夜空を彩る黄金の稲穂!東北三大祭り・秋田竿燈まつりの楽しみ方

2019.07.29 更新

稲穂のように揺らめく竿燈(かんとう)、響きわたる笛と太鼓のお囃子、腕自慢の妙技に送られる熱い声援…。毎年8月3~6日に開催される「秋田竿燈まつり」は、「青森ねぶた祭」「仙台七夕まつり」と並んで東北三大祭りに数えられています。五穀豊穣を祈願し、約280本の竿燈と約10,000個の提灯が彩る世界はまさに壮観!今回は秋田竿燈まつりを最大限楽しむために、その見所と楽しみ方をご紹介します。

▲竿燈大通りを照らす竿燈

秋田竿燈まつりとは

秋田竿燈まつりは、約130万人が訪れる秋田市の夏の風物詩です。長い竹竿にたくさんの提灯を吊り下げた「竿燈」を、「差し手」と呼ばれる腕自慢たちが力強く持ち上げて練り歩く伝統的なお祭り。竿燈全体を稲穂に、吊るされた提灯を米俵に見立て、五穀豊穣を祈願します。約270年もの歴史を持ち、1980(昭和55)年には国重要無形民俗文化財に指定されています。
▲竿燈を額で支える差し手。最大級のもので長さ12m、46個もの提灯を吊るしてある

その昔、夏の過酷な農作業は体力を消耗し、眠くなると病魔が忍び入ると考えられていました。その眠気を払うために始まった「ねぶり流し」「眠り流し」と呼ばれるお盆行事が、竿燈まつりの起源という説が有力とされています。

当初は願い事を書いた絵馬や短冊を笹竹などに吊るし、それを手に子どもたちが練り歩き、川に流すという行事でした。時代とともにその形を変えていき、江戸時代中期の宝暦年間(1751~1763年)には、米俵や稲穂をかたどった現在の竿燈の原型ができたといわれています。
▲威勢のよい太鼓と繊細な笛の音色によるお囃子が祭りを盛り上げる

昭和に入ると他県からも見物客が訪れるようになり、県都秋田市を代表する行事にしようと、各町内代表者が話し合うことに。その結果、1931(昭和6)年から町内単位で参加する竿燈まつりが始まり、現在では38もの町内が参加する大規模な祭典へと成長しました。
▲会場となる竿燈大通りは、片道約800m。往復約1.6kmにびっしりと竿燈が並ぶ様子は圧倒的

竿燈まつりは「昼竿燈」と「夜本番」と呼ばれる2つのイベントから成っており、見どころも様々です。そんな伝統あるお祭りを最大限楽しむために、注目すべきポイントは何なのか。秋田市竿燈まつり実行委員会の村田周平さんにその魅力と楽しみ方をうかがいました。
▲「7月頃になると各町内で練習が始まり、お囃子の音が聞こえてくるとワクワクする」と教えてくれた村田さん

妙技のスリリングな演技が見応え抜群の「昼竿燈」!

竿燈まつりといえば灯りをともした大きな竿燈が、稲穂のように揺れる光景がとても印象的。それを自在に操るのは差し手たちです。

竿燈をより美しく、力強く見せる彼らの「妙技(みょうぎ)」は夜の本番演技でも見ることができますが、「昼竿燈」とも呼ばれる昼の竿燈妙技会もおすすめ。差し手たちの技術向上を目的として1931(昭和6)年から始まったイベントです。
▲絶妙なバランスで竿燈を支えて観客を盛り上げる竿燈妙技会

差し手たちは竿燈を手のひら、額、肩、腰に移しかえて5つの技を順番に披露し、観客をわかせます。「最大で約50kgの竿燈を、“力4分、技6分”といわれる絶妙なバランスで支える妙技は、まさに代々受け継がれてきた名人芸」と村田さんも話します。
▲次の差し手が竹を継ぎやすいように支える「流し」。高く差し上げたら一旦手のひらに静止し、親指と人差し指の間から15cmほどずらして支える
▲利き腕の手のひらに乗せてかざし上げる基本技「平手」
▲両手を大きく開いてバランスを取り、額で静止させる大技
▲利き腕を曲げずに肩で支え、軸足と一緒に真っ直ぐ伸ばす技
▲最も盛り上がる、腰に乗せて支える大技。上体を横に傾け、両足を開いてバランスをとる

このイベントでは、竿燈名人を決める個人戦、町内ごとの団体戦に分かれて技を競い合います。直径6mの円内で演技を行い、型の美しさや安定した姿勢などが評価ポイントになるため、観覧のときは要チェック。

「昼間は細部までじっくりと迫力ある名人芸を見ることができるため、夜とはまた違う楽しみ方ができますよ」と村田さん。
▲2017年竿燈妙技会大若団体規定優勝の「下肴町(しもさかなまち)」のみなさん

なお、最終日6日の妙技会で優勝者が決まるため、その日の夜本番は凱旋演技ということになります。妙技の頂点に立った差し手や町内の演技に注目して観覧すると、より一層楽しめそうですね。
妙技会の会場である「エリアなかいち」はJR秋田駅から徒歩10分ほど。竿燈大通りの道中にあるため、ぜひ立ち寄ってから夜会場へ向かいましょう。

「夜本番」の竿燈は目の前で見て圧倒されるべし!

