鳥取の「白イカ」は甘くてコリコリ!旨すぎる夏の最強グルメを食べてみて!

2018.07.09 更新

鳥取沖の夏の風物詩といえば、真っ暗な海にイカ釣り漁船の灯りが点々と並ぶ幻想的な漁火。そう、夏はイカの季節なんですよ~!ということで、今回は本場の鳥取で旬の「白イカ」を食べまくることに。刺身に丼、姿造りと、どれも美味しくて、しかもそれぞれ食感が格別。白イカ恐るべし!

そもそも、白イカってどんなイカ?

やって来たのは鳥取県鳥取市の日本海沿いにある賀露(かろ)町。鳥取有数の漁港がある水産物の町で、鳥取市街もすぐ近く。マイカーなら鳥取自動車道・鳥取西ICから10分ほどです。
▲食材がリーズナブルに揃う「海鮮市場 かろいち」

まず、最初に訪れたのは水揚げされたばかりの新鮮な魚介が並ぶ「海鮮市場 かろいち」。ここで市場ならではの安くて美味しい料理を味わおうと思います。
▲館内は鮮魚店がズラリと並び、活気いっぱい

と、その前に、せっかく市場に来たのだから白イカを探してみようと、1軒の鮮魚店に。お、さっそく白イカを発見です。
▲目立ちやすい最前列ど真ん中に白イカがど〜ん!

鳥取のイカ漁は初夏から晩秋。7~8月が最盛期で、旬とされています。
鳥取では一本釣りで上げられるケンサキイカを白イカと呼び、関東地方では同じケンサキイカを赤イカと呼んでいるようです。ちなみに、鳥取での赤イカはソデイカのことで、赤と白が逆転するだけでなく違うイカになるのだから混乱しそうです。
▲水揚げされると赤……!?やっぱり混乱する

白イカは海で泳いでいる時は透明に近い白で、釣り上げられると赤くなり、市場に並ぶ頃にはだんだん白くなるそうです。ところが「まだ生きているから白い部分に刺激を与えるとね、ほら」と、市場のおばちゃんが指で押さえるとそこだけ赤に!いや~、食材の鮮魚で遊んじゃ悪いけど、面白い。
▲ブランド白イカの「白輝姫(しらきひめ) 」Ⓒ鳥取県

鳥取県産魚PR推進協議会では白イカの知名度向上と消費拡大を目指して、漁獲後すぐに墨袋を取り除いた「白輝姫」のブランド展開を行っています。調理中に墨を洗い流す手間が省けると好評で、県内のスーパーをはじめ県外のデパートなどでも販売しているそうです。

市場食堂で白イカ三昧。刺身はコリッとしてねっとり!【お食事処 いか太郎 】

さて、白イカのことが少し分かったところで、鮮魚店などと並んで市場の中にある食事処へ。
▲市場の中にある「お食事処 いか太郎 」

市場の食事処といえば安い、旨いが定番。しかも店の名前からして、白イカがお腹いっぱい食べられそうです。
▲フレンドリーな雰囲気で、地元の常連さんも多い

カウンター席では常連さんたちが談笑していました。大将(右)の山田健二さんは「うちは美味しいものを安くがモットー。水やお茶をセルフサービスにして、少しでも手間を省いてお客さんに還元しとるんです」と、ざっくばらんに話してくれました。
▲注文したのは、この3品

いか丼(税込860円)、いか刺身(税込500円)、ゲソの天ぷら(税込600円)の3品を注文したら、テーブルの上はイカ三昧御膳のような豪華さに。満腹必至のボリュームですが、それでも合計価格は税込2,000円以下。安いっ!
▲刺身は白イカ料理のスタンダード

まず、刺身からいただいてみます。一見、普通にイカを切っただけのようですが、実は切り方にこだわりがあるそうで「イカの筋は上の尖ったところから縦に走っているので、筋に沿って切るんです」と山田さん。そうすることで歯応えを残し、噛んだときの旨みも増すそうです。ちなみに、イカソーメンなどは食べやすいように横に切るそうです。
▲鳥取でイカの刺身はワサビじゃない!

