カラフルそうめんの元祖!? 松山の「五色そうめん」を地元民オススメの贅沢な食べ方で!
2018.08.01 更新
夏に食べたい味といえば、そうめん。白いそうめんの中に色のついた麺を見つけると、なんだか嬉しくなりませんか?愛媛県松山市の郷土料理には、ぐっと華やかな五色のそうめん、その名も「五色(ごしき)そうめん」があります。色付きそうめんの元祖ともいわれる五色そうめんを、この夏、本場愛媛ならではの食べ方で味わってみませんか?

松山市の郷土料理「五色そうめん」とは、その名の通り五色のそうめん。赤は梅肉、緑は抹茶、黄色は鶏卵、茶は蕎麦粉と、全て人工着色料を使わない自然の色でできています。厳選した小麦粉を使って作り上げた、江戸時代からの伝統の製法を守る歴史あるそうめんなのです。
今回はこの五色そうめんを食べられるスポットをご紹介します。
今回はこの五色そうめんを食べられるスポットをご紹介します。
五色の彩りも鮮やかに、魚の王様・鯛とコラボ
やってきたのは松山市にある「郷土料理 五志喜(ごしき)」。松山中央郵便局の隣、伊予鉄道・大街道駅から徒歩6分ほどの市内の中心地にある、昭和42(1967)年から続く老舗です。

▲「郷土料理 五志喜」は重厚感があり歴史を感じさせる風情たっぷりの店構え
こちらは五色そうめんをはじめとした愛媛の郷土料理が食べられる店として、観光客のみならず地元の人にも人気があります。店名の「五志喜」も五色そうめんの「五色」が由来です。夏の食べ物の代表のようなそうめんですが、この店の五色そうめんは一年を通して味わえます。
こちらは五色そうめんをはじめとした愛媛の郷土料理が食べられる店として、観光客のみならず地元の人にも人気があります。店名の「五志喜」も五色そうめんの「五色」が由来です。夏の食べ物の代表のようなそうめんですが、この店の五色そうめんは一年を通して味わえます。

▲入り口を入ると天井から縄暖簾のように下がる五色そうめん。本物のそうめんなんですよ!
何はともあれ、早速五色そうめんをいただくことにしましょう。
おすすめは、松山の郷土料理で、この店の看板メニューでもある「鯛そうめん」です。
愛媛県はマダイの養殖生産量日本一、漁業漁獲量でも全国3位(農林水産省平成29年漁業・養殖業生産統計)。マダイは愛媛の県魚でもあります。魚の王様と言われる鯛ですが、愛媛県民にとっては大変身近な魚です。
「鯛そうめん」は「鯛めん」と称されることもあり、愛媛県の中でも特に中央から南にかけての地域でよく食べられる料理。おめでたい席にはつきものですし、普段の家庭の食卓に登場することもあります。
何はともあれ、早速五色そうめんをいただくことにしましょう。
おすすめは、松山の郷土料理で、この店の看板メニューでもある「鯛そうめん」です。
愛媛県はマダイの養殖生産量日本一、漁業漁獲量でも全国3位(農林水産省平成29年漁業・養殖業生産統計)。マダイは愛媛の県魚でもあります。魚の王様と言われる鯛ですが、愛媛県民にとっては大変身近な魚です。
「鯛そうめん」は「鯛めん」と称されることもあり、愛媛県の中でも特に中央から南にかけての地域でよく食べられる料理。おめでたい席にはつきものですし、普段の家庭の食卓に登場することもあります。

▲鯛が一尾まるごと盛られた豪華な「鯛そうめん(姿身)」(1,680円・税込)
これが「鯛そうめん」です。大皿の上に、海の白波に見立てたそうめんを敷き詰めた(あるいはくるくると丸めた)上に、煮付けた尾頭付の鯛を泳いでいるかのように盛り付けます。
まるで瀬戸内海を鯛がピチピチと飛び跳ねているように見えませんか?
ここ「五志喜」では、瀬戸内の天然小鯛を、身が崩れないように一度焼いてから甘辛い醤油ダレで煮込んでいます。
これが「鯛そうめん」です。大皿の上に、海の白波に見立てたそうめんを敷き詰めた(あるいはくるくると丸めた)上に、煮付けた尾頭付の鯛を泳いでいるかのように盛り付けます。
まるで瀬戸内海を鯛がピチピチと飛び跳ねているように見えませんか?
ここ「五志喜」では、瀬戸内の天然小鯛を、身が崩れないように一度焼いてから甘辛い醤油ダレで煮込んでいます。

