富士山と駿河湾に囲まれた沼津港で“深海魚”を味わい尽くす!

2015.10.14

北には日本一高い富士山、南には日本一深い駿河湾。海と山の“日本一”に囲まれた沼津港にある「港八十三番地」では、最深部の水深2,500mという駿河湾から水揚げされる深海魚を堪能できるんです。

沼津駅南口からまっすぐに伸びる県道を南へ。車で10分ほどのところに、沼津港があります。
▲「千本港町」の交差点を越えてすぐのところに、案内板があります
沼津港のすぐそばに立つ「港八十三番地」には、7つの飲食店と水族館があります。
まずは、珍しい生きた深海魚たちに会いに「沼津港深海水族館シーラカンス・ミュージアム」へ向かいます。

日本で唯一の深海水族館で、深海魚を愛でる!

「沼津港深海水族館」がオープンしたのは、2011年12月のこと。開業当初の年間来場者数は約25万人だったそうですが、2014年度は約42万人と急上昇!

日本には数多くの水族館がありますが、深海にスポットを当てた水族館は「沼津港深海水族館」だけ。
深海生物が暮らす駿河湾まで船でわずか数十分という恵まれた立地なのはもちろん、光すら届かない深海とは異なる環境下でも少しでも長く生きて欲しいと深海生物のお世話をする飼育員の皆さんのたゆまぬ努力のおかげで、数多くの深海生物の“生きた姿”を見ることができるのです!

なんだかとっても面白そうな予感……。
はやる気持ちをぐっと抑え、まずは1階フロアを探訪。深海にいるさまざまな生き物に出会えますよー!

沼津魚市場では、9~5月に、底引き網漁による深海魚の水揚げが行われています。その期間中は、展示される生き物が頻繁に入れ替わるのだそう。いつ来ても新しい発見があるから、リピーターが多いのも特徴なんです。
「浅い海・深い海」の展示では、同じ特徴を持ちながら、海のなかの異なる深さに生息する生き物を並べ、比較しています。「浅い海」は明るくて水槽の中の生き物が活発に泳いでいますが、「深い海」の水槽は暗く生き物は微動だにしません……。
「比べてみよう」のコーナーで見つけた、チンアナゴ。砂の中から出たり入ったり、ニョキニョキしていてかわいい。癒されます。
このコーナーの主役といえば、深海に暮らすヌタウナギ。
浅い海のニョロニョロした生き物と深い海のニョロニョロした生き物を、比べて見られるのが面白いんです。
「駿河湾の深海」の大水槽には、駿河湾の水深300mから捕獲された深海の生物がひしめき合います。そのなかには、世界最大のカニであるタカアシガニもいますよ。

さて。駿河湾の海とそこに暮らす深海魚を堪能したら、2階にある「シーラカンスミュージアム」へ行ってみましょう!
▲シーラカンスの「シーラ爺」が出迎えてくれます
シーラカンスが捕獲されたアフリカのコモロ諸島の環境を再現した「ベースキャンプ」を通り抜けるとそこには、息をのむほど美しい標本がズラリ!
硬い骨は赤、柔らかい骨は青く染められた「透明骨格標本」は、まるでアートを見ているよう。なかには、ダイオウグソクムシの透明骨格標本もあるんですよ。
▲写真は「ノコギリハギ」。その美しさに思わず見とれてしまいます
そして、ついに、ついに!
世界にたった2体しかないという「冷凍シーラカンス」との対面のときを迎えます。
シーラカンスが南アフリカで発見されたのは、1938年のこと。発見された当時は、とうの昔に絶滅したと考えられていたため、学会はもちろん、世界中が騒然となりました。
シーラカンスは26の仲間に分類されますが、生きた状態で確認されているのは、深海に生息するこのシーラカンスだけ。川などに生息していたとされるほかのシーラカンスはすべて絶滅し、化石となって当時の姿を今に伝えています。

深海に生息するシーラカンスが生き残れた理由は、深海の環境が、3億5,000年もの間、ほぼ変わらなかったからだと考えられています。古代からその姿を変えずに泳ぐシーラカンスは、まさしく生きた化石。
深海の環境はどの海域でもさほど変わりません。だから、これまで生きたシーラカンスが発見されているアフリカやインドネシアはもちろん、もしかしたら駿河湾の深海を今も悠然と泳いでいるかもしれないですよね。
▲想像以上に、大きい!
▲正面からパチリ。歯が鋭い!
シーラカンスには背骨がないということを、ご存知ですか?
シーラカンスは、骨も関節もある立派な胸ビレと腹ビレを器用に使い、まるで海中の砂の上を歩くように泳ぐのだそう。背骨がなくても泳げるということに驚かされます。