さらに驚いたことに、刺身に添えられている薬味はショウガ。鳥取では刺身の中でもイカだけはショウガで食べるそうで、理由は「よく分かりませんが、とにかく昔からみんなそうです」とのこと。

では、今回の白イカひと口め。うん、噂どおり甘い!程よい歯応えがあって、ねとっとした心地いい歯触り。噛めば噛むほど旨みと甘みがでてきます。ショウガとの相性もバッチリ。刺身醤油は甘くてトロッとしています。
▲いか丼はみそ汁付きで、人気No.1メニュー

続いていか丼。温かいご飯の上に刺身と沖漬けがのっかっています。沖漬けは釣りたての生きたイカでなければ作れない醤油漬けで、港町ならではの珍味。ご飯によく合います。やはり刺身にはショウガが添えられていて、1杯で二つの味が愉しめるのもいいですね。キュウリや海苔、錦糸玉子の傍役たちも沖漬けの甘辛さや刺身の旨みをしっかりバックアップしています。
▲ゲソの天ぷらはサクサクで磯の香り

次は天ぷらいきま~す。衣はサクッ、中は弾力のあるこれまたいい食感で、胴ほどではありませんが甘みもしっかり。そして衣に混ぜた青さのりが磯の香りを漂わせて、次から次へと口に運びたくなる絶品でした。

器の上で動いてるっ!透き通った「白イカの姿造り」【天然海水いけす 海陽亭】

▲かろいちに隣接。あの「すなば珈琲」も併設

次に向かったのは「天然海水いけす 海陽亭(かいようてい)」。かろいちのすぐ隣り、というより、同じ敷地でほぼ軒を連ねた場所にあります。そして、店舗の一部は何かと話題を振りまく「すなば珈琲」です。
▲この看板は見過ごせない!

入口の横には何とも興味を引くキャッチーな看板。「日本一の味」「オンリーワン商品」「地場産名物」。これだけ言われたんじゃ、食べないわけにはいかないでしょ、白イカの姿造り。
▲生け簀を囲んだテーブル席

店内に入ると、6角形のテーブルがあり、中は生け簀になっていました。後から聞いたら、この生け簀は目の前の日本海の海水を引き込んでいるとのこと。水質管理にも特殊な技術を導入しているそうです。
▲白イカがビュンビュン泳いでる!

生け簀を覗いてみると、白イカが元気に泳ぎまくっていました。先ほど「海で泳いでいる時は透明に近い白」と言いましたが、実際に見るとほぼ透明でクリスタルのような輝き。きれいです。
▲注文が入ると白イカを生け簀から揚げる

もう、入店する前から食べるものは決まっています。「白イカの姿造りを」と注文すると、柄の付いた網で生け簀から白イカをササっとサーブ。白イカはデリケートな生態なので、なるべくストレスを与えないのが活きを保つ秘訣なのだとか。危険を感じると墨を吐いて、水が汚れて他のイカまで弱ってしまうそうです。
▲あっという間に真っ赤っか

桶の中ではさっきまで透明だった白イカが別人(別イカ?)のように赤くなっています。驚いているのか怒っているのか分かりませんが、知らない人が見たら「注文したのはこのイカじゃない」って戸惑いそうな色の変わりようです。
▲調理してくれたのは料理長の井上勲(いさお)さん

特別に厨房に入れてもらい、姿造りの調理を見せてもらいました。熟練の職人技なので家庭では真似できないと思いますが、せっかくなので手順を紹介すると……。
まず、耳の横に包丁を入れて早業で胴を切り離しますが、何しろ活き造りです。使う包丁は白イカが「切られていない」と勘違いするくらいの切れ味でなければ、墨を吐かれて台無しになってしまうそうです。
▲胴から切り離した頭と足は器に盛った氷の上に

この段階で、もう白イカは透明に戻っています。たぶん自分が切られていることにも気付かず、安心しているんでしょうね。それにしても、あまりに手際がよすぎて本当にあっという間の出来事。もし、自分が切られてもイカと同じ心境じゃないかと思うほどです。
▲胴は素早く食べやすい大きさにカット

