横浜・川崎の工場夜景クルーズは近未来的SF映画の世界!フォトジェニックスポット満載だった

2018.06.28 更新

近年、人気を集めている工場夜景。現実とは思えない、まるでSF映画のような世界が男性のみならず女性からも注目されています。そんな工場夜景と横浜の夜景が一緒に楽しめて、幻想的な写真も撮れるうえに、工場夜景についてもあれこれ知れるナイトクルージングがあると聞いて、カメラを片手に行ってきました。

横浜と川崎の新しい魅力を発見できる工場夜景クルーズ

神奈川県川崎市の京浜工業地帯は、たくさんの工場が軒を連ねる日本5大工業地帯のひとつ。その景観は明かりが灯る夜にこそ本領を発揮し、まるでSF映画の世界のよう。

そんな川崎の工場夜景の奥深さと横浜の夜景を一度に楽しめるクルーズを提供しているのが株式会社レクシステム(レクトラベル)。金~日曜と祝日のみ運航しているツアー「大型高速観光船で行く工場夜景クルーズ90分コース工場夜景PLUS」です。
このツアーはキラキラと輝く工場夜景の写真を撮るだけでなく、ツアーガイドによる詳しい説明を聞いて工場夜景のあれこれを知りながらディープに楽しめるのが魅力です。
さらに、出航場所が横浜の主要駅から徒歩5分以内で行ける気軽さから、横浜観光やショッピングの後、デートの締め括りなどに寄れるとあって人気のツアーなんです。
▲光り輝く夜の工業地帯を巡る旅へ

取材日、幻想世界へ連れて行ってくれる高速観光船はYUME-HAMA号。出航時間は日没以降のため季節で異なります。また出航場所も日によってJR桜木町駅から徒歩約3分の「ピア日本丸」か、みなとみらい線日本大通り駅から徒歩約3分の「ピア象の鼻」になるので、必ずスケジュールを確認しましょう。※船舶都合により船が変わる場合があります。
▲今回はピア日本丸から18:30に出航

受付は出航場所で乗船券を受け取れば完了。出航時間の45分から20分前までには済ませておきましょう。船には受付順に乗船するので、早目に受付を済ませておけば乗船開始時間(出航20分前)までは近くのお店を見たり、散歩をしたりして自由に過ごせます。
▲船が停泊している桟橋に受付があります(写真はピア日本丸)

乗船時間にスタッフから乗船番号を呼ばれたら船に乗り込みます。救命胴衣を着用し、まずは席を確保。1階は冷暖房・トイレ完備の30席、2階は50席のオープンデッキになっています。
ツアーは進行方向に向かって右側の工場群の説明がメインになるので、席は2階デッキの最前列中央、もしくは前方右側がおすすめです。2階デッキにいる場合、船は高速で進むため、雨が降ったとしても傘は使用できません。レインコートを用意しておくと安心ですよ。
▲2階のデッキは人気なので早めに確保してくださいね
▲1階は窓からゆったり観光できるソファ席

大型高速観光船に乗って、工場探検クルーズへ出発!

出航時間の18:30が近づくとエンジン音が周囲に響き始め、いよいよ出発!桟橋に残るスタッフへ「行ってきまーす!」と手を振り、船は港をゆっくり離れていきます。このツアーは船長とは別に工場夜景について説明してくれるガイドが1名ついています。ただ夜景を眺めるだけでなく、深堀りしたお話が聞けるそうなので楽しみです。
▲この日のガイドは黒川さん。ガイドは全部で3名所属しており、どの人も個性豊かな方ばかりで、楽しく詳しく説明してくれると評判

工場夜景を楽しむ前に、まずは横浜・みなとみらいの街並みを堪能。
▲普段、陸から見るみなとみらいとは異なる景色にワクワクしながら、カメラのシャッターを押します
▲めったに見られないアングルでみなとみらいを満喫!

