鎌倉「報国寺」。東京から気軽に行ける、心安らぐ非日常の世界へ。美しい『竹の庭』を眺めながら抹茶で一服

2018.09.05 更新

あの『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で三つ星と評される報国寺は、鎌倉を代表する人気観光スポット。約2,000本もの孟宗竹が創り出す美しく凛とした佇まいの竹林を眺めながら、心ゆくまで「静けさ」と「涼」を味わってみませんか?

▲竹の葉擦れを聞きながら一服できる茶席「休耕庵」

鎌倉は東京都心から電車で1時間ほどの気軽なお出かけスポットです。
▲JR鎌倉駅

今回の目的地である報国寺へは、JR鎌倉駅東口5番バス乗り場から京急バスに乗車し、約12分の「浄明寺」停留所で下車。そこから徒歩約3分で到着です。
▲気候が良ければ駅から歩くのもおすすめ。「鶴岡八幡宮」の参道・若宮大路の段葛(だんかずら)をぶらぶら歩いて約30分の道のり

天高くそびえる竹に囲まれた非日常の空間で、身も心も解き放たれる

報国寺は1334(建武元)年に、天岸慧広(てんがんえこう/仏乗禅師)が開山した臨済宗建長寺派のお寺です。仏乗禅師はこの地に「休耕庵」を建てて修行し、余暇には詩作にふけるなど、静かな生涯を過ごしました。

この寺の開基は足利家時(足利尊氏の祖父)ですが、室町時代に勢力を持った宅間上杉氏の祖・上杉重兼も寺の創建にかかわっているといわれ、足利、上杉両家の菩提寺として栄えました。

またこの入り組んだ谷あいの地には、絵仏師・宅間法眼一派の芸術家たち、近年では川端康成らの住まいとなり、静かに歴史を刻んできました。
美しい「竹の庭」で知られる報国寺ですが、そんな歴史にも思いを馳せながら、寺内を周ってみましょう。
▲山門の「薬医門」をくぐると、なだらかな参道につながる
▲参道沿いは手入れの行き届いた庭が続く

薬医門をくぐり、参道を抜けて右手の石段を上ると、左手前に鐘楼が、正面奥には本堂が佇んでいます。鐘楼を見下ろすように立つ大イチョウは、何と樹齢300年以上。秋には真っ黄色に染まった葉が落ちて、鐘楼の茅葺屋根を彩ります。
▲趣ある茅葺の鐘楼
▲秋には見事な大イチョウの葉が黄色に染まる

本堂は南北朝時代に建立されました。本尊として祀られている釈迦如来坐像は鎌倉市指定文化財に登録されています。
本堂の別間には聖観音菩薩像も祀られており、年3回(1月18日、5月18日、9月18日)の御開帳の際には、一般参拝客も拝観することができるそうです。また、毎週土曜日(未実施日あり)には、この別間で写経を体験することができます(予約不要・500円)。
▲緑に囲まれた本堂
▲和装の観光客の姿も。落ち着いた報国寺の雰囲気によく合う

さて、本堂でお参りしたら、隣接する受付で拝観券(200円)を購入して、いよいよ「竹の庭」へ。「竹の庭」内の茶席「休耕庵」で一服したい場合は、こちらであらかじめ抹茶券(500円)も購入してくださいね。
▲抹茶券もこちらで渡されるので、なくさないように!

「竹の庭」に一歩足を踏み入れると……
天高くそびえる竹に囲まれた空間はまるで別世界。先ほどまでギラギラ照り付けていた太陽が嘘のようです。谷間からの涼しい風が竹林を抜けるたびに、頭上からサヤサヤと葉擦れの音が聞こえ、ときおり竹と竹がぶつかり合い、甲高い乾いた音を響かせています。

ちょうどそのとき、竹と竹の間から差し込んだ太陽の光がお地蔵様たちを照らし出すと、何ともいえない神々しさが宿りました。まるで、外界と隔絶された別の時空が取り巻いているような不思議な気分…。
▲思わず、手を合わせてしまいました
▲根元に茶色い皮がついているのは、今年生えたばかりの竹。ぐんぐん伸びる竹の力強さを感じる
竹林の小径をしばらく歩くと、左手に茶席「休耕庵」の看板が見えてきました。右奥に見える木造の建物が「休耕庵」です。ここでは、腰を落ち着けて竹林を眺めながら、抹茶と干菓子をいただくことができます。
目の前に広がる竹林を眺めながら特等席でいただく抹茶の味がまた格別。一口だけで、体の細胞の隅々まで染みわたるようです。
ここでしか味わえない竹林の持つ「静けさ」を心ゆくまで堪能しながら、抹茶をいただくひと時。日頃の雑念から解き放たれ、身も心もリセットされていくのを感じました。
▲皆さん、思い思いに至福の時間を楽しんでいる様子

抹茶に添えられているのは2種類の干菓子です。取材した日は報国寺オリジナルの落雁で、夏らしく金魚と竹の葉をかたどったものでした。
▲干菓子は季節ごとに変えているそう

その干菓子がのった懐紙には竹が描かれているのですが、何と先代の住職が描いた墨絵だそうです。その昔、仏乗禅師が詩作にふけったり、芸術家の住まいになったりしたこの美しい竹寺は、誰をも芸術家にさせる魅力があるのかもしれません。

歴史を垣間見ながら、四季折々の自然美を感じる

お抹茶でひと息ついた後は、境内の見どころを巡ってみましょう。「休耕庵」から元の小径に戻り、道なりに進むと、苔むした石塔とお地蔵様が姿を現しました。
▲ひっそり佇む石塔とお地蔵様

報国寺は、1438~1439(永享10~11)年に起きた永享の乱(第4代鎌倉公方・足利持氏による室町幕府第6代将軍・足利義教への反乱)で持氏が討伐された後、その嫡子・義久が自刃した寺で、関東における鎌倉公方終焉の地でもあります。その足利氏一族の墓(やぐら)が、平地の少なかった鎌倉特有の横穴式墳墓として境内の奧の岩肌に残されているんです。
▲岩肌をくりぬいて造られた足利氏一族の墓

本堂の裏側には枯山水の中庭があります。サンショウバラ、レンギョウ、オオデマリなど、季節ごとの花々をめでることもできますよ。
▲白い玉砂利を使って表現した山と川も美しい
▲池では鯉が涼し気に泳いでいた

受付右隣りの御朱印所では、竹の絵がデザインされた報国寺オリジナルの御朱印帳(各1,000円)を購入できます。拝観前に御朱印代(300円)を支払い、御朱印帳を預けておけば、帰るときまでに記入しておいてくれますよ。
▲御朱印帳は赤、紺、うぐいす色の3色から選べる

美しく凛とした佇まいの孟宗竹に囲まれていると、日常生活ではなかなか味わうことのできない「静謐(せいひつ)」の世界にどっぷりと浸かることができます。たまには、こんな時間を過ごしながら、身と心をリセットするのもよいのではないでしょうか。そんな癒やしの旅が手軽にできるのも、報国寺の魅力です。
撮影:重野友紀
古谷玲子

古谷玲子

編集者・ライター。出版社・編集プロダクションの株式会社デコ所属。移住者向け雑誌「TURNS」のほか、「孫育て一年生」を担当。フリーランス時代は、海外旅行ガイドブックで、台湾、台北、モンゴル、東アフリカを手掛ける。さまざまな「人の営み」に興味がある。

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