世界初の“凍る水槽”と幻の巨大淡水魚!今話題の北見「北の大地の水族館」へ

2018.09.16 更新

北海道北見市留辺蘂 (るべしべ)町にある「北の大地の水族館(山の水族館)」。工夫を凝らした“世界初”や“日本初”の展示が話題をよび、人気を集めています。敷地面積約600平方メートルと規模は小さいながらも見ごたえ十分。子供から大人まで楽しめる水族館をレポートします。

▲巨大淡水魚のイトウが生餌を捕食している様子(写真提供:北の大地の水族館)

大雪山の麓にある、見どころ満載の水族館

「北の大地の水族館」は北見市街から車で約45分、国道39号線沿いの「道の駅おんねゆ温泉」敷地内にある施設。昭和53(1978)年のオープン当初の名称は「山の水族館」だった通り、大雪山の麓にある水族館です。
▲水族館といえば海のイメージがありますが、内陸にある珍しいタイプの水族館です

淡水魚専門の水族館で、北海道をはじめ、世界中に生息する約50種・約3,000匹の魚を飼育。日本初の「滝つぼ水槽」や、世界初の「川が凍る水槽」、日本一の飼育数を誇る幻の巨大淡水魚イトウや、温泉水を利用した熱帯魚の飼育など、この水族館ならではの特徴が多くあり、毎年約10万人が訪れる人気の施設になっています。

世界初、日本初、日本一を見られる「北海道の大地と川のゾーン」へ

入り口で入館料(大人670円、中学生440円、小学生300円 ※すべて税込)を支払い、まずは順路に沿って北海道内に生息する淡水魚が飼育されている「北海道の大地と川のゾーン」を見学します。
入場すると早速、見どころのひとつである「生命(いのち)がきらめく滝つぼ」という水槽が登場。日本初となる滝つぼの水中光景を下から見上げる半ドーム状の水槽で、激流に逆らうオショロコマやヤマメの姿を観察できます。
▲降りそそぐ太陽の光の下、泳ぐ魚たちが神秘的です
▲条件がよければ水中に光のカーテンが見られることも(写真提供:北の大地の水族館)

次の展示は屋外に設けられた「北の大地の四季」の水槽。北海道の激流に生息するニジマスやアメマスなどが、流れのある川底を再現した環境で飼育されています。
▲水槽の向こう側は屋外。四季折々の魚たちの姿を見ることができます

厳寒期にはなんと水面が凍結!水中では厳しい冬をじっと耐えながらも泳ぐ魚たちの姿を観察でき、世界初の凍る水槽として人気を集めています。
▲冬になり、水面が凍りついた水槽。例年1~2月頃に見られる光景です(写真提供:北の大地の水族館)

続いては、現在の北海道では釧路湿原など一部の地域でしか確認されていない幻の巨大淡水魚「イトウの大水槽」。1mを超えるイトウがゆうゆうと泳ぐ姿の迫力に驚きました!ここでは、スタッフが捕獲した天然のイトウを地下水を使って約20匹飼育。その飼育数は日本一です。
▲幅約7mの巨大水槽。幻の巨大淡水魚が優雅に泳ぐ姿は壮観!
▲1m級に成長するまで約15年かかるというイトウ。昭和12(1937)年には十勝川で2mを超える個体が捕獲されたという話も

行動展示として行われている、イトウに生きたニジマスなどの餌を与える「いただきますライブ」も見ておきたいプログラム。イトウが獲物を捕食する大迫力の姿に、命のつながりを感じることができます。開催日時については、常時ではないので水族館に問い合わせを。
▲生餌を捕食するイトウ。命をいただくことや食物連鎖について理解する食育のためのプログラムです(写真提供:北の大地の水族館)