続いて夜本番の見どころをご紹介。約280本の竿燈が道路一面に並ぶ光景も素晴らしいですが、頭上で揺らめくひとつひとつの竿燈も大迫力。ぜひとも良い場所で見たいところですが、通りの歩道は立ち止まっての観覧は禁止されています。

そのため、じっくり座って目の前で見たい人には観覧席の利用がおすすめ。ケヤキが植えてある通りの中央分離帯に席が設置されているため、両側を彩る竿燈を近い距離から楽しむことができます。観覧席はインターネット、電話、FAXなどから予約可能で、エリアによって価格は様々(B席2,100円・A席2,500円、S席3,000円・枡席1枡20,000円※すべて税込)。詳しくはこちらから
▲観覧席からの眺め。迫力ある妙技は目の前で見たいところ

竿燈は入場時に降ろした状態で運ばれ、演技開始の合図に合わせて一斉に立ち上げられます。村田さん曰く「この瞬間の美しさは度肝を抜かれるほど」だそうで、ぜひカメラにおさめたい瞬間です。

また、妙技は2回ほど場所を移して披露されるため、色々な町内の竿燈を見ることができます。
▲一斉に竿燈が立ち上がる瞬間、大きな歓声がわく

竿燈が上手にあがると「ドッコイショー、ドッコイショ」という囃子言葉で男衆が盛り立てます。また、「オエタサー、オエタサ、根ッコツイタ、オエタサ」という掛け声も。これは竿燈が差し手の手のひらや額などにうまく据わっていて、稲の根がついたように動かないことを賞賛する言葉です。男衆の掛け声に合わせて、タイミングを覚えてきたら一緒に盛り立ててみるのも楽しそうですね。
▲演技終了後には観客と一緒に一本締めならぬ独自の「竿燈締め」が行われる

竿燈まつりのメイン会場である竿燈大通りへは、JR秋田駅より徒歩15分ほど。期間中は県庁や地元の体育館などで臨時駐車場を設けますが、そのほとんどがあっという間に埋まってしまうため、会場へは徒歩がおすすめ。駅から会場までの道のりには、竿燈をモチーフにした街灯やマンホールなど「隠れ竿燈」を見つけることができるので、街歩きも面白いですよ。
▲提灯がモチーフの竿燈大通りの街灯。竿燈の邪魔にならないよう、電線は地下に埋設されている

竿燈と提灯に込められたストーリー

竿燈には4種類の大きさがあり、小さなものから順に「幼若(ようわか)」「小若(こわか)」「中若(ちゅうわか)」「大若(おおわか)」と呼ばれています。
一番大きな大若は、長さ12m・重さ50kg・竿に46個の提灯が吊るされた特大サイズ。対して幼若は主に子ども用ですが、それでも重さは約5kg。幼稚園から小学生、中学生、高校生…と大人になるにつれて、竿燈も責任も重くなっていくのです。
▲竿燈への想いは次の世代へと継承されていく

また、米俵を模した提灯には、町内の象徴となる町紋が描かれています。その模様は様々で、風雅や長寿、子宝、豊作などを願う縁起物をモチーフにしているそう。「今の時代から見ても洗練されたデザインが多いので、演技中は町紋が施された提灯と半纏(はんてん)にも注目してほしい」と村田さん。自分だけの「推し紋」を見つけてみるのもいいですね。
▲「下肴町」の町紋。長寿のシンボルとされる「波に赤えび」が描かれている
▲JR秋田駅から徒歩15分ほどの「秋田市民俗芸能伝承館」(ねぶり流し館)には町内竿燈が展示されている

竿燈体験&ご当地グルメで秋田を満喫

「見るだけじゃなくて、実際に触ってみたい!」という人は竿燈体験をやってみるのも面白いです。まつり期間中、秋田駅前のアゴラ広場には幼若を自分で担ぐ体験コーナーが設けられます。

●竿燈体験コーナー
開催日時:8月3日~6日10:00~17:00
会場:アゴラ広場(JR秋田駅西口側)

また夜本番では、竿燈演技が終わった後に「ふれあい竿燈」と呼ばれる時間が設けられ、実際に竿燈に触れたり、太鼓を叩いたりすることができます。町内の人とも写真撮影できるので、竿燈まつりの思い出にぜひシャッターを押してください。
▲「秋田市民俗芸能伝承館」(ねぶり流し館)では祭り開催時期以外でも竿燈体験ができる
そして、お祭りで外せないのがご当地グルメ。竿燈まつりメイン会場の西側と東側に設営された「竿燈屋台村」や大町イベント会場の「ご当地グルメフェスティバル」では、秋田の地酒や郷土料理、B級グルメ、スイーツなどが味わえます。

●竿燈屋台村1(市役所会場)
開催日時:8月2日~8月6日15:00~22:30
※8月2日は前夜祭

●竿燈屋台村2(中央会場)
開催日時:8月3日~8月6日15:00~21:30

●ご当地グルメフェスティバル(大町イベント広場)
開催日時:8月3日~8月6日15:00~21:30(予定)

昼間から夜まで開催しているので、昼の妙技会終わりで夜までの時間つぶしに立ち寄ってもよし、本番演技を観覧した後に腹ごしらえするもよし。お祭りとセットで秋田グルメも堪能したいですね。
▲秋田名物「ババヘラアイス」。ババ(秋田弁でおばあさん)がヘラでアイスを盛ることから名付けられた

見ているだけでも飽きない竿燈まつりですが、せっかく行くならその歴史を知り、お囃子の音に耳をすませ、竿燈に触れて、グルメに舌鼓を打つなど五感で思いっきり楽しみたいですよね。ぜひこの夏、夜空を彩る黄金の稲穂に合いにお出かけください!
写真提供:秋田市竿燈まつり実行委員会、民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)
※祭りの写真は2017年以前のものです。
※本記事は2018年公開記事を一部更新したものです。
下田翼

下田翼

東京生まれ、東京育ち。観光で青森県に初上陸し、人の暖かさに感動し2015年に移住。地域おこし協力隊を経て、青森の魅力を伝えるフリーランスのプランナー・ライターとして活動中。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP