水と火の芸術!日本三大祭・大阪天神祭の楽しみ方

2018.07.12 更新

日本三大祭りのひとつとして知られる、大阪の「天神祭(てんじんまつり)」。毎年6月下旬吉日~7月25日の約1カ月間にわたり、神事などの諸行事が行われます。なかでも最大の盛り上がりを見せるのは、7月24・25日。最終日の25日に開催される奉納花火大会は、例年130万人ほどの観覧客で賑わいます。そこで、天神祭の見どころと楽しみ方を、24・25日に行われる行事に絞ってご紹介しましょう。

▲空の花火と、川面に浮かぶ船の灯りが幻想的です〈©(公財)大阪観光局〉

大阪の天神祭、その歴史は1000年以上!

天神祭とは、学問の神様である菅原道真公の命日にちなんで、毎月25日前後に全国の天満宮で催されるお祭りの総称。なかでも最も有名なのが、「大阪天満宮」で毎年6月下旬吉日~7月25日に開催される天神祭です。その歴史は古く、大阪天満宮が創祀(そうし)された翌々年の951(天歴5)年に行われた「鉾流神事(ほこながししんじ)」(現在も7月24日に開催)がはじまりとされています。
▲大阪天満宮の創祀は、御祭神である菅原道真公が九州・太宰府に流される途中で旅の安全祈願のため立ち寄ったことに由来している(写真提供:大阪天満宮)

大阪の天神祭は、7月24日の宵宮(よみや)、25日の本宮と呼ばれる2日間でクライマックスを迎えます。人気なのは約5,000発もの奉納花火と、街を横切る大川に浮かぶ100隻もの大船団。ダイナミックな花火が夜空を彩り、行き交う船の篝火(かがりび)が水面に揺れる光景は迫力満点です。
▲例年約5,000発の花火が、船の目の前で打ち上がります(写真提供:大阪天満宮)

24日の宵宮の神事で、天神祭の起源を知る

24日の宵宮では、「獅子舞」や「催太鼓(もよおしだいこ)」の巡行などが催されます。なかでも一番の見どころは、天神祭の起源とされる鉾流神事。24日の朝9時頃、「大阪市中央公会堂」近くにある鉾流橋付近で、巫女の舞などによる水無月祓(みなづきはらえ)の神事を行った後、神童と神職、楽人(がくじん)の3人が小舟に乗って大川に出る儀式のことです。そこで、長さ約75cmの白木の神鉾(かみほこ)を川に流します。
▲斎船(いつきぶね)と呼ばれる小舟に乗った神童が、邪気を払う白木の神鉾を川に流して安全を祈願します〈©(公財)大阪観光局〉

もともとは、神鉾が流れ着いた場所に御旅所(おたびしょ)という神様の休憩所を設け、そのあと御神霊を船にお乗せして御旅所まで川を下ってお連れしたのが、天神祭の起源だそう。なお現在では、この航行が船渡御(ふなとぎょ)として残っています。

同じく24日の夕方6時半頃に大川で行われるのが「水上薪能(すいじょうたきぎのう)」です。JR桜ノ宮駅近くにある「OAP(大阪アメニティパーク)」付近に停泊した舞台船「能船」の上で、おごそかに能が舞われます。
演目の前後には、鉦(かね)や太鼓でお囃子を打ち鳴らし、「チョーイサー」の掛け声で祭りを盛り上げる「どんどこ船」が周辺を行き交い、能舞を盛り上げます。
▲囃子方(はやしかた)によって打ち鳴らされる鼓や笛、そして「イヤー」「ハッ」というかけ声が夜空に響きます(写真提供:大阪天満宮)

これぞ天神祭!25日・本宮で催される「陸渡御」「船渡御」

天神祭の最終日となる25日の本宮。この日に行われるのが、天神祭の一番の見どころともいえる「陸渡御(りくとぎょ)」と「船渡御(ふなとぎょ)」です。

「渡御(とぎょ)」とは、御祭神がお出ましになるという意味。御祭神の道真公に、その土地の平安をご覧いただき、さらなる繁栄を祈願しようと、氏子たちが行列を組んだのがはじまりとされています。
▲陸渡御の様子。「チェサジャー」「ソコジャー」という掛け声とともに、揺れ動く真紅の投げ頭巾が印象的(写真提供:大阪天満宮)

