信州の秘湯「白骨温泉」で、乳白色の湯と山の四季を堪能!
美しい乳白色の湯で名を馳せる長野県「白骨(しらほね)温泉」は、開湯から600年以上の歴史を誇る名湯。界隈には10軒の湯宿と2軒の日帰り入浴施設が密集していて、目的に応じて湯浴みを楽しむことができます。今回は、日帰り入浴が可能な2つの温泉施設をご紹介。秘湯ならではの美しい山の景色を眺めながら、肌にやさしい白濁の湯を楽しんでみませんか?

濁り湯、飲泉可能、源泉掛け流しの3つを兼ね備えた名湯
もともとは「白舟(しらふね)温泉」という名前でしたが、大正2(1913)年から新聞連載が始まった中里介山(かいざん)の長編小説『大菩薩峠』の中で、同地を架空の温泉地『白骨温泉』として書いたところ、そちらの名前の方が有名になってしまったのだとか。そのまま「白骨」の名が残り、現在に至ります。

白骨温泉の一番の魅力といえば、乳白色の湯。源泉は透明ですが、湯に含まれている“硫化水素”と“カルシウム成分”が空気に触れることで湯色が白くなるのだそうです。

乳白色の温泉は強酸性の場合が多く、肌にピリピリ、チクチクとした強い刺激があるのが一般的ですが、白骨温泉は肌にやさしい弱酸性の単純硫化水素泉。婦人病や神経症などに効果があるといわれているほか、飲めば胃腸病や内臓疾患にも良いといわれています。さらに、湯量が豊富なため、白骨温泉ではどこの施設も100%源泉掛け流しが基本。“濁り湯”“飲泉可能”“源泉掛け流し”の三拍子そろっている温泉地は、全国的に見てもとても珍しいそうです。
白骨温泉のシンボル!約70坪の混浴大露天を備えた「泡の湯」

白骨温泉の中でも随一の湯量を誇るこちらの宿。なんと、毎分1,730リットル(一般的なサイズの家庭用風呂に換算すると約6.2杯分)もの湯が湧いているというから驚きですよね!


“混浴”と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、こちらは女性でも安心して入浴できるよう、さまざまな配慮がされています。1つは、バスタオルを巻いて入浴できるということ。さらに、脱衣場と大露天風呂の湯舟が専用の階段でつながっているので、中腰のまま移動すれば、全身を見られることなく湯浴みが楽しめます。


こちらのお湯は青みが強く、水色に近い色。白濁が強いので、体のラインが見える心配はほぼないと言っていいでしょう。それでも不安な人は、持参したバスタオルを巻いて入浴を。万が一タオルを忘れてしまっても、売店で購入できるので安心してくださいね(700円・税込)。

さて、こちらの湯の具合はというと、入ってビックリ、肌に細かな泡がたくさん付いてくるではありませんか!これは湯に豊富に含まれる炭酸成分で、屋号「泡の湯」の名前の由来にもなっているそうです。源泉は38度前後と低めですが、加温するとせっかくのこの泡が消えてしまうため、源泉かけ流しにしているのだとか。湯加減はぬるめですが、全身にまとった炭酸ガスの泡のおかげで、バッチリ温浴効果を感じることができます。


秋には、赤や黄色に色づく周囲の樹々と水色がかった湯の色の美しいコントラストを堪能でき、冬には美しい雪景色を眺めながら湯浴みができるのも秘湯ならでは。ひっそりとした森に囲まれているため、リラックス効果も抜群です♪

豊富な湯量を誇る泡の湯では、通常よりも大量の源泉を掛け流すことで、白くなる前の生まれたての透明な湯も楽しめます。加温なしの透明なぬる湯と加温ありの白濁湯に交互に入ることで、温浴効果がアップするそうですよ!


男女別行動になってしまいがちな温泉ですが、こちらはカップルや家族でも楽しめるとあって大人気なんだそう。女性向けの細やかな配慮がされているので、混浴デビューにもぴったりと言えますね。野趣あふれる大露天風呂は入る価値ありですよ!
泡の湯(本館)
長野県松本市安曇白骨4181
[入浴時間]10:30~13:30(14:00退館)
[定休日]木曜(繁忙期は営業)、年末年始 ※荒天時など臨時休業あり
[日帰り入浴料]中学生以上820円、3歳~小学生510円(ともに税込)
※2019年度より料金改定予定
0263ー93-2101
名物は温泉粥!食事もできる日帰り入浴施設「媒香庵」



湯量が豊富な白骨温泉では、施設ごとにすべて源泉が異なります。そのため、“白濁の湯”と一口で言っても、少しずつ色合いが異なるといいます。さらに、季節や気候によっても微妙に湯色が変わるのだとか。
ちなみに、こちらの湯は白濁が強め。訪れた日の湯色はやや緑がかっていて、薄いエメラルドグリーンのような印象を受けました。


泉質は含硫黄-カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩温泉。源泉が40度前後のため熱々ではありませんが、その分長湯を楽しむことができます。熱めの湯が好きな筆者としては、入った瞬間少々物足りなさを感じたのですが、しばらくするとポカポカと体が温まってくるのが分かりました。「白骨温泉に3日入れば3年風邪をひかない」と言われているのも納得です!