▲色鮮やかな五色の麺が見えます

▲薬味の生姜、山菜、錦糸卵、わかめをめんつゆに投入

▲まずは五色そうめんそのものを、しっかり味わってみましょう
ツルツルと滑らかな食感に、細いそうめんながら、しっかりとしたコシが感じられます。
そうめんはその日の天気、気温や湿度によって、塩水濃度や加水率が変化する繊細な食品。職人のカンを頼りに、江戸時代から続く伝統の製法を守りながら、最新の設備を用いて作り上げられるのだそう。丁寧に作られた五色そうめんならではの食べ応えです。
次に、皿の上で躍動感たっぷりの鯛も、そうめんと一緒に味わいます。
ツルツルと滑らかな食感に、細いそうめんながら、しっかりとしたコシが感じられます。
そうめんはその日の天気、気温や湿度によって、塩水濃度や加水率が変化する繊細な食品。職人のカンを頼りに、江戸時代から続く伝統の製法を守りながら、最新の設備を用いて作り上げられるのだそう。丁寧に作られた五色そうめんならではの食べ応えです。
次に、皿の上で躍動感たっぷりの鯛も、そうめんと一緒に味わいます。

▲鯛の身をほぐして、麺と一緒につゆの中へ

▲薬味もたっぷり、鯛の身もたっぷりの贅沢なそうめんです
鯛の旨みが、シンプルなそうめんに深い味わいをプラスします。めんつゆは鯛を煮付けた煮汁がベースなので、かなり濃いめの甘辛味ですが、さすが愛媛が誇る自慢の鯛です。鯛そのものの味も負けていません。互いに引き立て合い、そうめんや薬味と混然一体となり絶妙な味わいを生み出しています。
鯛の旨みが、シンプルなそうめんに深い味わいをプラスします。めんつゆは鯛を煮付けた煮汁がベースなので、かなり濃いめの甘辛味ですが、さすが愛媛が誇る自慢の鯛です。鯛そのものの味も負けていません。互いに引き立て合い、そうめんや薬味と混然一体となり絶妙な味わいを生み出しています。

▲添えられたカツオ昆布出汁で、めんつゆをお好みの濃さに薄めることもできます
暑い夏の日に簡単に済ませる食事、といった淡白な印象のそうめんが、一気に「ご馳走」の域に!
どんどん箸が進み、あっという間にツルツルと平らげてしまいました。
暑い夏の日に簡単に済ませる食事、といった淡白な印象のそうめんが、一気に「ご馳走」の域に!
どんどん箸が進み、あっという間にツルツルと平らげてしまいました。
五色そうめんと愛媛の味を色々一緒に味わう
もう一品、お得なランチのセットメニュー「五色そうめんランチ」もご紹介しましょう。
地元の人がちょっとお昼を、などという時にも人気のメニューです。
地元の人がちょっとお昼を、などという時にも人気のメニューです。

▲「五色そうめんランチ」(900円・税込)は、みかん寿司、じゃこ天、日替わりの小鉢に釜揚げちりめんサラダまでついています

▲こちらももちろん五色そうめんの鮮やかな色が
そうめんは温・冷をお好みで選べ、今回は冷たい方を選びました。どちらも同じく写真のように、ネギや生姜など薬味の他に、鶏肉やエビなどたっぷりの具材が乗った豪華バージョン。
出汁はカツオ昆布の効いたすっきりとした味で、スルスルと喉を通って行きます。
みかん寿司はこの店オリジナル。みかん果汁と酢を混ぜて作る寿司酢が爽やかな風味をもたらし、小さく刻み込まれたみかんの果皮が、ちょと苦味を加えながらみかんの香りを一段とアップさせます。
そうめんは温・冷をお好みで選べ、今回は冷たい方を選びました。どちらも同じく写真のように、ネギや生姜など薬味の他に、鶏肉やエビなどたっぷりの具材が乗った豪華バージョン。
出汁はカツオ昆布の効いたすっきりとした味で、スルスルと喉を通って行きます。
みかん寿司はこの店オリジナル。みかん果汁と酢を混ぜて作る寿司酢が爽やかな風味をもたらし、小さく刻み込まれたみかんの果皮が、ちょと苦味を加えながらみかんの香りを一段とアップさせます。