午後3時半頃に大阪天満宮を出発する陸渡御では、船渡御の乗船場までの約4kmの道のりを、色鮮やかな衣装をまとった約3,000人の人々が行列します。

見どころは、先頭を行く催太鼓。3人1組・計6人の願人(がんじ)という叩き手が、掛け声とともに太鼓を打ち鳴らします。担ぎ手によってシーソーのように上下左右に大きく傾けられる太鼓台の上で、威勢良く叩き続けます。
▲太鼓台の下に丸太を入れ、シーソーのように上下左右に激しく揺らすさまはとてもダイナミック!(写真提供:大阪天満宮)

他にも行列には、山車(だし)や神輿、駕籠(かご)、采女(うねめ)や稚児など、装束を身にまとった老若男女が続きます。掛け声や笛太鼓も響きわたり、まるで時代絵巻のよう。
▲牛を引いて行列を歩く牛曳童児(うしひきどうじ)。道真公と牛が深い縁で結ばれていることを感じさせてくれます〈©(公財)大阪観光局〉
▲コンコンチキチンという太鼓や鉦の音とともに、地車囃子(だんじりばやし)も繰り出します〈©(公財)大阪観光局〉
▲ダイナミックな獅子舞〈©(公財)大阪観光局〉
▲獅子舞の一団には、ひときわ華やかな傘踊りの一行も(写真提供:大阪天満宮)

17時半頃、陸渡御を終えた行列が、天神橋のすぐそばにある船着き場に到着。いよいよここから船渡御が始まります。催太鼓から順々に乗船し、大川へと漕ぎ出します。
▲「どんどこ船」は、鉦や太鼓を打ち鳴らして船渡御の始まりを知らせます(写真提供:大阪天満宮)

船渡御で運航する船は4種類。道真公の御神霊をお乗せした「御鳳輦奉安船(ごほうれん ほうあんせん)」、催太鼓や地車囃子(だんじりばやし)などが乗る「供奉船(ぐぶせん)」、御神霊をお迎えする風流人形を飾った「御迎船(おむかえぶね)」、そして企業や団体などが出す「奉拝船(ほうはいせん)」です。
他にも、どんどこ船や落語船など祭りを盛り上げる船が次々と行列になり、賑やかに大川を行き交います。
▲観光客を乗せた船も出航。約300人が乗れる船もあります〈©(公財)大阪観光局〉

船団は天神橋付近から大川をさかのぼって行き、JR桜ノ宮駅から少し上流にある都島橋付近で折り返します。
▲辺りが暗くなってきて、船の篝火が夕闇に映えます(写真提供:大阪天満宮)

ちなみに、船と船がすれ違う時は「大阪締め」という掛け声と手拍子が行われます。「打ーちましょ」パンパン、「もひとつせー」パンパン、「祝(いお)うて三度」パパンパン!川面から響いてくる大阪独自の手打ちに、耳を傾けてみては?

祭りのクライマックス!約5,000発が打ち上がる奉納花火

いよいよ天神祭もクライマックス!25日19時半頃から奉納花火があがり始めます。打ち上げ数は約5,000発。大阪天神祭オリジナルの梅の形に広がる「紅梅」花火をはじめ、文字花火や各種仕掛け花火などもあります。花火と船渡御の共演を楽しめるとあって、例年130万人ほどの人出があります。
▲大阪の中心で上がる花火は、迫力満点!〈©(公財)大阪観光局〉

花火開始30分前の19時頃からは、移動困難になるほど混雑することが予想されます。大川にかかる橋の中には、18時頃から通行規制が始まるところも。早めに希望の場所へ移動しておくのがおすすめです。

ちなみに、花火の打ち上げ場所は2カ所。桜宮橋近くにある大阪造幣局付近と、そこから大川を少し上流に上ったJR桜ノ宮駅付近です。その周辺では迫力ある花火を見物できるほか、川沿いに数多くの屋台が出るためかなり混雑します。
▲夏祭りに屋台は欠かせませんね〈©(公財)大阪観光局〉