切り離した胴も水で洗ったりしません。白イカは真水に触れると白く変色するので、布巾で表面をきれいに拭き取り、表に飾り包丁を入れたらひっくり返して7~8ミリの幅で切っていきます。ここでも切り方は筋に沿って縦方向。
▲合体させて姿造りに

切った胴を氷の上の頭と足にのせたらでき上がりです。飾り包丁を入れたのは、盛り付けたときに身が反らない見た目の美しさと、食べやすさの意味があるそうです。
▲白イカの姿造りは100g税込2,160円

調理してもらった白イカは350g。生け簀には200~500gくらいのいろいろなサイズが泳いでいるので、人数や食べたい量に応じて注文することができます。
▲目の後ろに見える黒い塊は墨袋

頭や足の部分は少し赤い部分が脈を打つように変化しています。コレはまだ生きている証拠。墨を吐かないのは、まだ自分の置かれている状況が理解できないのでしょう、たぶん……。ともあれ、名物料理をいただきましょう。
▲レモンを絞ってパフォーマンスを披露

すると「食べる前に、こちらをご覧ください」と、レモンを手にしたのは店長の田村将也さん。そして、白イカの足にレモン汁を垂らすと、おおっ~!動く動く、足がピクピク踊ってます!

▲透明なうちに、ひと口めを

姿造りは包丁を入れてから10分もしないうちに白くなってしまうそうです。パフォーマンスの感動と興奮が覚めやらぬうちに透明な身を持ち上げて口に入れると、もうコリッコリ。刺身とはまったく違う食感で、顎がビックリするほど!
▲こちらも薬味はショウガで

同じコリコリ食感でも刺身はまだサクッとした歯応えでしたが、姿造りは例えればザクッ。刺身の固さが5なら、姿造りは10くらいかな。伝わるかどうか不安ですが、とにかく歯応えバツグン。それでいて、固くて食べにくいわけじゃなく、絶妙の歯応えなんです。
▲あえて時間をかけて食べるのもアリ

で、刺身と姿造りはどちらが旨いのかと言うと、正直なところ刺身のほうが甘みが強く、旨みもありました。味だけなら刺身に軍配ですが、この姿造りの食感は他では味わえない愉しみ。
そこで思ったのが、あえてゆっくり時間をかけて食べて前半は食感を愉しみ、10分くらいして身が白くなったら刺身の旨みも愉しむ、というのもいいんじゃないでしょうか。究極の贅沢ですね。
▲完食、と思うのはまだ早い

胴の部分を食べ終わり、残った耳や足も姿造りののまま食べるのかと思うと「そのまま召し上がっていただいても結構ですが、塩焼きや天ぷらにすると、より美味しくなりますよ」と田村さん。
▲耳と足を厨房に持ち帰って調理

調理は無料で希望に応じてもらえるとのこと。そこで耳は塩焼きに、足は天ぷらにしてもらうことにしました。
▲しばらく待つと、こちらの料理に変身

2品の料理が登場して、また違う味を愉しめます。どちらも姿造りからつくったのだから鮮度は申し分なし。火を加えることで甘みが増し、程よい弾力の歯応えもたまりません。活白イカの美味しさを余すことなく堪能できました。

「元祖いか丼」は地味な見た目と裏腹に美味しさ底なし【味覚のお宿 山田屋】

▲イカ釣り漁船が係留される賀露港

続いては、かろいちから車で3分ほどの賀露港へ。まだ明るい時間なので、イカ釣り漁船がたくさん停泊しています。
▲創業約300年の老舗「味覚のお宿 山田屋」

賀露港に面して建つ山田屋は江戸時代後期の享保8(1723)年に創業した宿。現在の建物は平成5(1993)年に建て替えられたもので、モダンな雰囲気になっています。
▲店内からは賀露港を眺めることができる

1階に老舗旅館らしい落ち着いた雰囲気の食事処があり、ランチタイム(10:00~14:00)のみ宿泊客以外も利用できます。そして、ここでしか味わえない絶品の白イカ丼があるということで、さっそく注文することに。
▲名物の登場に期待が高まる

