ぷるんと大粒、じゅわ~っと濃厚!天然「岩牡蠣」の産地・笹川流れで、夏の旬を味わう!

2018.08.09 更新

海のミルクともいわれる、牡蠣。日本で流通する牡蠣は、冬に旬を迎える「真牡蠣」と夏に旬を迎える「岩牡蠣」の2種類に分けられます。一粒が大きく、ジューシーな味わいが特徴の岩牡蠣。新潟県最北端にある笹川流れでは6~8月に最盛期を迎えます。今回は地元に昔から根付くお店で、新鮮な岩牡蠣を堪能してきました。

岩場だからこそ育つ、大ぶりの岩牡蠣

一般的に真牡蠣よりも大きく、厚みもあると言われる岩牡蠣。岩礁について生息すること、殻が岩のようにゴツゴツしているといった理由で「岩牡蠣」と名付けられたとか。6~8月に旬を迎えることから「夏牡蠣」とも呼ばれています。
殻の縞模様は、木の年輪と同じで何年生きたかを表し、なかには殻長10cm、殻高20cmを超える大型の牡蠣も存在します。
そんな岩牡蠣の産地は新潟県内にも佐渡や糸魚川などがありますが、なかでも粒が大ぶりで濃厚と評判なのが、今回訪れる「笹川流れ」です。
▲日本海の荒波が形づくった「笹川流れ」の岩礁は、眼鏡岩や恐竜岩などと呼ばれ親しまれています

JR新潟駅からは特急列車を乗り継ぎ約1時間30分。新潟県最北端にある「笹川流れ」は、約11kmにもおよぶ岩場が続く景勝地。国の名勝天然記念物にも指定されています。

そして、この岩場が複雑な潮の流れを生み、豊かな海の幸を育んでいます。岩牡蠣もそのひとつ。
▲ふっくらとした身が特徴の、笹川流れの岩牡蠣

笹川流れの岩牡蠣は、身が大きく、味が濃厚。その理由は山にあります。笹川流れを含む村上市山北地域は、朝日連峰を中心に山が多いエリア。冬には雪が降り積もり、春になると山にしみ込んだ雪解け水が海へと注ぎ込みます。そのミネラルが豊富な水を吸い込み、岩場が多い笹川流れに生息することで、岩牡蠣はより大きく育つのです。

牡蠣料理には、カキフライや焼き牡蠣、蒸し牡蠣など多くの調理方法がありますが、旬の時期に笹川流れの大振りの牡蠣を美味しく食べるには、やはり生で食べるのが一番!産地だからこそ味わえる生食で、笹川流れの牡蠣を堪能しましょう!

店主自ら素潜りも!岩牡蠣定食が自慢の「民宿・食堂 ちどり」

やってきたのは、JR桑川駅の目の前にある、「民宿・食堂 ちどり」。40年以上にわたり、岩牡蠣をはじめとする笹川流れの海の幸を提供し続けてきました。
▲海の幸が豊富な4~9月は、民宿としても営業

ここで提供される岩牡蠣は、全て笹川流れで漁獲された新鮮な大ぶりの天然物のみ。店主自ら潜って獲ることもあるそう。

「仕込みを見せて欲しい」とお願いすると快諾。調理場に入り、牡蠣の殻を開ける様子を少し見せてもらいました。
▲岩牡蠣の殻の剥き方を教えてくれる店主・大沼さん

ゴツゴツした岩牡蠣を握り、ハンマーでヒビを入れ、できた隙間に包丁を差し込み殻を開きます。そしてすぐ真水で洗って氷水にくぐらせるのがちどり流。
2000年頃までは、「下駄牡蠣」と呼ばれる今の倍以上の大きさの岩牡蠣が主流だったそうで、「当時は牡蠣の殻が固く、ハンマーでヒビを入れることすら大変だった」と教えてくれました。
▲お店の目玉メニュー「岩がき定食」一人前1,800円(税込)。時期により、品目は異なります

多くの店舗が岩牡蠣を単品で提供する中、ちどりでは定食で提供。魚の煮付けや貝類などの海の幸と、枝豆やとうもろこしなど季節の野菜とともに旬を味わえます。
こだわりは大ぶりの岩牡蠣を3個提供すること。この数は先代のときから変わらないそう。気になるのは一緒についてくる酢味噌ダレ。牡蠣に酢味噌をつけるイメージはありませんが、どのような味になるのでしょうか?
▲表面の光沢が美しい岩牡蠣

まずは定番のレモンをしぼっていただきます。
一口で食べるには大変なほど大きな岩牡蠣。何とか口に入れると、磯と爽やかなレモンの香りが鼻を抜けます。ゆっくりとひと噛みすると、じゅわ~っと濃厚なエキスが口いっぱいに広がります。それから噛めば噛むほど、どんどんとエキスが溢れてきて、口の中に収めるのが大変なほど!
こんなに濃厚でクリーミーな牡蠣は初めて食べました。
▲約10cmのかなり大ぶりの岩牡蠣。箸で持っただけで、身の重さがわかります

と、ひとつ食べ終えたタイミングで、気づいたことがありました。
「あれ?今まで食べてきた牡蠣に比べて、独特の苦味が少ないような気が?」
お話を伺うと、笹川流れの岩牡蠣は一般に出回る牡蠣よりもクセが少ないそう。今まで牡蠣が苦手だった人でも「美味しかったです」と言って満足して帰る方もいらっしゃるといいます。
▲笹川流れ周辺でも、酢味噌ダレで提供するお店はほとんどないそう

次に、ちどり自慢の酢味噌ダレと一緒にいただきます!