▲愛媛ならではの、みかんが香る「みかん寿司」には、コハダやエビ、甘く煮付けられた穴子など魚介がたっぷり
ちりめんじゃこも、じゃこ天も、愛媛県の名産品ばかり。愛媛の味を少しずついろいろと味わうにもぴったりなセットです。
お店はテーブル席や座敷席、大勢で一緒に食卓を囲める個室などもあり、様々なシーンで使うことができます。
ちりめんじゃこも、じゃこ天も、愛媛県の名産品ばかり。愛媛の味を少しずついろいろと味わうにもぴったりなセットです。
お店はテーブル席や座敷席、大勢で一緒に食卓を囲める個室などもあり、様々なシーンで使うことができます。


▲1Fにテーブル席、2Fには畳席や掘りごたつ式の席と個室もあり広々
五色そうめんの歴史をひもとく

▲くっきり五色の色鮮やかなそうめん
五色そうめんの発祥には、こんな逸話が語り継がれています。
寛永12(1635)年、松平定行公の松山赴任に従って、長門屋市兵衛という人が松山へ移り住み、そうめんの商いを始めました。以来松山の地でそうめんを作り続け、時は享保7(1722)年。ある日、8代目市左衛門の娘が椿神社へお参りに行った際、美しい五色の糸が下駄に絡みついたのを見て、「そうめんに色をつけては」と思いつきました。
五色そうめんの発祥には、こんな逸話が語り継がれています。
寛永12(1635)年、松平定行公の松山赴任に従って、長門屋市兵衛という人が松山へ移り住み、そうめんの商いを始めました。以来松山の地でそうめんを作り続け、時は享保7(1722)年。ある日、8代目市左衛門の娘が椿神社へお参りに行った際、美しい五色の糸が下駄に絡みついたのを見て、「そうめんに色をつけては」と思いつきました。

▲松山にある商売繁昌の神様「椿神社」こと「伊豫豆比古命(いよずひこのみこと)神社」
娘からの提案を受けて、市左衛門は苦心の末、ベニバナやクチナシを使ってそうめんに着色。ついに五色そうめんが誕生したのです。美しい五色そうめんは市中で評判になり、藩主の耳にまで届くと、8代将軍吉宗との謁見の折に松山名物として五色そうめんを献上。評判はさらに広まり、ついには朝廷にまで献上されたのだそうです。
五色そうめんは多くの文化人にも愛され、近松門左衛門や松山出身の俳人・正岡子規も俳句に読むほどでした。
娘からの提案を受けて、市左衛門は苦心の末、ベニバナやクチナシを使ってそうめんに着色。ついに五色そうめんが誕生したのです。美しい五色そうめんは市中で評判になり、藩主の耳にまで届くと、8代将軍吉宗との謁見の折に松山名物として五色そうめんを献上。評判はさらに広まり、ついには朝廷にまで献上されたのだそうです。
五色そうめんは多くの文化人にも愛され、近松門左衛門や松山出身の俳人・正岡子規も俳句に読むほどでした。

▲五志喜の2F座敷に書かれた正岡子規の句「文月のものよ五色の糸そうめん」。7月の味として夏に故郷から取り寄せた五色そうめんが秋に届いた、として詠んだ句だそう

▲愛媛のお座敷小唄「伊予節」にも、松山名物として「おとに名高き五色そうめん」と唄われています
着色は時代を経て、ベニバナやクチナシから梅肉や抹茶に変わりましたが、これらを練りこみながらつくる手延べそうめんの製法は難しく、研究を重ね、いくつもの工程を積むことで生まれる努力の賜物なのだそうです。歴史と伝統が息づく名品なのですね。
着色は時代を経て、ベニバナやクチナシから梅肉や抹茶に変わりましたが、これらを練りこみながらつくる手延べそうめんの製法は難しく、研究を重ね、いくつもの工程を積むことで生まれる努力の賜物なのだそうです。歴史と伝統が息づく名品なのですね。

▲「五志喜」ではそうめんの販売もしているのでお土産にぜひ!