船は新港地区とみなとみらい地区を繋ぐ国際橋の下をくぐり抜け、新港埠頭を通過。どんどん沖へ向かって進んでいく中で後ろを振り返ると、徐々に離れていく横浜の高層ビルや観覧車が見えます。
日が沈み、空が徐々に暗くなっていくトワイライトタイムでの横浜の夜景を望める絶好の場所でした。取材日は残念ながら見えませんでしたが、天気が良く空気が澄んでいる日には富士山も見えるそうです。
▲藍色に染まる空とみなとみらいの光にうっとり

横浜の内港を抜けると船はグングンと速度を上げ、川崎へ向かって行きます。YUME-HAMA号は双胴船という揺れの少ない船体なので、高速で進んでも安定して進んでいきます。
ただし、工場群を観光しながら横浜から川崎まで90分で往復するとなると、それなりにスピードを出して進むため肌寒く感じることも。夏でもストールではなく、カーディガンやジャケットなど羽織れるものが1着あると安心ですよ。

橋をくぐると、そこにはSF映画に入り込んだような異世界が待っていた

出航から約20分、あたりが真っ暗になったころ、オレンジ色に照らされた大黒埠頭(だいこくふとう)が見えてきました。そして大黒大橋(首都高速道路神奈川5号大黒線)をくぐって少し進むと前方にライトアップされた工場群、京浜運河地帯が見えてきました。いよいよ工場夜景観光のスタートです!
▲大黒大橋の向こうに見える強い明かりにワクワクしてきました

まずは、進行方向に向かって運河の右側に位置する、人工島の扇島と東扇島の夜景から。最初に見えるのは「扇島パワーステーション」の3本の煙突です。
黒川さんから「ここは、東京ガスと昭和シェル石油が共同で設立した火力発電所で、自然に優しい天然ガスが使用されています」とさっそく説明がありました。
▲3本の煙突が特徴的な扇島パワーステーション。ホワイト系のライトで照らされ、吸い込まれるような透明感のある景色

船は徐々に速度を落としながら進んでいくと、JFEスチールの紅白の市松柄が特徴的な「副生(ふくせい)ガスホルダー」があります。通常、球体の形をしたものが多い中、この円柱タイプのガスホルダーは全国的に数が少なく、珍しいタイプなんだそうですよ。
▲市松柄がくっきり見える副生ガスホルダー。船から見ていると小さく見えますが、実は100m程の高さがあるんだとか!

この運河を通っている時、大きく「K」と表示されている塔があるのに気づきました。これは海の交通標識で「Kは川崎航路を通るように」と船の航路を指示しているそう。他には鶴見航路を意味する「T」もあるらしく、Tはめったに出ないレア度高めの表示なんだそうですよ!

また別の塔には「I」「O」と表示されている箇所も発見。こちらはIN・OUTを意味し、大型船の入港可能な表示が「I」、出航可能な場合が「O」なんだそうです。黒川さんの説明で海にも交通標識があることがわかりました。
▲交通標識の「K」が目立つように大きく光っています(写真左)

続いて、東扇島の横へ移ると、東京電力東扇島火力発電所の通称「爽やかグリーンの煙突」が見えてきます。

「2018年現在、この東扇島には運河を渡る橋がないため、東京電力の発電所で造られ貯蔵された燃料は海底パイプラインを使って、隣接する川崎や横浜の火力発電所へ供給しているんです」と黒川さん。
えぇ~!この運河の下に燃料送付用のパイプラインが通っているなんて想像したこともなかった!
▲東京電力の煙突。昼に見ると、全体のベースは白くて先端が爽やかなグリーンなのが特徴

東京電力の奥に見えるのが夜景スポットとしても人気の「東亜石油のオイルターミナル(オイルタンクが並んでいる場所)」です。オレンジ色の光に照らされた、たくさんの円柱型のオイルタンクが並んでいます。その並びとフォルムが綺麗なことから人気なんだそう。
▲東亜石油のオイルタンクの光が運河に反射して、とても綺麗!

出発から約30分したところで到着したのが、多摩川の手前に位置する大師(だいし)運河。川崎の工場夜景といったら外せない、大人気フォトジェニックスポットです!前方には東燃ゼネラル石油川崎製油所の高い塔と大きなタンクがいくつも並んでいます。

「塔の先端に見えるオレンジ色の炎は『フレア・スタック』と言って、製油所で発生した余剰ガスを焼却処理した時の炎です。大気汚染を軽減するのに効果的な手法なんですよ」と黒川さん。船は、すごく近くまで寄ってくれるので、ガスの燃える臭いも感じました。また、工場地帯は羽田空港の近くなので、飛行機とフレア・スタックが一緒に見られる貴重な場所です。
▲塔の先端から放出されるフレア・スタック。ヴォーという低い音と共に勢いよく炎が噴き出す光景は、迫力抜群でかっこいい!

