいざ出発!
眼下に眺める盆地。朝日に輝く棚田。高くそびえる山。朝の冷たい空気を自転車で切り裂き進むのは最高にすがすがしい気分になりました。


また、別の日には、稲刈り体験(税抜8,000円。宿泊者のみ。)にも参加させていただきました。
▲田植えから稲刈りまで、参加者を集って行う「農業体験プログラム」を多数実施
▲稲刈りは、代表取締役/クリエイティブ・ディレクターの岩佐十良(いわさとおる)さんが自ら指導
▲手刈りした稲は、はざ掛けをして乾燥させます

秋空の下、日本穀物検定協会が毎年発表する食味ランキングで唯一、四半世紀以上連続して特Aに指定される不動のブランド米・魚沼産コシヒカリの稲を、都会から来た参加者と一緒に刈り取りました。


その他にも、里山散策やアートプロジェクトなど、さまざまな体験プログラムが用意されています。一度行ったら満足するような観光地もありますが、「里山十帖」は何度でも足を運びたいと思う仕掛けがたくさん。リピーターが多いというのもうなずけますね!

里山にある「本当の贅沢」を味わいませんか?

ただの宿泊施設でなく「メディア」だという「里山十帖」。ここで過ごした1泊2日は、まさに体感する雑誌のように、自遊人が理想とする世界の中で過ごしたようでした。例えるなら夢の国・ディズニーランドのように、強いこだわりを持って徹底して編集された世界でした。

感じられたのは自然と日本人との付き合いの歴史。この土地で生まれた文化。これまで先人たちが積み上げてきたものを、改めて見つめなおし全身で味わう。「里山十帖」で過ごす時間は、そんな「本当の贅沢」を味わうことができました。
東京駅からも2時間圏内。ぜひ自然の中へくつろぎにおでかけ下さい。
唐澤頼充

唐澤頼充

編集・ライター。新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」編集長。農学部卒業後、マーケティング会社に勤務後、独立。現在はNPO職員として勤務する傍ら各種媒体で執筆活動を行っている。「情報流通量の多さが地域の豊かさ」をモットーに、地域に眠る資源をコンテンツ化し、発信する活動を行う。

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