おなかがすいたら、近寄ってきた魚をパクリ!水深100~500mのあたりに生息するシーラカンス。展示されている個体のおなかからは、同じくらいの水深に暮らすサバの仲間やイカが出てきたそうです。
▲冷凍シーラカンス2体のほか、剥製のシーラカンスも3体展示されている
そして、2015年7月にリニューアルしたばかりの最新の展示エリアがこちら。プラスティネーションという新しい技法で標本にされた深海魚がズラリと並びます。
▲生き物の水分や脂肪分を樹脂に置き換える技法で保存した標本を見られる
CGを使った深海の映像や、プラスティネーションによる標本が美しく、時間を忘れて見入ってしまいます。標本そのものに色がないからでしょうか。それぞれの輪郭がしっかりと見えてきて、深海魚がとても美しいことに気付かされます。

プラスティネーションのエリアを抜けると、そこには、ダイオウグソクムシが何匹もいる水槽が現れます。
▲青い光に照らされ、ときにほかの個体と重なりながらじっとしている
▲時が止まっているかのように、ほとんど動かない
“海の掃除屋”の異名をとる彼らの主食は、海の底に沈む大型魚類の死骸。そして、ダンゴムシの仲間なのに、完全に丸まることができないんですって!

彼らの暮らす水深800mの世界の水温は、いつでも約5度。水槽の下にあるパイプを掴むと、その温度を体感できます。
ミュージアムショップもありますよー。こちらでは、各種深海魚のグッズを販売しています。一番人気はやっぱりシーラカンス。
▲一番人気のシーラカンスのぬいぐるみ。写真はSサイズ1,600円(税込)
最近人気急上昇中ながら、取材当日は残念ながら水槽内での展示がなかったメンダコや、ダイオウグソクムシのぬいぐるみなどもあるので、ぜひチェックして!

深海の生物を、今度は舌で味わう!

水族館を出て「港八十三番地」を歩いていると、角のお寿司屋さんに気になる文字。
▲「深海魚、握ります」と言われたら、立ち寄らずにはいられない!
深海魚を握ってくれるのは、「港八十三番地」にある唯一のお寿司屋さん「活けいけ丸」。その日水揚げのあった深海魚など、朝獲れの魚をリーズナブルな価格で食べさせてくれる回転寿司店です。
▲店内に入るだけで元気になれちゃう、活気ある雰囲気が◎!
ここでちょっと漁の説明を。
日本各地で行われている底引き網漁。他のエリアでは、深海魚がいる水深の深い漁場まで行くのに半日~1日以上要し、漁を終えて帰ってくるまでに1~3日かかります。たとえ深海魚が水揚げされたとしても、帰港する頃には鮮度が落ち、刺身で食べることは難しくなります。
▲沼津港から眺める、日本一の水深を誇る駿河湾
それにひきかえ、ここ沼津港はちょっと特別。すぐ目の前の海が深いから、獲った魚をすぐ港に水揚げできるという好立地。だから、深海魚を刺身で食べられる、というワケなのです。

取材に伺ったのは9月1日。底引き網漁の解禁日直前のため、お目にかかれた深海魚はこの1種のみ……。
▲水深200~400mに生息する、アカザエビの握り
高級食材として知られるアカザエビが丸ごとドーンと乗った寿司は、一皿530円(税別)。プリプリとした歯ごたえと、濃厚な甘さがたまらない!
……そういえば、さっき水族館にいたよね。
そんな記憶が一瞬脳裏をよぎったけれど、この美味しさを即上書き保存し前の記憶を隠蔽したのは、言うまでもありません。

ひと皿じゃおなかいっぱいにならないし。
せっかくだからもっと食べたいし。
そう思い深海魚以外のオススメを聞いてみたところ、富士山サーモンなる魚の握りがあるとのこと。早速注文してみました。
▲富士山サーモンの握り一皿280円(税別)。静岡県東部の食材も積極的に扱う
富士山サーモンとは、静岡県富士宮市にある養殖場で富士山の湧水で育てられたニジマスのことなのだそう。川魚特有の臭みが全くないうえ、脂がとてもさっぱりしていて食べやすい!お代わりしたくなる味わいです。

「活けいけ丸」では、ホウボウやニギス、アブラボウズなど、多いときには5~6種類の深海魚を用意しているそう。といってもその日の水揚げに左右されるため、数に限りあり!
いろんな種類を味わいたいなら午前中、特にオープン直後の訪問がオススメですよ~!
永井理恵子

永井理恵子

日大芸術学部写真学科卒のフリーライター。食いしん坊(飲んべえでもある)。東京の荒波に15年揉まれて気づいたのは、生まれ育った静岡県と御殿場市が思いのほか素敵な場所だったってこと!地元のいいところを発信すべく鋭意活動中。

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