ここで船が停泊し、数分間の撮影タイム。その噴き出す炎をなんとか写真に残そうと、乗客たちが一斉にシャッターを押します。動く船での夜景撮影は難しいので、こうやって停泊して撮影タイムがあるのはとても助かりました。
▲うまく撮れますように…と祈りながら、連写で撮影

5分程すると船が動き始め、一度京浜運河へ戻ってから工場夜景の聖地、塩浜運河へ!
▲塩浜運河に停泊している大型船舶はライトアップされ、なにか作業をしているようでした

塩浜運河で見えてきたのが、このツアーのメインスポットになる「東亜石油京浜製油所」です!ブロックを積み上げたような外観とホワイト系の電球の光が、今までの工場とは違い異彩を放っていて、その綺麗さに思わず見惚れてしまいました。
▲ツアーのメインスポット、東亜石油京浜製油所。まるで巨大ロボットのようにも見えて、今にも動き出しそう!

近未来的な光景はSF映画のワンシーンを見ているかのようで、ここがツアーのメインというのも頷けます。まるで宇宙基地のような、はたまたテーマパークのアトラクションのような、非日常感に溢れた幻想的な工場夜景です。

すぐ横を通過した後、絶好の撮影スポットで停泊。ここでもみんな必死にシャッターを押します。少し慣れてきたのか、光の具合なのかわからないけれど、ちょっと上手に撮影できて満足!
▲撮影スポットでは角度を変え、大きさを変え、写真を撮り続けました

ツアー中は絶え間なく工場夜景について説明をしてくれるので、写真を撮りながらも聞き逃すまいと耳を黒川さんに傾けていました。
▲黒川さん「フレア・スタックの炎の色は、余剰ガスに含まれる成分の違いで変わります。これは青白い炎ですが銅が多く含まれるほどオレンジ色になります」といろいろ教えてくれます

フォトジェニックスポット満載!光り輝く工場群はイルミネーションのようだった

工場夜景クルーズもいよいよ終盤。いくつもの工場夜景に見守られながら帰路につきます。帰路の見どころは、川崎天然ガス発電の火力発電所と3つのクレーン!貨物船の発着や作業がない日は周囲が暗く、クレーンを見ることができないので見られたらラッキー。

(1)東洋埠頭の緑の「ガントリークレーン」4基:キリンのようなフォルムが特徴で、船の積荷を上げ下ろしするためのもの。残念ながら取材当日は見ることができませんでした。

(2)三井埠頭の「ガントリークレーン」:このクレーンは通常昼の作業が多いため、夜景クルーズではキリンが立っているような形を見ることが多いそうです。
▲赤と白に塗り分けられた三井埠頭のガントリークレーン。珍しく夜間に積荷を下ろす作業があり、首にあたる部分が下を向いてました
▲三井埠頭ではちょっと変わった、低いタイプのガントリークレーンも見ることができます

(3)日清製粉鶴見工場の通称「バンザイクレーン」:両手をあげたようなY字型が特徴的。それぞれのアームの中央には、クレーンホースが垂れ下がり、船からホースを使って小麦を一気に吸い上げていました。ある程度袋詰めにしたものをコンテナで荷揚げしていると思い込んでいたので、まさかそんな荷揚げ方法とは思わず驚きました…。
▲日清製粉のバンザイクレーン。独特のフォルムが工場好きな人からも人気です

そして、クレーンの(1)と(2)の間に川崎天然ガス発電の火力発電所があり、ここで3回目の撮影のための停泊です。この発電所は、2001年に完成した最新デザインの外観が楽しめるとあって人気があります。
▲川崎天然ガス発電の火力発電所。ツインタワーの撮影も忘れずに!

他にも、一般人は改札外に出ることができない特殊な駅として人気の、JR鶴見線・海芝浦駅を運河側から見ることができます。
▲東芝京浜事業所専用の駅。電車が通る姿が見られたら、ラッキー!