“魔法の温泉水”で育つ「世界の熱帯淡水魚」と「ふれあいタッチコーナー」

「北海道の大地と川のゾーン」が終わると雰囲気は変わり、「世界の熱帯淡水魚のゾーン」へ。「なぜ、寒い北海道で熱帯魚の飼育を?」という疑問の答えは、この地に湧く温泉と冷泉。これらを混ぜ合わせ熱帯魚たちにちょうど良い環境を作りだすことで、熱帯魚の飼育を可能にしているのです。通常よりもきれいに大きく成長することから“魔法の温泉水”と言われています。
▲“魔法の温泉水”で育てられているアジアアロワナ。温泉成分が含まれた水の中で泳ぐ姿はどこか気持ち良さそう

まずは「新熱帯区(アマゾン~北アメリカ南部)の川」の大型水槽をのぞいてみました。そこにはピラルクー、コロソマ、レッドテールキャット、タイガーシャベルノーズなどが泳いでおり、個性的な姿や巨体は、先ほどまで見ていた北海道の淡水魚とは異質のものでした。
▲タイガーシャベルノーズ(手前)とピラルクー(奥の2匹)。普段見たり、食べたりしている魚とは大きくかけ離れた姿を実際に見て、自分の中の魚の概念が大きく変わりました

「東南アジアの川」の水槽には観賞魚として有名なアロワナや、オオウナギ、スッポンモドキ(ブタバナガメ)など、こちらも個性的な魚たちが生育しています。北海道の海や川で見ることのできるものとは大きく違う、面白い形をした魚たちでした。
▲ひとつひとつの魚の顔を見ていると、時間の経つのも忘れてしまいます

「世界の熱帯淡水魚のゾーン」最後の水槽は、「アフリカの湖」。タンザニア西端にあるタンガニーカ湖といった古代湖(10万年以上存続している湖)などで多様な進化を遂げた魚たちや、淡水性のフグ「ムブ」を展示しています。体は小さいですがカラフルで、水槽の中はとても幻想的です。
▲カラフルなアフリカの淡水魚たち
▲タンガニーカ湖に生息するムブ。他のフグと同じく毒を持っています

北海道の淡水魚とは違った、バラエティに富んだ世界中の魚をたくさん見ることができました。

経路の最後は「ふれあいタッチコーナー」。ここでは「水槽の門」の前で記念写真を撮影できたり、肌の角質を食べてくれるドクターフィッシュや、ザリガニ、カメなどに触れ合ったりすることができます。
▲金魚たちが泳ぐ「水槽の門」。訪れた記念にインスタ映えする記念写真を
▲肌の古い角質を食べてくれるドクターフィッシュ。水槽に手を入れるのは少し勇気がいりますが、その感覚を確かめてみてください

全部の水槽をじっくり見ながら約1時間ほどかけて館内を周りました。大規模な水族館とはいえませんが、一つ一つの水槽の展示の内容が充実しており、別の季節の展示を見にまた訪れたくなる水族館でした。

一度閉館した水族館が、2012年のリニューアルで人気スポットへ

個性ある展示を見てきましたが、なぜこのようなコンセプトの水族館がここにあるのでしょうか。館長の山内創(そう)さんにお聞きしました。
▲山内さんは2012年にリニューアルしたときからのスタッフ。2016年から館長を務めています

水族館が「山の水族館」としてオープンしたのは昭和53(1978)年。開館当初は多くの来館者で賑わいましたが、周辺の温泉街の衰退などで来館者数は激減していきました。

そこで2011年11月に老朽化や集客減などの理由で一旦閉館し、リニューアルすることに。「新江ノ島水族館」や「池袋サンシャイン水族館」などの水族館で展示施設のデザイン・構成などを手がける水族館プロデューサーの中村元(はじめ)さんにプロデュースを依頼し、当時のスタッフもアイデアを出し合いながら、2012年に現在の展示を行う「北の大地の水族館」としてオープンしました。
▲「生命がきらめく滝つぼ」「北の大地の四季」「いただきますライブ」など斬新かつ目を引き付けるアイデアは中村さんによるもの(写真は「生命がきらめく滝つぼ」)

