世界遺産・白川郷で合掌造りを堪能。日常の疲れを癒す、日本の原風景を探す旅

2018.10.08 更新

世界遺産としても有名な、岐阜県飛騨地方の「白川郷(しらかわごう)」。昔ながらの建築様式「合掌造り」の家々を今に残し、日本の農村の原風景とも言える景色を楽しめる稀少なスポットです。今回は、ガイドさんに案内をお願いして、白川郷の知られざる魅力を存分に堪能してきました。

心の琴線に触れる風景がそこにはある。世界遺産「白川郷」

岐阜県、飛騨地方にある白川郷。昭和51(1976)年には国の重要伝統的建造物群保存地区として認定され、平成7(1995)年にはユネスコの世界遺産に登録されました。
雪深い地域の飛騨高山にあって、厳しい豪雪に耐えるために工夫された茅葺(かやぶき)屋根の合掌造りは、日本の田園風景の象徴として、あまりに有名。
▲春の白川郷。桜と共に眺める合掌造りの姿は、とってものどかで、心安らぐ風景

そして、そんな合掌造りの建物を数多く残す白川郷には、日本人であれば誰もがどこか懐かしさを覚える、のどかな田舎の景色が広がっています。
▲秋の白川郷。紅葉が広がる色彩豊かな景色の中に、合掌造りが厳かに立ち並ぶ

四季折々、さまざまな豊かな風景を楽しむことができる白川郷。年間通して連日、国内外からのたくさんの観光客で賑わいます。
▲冬の白川郷。一面の雪景色に覆われて幻想的(ライトアップは、開催日のみ。完全予約制で入場制限が行われます。詳しくは以下を確認ください。)

※冬季ライトアップについて注意:1~2月に計6日のみ(2019年は1月14・20・27日、2月3・11・17日の17:30~19:30)白川郷の家々がライトアップされます。しかし、残念ながらライトアップの見学はマイカー・タクシー・レンタカー・バスともに事前予約した方のみとなっていて、予約の無い方はライトアップの見学はできないほか、2019年度の予約はすでにいっぱいとのこと。白川郷ライトアップについて、詳しくはコチラをご確認ください。
白川郷を散策するのにオススメなのが、「白川郷観光ガイドサービス」。見どころを熟知したガイドさんが、白川郷を案内してくれるんです。
※要事前予約。ガイド1名につき2時間以内7,000円(税込)。ガイド1名で最大20名程度の案内が可能。グループでお願いすれば、よりお得に利用できます。

そこで今回は、このサービスを利用して、ガイドさんと共に白川郷をたっぷりと散策。世界遺産の楽しみ方をリサーチしてきました!

ガイドさんと行く、世界遺産「白川郷」を堪能!

名古屋から車で高速道路を走ることおよそ2時間半。白川郷ICを降りてすぐのところに広がる集落が白川郷です。
▲「村営せせらぎ公園駐車場」の入口。すでに茅葺屋根の合掌造りの建物がところどころにあり、ワクワクが止まりません!

たくさんの観光客が訪れる観光地であり、同時に地域の方々が生活を営んでいる白川郷。住民の迷惑にならないよう、見学は8時~17時に限られている(集落内に宿泊する人は除く)ほか、観光客の方は、専用の駐車場を利用して集落内は徒歩で散策することが推奨されています。
▲観光客用の村営せせらぎ公園駐車場(駐車料金:普通車1台1,000円・税込、満車の場合は別の駐車場が開放されます)

自家用車で訪れる場合は、こちらの「せせらぎ公園」でガイドさんと待ち合わせをするのがオススメですが、バスなどの公共交通機関は集落の北西にある「白川郷バスターミナル」に発着するため、バスターミナルでの待ち合わせが便利です。
▲各地からの高速バスやJR高山駅からのシャトルバスが乗り入れる「白川郷バスターミナル」

今回ガイドを担当してくださったのは、京都出身ながら、白川郷に移住してはや十数年余りという阿武悦司(あんのえつじ)さん。
▲ベテランガイドの阿武さんと今日の見学コースを相談

ガイド経路は自由。希望を伝えればそれに沿って案内してもらえますが、今回は、地図を見ながらコースを提案していただくことに。
「うおー!白川郷、めっちゃ広いですね」
「そうですね、すべてを見て回るには最低でも3~4時間程度はみておいてもらったほうが良いです。今日はこのコースで行きましょうか」

阿武さんの提案により、「せせらぎ公園」からスタートして「であい橋」を渡り、「白川八幡神社」、「明善寺」の周辺を散策。その後、代表的な家屋である「長瀬家」「和田家」などを見て回りつつ、合掌造りの内部構造を詳しく知ることができる「神田家」の家屋内を見学することにしました。

それでは、さっそく集落内へ向かいましょう!
▲であい橋を渡って、集落へ
であい橋は全長107mの吊り橋。集落の南を流れる庄川(しょうがわ)の渓谷に架かる橋で、とっても景色が綺麗です。
橋を渡って集落の中に入ると、さっそく大きな合掌造りの家屋が!
「大きい!間近で見るとあらためて、屋根の勾配がすごいですね!」
「合掌造りの一番の特徴ともいえるのが、この茅葺の屋根です。急勾配になっていて、雪おろしをしやすいように工夫がされているんですよ」
「この土台部分を見てください。実は、合掌造りには、地面に打ち込まれている柱がないんです」と阿武さん。
阿武さんの指差す方へと目をやると、家が土台の石の上に、パズルのように組み合わさって建っています。
「これは合掌造りに限らず、仏閣など、日本の古い建物によく見られる工夫なんですが、あえて柱を打ち込まずに、土台の石に噛ませるように木材を組み上げることで、地震での倒壊を防いでいるんですよ」

一見、柱を地面に打ち込んだり、土台としっかり固定したりするほうが強度が増すように思いますが、あえて土台と柱を固定しないことで、地震があった際、土台からずれることはあっても、建物全体が倒壊することを防ぐことができるんだとか。

「なるほど。まさに先人の生きる知恵ですね!」
阿武さんのくわしい解説に感心しながら散策を続けます。
次に訪れたのが、白川郷の氏神様が祀られている「白川八幡神社」。毎年10月14・15日に、天下の奇祭とも呼ばれる「どぶろく祭」が行われるこの神社。アニメのモデルになったことでも有名なんだとか。
どこか凛とした空気が漂う神社。ぜひとも散策の際には立ち寄ってみてほしいスポットです。
続いてやってきたのは白川八幡神社から北へ100mほどのところにある「明善寺鐘楼門(みょうぜんじしょうろうもん)」。お寺の釣り鐘で、こちらにも茅葺屋根がついています。
▲明善寺鐘楼門

こちらは亨和2(1802)年、延べ1,425人を動員して建てられたもの。NHKのお正月番組「ゆく年くる年」での中継スポットとして、定番の場所なんだそう。
「裏手にある、明善寺横小路からの景色もおすすめですよ!」
白川郷でも、最も大きい合掌造りである、「明善寺庫裡(くり)郷土館」の全景が見える位置まで案内してもらいました。
▲明善寺庫裡郷土館の全景

巨大な合掌造りの全景を堪能できるスポットがこちら。田んぼに水が敷かれる5月ごろには、水田に合掌造りが逆さまに映り込む「逆さ合掌」も見ることができ、冬にはライトアップスポットにもなるそうです。

白川郷の風景に溶け込む、美しい花々も見どころ

白川郷の見どころは合掌造りだけではありません。都会ではなかなか見ることができない自然を観察してみるのも、オススメの楽しみ方です。
▲夏の白川郷の田園には、青々とした稲がびっしり

「稲の花って見たことありますか?」と阿武さん。
「えー!稲って、花が咲くものなんですか?」
「ちょうど今咲いていますよ。ほら、近くで見てみてください」
阿武さんに促され、まだ青々としている稲穂をよくよく見てみると、先の方に小さな白いツブツブが。
「この白いのが、稲の花。8月の午前中わずかな時間しか見ることができないので、知らない方も多いんですよ」
▲黄色く、太陽のように咲くひまわり

ほかにも、白川郷には、色とりどりの花々が集落の庭にたくさん咲いていて、風景に四季折々の彩りを加えています。
▲白色が美しく映える木槿(ムクゲ)
▲紫陽花もつつましく花をつけている

のどかな風景の中に、美しい花の姿を探してみてはいかがでしょうか。

目を見張る、白川郷の茅葺屋根・合掌造りの数々

集落東側を散策した後、西へと進み、数多くの重要文化財が点在するエリアへとやってきました。
▲5階建の合掌造り「長瀬家

こちらは、明治23(1890)年に建てられた白川郷で有名な合掌造り家屋のひとつ、長瀬家。500年以上前の作といわれる厳かな仏壇のほか、多くの美術品や生活用具などが展示されています。※開館時間9:00~17:00、大人300円(税込)、不定休
▲国の重要文化財にも登録されている「和田家

江戸時代末期に建てられたとされる和田家は、もともと役人だった一家の住んでいた由緒ある家であり、明善寺庫裡郷土館と並んで巨大な合掌造りです。屋内は1階と2階の一部が見学可能ですが、今回は外観の見学のみで、先に進むことに。※開館時間9:00~17:00、大人300円(税込)、不定休
▲和田家の裏手にある茅が群生している場所も見学
▲茅葺屋根に使用される茅の断面

これが茅葺屋根に利用されている茅。合掌造りでは、これらをなんと約1万束(大きさによって異なりますが、通常の民家の両屋根の場合)も利用して屋根を作るのだそう。量がすごすぎて、いまいち実感がわきませんが、すごく大変な作業であることはよくわかります。

夫婦やカップルが和やかなひとときを過ごす、白川郷

阿武さんに案内をしてもらっている間、印象的だったのは、観光している人たちの表情。こころなしか通り掛かる人たちはみな、すごくおだやかで、優しい顔をした人たちばかり。

これもまた、白川郷ののどかな風景が心を落ち着かせてくれるからこそ、自然に生まれる和やかさなのかもしれません。
▲道を歩いていると目に入る、仲睦まじく歩くカップルの姿
▲日本人以外にも、外国人観光客のカップル・ご夫婦などもたくさん
▲ひとりでのんびりとした時間を過ごすもよし
▲記念撮影を楽しむ学生さんたちの姿も
まるで、おとぎ話や昔話の世界にいるような気分にさせてくれる白川郷。観光客それぞれが、思い思いの時間をゆったりと過ごしていました。

合掌造りの名所、「神田家」の家屋内をガイドさんと巡る

合掌造りの家屋内がどんな構造になっているのか知るために、最後に「神田家」を案内していただくことに。

この「神田家」をはじめ、先程ご紹介した「長瀬家」や「和田家」など、白川郷のいくつかの家は、建物内を見学できるように公開されています(有料)。
▲神田家

阿武さんいわく、神田家は嘉永3(1850)年ごろに建てられたと推定されている4階建ての合掌造りで、江戸時代の生活ぶりを最も良く再現している家屋なのだそう。中の様子が楽しみですね!さっそく見ていきましょう。
▲いろりの煤(すす)で少し黒く染まっている居間。奥にある、立派な仏壇のある座敷では、囲炉裏の鉄瓶で沸かした野草茶をいただくことができる(入館者は無料)

中に入ると、荘厳な雰囲気のある居間が広がっています。真ん中にある巨大な囲炉裏では、火が年中絶えることなく焚かれているのだそう。
「神田家の床は、このように開くようになっているんですよ」と、阿武さん。
今回、特別に許可をいただき、床下を見せていただきました。
「この床下で、火薬の原料である『煙硝(えんしょう)』を作っていたんです」
阿武さんによると、白川郷産の火薬は、江戸時代に非常に重宝されていたんだとか。
こちらは使用人が住んでいたという2階の部屋。湾曲した木材を梁に利用することで、広い空間が確保されているなど、現代の有名建築家も唸る技がいっぱい。
「火見窓(ひみまど)からは囲炉裏の火が見え、ここからいつでも使用人が火の様子をうかがえるようになっているんです」

いたるところに、さまざまな工夫が凝らされていて、先人たちの知恵に感心しっぱなしです。
こちらは3階の部屋。当時、蚕がびっしりと飼われていたとのこと。現在は、蚕の世話をする道具や、糸を紡ぐための道具が展示されています。
神田家では、合掌造りの内部構造も詳しく見ることができるます。釘などが全く使われておらず、茅と木材と綱だけで作られているというから驚きです。
こちらは最上階の4階。3名ずつしか上がれないので、気をつけて梯子を上ります。
4階からは、ちょうど合掌造りの三角の頂点部分から景色を一望できます。
ここでガイドの阿武さんとはお別れ。阿武さんのていねいな説明により、白川郷の魅力や、神田家をはじめとする合掌造りの知識をすんなりと深めることができました。

みなさんも、ぜひとも白川郷観光ガイドサービスを利用してみてくださいね!

「白川郷いろり」で、特産の「合掌とうふ」の定食を味わう

時刻はちょうどお昼前に。お腹も空いたところで、お食事処「白川郷いろり」で一休みすることに。
「いろり」は、和田家の近くにあります。茅葺の家屋がそのままお食事処になっている、たいへん趣のあるお店です。
広々とした店内は木の温かみを感じる、素朴なつくり。座敷もあり、ゆっくりとくつろぐことができます。
「いろり」の名前のとおり、囲炉裏を囲んでお食事ができるテーブル席も。
接客してくださったのは、長年お勤めになっている長沢時子さん。なんとご年齢は2018年でちょうど80歳!とってもお元気な姿に、自然とこちらも笑顔が溢れます。
▲「焼とうふ定食」1,296円(税込)

定番の「焼とうふ定食」をいただきました。小鉢2種、おそば、ご飯、漬物がついています。白川郷特産の「合掌とうふ」を、鉄板でアツアツに焼いた定番料理です。
合掌とうふとは、この地域で作られているもめん豆腐のこと。ふつうのもめん豆腐よりも硬めの質感が特徴で、焼くとさらに独特の歯ごたえが楽しめるのだとか。

薬味をたっぷりと乗せて、自家製のたれにつけていただきます。
まず驚くのは、豆腐とは思えないしっかりとした弾力!ぷりっとして、とっても食べ応えがある食感です。そして、大豆の濃厚な風味とさっぱりとした自家製だれの相性もバツグン。ご飯にもよく合い、あっという間に平らげてしまいました。
▲「五平餅(味噌だれ・ごまだれ)」各250円(税込)

「いろり」では、店内でのお食事以外にも、幼い頃に食べたような、懐かしい味の五平餅などの軽食を露店で購入することもできます。美味しいおやつを片手に、食べ歩きするのも楽しいですよ。

白川郷の郷土料理の魅力を存分に楽しむことのできるお食事処いろり。とってもおすすめのお店なので、ぜひとも足を運んでみてくださいね!

白川郷を一望できる展望台からの景色は、まさに絶景!

ガイドの時間内には散策することができなかった、展望台についてご紹介しておきましょう。白川郷を一望できる展望台からの景色は、まさに絶景。
▲写真上部中央に見える施設が「天守閣展望台」

天守閣展望台までは、シャトルバスが9:00~15:40の間で、和田家の付近から出ています。徒歩でも20~30分程度で行けるため、山林も含めて散策したい方は、ハイキングがてら徒歩で行くのもオススメです。
シャトルバスならば、10分程度で天守閣展望台に到着。
天守閣展望台には記念撮影もできるバルコニーが設置されていて、白川郷の町並みが一望できます。
▲天守閣展望台から、白川郷を一望した風景

これぞまさに白川郷、日本人の心の原風景!
「飛騨高山まで来て良かった」と心から思える最高の景色が広がっています。
▲天守閣展望台からほど近い位置にある「荻町城跡(おぎまちじょうあと)展望台」
荻町城跡展望台は、天守閣展望台とは一味違って、森の中から集落を眺めるようなアングルに。徒歩5分ほどのところに隣り合っているので、双方からの眺めを見比べてみるのもオススメです!

白川郷の代名詞ともいえる「三つ子の合掌造り」へ

展望台から白川郷を一望し、最後に向かったのは「三つ子の合掌造り」。集落の中心地からは徒歩10分ほどの少し離れた南東にあります。
見渡す限りの田園風景が広がる中を進んでいくと、
そこに現れたのは、まさにあの有名な「三つ子の合掌造り」の姿。
「すごい!」と思わず声に出てしまうほどの美しい造り。規則正しく建てられていて、ほんとうに三つ子のように見えますね。
▲白川郷の思い出に、三つ子の合掌造りをパシャリと記念撮影

「日本人のこころのふるさと」。
そんな表現がしっくりくるような、誰もがどこか懐かしい、のどかな風景を楽しめる白川郷。思い出の時間を過ごしたいご夫婦やカップル、日頃の生活で疲れを感じている方なども、ぜひとも自然の息吹の中に足を運んで、癒されてみてはいかがでしょうか。
※桜や紅葉、雪景色の写真はすべて2017年以前のものです。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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