はまぐりをしゃぶしゃぶで!老舗料亭「日の出」の絶品「はまぐり鍋」

2015.10.10

「その手は桑名の焼きはまぐり」。昔から洒落言葉になるほど、名産のはまぐりが有名な三重県桑名市。老舗料亭「日の出」は、桑名産の天然はまぐりがいただける名店。旬の時期には、予約が殺到するという大人気のお店です。

「日の出」外観
はまぐりは、日本人にとって非常に古くから親しまれてきた食材。しかし現在、私たちが口にする95%以上は、「チョウセンハマグリ」という外来種だそう。日本に古来から生息する「ヤマトハマグリ」は、年々数が減り、ここ桑名市など、数少ない地域でしかとれない貴重なものなんです。

そんな貴重な桑名の天然はまぐりをいただけるのが、老舗料亭「日の出」。
あのグルメ漫画「美味しんぼ」に登場した、有名なお店です。
他にも、TVなど数多くのメディアで、絶品はまぐり料理を出す料亭として紹介されています。

石畳の続く、上品な玄関アプローチ。迎えてくれたのは、3代目の佐野榮則(しげのり)さん。
「日の出」3代目 佐野榮則さん

歴史を感じさせる日本家屋。日常を忘れられる静かな空間でいただくはまぐり

「もともと私らは、季節の料理などを出す料亭。『はまぐり料理』はその中のひとつやったんですけど、お客さんがみんな『はまぐり食べたい』というもんやから、今では、はまぐりばっかりですわ」

大正12(1923)年創業。「ただただお客さまに喜んでもらう」ことをひたすら追求し続け、お客さまの要望に応えるために開発されたメニュー「はまぐり鍋」が、食通の間で話題になり、近年は遠方からもたくさんの人が訪れるといいます。
はまぐりの釣り飾り
▲玄関に飾られているはまぐりの釣り飾り
落ち着いた雰囲気の店内。昔ながらの日本家屋。玄関に飾られているのは、はまぐりの釣り飾り。
かわいくも粋な雰囲気を醸し出しています。
店内のお座敷
お部屋は、すべて個室。お座敷の部屋には、テーブルと座椅子。落ち着いた雰囲気で、ゆっくりと食事を楽しむことができます。
日の出の中庭
▲日の出の中庭
窓の外には、立派な庭園が。極上の癒やし空間です。

はまぐり本来の旨みを味わう究極のカタチ

そして、いよいよはまぐり鍋をいただくことに。
はまぐり鍋
▲はまぐり鍋(口取・天ぷら・雑炊などがついた基本コース:8,000円~[サービス料・消費税別])
はまぐり鍋とは、はまぐりを″しゃぶしゃぶ″でいただく鍋のこと。

「今では、他にも食べられるお店があるみたいやし、確かなことはわからんけど、はじめてこのスタイルをつくったのは、うちなんです」

ちょっと照れくさそうに語るご主人。
綱渡り修行
器には、こんもりと盛られたはまぐり。
貴重な資源を守るため、生後3年以上という基準を満たしたはまぐりのみを使用しているそうです。

「大きいですね~」
「大きさでいうと、これはそう大したことないですわ」
はまぐりの旬の時期は、5月から7月。産卵前のこの時期は身がプリプリと太り、とても大きいといいます。ちょっと残念そうな顔をした筆者に、ご主人は続けます。

「でも、はまぐりは一年通して楽しめる食材なんです。この時期のはまぐりの方が好きとおっしゃるお客さまもみえるし、大きさだけじゃないんですよ」

なるほど、奥が深いです。
叩いて、その音ではまぐりの実入りを調べる
▲「こうして貝殻を叩いたときの音で、中の実入りの様子を調べるんです」
時期にあわせて、最高の状態のはまぐりだけを吟味・厳選し、提供するというご主人。
ひとつずつ、貝殻をたたいて、その音で、中の身の様子を調べるそう。
まさに、職人技です。

はまぐり鍋の作り方はいたってシンプル。
出汁がたっぷり入ったお鍋に、はまぐりを入れ、口が開くまで待ちます。

鍋には、ほんのり黄金色の透き通ったお出汁。
いつもは、仲居さんがしてくれるという作業ですが、今回は特別に、お話をうかがったご主人が、鍋にはまぐりを入れてくれました。
開いたはまぐり
待つこと2~3分。
「パカ」
開いた貝殻から顔を出したのは、つるつるキラキラと輝くはまぐりの身。
弾力のあるはまぐり
ご主人に小椀に取り分けていただいたはまぐり。
箸でつまむとしっかりした弾力感が手に伝わってきます。

まずは、そのまま味わいます。
口に入れると、はまぐりのやわらかくもしっかり弾力のある食感。
そして、はまぐりの旨みがじわ~っと広がります。

秘伝の出汁は、とてもあっさり。
鰹と昆布をベースにしているそうで、ほのかに塩味が効いています。
この出汁が決して主張しすぎることなく、はまぐりの旨みを最大限に引き出しています。
「この出汁は、お客さんの意見を取り入れて、日々微妙に味を変えて改良を続けています」

そして、この″しゃぶしゃぶ″を3回繰り返し、小椀に取り分けられるはまぐり。
2皿目、3皿目と進むうち、鍋の出汁には、はまぐりから旨みが染み出し、より深い味わいとなっていきます。

コースでは、この極上に仕上がった鍋の出汁を使って、豆腐や葛切り、最後には雑炊なども楽しめます。

はまぐりの持つ本来の味を究極に引き出したはまぐり鍋。
「お客さんの要望に応えたい」ということにのみ、こだわり続けた老舗料亭「日の出」のプライドが、はまぐりの極上の旨みとともに、鍋いっぱいに染み出していました。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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