最後に東京電力横浜発電所にそびえたつ、高さ100m以上の煙突が2本見えてきました。「ここには、京浜運河に入って最初に見た東扇島火力発電所からパイプラインを通って燃料が送られていています」と黒川さん。運河は約500mの川幅ですが、ここまで燃料がスムーズに送られてきていることに感心してしまいました。
▲最後にひっそりとたたずむ東京電力の2本の煙突を見たら、名残惜しい気分に

東京電力の緑の煙突から始まった工場夜景クルーズは、同じ東京電力の2本の煙突で終了しました。そして、来た時と逆方向に大黒大橋をくぐると速度が上がり、一路横浜へ戻ります。
▲遠くに横浜の夜景が輝いています

往路と復路で変わる街の表情に感動!1回で2度も3度もおいしいクルーズだった

左側にライトアップされた「鶴見つばさ橋」や「横浜ベイブリッジ(首都高速道路湾岸線)」を見る頃になると、キラキラと輝く無数の光が目に飛び込んできて、前方に横浜の夜景が広がってきました。
▲横浜のシンボルのひとつ、横浜ベイブリッジもライトアップされています
▲海から眺める横浜の夜景も格別!

「うわぁ~!綺麗!!」とあちらこちらから声が上がり、撮影を再開。出発時のトワイライトタイムとは打って変わって、夜の横浜の街はおもちゃ箱の中のようなキラキラとした光の世界のよう。船は港に近づくにつれ速度を落とすので、みなとみらいの夜景も最後まで存分に堪能できます。
▲最後までカメラを下ろすことができないくらい撮影スポットが満載!
▲90分間のクルーズがあっという間に終了

工場夜景クルーズには、非日常感溢れるフォトジェニックスポットがたくさんあり、異世界に迷い込んだようでとても楽しかったです。動く船から綺麗な夜景写真を撮るなら、手ぶれ補正付きカメラを使うのがおすすめです。脇を締めて、腕を安定させながら撮影するように心がけるといいですよ。
▲夜の撮影は手ブレしやすいので、カメラの手ぶれ補正機能を使いましょう

カメラでの撮影に自信がない人は、スマホのカメラで連写撮影を利用してみましょう。筆者もカメラよりスマホで撮影した方が素敵な写真がたくさん撮れていました。スマホの充電がたくさんあることを確認してから船に乗り込んでくださいね!
▲スマホでもうまく撮れた!

船を降りた後には、撮影した写真を友達と見せ合いながら余韻に浸りました。「お互いうまく撮れたね!」と確認し合うのと同時に、失敗した写真も「このブレ方ひどいね」と笑い合って楽しみました。
▲筆者が撮影した中で一番のお気に入り

様々な工場を目にしながらガイドの詳しい説明を聞くことで、それぞれの工場やタンクで何が作られ保管されているのかなど知ることができ、とても勉強になりました。
今回参加したクルーズは、2017年10月に公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューローから横浜観光プロモーション認定事業に認定されたそうです。

また、旅行会社が運営しているツアーで添乗員の資格を持ったスタッフが、実際にガイドをする方と相談して内容を考えているだけあって、他では聞けない詳しい内容でした。
クルーズ中に見える横浜の建造物の説明もあったり、今回紹介した工場以外にもたくさんの工場が並んでいたり、「90分じゃもの足りない!」ともう一回来ることを心に決めました。
▲かなり近くまで寄ってもらえるので、細部までしっかり見える工場も

このツアーは工場夜景だけではなく、海からの「みなとみらいの夜景」も楽しめ、しかも往路と復路では街や工場の表情が変わるのにも感動!慣れ親しんだ横浜と川崎のイメージが一新され、夜に運河から見ているだけなのに、まったく別の街に来た気分になりました。
▲クリスマスのイルミネーションを見ているみたい!

土曜は満席になることが多いので、早めの予約がおすすめです。狙い目は比較的乗船人数に余裕がある金曜だそう。また船の乗降場所は、中華街やみなとみらいも近いので、下船後に食事をして帰るのもおすすめですよ。横浜観光やデートで、そして仕事帰りに、ぜひ90分間の異世界への旅に出てみてはいかがでしょうか。
岸 久美子

岸 久美子

東京在住フリーライター。好きなことは海・山・ビールにワイン、たまにスポーツ観戦。気になる場所には行ってみないと気がすまない性分で、ちょっと暇ができると旅に出るフットワークの軽さがウリ。知らない文化に触れ刺激を受け、一緒に暮らすウサギに癒される日々。(制作会社CLINK:クリンク)

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