「三鷹の森ジブリ美術館」はものづくりへの情熱にあふれた遊び場だった!11月開始の新企画展も紹介

2018.11.25 更新

「三鷹の森ジブリ美術館」は、『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』、『もののけ姫』、『崖の上のポニョ』など、多くのアニメーション映画を生み出してきたスタジオジブリの美術館。2001年の開館以来、名作の世界を味わえると人気ですが、たとえ映画を見ていなくても、ものづくりへの情熱に感動するはずです。今回はそんなジブリ美術館をレポート!11月17日からはじまった新企画展示もご紹介します。

入口でトトロがお出迎え!

「三鷹の森ジブリ美術館」(以下、ジブリ美術館)へ行くには事前にチケットの購入が必要です。チケットは日時を指定して予約する方式で、毎月10日に翌月入場分のチケットを発売しています。予約制といっても入れ替え制ではないので、18時の閉館時間までゆっくり楽しめます。

「この空間を自分の目で見て、体で感じてください。そして、思い出は心の中に大切にしまって持ち帰ってほしい」という館主の宮崎駿(みやざきはやお)監督の願いから、通常は館内での撮影は不可ですが、今回は特別に撮影をさせていただきました。
▲美術館へ向かう道の途中には、案内看板があるので迷わない

ジブリ美術館は、JR中央線の三鷹駅南口から歩いて15分ほど。玉川上水沿いの緑が多い道を歩いていくと、駅の喧騒から少しずつ離れて、ジブリの世界へと近づいていくようで胸が高まります。

三鷹駅南口から有料コミュニティバスで行くことも可能です。バスを利用すると約5分で到着します。
©2001 Studio Ghibli 
▲スタジオジブリがデザインしたコミュニティバス(大人片道210円、往復320円。子ども片道110円、往復160円。往復割引券は三鷹駅南口バス停前の券売機およびバス案内所で販売)

ジブリ美術館の看板を発見して門の中に入ると、受付にはなんとトトロ!?じつはこれ、ニセの受付なんです。
▲マックロクロスケもいる(下の小窓の中に注目!)

さらに奥に進むと、茶色い扉の入口があり、その向こうにほんものの受付があります。
▲右に見えるのが入口。建物は地下1階、地上2階建て。宮崎駿監督が描いたスケッチをもとに作られた

扉を開くと、そこはドーム型の玄関ホール!扉や窓にはめ込まれたステンドグラスにはトトロやジジなどのジブリのキャラクターや映画のシーンが描かれており、思わず興奮してしまいます。これらはすべて一点もの。きらきらと光が差し込み、鮮やかな色彩が空間を包み込んでいます。
▲天井にもネコバスなどのキャラクターがいるので見つけてみよう

ここにあるほんものの受付でチケットをきっぷと交換します。きっぷには実際に映画の上映に使用できる35mmフィルムが付いていて、うれしい!大切な記念になります。
▲何の映画のどんなシーンかな?

玄関ホールから階段を降りると、地下1階の中央ホールにでます。地下1階から地上2階までの吹き抜けになっており、外からの光がたっぷりと差し込みます。縦や横へと連なる階段と渡り廊下は、どこか『千と千尋の神隠し』の湯屋、「油屋」のシーンを彷彿させます。
▲天井には大きな天井扇が。階段や渡り廊下を見ていると、『千と千尋の神隠し』のキャラクターたちが走り回っているような錯覚に…

迷路のような建物内には順路がないので、入ってすぐに螺旋階段を駆け上がる子どもの姿も見られます。私も真似して好きなようにあちこち歩き回ってみたいと思います!

アニメーションのおもしろさがわかる「動きはじめの部屋」

まず入ってみたのは、地下1階にある常設展示「動きはじめの部屋」。ここでは「絵を動かすこと」の楽しさを、見世物小屋風のさまざまな展示物で紹介しています。
▲「動きはじめの部屋」の様子。写真中央では映写機でジブリ制作の短編アニメーション映画が流れている

アニメーションの原型「ゾートロープ」の仕組みも紹介しています。ゾートロープとは少しずつポーズの違う複数の絵を素早く動かすことによって、絵が動いて見える装置のこと。
▲立体ゾートロープ「トトロぴょんぴょん」の人形

「トトロぴょんぴょん」は、ゾートロープを立体にした装置で、盤の上にトトロやサツキ、メイなどの人形がそれぞれ18体ずつ並んでいます。発光ダイオードの光が1秒間に18回という超高速で明滅しながら盤が回転すると、並んでいた人形がアニメーションのように動きだしました。まるで生きているかのようにトトロがジャンプしたり、サツキとメイが縄跳びをするのがかわいい!