▲子供にも人気の、クレヨンを模した7色のそうめん「いろいろそうめん」(972円・税込)も、色は全て自然素材

▲「五色そうめんクッキー」(200円・税込)はピリッと胡椒味
色つきのそうめんが誕生した地ともされる松山で、鯛そうめんなど、愛媛のさまざまな味覚と一緒に五色そうめんを味わってみてくださいね。旅のお土産にも夏は特に、おすすめですよ。
色つきのそうめんが誕生した地ともされる松山で、鯛そうめんなど、愛媛のさまざまな味覚と一緒に五色そうめんを味わってみてくださいね。旅のお土産にも夏は特に、おすすめですよ。
郷土料理 五志喜
愛媛県松山市三番町3-5-4
[営業時間]11:00~15:00(L.O.14:30)、17:00~23:00(L.O.22:30)※12月31日は17:00まで
[定休日]1月1日、その他不定休
089-933-3838
夏だけの期間限定!そうめん流しで五色そうめんを
そうめんといえば夏の風物詩。ということで、続いては五色そうめんを冷たいそうめん流しで味わえる場所をご紹介しましょう。松山市の中心地から車で約1時間10分の東温(とうおん)市上林にある、「上林水の元(かみはやしみずのもと)そうめん流し」です。
澄んだ空気と湧き水が、夏の暑さを忘れさせてくれるような場所です。涼やかな大自然の中で味わう五色そうめんはより一層味わい深く、休日には行列ができるほどの人気です。
毎年7月最初の週末(土曜または日曜)から8月最後の日曜までの期間限定で楽しめますよ。
澄んだ空気と湧き水が、夏の暑さを忘れさせてくれるような場所です。涼やかな大自然の中で味わう五色そうめんはより一層味わい深く、休日には行列ができるほどの人気です。
毎年7月最初の週末(土曜または日曜)から8月最後の日曜までの期間限定で楽しめますよ。

▲山からの冷たい湧き水で冷やされた五色そうめんが流れてきます
手作りの出汁に、ネギ、玉ねぎ、ミョウガ、シソ、ワサビとたっぷり5種類用意された薬味を入れて味わいましょう。
数量限定で用意される炊き込みご飯と柏餅も、すぐ売り切れるほどの人気。運良く購入できれば、ぜひご賞味のほど!
手作りの出汁に、ネギ、玉ねぎ、ミョウガ、シソ、ワサビとたっぷり5種類用意された薬味を入れて味わいましょう。
数量限定で用意される炊き込みご飯と柏餅も、すぐ売り切れるほどの人気。運良く購入できれば、ぜひご賞味のほど!
上林水の元そうめん流し
愛媛県東温市上林水の元
[営業期間]2018年7月1日(日)~8月26日(日)
[営業時間]10:00~16:00(L.O.15:30)
[定休日]台風、大雨時 ※小雨は営業
[料金]大人(中学生以上)600円、小学生300円、3歳以上200円(全て税込)
090-1172-5308(営業期間中の8:00~17:00)
近くにあるおすすめ観光スポットもご紹介しておきますね。

▲そうめん流しから車で5分ほどのところにある「上林森林公園」から道後平野を見下ろす
「上林水の元そうめん流し」から林道をさらに行くと「上林森林公園」があります。四国最高峰の石鎚山へと連なる山、皿ヶ嶺への登山口一帯を整備した広大な森林公園です。木々に囲まれた遊歩道や休憩スペースなどもあり、森林浴にも最適。公園内は水の森・光の森・風の森の3つのエリアがあります。
「上林水の元そうめん流し」から林道をさらに行くと「上林森林公園」があります。四国最高峰の石鎚山へと連なる山、皿ヶ嶺への登山口一帯を整備した広大な森林公園です。木々に囲まれた遊歩道や休憩スペースなどもあり、森林浴にも最適。公園内は水の森・光の森・風の森の3つのエリアがあります。

▲「上林森林公園」内にある「風穴(かざあな)」
中でも風の森エリアにある「風穴」は、その名の通り、岩穴から四季を通して風が吹き出していて、夏になると外気との温度差のため周囲に霧が発生して、神秘的な雰囲気が漂います。
その他では見られない光景と天然のクーラーのような清涼感に、たくさんの人が涼を求めて集まります。そうめん流しに訪れたら、ぜひ風穴にも行ってみてくださいね。
中でも風の森エリアにある「風穴」は、その名の通り、岩穴から四季を通して風が吹き出していて、夏になると外気との温度差のため周囲に霧が発生して、神秘的な雰囲気が漂います。
その他では見られない光景と天然のクーラーのような清涼感に、たくさんの人が涼を求めて集まります。そうめん流しに訪れたら、ぜひ風穴にも行ってみてくださいね。
風穴(上林森林公園内)
愛媛県東温市上林乙896-24
入園自由・無料
089-964-4414(東温市役所産業創出課)
いかがでしたか?夏の涼しいグルメの代表ともいえるようなそうめん。鮮やかな色付きのそうめんでちょっとハッピーな気分になりながら、夏の味覚を楽しみに、ぜひ愛媛を訪れてくださいね!

矢野智子
愛媛県在住。愛媛県出身ながら高校卒業後ほとんどの時間を県外で過ごした後、生活の拠点を愛媛に定めた現在、改めて気付く地元の魅力に感動しきり。 人生を豊かにするものは「食」と「読」と信じ、そこに情熱を傾ける日々。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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