港の景色をのんびり愉しみながら、待つこと数分。名物を食べるのってワクワクしますよね。
▲商標登録されている「元祖いか丼」(税込1,080円)

こちらが、その名物丼。酢飯の上に白イカの刺身と鳥取名産の砂丘長芋の短冊、それに刻みショウガや海苔がのっていますが、食材がほとんど白なので華がないと言うか……、何だか食べる前から味がだいたい想像できそうな地味なルックスです。
▲まずは主役の刺身から

鳥取ではイカの刺身はショウガで。皆さんももう覚えましたよね。おろしショウガを溶いた出汁醤油をかけて、刺身をいただいてみます。
▲刺身は肉厚で食べ応えがある

うん、出汁醤油は他の店の刺身醤油のように甘くなく、ショウガの風味も相まって白イカの甘さが引き立ちます。コリコリとした歯触りやねっとりとした食感も愉しめて、酢飯にも相性がいいようです。
▲イカの塩辛をトッピング

小鉢にイカの塩辛が付いているので、これもご飯にのせてみます。
▲さらにイカの麹漬けと大根おろしも

刺身だけでも充分に美味しいのですが、こうして味の変化を持たせることで刺身がますます美味しく感じます。なるほど名物と呼ばれるのはこのことか、と関心していたら、ん……?、ご飯の中から何かを発見!
▲ご飯の中に未知の食べ物がどっさり

箸でご飯を崩してみると、出るは、出るは!ご飯の中には見たことのない炒め物のような塊が、どっさり埋まっていました。
▲これこそが名物とされる所以

お店の人に聞くと、醤油やみりんで味を整えたイカの内蔵をゲソに絡めて照り焼きにしたものだそうです。地元では「うる焼き」と呼ばれて、古くから伝わる漁師料理とのこと。
▲うる焼きはご飯との相性もバツグン

酒の肴として定番とのことですが、これがまたご飯にも合う!それも上品にご飯と交互に食べるのではなく、ぐちゃぐちゃにかき混ぜて口に運べば、もう本当に箸が止まりません。
イカの旨みはもちろんのこと、適度な塩味とイカ墨の濃厚な魚介系の風味がバツグンです。一杯で二度も三度も味わいが変わる元祖いか丼は、最初のシンプルな見た目と違って奥が深い。さすがの名物でした。
▲9代目で総料理長の山田将司(まさし)さん

あまりの美味しさに感動したので、特別に調理場で元祖いか丼をつくる様子を見学させてもらうことに。
大量のゲソをフライパンで炒め、イカの内蔵でつくった「うる」を投入。その後、特製ダレも入れて照焼きにします。
▲うる焼きを隠すように酢飯の間に

うる焼きはつくり置きせず、注文を受けてから調理するのもこだわりなんだとか。こんなに美味しいのだから、ご飯に隠さず上にのせてもいいんじゃないかと思いましたが、「口ベタだが粘り強い」と言われる鳥取の県民性と通じるものがあるのかな。ちゃんと主役は立てて、実は驚きのポテンシャルも秘めている絶品丼でした。

白イカを堪能できるイベントも!

▲屋台では各店の白イカ創作料理を味わえる

山田屋のある賀露港では、毎年7月中旬に「賀露 白いか祭り」が開催されます(2018年は7月16日)。白イカの各種創作料理をはじめ、夏が旬の岩ガキや海鮮バーベキューも味わえ、白イカや地魚の特売コーナーも登場します。
▲漁船乗船体験(4便/1回定員20人)

抽選で白イカが当るクイズラリーや漁船乗船体験、漁火クルーズなどのお楽しみもいっぱい。かろいちの周辺でも「みなとオアシス夏祭り」が同時開催されるので、この夏はぜひ、鳥取で白イカを満喫してくださいね。
廣段武

廣段武

企画から取材、撮影、製作、編集までこなすフリーランス集団「エディトリアルワークス」主宰。グルメレポートの翌日に大学病院の最先端治療を取材する振り幅の大きさと「NO!」と言わ(え?)ないフレキシブルな対応力に定評。広島を拠点に山陽・山陰・四国をフィールドとして東奔西走。クラシックカメラを語ると熱い。

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