江戸前すしを自分で握る!?築地場外市場ツアーは新発見の連続だった!

2018.11.30 更新

日本最大級の卸売市場として83年間にわたって使用されてきた築地市場。2018年10月6日に市場の営業は終了しましたが、場外市場は現在も存続しており国内外の観光客で賑わっています。そこで今回は、プロのガイドさんに築地場外市場の見どころを案内してもらいながら、握りすし体験まで楽しめるツアーに参加してきました!

築地の歴史から学べる!築地場外市場ガイド&握りすし体験ツアー

平日の朝8時過ぎに訪れたのは、東京メトロ・築地駅2番出口から徒歩3分ほどの築地KYビル2階にある「築地インフォメーションセンター」。築地に関する「見たい」「知りたい」「食べたい」「買いたい」情報を発信する築地の総合案内所です。
こちらのセンターには、要望に合わせて築地案内をしてくれるコンシェルジュが常駐。お土産コーナーやレストランなども併設されています。さらに、築地で行える体験を交えた各種ツアーを開催。今回は数あるツアーの中から、「築地場外市場ガイド&すし屋で握りすし体験」に参加してきました!
場外市場を見学する前に、まずは同階にある説明会場で、築地市場の歴史について学びます。この日のガイドは、築地の歴史から現在の築地の魅力まで知見が広いベテランの方です。
ガイドさん「築地市場が開設された1935(昭和10)年以前、この一帯には54にも及ぶ神社仏閣がありました。じきに商店が進出し、第二次世界大戦を経て市場の周辺に商店街(場外市場)が形成されていきましたが、今でも3軒ほどの神社や寺院が残っています。ツアーではこれらの神社仏閣へ案内させてもらいます」
市場の歴史を学んだ後は、築地市場の1日について紹介したDVD映像を鑑賞します。築地市場の1日の始まりや、マグロの競りの流れまで、今まで知らなかった情報が満載。現在はこの一連の流れが豊洲市場で行われているのか…と、つい見入ってしまいます。
ガイドさん「活魚と言われる高級魚の競りには誰でも参加することができます。競りに出される活魚たちは、死後硬直を遅らせるために、“神経締め”という処置が行われています。これによって鮮度が長持ちする効果があるんです」

熟練された職人の技がいたるところで発揮されている市場の仕事。場内の風景映像と合わせて、わかりやすく解説してもらいました。
10分ほどの説明を受けた後は、「築地インフォメーションセンター」に併設された「築地よりみち館」に移動。こちらでは、江戸から明治にかけての築地の風景を描いた錦絵の複製画を展示しています。この複製画を見ながら、どのようにして築地が拓かれていったのかを解説していただけます。歴史好きには生唾ものではないでしょうか。

場外市場で、新鮮な魚介類を目の当たりにして大興奮!

築地市場の歴史を学んだところで、いよいよ築地の場外市場の探索へ出かけます!
この場外市場には、鮮魚店や雑貨屋、飲食店など400をも超える店舗がひしめいています(2018年11月現在)。1990年代後半からは場内に出入りする仲買人だけでなく、一般の人も来訪するようになり、多くの人々で賑わいを見せるようになったのだとか。
店舗が向かい合う通りへと進んでいくと、さらに活気が増していきます。最近では英語表示の看板も増え、出来立ての玉子焼きや店頭で作る串焼きを食べ歩きしている観光客も目立ちます。
場外市場には、今朝獲れたばかりの艶やかで色鮮やかな魚介類が目白押し。良質な魚介類を手軽に手に入れることができるのが場外市場の魅力のひとつです。
ガイドさん「築地場内は豊洲に移転しましたが、個人の私有地でもある場外市場は移転後も楽しむことができますよ」

そのほか、知る人ぞ知る飲食店や、ガイドさんおすすめのお土産店なども教えてくれ、終始ツアーは情報量満載で進んでいきます。
築地市場の裏口の近くには、「波除稲荷(なみよけいなり)神社」があります。約350年の歴史を誇るこちらの神社には、衣食住や工業、商業の守り神である「倉稲魂命(うがのみたまのみこと)」が祀られていて、市場で働く人々から厚い信仰を集めているそう。
特徴的なのが、それぞれの命の恵みに感謝し、豊作を祈るために建てられた「塚」が境内に並んでいること。

ガイドさん「この『玉子塚』以外にも、『活魚塚』や『海老塚』、『昆布塚』や『すし塚』まであるんですよ」

あらゆる食材と密接な関係にある築地だからこそ見ることのできる「塚」。通常の神社ではなかなかお目にかかることはできません。
お参りを済ませたところで、波除稲荷神社の向かいにある「築地魚河岸」へ。こちらは、築地市場が豊洲へ移転した後も築地の活気を継承するために建てられた生鮮市場。この築地魚河岸には約60軒の小売り店が入居しています。
ガイドさん「こちらは、築地初心者の方も気軽に買い物することができる市場です。美味しい魚介類がリーズナブルな価格で手に入りますよ」
ガイドさんが言う通り、築地魚河岸はどのお店を覗いてみてもお手頃な価格設定。通常のスーパーではおよそ出会えないであろうサイズの牡蠣やサザエなどが店頭で売られています!
中には生け簀の中で生きた魚を販売している鮮魚店も。水槽の中を元気に泳ぎ回る魚たちの姿から新鮮さが伺えます。
こちらのお店にはこんなに立派なマグロも。ツアーの最初に映像で見たマグロがこんなに大きかったことに驚愕!すでにお造りになった魚からも活きの良さを感じます。見どころを事細かに解説してくれたので、今まで見落としていた場外市場の魅力を改めて再発見できるツアーとなりました。

初めてでも楽しみながら挑戦できる、握りすし体験

ここで、築地市場の魅力をたっぷりと伝えてくれたガイドさんとはお別れ。場外市場ツアーの後は、お楽しみの握りすし体験!近隣にあるすし屋を訪れ、本格的な江戸前すしの握り方、巻き方を板前さんに教わります。
握りすし体験は、すし屋の開店前に行われます(10時半頃~)。体験するお店はツアーの申し込み状況によって異なります。この日お世話になった江戸前すし屋さんに入店すると、すでに板前さんが魚をさばき、仕込みの準備をしていました。
教えてくれる板前さんは、その道20年の大ベテラン。そんな職人の技をイチから手軽に学べる機会はとても貴重ではないでしょうか。
今回体験で握るのは、実際にお店でも提供されている一人前のセット。中トロ、カンパチ、赤身、ヒラメ、子持ち昆布、ホタテ、えび、いくらの軍艦巻き、鉄火巻き、かっぱ巻きが一堂に会す豪華な一皿です。
カウンターには、あらかじめ酢めし、すし酢の入った小鉢、わさび、いくら、巻きすだれなどが用意されています。
お借りしたビニールの手袋とエプロンを装着し、和帽子を被ったら、いよいよ握りすし体験開始!

今まで知り得なかった江戸前すしの作り方をレクチャーしてもらえる

身支度を整えた後、握りすしのネタを並べた皿が運ばれ調理スタート。切り身の状態のネタを用意していただけるので魚がさばけない人でも安心です。
板前さん「まずはすし酢の入った小鉢に、人差し指、中指、薬指の3本を第一関節まで浸けてください。すし酢を手の平全体になじませたら、シャリを作っていきます。右手で酢めしを取り、手の中で転がすようにして形成していきます。このとき強く握りすぎないように気を付けてください」
まずは板前さんのレクチャーを受けながら、シャリをいくつか作っていきます。初めは片手で形を形成することが難しく、いびつな形に。
回を増すごとに慣れていき、なんとか楕円形のシャリを作れるようになっていきました!
自分で握ったシャリってこんなにも愛おしいんですね…。
板前さん「シャリをいくつか握ったら、ネタを指の付け根の下あたりに乗せます。わさびを人差し指で取りネタの真ん中に付けたら、その上にシャリを乗せましょう」
板前さん「シャリを乗せたら、左手の親指でシャリの真ん中を軽く押して、空洞を作ります。それによってシャリに空気が入り、口の中でほどけるシャリになるんです」
板前さん「次に、親指と中指で軽く押さえて形を整えます。そうしたら、肘を前に出すようにして握ったすしを逆さに持ち回転させ、皿に置いてください」

肘を前に出した後、人差し指と親指で輪っかを作りシャリを乗せます。今まで行ったことがない体の使い方をして、ぎこちない動きに…。
なんとか一貫目のすしが完成!仕上げに形を整えたことで、ネタとシャリに一体感が生まれました。初めて握ったすしにしては、意外と上手にできたかも!?

