猛暑を吹き飛ばす指宿「唐船峡そうめん流し」。エンターテインメント性抜群の涼グルメを体感!

2018.08.19 更新

夏といえば、やっぱりそうめんですよね。そうめんをよりおいしく味わうために、「流しそうめん」を楽しむ人も多いと思います。でも、鹿児島県で夏の風物詩として定着しているのは、「流しそうめん」ではなく「そうめん流し」なんです。今回は鹿児島県民が愛してやまない、そして近年では観光客にも大人気のそうめん流しをご紹介します。

鹿児島ではポピュラーな「そうめん流し」とは?

鹿児島県独特の「そうめん流し」とは、ドーナツ型のそうめん流し器に水とそうめんを入れ、水流によってそうめんを流す方法です。流しそうめんだと、そうめんを流す人は食べることができません。でもこの「回転式そうめん流し」なら、テーブルを囲んでみんな一緒にそうめんを食べることができるんです。とても画期的ですよね!
現在は県内のあちこちにそうめん流しを楽しめる飲食店がありますが、回転式そうめん流し発祥の地は、温泉観光地としても有名な指宿(いぶすき)市にある「唐船峡(とうせんきょう)」というところです。ここには「市営唐船峡そうめん流し」「長寿庵 開聞唐船峡店」「鱒乃家(ますのや)」という3つのお店が入っていて、すべてそうめん流しの専門店です。
▲市営唐船峡の入口。階段を下ると3店舗が繋がっているので、どのお店の入口から入ってもOK

今回は、市営唐船峡と長寿庵を訪れました。最初に、最も古い歴史を持つ市営唐船峡をご紹介しましょう。
▲市営唐船峡の店内。広々とした空間に91台のそうめん流し器が並ぶ

この地に湧き出る名水を観光に活かそうと、旧開聞町(かいもんちょう/現在の指宿市)が1962(昭和37)年に「流しそうめん」を始めたのが創業のきっかけでした。その後、旧開聞町の助役(後の町長)が回転式そうめん流し器を発明し、唐船峡に導入したことで人気に火がつき、県内でそうめん流しが広く普及することになったのです。
▲この地に湧き出る水は「唐船峡京田湧水」として、環境省の「平成の名水百選」に選ばれている

そうめん流しは子どもにも大人気。筆者も幼い頃から夏になるとよく唐船峡を訪れていました。「トーセンキョー」という言葉は、鹿児島県民なら子どもでも皆知っています。現在、唐船峡の来場者数は市営だけでも年間約20万人。創業当初の目的は見事に達成されたといえます。

市営唐船峡の独自の注文システム

そうめん流しには独自のシステムがあります。市営唐船峡の場合はまず、食券売場で注文して、食券とレシートを受け取ります。
次に好きな席を選びます。市営唐船峡は2018年2月に一部屋内スペースをリニューアルしたばかり。ベビーチェアを借りることもできますよ。席を決めたら、座席番号を確認して食券受付窓口に行き、座席番号を伝えて食券を渡せばOKです。

そうめん流しの定番メニューをチェック

そうめん流しの定番メニューは、そうめんとおにぎり、マスの塩焼き、鯉こく(鯉の味噌汁)、鯉あらい(鯉の刺身)です。提携先で管理・養殖された鯉やマスはそのまま唐船峡の湧水へ。そのため鮮度抜群!水がきれいだから臭みもなく、とってもおいしいんです。
▲若い女性に特に人気の「ハーブ定食」(税込1,340円)

市営唐船峡では、これらがセットになった「A定食」(税込1,650円)と、鯉あらいなしの「B定食」(税込1,340円)が人気なのだそう。今回はマスの塩焼きの代わりにハーブ焼きがついた「ハーブ定食」をオーダーしてみました。
大自然の中、さっそくいただきまーす!そうめん流しに使う水はもちろん、調理に使うのも唐船峡の湧水。この湧水の水温は年間平均で13度ほどと冷たいため、うだるような暑さを吹き飛ばしてくれます。

