名古屋の味「ひつまぶし」を老舗「あつた蓬莱軒」で味わい尽くす!

2018.12.07 更新

明治6(1873)年に料亭として創業して以来、140年以上も名古屋の味としてその歴史を守り続けた老舗「あつた蓬莱軒」。ここの「ひつまぶし」を味わうことなく、名古屋を語ることはできませんよね~。

雅趣に富む外観は料亭としての風格をそなえ、手入れされた庭に打たれた水が、日本の風情を感じさせます。

熱田は、かつて熱田社を中心とした門前町として栄え、江戸時代には東海道五十三次の宿場町として賑わっていたところ。
この地に料亭として創業した当時は、懐石料理だけでなく、“うなぎ丼”の出前注文がとても多かったのだそう。

ところが、出前持ちが空になった器を下げに行く度に丼を割ってしまうので、2代目店主は頭をかかえていました。
そのことを女中頭に相談すると、「おひつに入れてはどうでしょう?」
炊きあがったご飯を入れる木のおひつに、人数分の鰻丼を入れて出前をすれば、器が割れるのを心配することもない。
ということで、大きなおひつに「うなぎ丼」を入れて出前をするようになったのだそう。

でも、今度は皆がうなぎばかりを取ってご飯が残ってしまい、2代目店主と女中頭は、どうしたものかとまたまた思案に暮れました。
「そうだ! うなぎを細かく切ってご飯に混ぜてしまおう!」

これが、ことのほか好評だったことから、会席料理の食事としても出すことに。
ここに「元祖ひつまぶし」が誕生したというわけです。
大きなおひつでうなぎとご飯をまぜる(まぶす)というのが「ひつまぶし」の名前の由来だったんですね。
▲玄関では和服姿の若女将がお出迎え

職人による匠の技の集大成

うなぎの鮮度を損なわないよう、わずか数秒でさばく“包丁技”。
ふっくら焼き上げるために欠かすことのできない“串打ち”。
そして備長炭の炭火で芳ばしく仕上げる“焼き”。
どれもが熟練の腕を持ち合わせてこそ成せる技。
「あつた蓬莱軒」の「ひつまぶし」は、その技の結集によって生みだされる至極の料理なんです。
▲うなぎから片時も目を離すことなく、串が打たれたうなぎを操る“焼き”の職人
たとえば、この“焼きの技”。
一人前になるには10年以上もかかるのだそう。
職人さんいわく「火加減や焼き具合は、うなぎが教えてくれるんですよ」。

ひとつのおひつから奏でる、味の変化を楽しんで

蓋を取る瞬間って、ワクワクしますよね。
両手を添え、そっとおひつの蓋を持ち上げます。
▲ひつまぶし 3,600円(税込)
「わーぉ!」
鼻に飛び込んでくる芳ばしい香り。
この焼き色が食欲をそそりますね~。
フワ~っと立ち上る芳ばしい香りの湯気に、思わず顔を突っ込みたくなってしまいます。
「艶々ですよ~!」
身にまとう照りは、創業当時から継ぎ足し、受け継がれた秘伝のたれ。
140年分の旨みがとけ込んだたれは、歴史の重みがちがいます。
「まずは4等分して、4分の1をお茶碗によそい、そのままお召し上がりください」
と仲居さん。
期待を裏切らないこのふくよかな身と、しっかりと焼き目のついた皮のコントラストがパーフェクト!
香りとともに口のなかへ…。

表面はサクッ! 中はふんわり!
「う~ん!」
体をよじりながら足をじたばたさせてしまうほどの美味しさ。
「しあわせ~!」

備長炭の中でも最高級のものを使い、安定した火力でじっくりと焼き上げたうなぎは、食感もお味も格別です。

蒸さずに焼く関西風の調理法なので、サクッと噛んだあとに、チュワ~ンとにじみ出るうなぎのうまみがストレート。
そのうえ少し甘めのしっかりとしたたれが、芳ばしさと合わさり絶妙な味わいに。
「つぎの4分の1は、薬味をお好みで乗せて召し上がってみてください」
と促されるまま、ネギ、きざみ海苔、わさびを乗せて2杯目をいただきます。

なるほど。それぞれの香りが絡み合い、深い味になりました。
鼻にツンとぬけるわさびの香りが、うなぎの甘みを引き立てながらも、さっぱりとした後味に。
「つぎの4分の1は、出汁をかけて召し上がってください」とのこと。

熱々の出汁をそそぎ、お茶漬けのようにサラサラっと口に運びます。
これは驚きです。
上品な出汁のうまみがうなぎと調和して、まったく新しい美味しさを引き出しています。
これまた新鮮。パンチの効いたうなぎの迫力から一転、とっても優しい味になりました。

最後の4分の1は一番気に入った食べ方でいただくのだそう。
ちなみに私は、残りの4分の1を3等分にして、もう一度3種類の味を楽しむことに。

ボリュームたっぷりの「ひつまぶし」ですが、味の変化を楽しみながら、最後まで夢中で食べ尽くしてしまいました。
連日行列の絶えない人気店「あつた蓬莱軒」で、名古屋の歴史を感じながら、至極の味覚を堪能してはいかがでしょう。
Yukitake

Yukitake

三重の雑誌「Edge」をはじめ、さまざまな雑誌・情報誌において、グルメ・観光などの記事を執筆。女性目線の取材とソフトな文体を大切にしています。

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