う~ん!酸味はもちろん、味噌の塩辛さと砂糖の甘さが合わさることでまろやかな味わいに。酢味噌が牡蠣の苦味を消してくれるようです。初めての組み合わせでしたが、「もっと食べたい!」と思ってしまうほどクセになる味でした。
▲ふっくらとして優しい味わいのアカガレイの煮付け

牡蠣を存分に堪能したところで、他の料理も頂いてみましょう。取材日にいただいた季節の魚はアカガレイ。魚本来の甘みが存分に引き立つ醤油とみりんの味付け。身もホロホロで、口のなかに入れるとすっと消えていってしまうほどです。

他にもバイ貝やもずくなど、お盆の上に小鉢が所狭しと並んでいます。ただ単に牡蠣を食べるだけでなく、新潟の海産物や野菜を味わえるのは嬉しいですね!

ちどりで提供するこだわりの米は、岩船産のコシヒカリ。日本名水100選にも選ばれた「吉祥清水」で育てたお米です。コシのあるごはんで一粒ひと粒が甘い!
▲「笹川流れの岩牡蠣は全て素潜りで漁獲しているんです」と大沼さん

笹川流れで岩牡蠣を獲る海人(あま)は、おおよそ20名。そのうち女性の海女は2名だといいます(2018年7月時点)。「牡蠣を獲りすぎて海の生態系が崩れないように、1日当たりの漁獲量の制限を設け、笹川流れを守っているんです」。

そんな海人としても活躍する大沼さんがいる、「民宿・食堂 ちどり」。海の幸にこだわるお店で、新鮮な岩牡蠣をぜひ一度堪能してみてください!

手軽に岩牡蠣を楽しむなら「道の駅 笹川流れ」夕日会館へ

次に向かったのは、JR桑川駅に併設する「道の駅 笹川流れ」夕日会館。笹川流れの夕日をテーマとした観光拠点施設です。施設内には、笹川流れの観光案内所やお土産品の販売、レストランやカフェといった飲食店が設けられています。
▲景色を楽しむため、二階は大きなガラス張り

こちらでは、2階の「夕日レストラン」で岩牡蠣をいただくことができます。
▲夕日レストランで提供する「岩牡蠣・単品」880円(税込)

さっそくオーダーし、運ばれてきたのは、殻付きの岩牡蠣2個。艶やかな牡蠣が食欲をそそります。まずはレモンをかけて。
さっぱりした酸味とコクのある牡蠣がやはり合います!

次は、ぽん酢にもみじおろしと刻みねぎを入れて、いただきます!クリーミーな牡蠣ともみじおろしのピリッとした辛味が絶妙にマッチ。濃厚な牡蠣のエキスが優しい味わいに。じっくりと噛んで味わっていたつもりですが、美味しさのあまり2個の大ぶりの牡蠣をあっという間に完食してしまいました!
▲一面の景色を眺められるのは、ここだけ

夕日レストランのある2階には、美しい笹川流れを望む屈指のビューポイント「サンセットブリッジ」があります。高い位置から笹川流れを一望でき、さらに天候が良い日には水平線の先に粟島や佐渡島を望むこともできます。
▲木目調の壁がかわいらしい1階のカフェコーナー「Café R sum 45」

ここで人気なのが「日本海ソフトクリーム」。その名の通り、日本海をイメージさせるような鮮やかな水色のソフトクリームです。
▲バニラ味のなかに、しっかりと塩の味が!夏場の塩分補給にも良さそうです
▲笹川流れの塩や「岩船麩」など現地ならではのお土産品の販売も(9:00~17:30)
▲日の沈む頃になると、あたり一面が夕焼け色に染まります

気軽に味わうことのできる、夕日レストランの岩牡蠣。条件が合えば、美しい夕日を見ながら、食事を楽しむこともできますよ。
6~8月の3カ月限定で漁獲が可能となる、笹川流れの岩牡蠣。この時期にしか食べられない、身が大きく、濃厚な味わいの牡蠣をぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。
長谷川円香

長谷川円香

ライター。新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」参加ライター。広告会社にて勤務後、フリーランスに転向。「暮らすような旅」をモットーに地域に住む人・日常も含めて伝えることを目標にしている。 編集:唐澤頼充

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