また、屋外エリアにも屋根がついている上に、渓谷のひんやりとした風が通るので真夏でも涼しくて気持ちいいんですよ。

やさしい甘みにホッとする、門外不出のめんつゆ

鹿児島らしい少し甘めのめんつゆは、このお店でしか味わうことのできない特別なもの。利尻昆布や地元産の鰹節など、国産材料を使って創業時から50年以上同じ製法で作られています。そのレシピは門外不出で、限られたスタッフしか作れないという秘伝のめんつゆなんですよ。

使用するそうめんは、日本を代表するそうめんの産地・小豆島の「島の光」。オリジナルのめんつゆと相性の良いそうめんを求めて辿り着いたのが、「島の光」だったのだそう。

夏になると自宅でも頻繁にそうめんを食べますが、唐船峡のそうめんのおいしさは格別です。きれいな水や大自然の中でテーブルを囲むというすばらしい環境が、おいしさをより引き立ててくれているのは間違いありません。

より多くの人にそうめん流しを楽しんでほしいから

このように、そうめんをよりおいしく食べられるそうめん流しですが、「左利きの人は使いづらい」という弱点があります。通常のそうめん流し器は、右利きを想定してつくられていて、水が反時計回りに流れるようになっています。これだと左利きの人はそうめんをうまくキャッチできませんよね。

そこで市営唐船峡は、左利き用のそうめん流し器を導入しました。2段式になっていて、上部は時計回りに、下部は反時計回りに水が流れるようになっているので、左利きの人も右利きの人も同時にそうめん流しを楽しめるという優れもの!2018年7月現在は3台のみですが、今後増やしていく予定なのだそう。
▲市営唐船峡そうめん流しの原村誠さんは、指宿市役所の職員

そうめん流しのピークはお盆の時期。「お盆になると、1日2,500~3,000人ほどのお客様がいらっしゃいますよ」と原村さん。そうめん流しのテーブルが91台あり、一度に最大500名ほどのお客さんを収容できるにもかかわらず、大行列ができる人気ぶりなのです。

でも、市営唐船峡は年中無休なのが良いところ。冬はにゅうめんなど温かいメニューもあり、屋内エリアに座れば寒さもさほど気になりません。オンシーズンを逃してしまった方は、ぜひオフシーズンにそうめん流しを楽しんでみてくださいね。

子ども連れにうれしい座敷席が魅力の「長寿庵」

続いて訪れたのは、市営唐船峡の隣にある「長寿庵 開聞唐船峡店」。純和風の落ち着いた佇まいが魅力のお店です。
▲1階のテーブル席。そうめん流しは水際の席が人気
▲2階の座敷席は、開放的で和モダンな雰囲気が魅力

長寿庵の特徴は、そうめん流しでは珍しい座敷席があること。1階は屋根付きの半屋外の席ですが、2階には広々とした座敷席が広がります。さらに奥の半分にはエアコンが完備されており、子ども連れにはうれしい造りとなっています。座敷席は秋になると美しい紅葉も楽しむことができますよ。
長寿庵ではまず食券売場で食券を買い、好きな席に座るとスタッフが注文を取りに来てくれるので、そこで食券を渡せばOKです。追加で単品メニューやドリンクが欲しいときは、食券機で購入することもできます。
▲「長寿定食(梅)」(税込1,850円)

定食のメニューはそうめん、マス塩焼き、鯉こく、鯉あらい、おにぎりと市営のメニューとほぼ一緒です。長寿庵の場合は「長寿定食(特上)」(税込1,650円)が上記のメニューで、鯉あらいを抜いたものが「上」(税込1,340円)、ご飯ものが鱒寿司・せいろ・いなりから選べるのが「梅」となっています。
今回は「梅」を注文し、ご飯ものはせいろをチョイスしました。せいろは鶏の炊き込みご飯です。注文を受けてから調理してくれるので、できたてホヤホヤを楽しめちゃいます♪
鯉あらいは手づくりの酢味噌でいただきます。新鮮なプリっとした身に甘い酢味噌が相性抜群!お酒のおつまみにもぴったりです。
強めに塩を効かせたマスの塩焼きは、皮はパリッ、身はふっくらとした食感がたまりません。
鯉こくはダシが絶品!骨も丁寧に処理されていて、とても食べやすかったです。
長寿庵では、スタッフがめんつゆのボトルを冷水につけてくれます。そうめんが冷えていても、めんつゆがぬるいと台無し。でもこれならそうめんもめんつゆも冷え冷えなので、最後までおいしくいただけるんです。小さなことですが、この心配りがうれしいですね。

そうめん流しの厨房を見学!

500名以上の収容人数を誇る長寿庵。数多くの定食をどのように作っているのかを探るべく、特別に厨房を見学させていただきました。
長寿庵の厨房では、すべての蛇口の水が絶えず出しっぱなしになっています。ここで扱うのはそうめんや魚。水を出しっぱなしにすることで水温が低温に保たれ、品質や鮮度を落とすことなく調理できるというわけです。

店長の濵田孝一さんは、「働き始めた頃は慣れなくて、使うたびについ蛇口を閉めちゃってました」と笑います。確かに自宅では怒られそうな風景ですよね。でも唐船峡に湧き出る水は何と1日に10万トン!水が豊富だからこそできることなんですね。
魚も注文を受けてから捌きます。板前さんの見事な手さばきで、あっという間に鯉あらいが完成!
▲そうめんは茹で時間がとても重要なのだそう

そうめんは、長崎県・島原の製麺所に特注しています。繁忙期はいつもよりお客さんに提供するのに時間がかかることも計算して茹で時間を調整し、麺が伸びにくいように工夫しているそうです。
2017年のお盆のピーク時は3日間で約7,000人ものお客さんが訪れたそう。その際、使ったそうめんの量は2トンにものぼります。
長寿庵のめんつゆは、2階にある専用の厨房で毎日手作りしています。1967(昭和42)年の創業時から国産の材料を使って作り続けてきためんつゆは、唐船峡の湧水を使っているため、ここでしか作ることはできません。個人的には市営のめんつゆよりキリッとしたお味に感じました。
▲自家製めんつゆ(1本500ml・税込420円)

めんつゆは店舗でも買うことができます。めんつゆはそうめんだけでなく、さまざまな料理に使える万能調味料でもあるので、1本あると大活躍しますよ!

水が湧き出る池には水神様を祀る神社が!

唐船峡の水は、市営側入口のエレベーターの近くにある池から湧き出ていて、池の上に「川上神社」という神社があります。とっても小さな神社ですが、薩摩一の宮として有名な指宿の「枚聞(ひらきき)神社」の摂社で、「ミズハノメノカミ」という日本の代表的な水の神様が祀られているんですよ。

透明度の高い池には、鯉やチョウザメが気持ち良さそうに泳いでいました。来店の際は、ぜひこちらも見学してみてくださいね。
今回は、オンシーズン直前の平日に取材したにもかかわらず、ランチどきになると続々とお客さんが訪れ、その混雑ぶりに驚きました。夏季は、両店舗とも基本的には予約不可(長寿庵は20名以上なら予約可能)なので、ランチタイムを避けて来店するのがおすすめです。

また、市営の場合は「A・B定食」が10%オフになる前売券(10枚つづり)も販売しています。無期限で使える上に店舗のほか、指宿市役所や指宿市役所山川支所及び開聞支所でも購入できるそう。前売券を買っておくことで、食券を買うための行列に並ばずに済むので、ランチを楽しみたい人はぜひ利用してみてくださいね。

今回のそうめん流しの模様は動画でもお楽しみいただけます。ぜひご覧ください!

南国・鹿児島に涼を呼ぶそうめん流し。子どもから大人までアウトドア感覚で楽しめるエンターテインメント性の高い唐船峡グルメを、ぜひ堪能してみてください。
さわだ悠伊

さわだ悠伊

鹿児島市出身・在住のフリーライター。グルメ、旅、コラム等ジャンルや媒体を問わず活動中。鹿児島県内の離島取材も豊富。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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