ほかの展示にも、扉を開いたり中を覗き込んだりと、遊べる仕掛けがたくさんあり、子どもも大人も楽しみながらアニメーションの原理を体感できます。

オリジナルアニメを見られる「土星座」

同じく地下1階にある映像展示室「土星座」では、ここでしか見ることのできないオリジナル短編アニメーションを上映しています。天井には青空、壁には草花が描かれており、まるで森のなかの映画館。

子どもが怖がらないように窓があり、上映までは外からの光が明るく差し込みます。椅子が小さいのも子どもが座りやすくするためだそう。
▲「土星座」には80人ほど座れる。1日に何回も上映しているので見逃すことはない

訪れた日に上映していたのは、ねずみたちが相撲をとる「ちゅうずもう」(約13分)。あまりのおもしろさに思わず声をあげて笑っちゃいました。上映作品は定期的に入れ替わるので、行くたびに違う作品を楽しめますよ。

一本の映画が完成するまでの道すじを辿る「映画の生まれる場所」

次に向かったのは、1階にある常設展示「映画の生まれる場所(ところ)」。5つの小部屋にわかれており、わきあがった発想が一本のアニメーション映画になるまでの、作り手たちの仕事を紹介しています。

その最初の小部屋〈世界のはじまる所〉は宮崎駿監督の仕事部屋のような部屋。壁にたくさんのスケッチが貼られており、奥の机には描きかけの絵、机の周辺には本や飛行機の模型やだるまなどさまざまなものが置かれています。スケッチやものから監督のものづくりへの熱意や愛情が伝わってきて、見ているだけでワクワク。
▲〈世界のはじまる所〉

さらに美術スタッフの仕事も紹介されています。壁一面に名作の背景画などが貼られていて興味深い!写真かと思ってしまうくらいリアルで美しい絵の一枚一枚に思わず見とれてしまいます。

作業机には絵の具、筆、ドライヤーなどの画材や作業道具のほかに、おもちゃらしきもの(絵の題材かも?)やお菓子が置かれており、思わず笑みがこぼれます。
▲ついさっきまで、ここで絵を描いていたかのような作業机。短くなるまで使い込まれた鉛筆など、実際に使われていたものもあるのだとか

ほかにも絵コンテを描く〈もの語る所〉、アニメーターが絵を描く〈作画室〉、色をつける〈トレース&彩色〉などの仕事机があり、それぞれでどのような作業が行なわれているかがわかります。また〈絵コンテ室〉ではジブリ作品の絵コンテのコピーを見ることができるので、「あのシーンはどんな演出の意図があったのだろう」と、一日中見ていたくなってしまいました。
▲以前はアニメーション映画の制作では、セルロイドという透明シートに絵をうつして色づけし、フィルムで撮影していた。〈トレース&彩色〉では、そのセル画にどのように彩色していたかが見られる

ところどころに宮崎駿監督の直筆のコメントや絵もあり、時間が過ぎるのを忘れるくらい熱中してしまいました。発想からはじまって一本の映画が完成するまでには、多くの人による緻密な作業が蓄積されているんですね。監督やスタッフのアニメーション映画への深い愛情や情熱に感動しました。

ジブリ作品の色使いを特集した「映画を塗る仕事」展

1階には常設展示室のほかに、一年ごとに新しい展示を開催する企画展示室もあります。2018年11月17日(土)からは「映画を塗る仕事」展がはじまりました。
© Studio Ghibli © Museo d'Arte Ghibli
▲期間は2018年11月17日(土)~2019年11月(予定)

こちらの展示では、故・高畑勲(たかはたいさお)監督や宮崎駿監督がアニメーション制作でこだわった色使いを、両監督を支えた彩色設計スタッフの故・保田道世(やすだみちよ)さんによるセル画や色指定など、当時の制作資料を用いて紹介しています。

昨今はデジタルによる着彩やCGによる画面づくりが主流となりましたが、セル画専用の絵の具による限られた色数のなかで、監督からの要求に応える努力を惜しまなかったスタッフたちの知恵と工夫を間近に感じられます。セル画も数多く展示される、とても貴重な機会です。

ネコバスとロボット兵にも会える!

