貴船の川床 川のせせらぎに包まれ、京会席や流しそうめんを味わう夏のひととき

2018.07.20 更新

貴船の川床(かわどこ)は、鴨川の納涼床(のうりょうゆか)と共によく知られた京都の夏の風物詩。貴船川の上に設けられた座敷で、涼やかなそよ風を浴びながら美味しい料理に舌鼓。夏しか味わえない贅沢な時間を過ごしに、初夏の貴船を訪問しました。

京都の奥座敷、市街地よりも10度ほど涼しい夏の貴船へ

京都で川床文化が始まったのは、およそ400年前の安土桃山時代から江戸時代にかけて。鴨川の横にあった茶店などが、夏の涼を求めて床几(しょうぎ※腰掛けのこと)を並べて夕涼みを楽しむようになったのが始まりだそうです。
▲貴船神社へ至る参道の階段。立ち並ぶ赤い灯籠がフォトジェニック

貴船は、京都の中心を流れる鴨川の源流のひとつである貴船川の水源地。京都の水をつかさどる神様をお祀りする貴船神社がある場所としても知られています。京都でも有数の歴史を誇り、パワースポットとして知られる貴船神社には、昔から多くの参拝客が訪れてきました。神社近くの貴船川沿いには旅館や茶店が立ち並び、参拝者たちに憩いの時間を提供しています。
▲貴船神社の入口にある鳥居

そんな貴船の川床は大正時代に始まりました。昔から避暑地としても知られている貴船、川の涼を求める観光客たちが足を川の水につけられるようにと、茶店などが床几を川面に設置したのが起源と言われています。
現在、貴船では十数軒のお店が川床の営業を行っています。基本的にどのお店も川の上に設置された床の上に座敷が設けられ、そこで各店の趣向を凝らした料理を味わうことができます。

今回は、その中でも本格的な会席料理や、流しそうめんが楽しめると評判の「料理旅館 ひろ文(ひろぶん)」を訪れました。叡山電鉄貴船口駅をおりて国道361号を北上、徒歩だと約30分ほどかかります。バスなら約10分で最寄の貴船バス停で降りれば便利です。
入口は会席料理側と流しそうめん側が別々になっていて、こちらは会席料理側の入り口。お店の人が立っているので、会席料理利用か流しそうめん利用かを告げればそれぞれの座敷へ案内してくれます。
こちらは会席料理側の座敷。赤い毛氈(もうせん)や番傘、ちょうちんが風情を醸しています。足元を流れる川から床まではほんの数十センチほどで、手を伸ばせば水に触ることができます。見上げると、すだれのかけられた屋根の上に青々とした葉が茂り、ほんのりと緑に染まった木漏れ日が夏の訪れを感じさせてくれます。
流れる滝が見える席もありました。ダイレクトに水の流れる音が聞こえるので、静かだな~という感じではないのですが、一定のリズムでザーッと流れる音は不思議と耳に心地よく、心がだんだんと落ち着いてきます。

また、川の流れに運ばれた空気はヒンヤリ冷たく、初夏にはまだ少し肌寒いぐらいの体感でした。実際、夏の京都市街地の平均気温は35度ぐらいなのですが、貴船は大体25度。約10度近くも低いんです。まさに天然のクーラーと言える涼しさですね。
▲会席料理側の端の席からは、向いにある流しそうめんの席を見ることができます

涼しげな夏の体験!大人気の流しそうめんにチャレンジ

▲会席料理側の座敷からいったん戻り、流しそうめん側の座敷へ

まずは流しそうめんからご紹介。
流れる滝を見ながら冷たいそうめんを味わう、なんとも風情のあるこちらの体験。多い時には数時間の待ちがでるほどの人気ぶり。海外からのお客さんも多く、取材時(2018年6月19日)も開店前から数組の外国人観光客が写真を撮りながら待っていました。

そんな人気の流しそうめん、なんと一人1,300円(税込)ととってもリーズナブル。ただ、事前の予約ができないので、状況によっては行列の覚悟も必要。待ち時間込みで予定をたてるのがおススメです。
▲座席の目の前には流れ落ちる滝が

それでは、さっそく流しそうめんにトライ。竹筒は6レーンあり、それぞれのグループごとに1レーンが設定されています。サラサラと水が流れる竹筒を、箸と器を持って凝視します。今か今かと待っていると…
来ました~!

真っ白なそうめんが、一口サイズの塊で流れてきます。スピードといい、重さといい、ちょうど一箸でつまめるボリュームでナイスです。
すくいあげたそうめん、よく水を切ってつゆにつけて…いただきます!

「ズッズズズ、ズズ~ッ」
う~んツルツルシコシコ~!これは美味です~!!

水がいいのでしょう、とてもクリアにそうめんの味を感じます。薄まらないように配慮された、やや濃いめのつゆも個人的には好みです。わさびをたっぷり利かしていただきました。
そうめんを水から上げてつゆにつけ、啜りあげること数回。写真の赤いそうめんが流れてきたらフィニッシュです。このそうめんはシソ風味。シメにはとってもいい感じです。

滝の音を聞き、涼しい風をあびながら冷たい流しそうめんを頂く…ああ、なんとも贅沢な時間…。これはちょっと他ではできない体験ですね。
▲デザートの抹茶風味のわらび餅(写真奥、流しそうめんとセット)もモチモチ食感で美味しかったです

一皿ごとに夏の涼を感じる本格会席料理を堪能

続いては、座敷で味わうお料理をご紹介。
ひろ文では、5・6月平日限定の清涼膳(税込3,800円)をはじめ、本格的な京会席が味わえる川床料理(税込8,600円~13,000円※品数や素材で料金が変動)、名物のうなぎ鍋(税込8,000円)や鱧コース(税込14,000円)などバラエティ豊かな料理を楽しむことができます。
※座敷は2名から受付。食材は季節によって変動あり
▲今回いただいた川床料理全11品(税込8, 600円)

ラインナップは先付、八寸、お造り、吸物、焚合せ、焼物、油物、冷鉢、ごはん、香物、デザートの全11品。地元の旬食材を使った料理の数々、その中でも特に美味しかったものを紹介します。
まずはアマゴのから揚げ。アマゴはサケやマスの仲間で、体にある朱の点が特徴の川魚。淡泊ながらも味わい深い身が美味しい魚です。

小さいサイズのアマゴは頭から丸ごと食べることができ、サクサクに揚げられた骨や皮の香ばしさがたまりません!
続いてお造り。この時期ならではのハモ落としは、梅だれの爽やかな味わいにハモの淡泊な身と歯ごたえを堪能できます。出汁のにこごりと一緒に味わうのもおススメです。海老とイカの刺身も、花びらのように盛り付けられるなど丁寧で細かい仕事を感じます。
最後はデザート。この日はメロンと黄桃、ヤマモモと桃の寒天よせでした。初夏のフルーツは涼しい川床のロケーションと相まって、京都の夏を実感させてくれました。
いかがでしたか?
貴船の川床は例年9月末ごろまでの営業です。賑やかな町中とは一味違う、山間を流れる川の上で楽しむ川床体験。今年の夏は一足延ばして京都の夏を全身で感じてみませんか。
妙加谷 修久

妙加谷 修久

京都市在住の旅行系ライター兼ディレクター。全国各地に足を運び、旨いモノを食べ、温泉に浸かる日々。ここ京都を中心に、知っているようで知らない「日本のイイトコロ」を紹介します。日本酒好きが高じて利き酒師の資格を取得しました。

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