その後も同じ要領で子持ち昆布、カンパチ、赤身、ヒラメ、えび、ホタテなどのネタを次々と握っていきます。
ここですしを握りながら、板前さんに江戸前すしが生まれた由来を聞いてみました。

板前さん「江戸前すしは、その名の通り江戸の前の東京湾で獲れた魚をネタにして握ったすしをそう呼んでいたことが発端です。せっかちな江戸っ子向けに魚とシャリを一緒に握り、提供していたのが江戸前すしの始まりと言われています」
江戸前すしに、江戸っ子の性格が関係していたことに驚き。今でこそ高級なイメージが強い江戸前すしですが、普及した当初は手軽に食べられる料理だったのですね。

初めは手先がまごついていましたが、徐々に慣れていき均等な大きさの握りすしを握れるようになっていきました。

思っていたより難易度高し!軍艦巻きやかっぱ巻きにも挑戦

板前さん「次はいくらの軍艦巻きを作ります。海苔の真ん中に握りすしと同じ手順で作ったシャリを乗せ、海苔の片面をシャリに巻き付けてください」
このとき、海苔をただ巻きつけるだけではシャリから剥がれてしまうので、米粒を数粒取り、のり替わりに使います。そして海苔のもう片面を米粒に軽く押し当てるようにして固定していきます。
板前さん「海苔を巻いたシャリを立て、最後にいくらを乗せたら完成です」

米粒を乗せた後に海苔を押し当てて密着させる工程は、力加減が難しく何度か剥がれてきてしまいそうになりましたがなんとか完成。何気無しに食べていた軍艦巻きの作り方をこのとき初めて知ることができました。
板前さん「最後は鉄火巻きとかっぱ巻きを同時に作っていきましょう。まず酢めしを手に取ったら、海苔の端から均一の薄さになるように広げていきます。酢めしが足りなくなったら足していきましょう」
海苔の上に酢めしを敷き終わったら酢めしの下部にマグロときゅうりを並べ、下から1回転、巻きすだれを巻き込んでいきます。そして一度巻きすだれを外した後、今度は最後まで巻いて形作っていくのがポイント。
緊張しつつも、巻きすだれを手前に巻き込み、くるくると海苔巻きを転がしていきます。
巻きすだれを開いたらきれいな海苔巻きの出来上がり!

板前さん「切ったときにネタが真ん中にきていたら成功です」というわけで板前さんが握ったすしと私が握ったすしを並べてみると…
▲左側が筆者の握った中トロとかっぱ巻き。右側が職人さんによるもの

その差は歴然。
プロが握ったお寿司はとても上品に仕上がっています。一方で私が巻いた鉄火巻きはすでに形が崩壊してかけている。早く食べてあげなくちゃ…。
悪戦苦闘しつつも一人前の握りが完成!素人が握った痕跡は端々に見られるものの、握ったすしをきれいに並べてみるとえもいわれぬ達成感を感じることができます。
▲最後に今回指導していただいた板前さんと記念撮影。板前さんどうもありがとうございました!

果たして自分で握った江戸前すしのお味は…?

すしを握り終わったら、個室に移動してお楽しみの実食タイム。こちらのお店では、お味噌汁と茶碗蒸し、サラダも一緒に出していただきました。形が少し不格好とは言え、自分で握った思い入れのあるお寿司。大切に味わっていきたいと思います。
▲待ちに待った実食!心していただきます!!
まずは中トロからいただきます。一貫丸ごと口に運んでみると…うまっ!!

シャリの一粒一粒が口の中でほどけていき、柔らかくも新鮮な中トロが絶品。素人の筆者が握ったお寿司ですが、魚自体の質が高いからか江戸前すしとして成立しているように感じました。

苦戦した海苔巻きや、そのほかのネタも最後まで美味しくいただき、あっと言う間に完食。ちなみに、板前さんが握ったすしを試食させてもらうとすし酢がシャリに均一に回っていて、細部にプロの技が光る味わいに感激してしまいました。

魚介類好きにおすすめ。築地を2倍も3倍も楽しめるツアー

ガイド付きの場外市場探索や握りすし体験によって、築地の魅力を思う存分味わえた今回のツアー。築地を再訪した際、友人や家族に築地市場の歴史や人気店などを紹介できるのもこのツアーのメリットです。さらに、板前さんに直接教わりながら江戸前すしが自分の手で握れるという稀少な体験ができるのもこのツアーならでは。

ちなみに築地インフォメーションセンターでは、本ツアー以外にも「手打ちそば体験」や「歌舞伎座で4種の日本茶体感」などができるツアーなど、さまざまなプランを提供しています。ぜひ、ツアーを通して日本の台所として栄えた築地の文化を味わってください!
いちじく舞

いちじく舞

1990年生まれのフリーライター。地下アイドル・銀座のホステス・丸の内OLなど散らかった経歴を経て、現在はライターとして雑誌やWEB上で執筆を行う。

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