“からかみ”のキラキラ光る風合いに魅せられて。京都で手摺り体験
京都では茶道や着付けといった伝統文化の体験が人気。なかでも都人たちに長く愛されてきた奥ゆかしい美にふれることができるのが、版木を使った手摺(てず)りでつくられる「京からかみ(唐紙)」です。紙のうえにキラキラと浮かび上がる金銀の文様は、不思議なほどに華美さがなく静寂な美しさをたたえています。受け継がれてきた伝統の技を体験してみませんか。

手摺りから生まれる伝統美を身近に

京からかみ(唐紙)とは、その名の通り中国の唐から奈良時代に伝わり、京の都で受け継がれてきた紙細工のこと。版木に彫った文様をキラ(雲母)や胡粉(ごふん)と呼ばれる絵具で紙に摺ります。
古くは手紙や詩歌を書く紙として珍重され、平安時代に京の都で京からかみがつくられるようになると、貴族の屋敷や寺院の襖・障子などの建具にも使われるようになりました。

京からかみは、貴族から武家、茶人から庶民へと広がり、近年では和風建築の建具だけでなく、洋間の壁紙などにも使いたいという人も増えているとか。とくにランプシェードやデザインパネルなどは、手軽に和モダンのテイストを取り入れられると、大人の女性たちに人気です。

体験工房ではプロの職人さんが指導してくれるほか、コースによっては実際の京からかみづくりの様子を見学することも可能です。制作体験では簡単なキットを使ってポストカードをつくる「からかみハガキ摺り体験コース」と、本物の版木で唐紙をつくる「からかみ小判摺りコース」があります。
キットを使ってポストカードをつくる
コースの説明と、京からかみの解説映像を見たあと、スタッフの方がKITでデモンストレーションをしてくれました。それを見本にさっそく挑戦してみます!

9種類の版木と10種類以上の用紙が用意されているので、そこから版木と紙の組み合わせを選びます。60分の時間内に平均して6枚ぐらいはつくることができるとのこと。版木ごとに紙の色を変えてもよし、同じ版木で異なる色の紙を試してみてもよし。


KARAKAMI KITでは扱いやすいゴールドとキラの絵具と、筆、パットを使います。


パットの表面に筆で絵具を乗せていきます。できるだけムラができないよう、全面に塗る作業を4~5回繰り返します。最初はどれだけ塗れば十分なのかよくわからず…。スタッフの方に見ていただきながら絵具の量を調整。

パットに塗った絵具を、版面に付けていきます。ハンコを押すようにポンポンと軽いタッチで絵具を付けるのがコツ。軽く…とは言いつつも、手元が雑にならないように。文様は浮彫になっているので、ちょっと気を抜くと文様の谷の部分にあたる下地面に余計な絵具が付いてしまうから要注意です。


「ずれないように!」と思うと、緊張していつのまにか指の先が白くなるほど押さえてしまっていました。我に返って深呼吸…。肩の力を抜いて、手の感触で版木の感触を確かめながら丁寧に摺っていきます。






一度やってみると、次こそもっと上手く!と、がぜんやる気が出てきました。
紙と版木を変えて、二枚目、三枚目に挑戦です。

繰り返しているうちに、絵具の乗せ具合や摺り方、紙の押さえ方など、コツがつかめてきて、どんどん楽しくなってきます。

文様が複雑な牡丹唐草より、文様が少ないつぼつぼのほうが難しかったのは意外でした。つぼつぼは下地面が多いので、余計な絵具が付いてしまわないよう注意しなければならない分、緊張しました。仕上がったカードはちょっとしたお土産にもいいかも。
江戸時代の木版で小判摺り体験
何と言っても驚くのが、古い版木を実際に使えること。なかには天保や文久といった江戸時代の年号が記されている貴重なものもあり、昔の職人さんの息づかいまで感じられそうです。

月替わりで3つの柄が用意され、ゴールドとキラの絵具、5色以上の紙を自由に組み合わせることができます。

絵具を付ける道具は、篩と呼ばれ、料理などで粉をふるう篩によく似ています。丸くした木の枠に木綿の布が張ってあり、持ち手が付いています。

篩に絵具を乗せるのは素人には難しいので、職人さんが用意してくれます。版木と絵具の色を選んで、版木に絵具を乗せていきます。

版面に木綿の部分を当てて吸着させ、ゆっくり持ち上げると文様の部分だけに絵具が落ちます。ペタリ、ペタリと版木に木綿が吸い付いては離れる感触は、ちょっとクセになりそう。


やっぱりこの工程が一番緊張する!篩が大きいので紙に余計な絵具を付けてしまわないかハラハラしながらの作業です。


出来上がった作品は持ち帰ることができ、別途オプションでミニ屏風やインテリアパネルなどに加工してもらうこともできます。

職人の技を間近に見学

こちらでは、小判摺り体験の合間にプロの工房を見学することができます。約2mもの長さがある紙を一気に摺り上げていく様子は息をのむような緊張感!


見学の間に、乾かしていた作品も完成。持ち帰ってお気に入りの本のカバーにしました。
ウォールアートや御朱印帖も




体験した人は、これらの商品をすべて10%OFFで購入できます。
京都を散策していると、お寺や神社などの建具で見かけることの多い唐紙。その上品に輝く魅力が今も手仕事から生まれていることを知り、職人の技を身近に体験したことで、京の美意識の奥深さに少しだけ近づけたような気がしました。
唐紙にゴールドやキラで描かれた文様は蝋燭の灯りで見るとまたひと味違います。いにしえの人々に倣って、暮らしのなかで伝統工芸の美を楽しんでみるのはいかがでしょう。
この記事で紹介しているプラン
-
オンライン予約OK
京都|京からかみ制作体験|キットを使って唐紙ポストカードを作る【からかみハガキ摺り体験コース】
京からかみのミニチュア版体験キット“KARAKAMI KIT”を使って、唐紙ポストカードを摺る体験です。 [9柄の唐紙文様]×[ゴールドとシルバーの絵具]×[10色以上のカード]を自由に組み合わせ、お…
-
オンライン予約OK
京都|京からかみ制作体験|工房見学&120年モノの本物の版木で唐紙を摺る【からかみ小判摺りコース】
唐紙を製作する工房で熟練の職人技を見学した後、120年以上前に彫られた本物の版木を使って、職人と同じ材料・工程で本格的な摺り作業をお楽しみいただけます。 摺った唐紙は当日お持帰り可能。別途オプションで…

若林扶美子
フリーのライター&プランナー。京都をはじめ関西を中心に、雑誌、書籍、PR誌の企画・執筆を手掛け、伝統文化や地域情報などを発信している。6匹の猫とともに滋賀在住。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
京都駅・河原町で体験できるプラン
-
オンライン予約OK
お得に可愛く☆ぐるたび限定価格!「はちみつ」の着物でデート☆…
8時間以上|6,000円(税込) / 組
京都駅・河原町
-
オンライン予約OK
【京都】【着物レンタル】「はちみつ」の可愛い着物プレミアムプ…
8時間以上|2,700円(税込) / 人
京都駅・河原町
-
オンライン予約OK
京都|福寿園京都本店 京の茶庵で夜茶会の後、メゾン・ド・マツ…
約2時間|15,400円(税込) / 人
京都駅・河原町
-
オンライン予約OK
【京都駅前】レトロモダン着物&人気最新オプション5点2500…
約6~7時間|9,328円(税込) / 人
京都駅・河原町
-
オンライン予約OK
ロケ撮影プラン!プロカメラマン同行!京都×着物で一生モノの記…
約6~7時間|23,078円(税込) / 人
京都駅・河原町