浴槽は深めで肩までしっかり浸かることが可能。湯船の縁を枕にして寝転ぶと、山の景色を見上げながらの湯浴みも楽しめ、秘湯気分を堪能できますよ!

館内では持ち帰り用のペットボトルを無料で配布していて、湯船の飲泉口から持ち帰ることもできます。

媒香庵では、温泉だけでなく食事も気軽に楽しめます(9・10月平日、11月は食事お休み)。一番人気は、温泉で作る“温泉粥”付きの「湯の花膳」。飲泉ができる白骨温泉ならではの名物メニューですね!

水は一滴も使わず、温泉だけで煮て作るという温泉粥。食べると、口の中にふわりと硫黄の香りが広がりました。
「さっき飲んだ温泉と同じ味がする!」
硫黄の香りも苦味もそれほど強くないため、嫌なクセはまったくありません。むしろ、単調になりがちなお粥の味に、温泉の風味がいいあんばいにアクセントを加えていました。

もう一つの人気メニューは、このあたりの郷土料理である“とうじそば”。季節の野菜やきのこが入った熱々のそばつゆに、そばを浸して(投じて)湯がいて食べるご当地そばです。シンプルにいただくことが多い“とうじそば”ですが、こちらのそばつゆには、鴨ロースと豚バラ肉、山菜、きのこ、油揚げなどの具がどっさり!やや甘めのつゆに、鴨や豚の脂がしみ出し、コクを加えています。

湯浴みと一緒においしい食事も楽しめる媒香庵。GWや夏休み、紅葉の時期は行列ができるほど混雑するので、朝早めの訪問がおすすめです。

媒香庵
長野県松本市安曇白骨4200
[営業時間]9:00~17:00(時期によって変動あり)
[定休日]水曜、11月下旬~4月中旬(その他、臨時休業あり)
[入浴料]大人700円、子ども300円(ともに税込)
0263ー93-2917
湯めぐりを楽しみたい人は、観光案内所で日帰り入浴情報をゲットすべし!

肌にやさしく、体もポカポカに温まる白骨温泉。それぞれの施設ごとに少しずつ湯の特徴が異なるので、あちこち入り比べてみるのも楽しいですよ!紅葉や雪景色、新緑など、四季折々の景色を眺めながらの湯浴みは格別です。

白骨温泉観光案内所
長野県松本市安曇白骨4197-16
[営業時間] 9:00~17:00(11月15日~4月15日は10:00~16:00)
[定休日]なし
0263ー93-3251

松井さおり
出版社勤務を経て、フリーランスのライター&編集者に。雑誌や書籍を中心に、主に、食・旅・くらしなどにまつわる記事を執筆している。現在は、東京から長野県長野市に拠点を移し、県内外を奔走する日々。(編集/株式会社くらしさ)
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
この記事の関連キーワード
こちらもおすすめ
この記事の関連ご当地情報
松本・上高地・塩尻で体験できるプラン
-
オンライン予約OK
【上高地】<1日>上高地スノーシュー 1DAY【冬は歩いてし…
8時間以上|9,200円(税込) / 人
松本・上高地・塩尻
-
オンライン予約OK
【乗鞍高原】<1日>乗鞍高原スノーシュー 1DAY【パウダー…
約6~7時間|9,200円(税込) / 人
松本・上高地・塩尻
-
オンライン予約OK
【上高地】<1日>上高地ネイチャースキー 1DAY【雪の穂高…
約6~7時間|9,200円(税込) / 人
松本・上高地・塩尻
-
オンライン予約OK
【乗鞍高原】<1日>乗鞍高原ネイチャースキー 1DAY【冬の…
約6~7時間|9,200円(税込) / 人
松本・上高地・塩尻
-
オンライン予約OK
【乗鞍高原】<午前>スノーシュー ハーフDAY【パウダースノ…
約3時間|5,100円(税込) / 人
松本・上高地・塩尻