さらにぐるぐると歩き回っていると、2階にある「ネコバスルーム」にどすんと座ったネコバスを発見!マックロクロスケもいます。小学生以下ならネコバスにのったり、マックロクロスケで遊んだりできます。
▲ネコバスルームに入れるのは小学生以下

ネコバスルームの横からテラスへ出て螺旋階段を上がると、屋上庭園に辿り着きました。かわいらしく咲き誇る草花のなかにいたのは、『天空の城ラピュタ』に登場していたロボット兵です。高さはなんと約5m!
▲優しい表情のロボット兵はジブリ美術館の守り神。近くの「井の頭恩賜公園」の緑にも囲まれて、気持ちよい

ぼーっと見つめていると、いまにも、のそっのそっと動きだしそうな気がしてきました。

ここでしか出会えない本やグッズ

屋上庭園を満喫した後、次に向かったのは2階にある図書閲覧室「トライホークス」です。宮崎駿監督とジブリ美術館スタッフおすすめの絵本や児童書、詩集などが置かれています。子どもたちが自由に本を手に取ったり、お母さんが子どもに読み聞かせをしたりしていました。
▲宮崎駿監督からのおすすめコメントもある。気に入った本は購入も可能

同じく2階にあるミュージアムショップ「マンマユート」では、ジブリ美術館だけのオリジナルグッズやジブリのグッズを購入できます。オリジナルの絵の具セットやお菓子やTシャツ、文房具、キーホルダーなどさまざまな商品が揃っています。
▲スタッフおすすめの、ジブリ美術館でしか購入できないグッズ。左から、「中トトロ」(3,500円)、「大トトロ」(4,500円)、「小トトロ」(1,800円)、「ステンドグラスポストカード ネコバスを待つトトロ達」(700円)、「ステンドグラスポストカード キキとジェファーソン」(600円)© Studio Ghibli © 1989 Eiko Kadono - Studio Ghibli - N
▲木の鈴「トトロMOKURIN©」(各1,500円)は左からかえで、けやき、さくらの3種類。振ると優しい音がする

*時期によっては、グッズが品切れとなる場合もあります。予めご了承ください。

最後に1階にあるカフェ「麦わらぼうし」(11:00~18:00L.O.)にも立ち寄ってみました。料理はあたたかい家庭料理が基本。

定番の「ふぞろいイチゴのショートケーキ」(800円)は、たくさん並んだふぞろいのイチゴがかわいい。生クリームもたっぷりのっていて、見た目以上にボリューミーです。
▲トトロの旗がのっている!

広報部の机ちひろさんにジブリ美術館への思いを聞いてみました。

「開館してから2018年10月で17年が経ち、子どもの頃に来てくれた方が大人になってお子さんを連れて来てくれています。来るたびに楽しんでいただけるよう、企画展示を中心に次々と新しいことを行なっています。ずっと作り続ける、魅力あふれる美術館をめざしています」

1日中めいっぱい堪能して美術館の外へ出ると、気持ちのよい風が吹いていました。「ジブリ映画の世界を味わえる」と思っていましたが、訪れてみるとそれだけではなく、アニメーション映画がどのように作られているかだったり、ものづくりのおもしろさや大変さ、そして深い情熱を感じました。みなさんもぜひ一度、訪れてみてください。
※記事内の料金・価格はすべて税込です

撮影:舛元清香
桑沢香里

桑沢香里

編集者、ライター。出版・編集プロダクションのデコに所属。雑誌、書籍、小冊子、ウェブ媒体の編集・執筆などを手がける。編集を担当した本に『わたしらしさのメイク』『おとなのヘアケア読本』(ともに技術評論社)、『劇団四季ミュージカルCATSのすべて』(光文社)、『大相撲手帳』(東京書籍)、『大相撲語辞典』(誠文堂新光社)などがある。

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