間近で船渡御と花火を見たい方は、大川沿いにある「帝国ホテル大阪」や「OAPタワー&プラザ」周辺がおすすめ。特にOAPタワー&プラザは、運が良ければ川に面した野外階段に座ることもできるので、花火の鑑賞にはもってこい!JR桜ノ宮駅からさらに上流にある、都島橋や飛翔橋から鑑賞するのもおすすめです。

さらに南の方へ行った吊り橋状の川崎橋の東側エリアや、川崎橋近くのJR東西線の大阪城北詰駅辺り。また、大川の上流にある都島大橋付近からも、比較的楽に花火を鑑賞できますよ。
▲吊り橋状のワイヤーが印象的な川崎橋〈©(公財)大阪観光局〉

でも、やはりゆっくり花火を鑑賞したいなら、有料の観覧席がおすすめです。
2017年に新設された奉納花火特別観覧席では、大川の岸辺に整備された砂浜に座ったり、テーブル席に座ったりしながら花火を楽しめます。また桜之宮船渡御観覧席や天満橋船渡御観覧席は、奉納花火と船渡御の両方を間近に見られるので人気。
観覧席のチケットについては、天神祭総合情報サイトを参考にしてみてください。
▲船渡御を終えると、一行は再び大阪天満宮へお宮入りします〈©(公財)大阪観光局〉

奉納花火は20時50分頃に、船渡御は21時頃に終了。22時頃から、天神祭の最後の行事である「還御祭(かんぎょさい)」が行われます。御神霊を本殿へお返しするもので、これをもって1カ月あまり続いた大阪の天神祭は幕を閉じます。

今回はたった2日間に絞ったご紹介でしたが、勇壮で華やかで幻想的な見どころがいっぱい!あなたはどの行事を見てみたいですか?

まだまだある!大阪天神祭の楽しみ方

ここからは、天神祭をさらにディープに楽しむ方法をご紹介しましょう。
天神祭は神事なので、一般の人は船渡御に乗船できません。しかし、贅沢にも川に浮かぶ船上でゆっくり花火を楽しめるプランが数多く出ています。
▲100~300人ほど乗れる船もあります〈©(公財)大阪観光局〉

これらのプランの中には、17時頃に乗船し、うなぎ弁当と生ビール・ソフトドリンクの飲み放題がついてくるものが多いようです。なかには落語家さんなどによる祭の話を聞きながらゆっくり鑑賞するプランもありますよ。

さまざまな旅行会社をはじめ、大阪府旅行業協会から発売されているので、天神祭総合情報サイトでチェックしてみましょう。
▲花火鑑賞も、川の上からならゆったり楽しめますね(写真提供:大阪天満宮)

祭り期間中には、女性だけの神輿も登場。明るい街づくりを目的に、1981(昭和56)年から始まった「天神祭女性御神輿」です。通称「ギャルみこし」と呼ばれ、23日に天神橋筋商店街や大阪天満宮を元気に練り歩きます。
法被姿で勇ましいかけ声の彼女たちを見ているだけで、こちらも元気になれますよ。
▲ギャルみこしに参加できるのは、オーディションで選ばれた約80名の女性たち(写真提供:大阪天満宮)

やっぱり夏祭りは浴衣を着て、気分を盛り上げたいですよね。大阪市内で天神祭会場近くには、気軽に浴衣をレンタルできる施設もありますよ。
大川を彩る花火と船の篝火が印象的な天神祭。華やかで勇壮であるとともに、千年の歴史を感じさせるおごそかな祭りでもあります。天神祭は大阪の夏の風物詩。この夏は、みなさんも大阪の天神祭を楽しんでみてはいかがでしょうか。
國松珠実

國松珠実

大阪エリアの女性ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」所属。人と話すのが好きで店舗や企業取材を得意とする。また旅行好きが高じて世界遺産検定1級を持っている。 編集/株式会社くらしさ

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