リニューアルしてからの評判はうなぎ上り。リニューアル直前の年間入館者数は約2万人でしたが、リニューアル後1年目の入館者数は約30万人。以降も毎年約10万人が訪れる人気スポットに成長しました。
▲「普段見られない水中の世界を見に来てください」と山内館長。手に持っているのはスタッフ手作りの解説シート

自然に近い環境で生き生きとした生態を見せる北海道の魚や、“魔法の温泉水”で育てられる熱帯の魚たち。どれも多くの人を魅了する理由が分かる、納得の展示でした。みなさんも神秘の魚たちの世界をのぞきに「北の大地の水族館」へ訪れてみてください!

水族館と一緒に楽しもう!世界最大級のハト時計と「果夢林の館」

「北の大地の水族館」に来たのなら、隣接する「果夢林(かむりん)の館」にも訪れるのがおすすめ。館前には高さ20mの世界最大級のハト時計「果夢林」があり、8~18時の間、正時ごとにハトとメルヘンな森の妖精たちが時を知らせてくれます。
▲水族館の西側にあるハト時計「果夢林」と「果夢林の館」
▲毎時0分に森の妖精たちがメロディーを奏でて踊り、青いハトが飛び立つ約5分のステージが上演されます

留辺蘂町は林業が盛んな町で、木を全面に使い建てられた館内には、町内の木工会社が製作した商品などを販売する物産館「果夢林ショップ」、木製の遊具で遊べる「果夢林ワールド」、木工工作を行える「クラフト工房」があります。
▲果夢林ショップの木工製品コーナー。おもちゃやインテリアなど木の温もりを感じる商品が数多く並びます

果夢林ショップは木工製品の他にも、「北の大地の水族館」のミュージアムグッズや北見市の特産品であるハッカの製品、地元の銘菓などバラエティ豊かな品揃え。お土産選びも盛り上がります。
▲水族館のミュージアムグッズたち。イトウやヤマメなどの可愛らしいぬいぐるみ(税込1,296円)に目がいきます

こちらでおすすめしたいのが、北海道産の原料で作られたチーズケーキ「赤いサイロ」(5個入・税込840円)。2018年平昌五輪・女子カーリングで銅メダルを獲得した、地元を拠点にしている「LS(ロコ・ソラーレ)北見」の選手がもぐもぐタイムで食べていたことで話題になり、入荷してもすぐ売切れてしまうとか。見かけたら即買いたい人気商品です。
▲程よい甘さとチーズのコクと旨みをしっかり感じられる、しっとりとしたチーズケーキです

「白花豆ソフトクリーム」(税込350円)も食べておきたい一品。留辺蘂町が日本一の生産量を誇る白花豆(平成20年度JA調べ)は、含まれる食物繊維がゴボウの3倍以上!腸内環境の改善やデトクッス効果が期待できます。
▲白花豆の甘さと食感が、ソフトクリームと見事に融合し絶妙な美味しさ
▲果夢林ワールドには木の宮殿や木の砂場、木の釣堀など様々な木製遊具を設置。小学生以上は入場料(小・中学生210円、大人270円、全て税込)が必要
▲木材加工に必要な工具を備えた木工体験室「クラフト工房」にはインストラクターが常駐。果夢林ショップで購入したキットなどを初心者でも気軽に製作体験できます

「木の町」留辺蘂町を存分に感じられるこちらの施設。水族館と合わせて、ぜひ楽しんでみてください。
長尾悦郎

長尾悦郎

北海道十勝地方でカメラマン、ライター、新聞記者として活動中。撮影ジャンルは広告、風景、人物など幅広く。地元観光協会勤務やご当地キャラマネージャーなどの経験を生かし、地元をもっと盛り上げていきたいと思っています。(編集/株式会社くらしさ)

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