誇れ日本の技術力!「トヨタ産業技術記念館」で、ものづくりへの熱き想いに感動

2015.10.11 更新

世界のトヨタ。日本が誇る一大自動車生産メーカーとして、もはや世界のものづくりを牽引する存在といっても過言ではありません。そのトヨタグループ17社が共同運営する愛知県名古屋市の「トヨタ産業技術記念館」。ただの記念館と侮ることなかれ。とにかくすごいです!

トヨタ産業技術記念館
子供から年配の方まで幅広く楽しめる博物館として大好評の「トヨタ産業技術記念館」。トヨタグループが携わってきた繊維機械のほか、歴代のトヨタ車などをたくさん展示。スタッフのサービスの高さなどが話題となり、ネットニュースなどでも数多く紹介されています。近年、その口コミは海外にまで及び、世界中から人びとが訪れる盛況ぶりとのこと。日本人だけでなく、世界中の人を惹きつけるこの施設の魅力に迫ります。

ここがトヨタはじまりの地

「トヨタといえば車とお思いの方も多いと思います。しかし、トヨタの始まりは、繊維産業。トヨタグループ創業者の豊田佐吉は、機織りを機械化すべく、動力織機の発明に取り組みました。ここは、明治44(1911)年に佐吉が、研究開発のために創設し、自動織機の発明を完成させた試験工場。その場所と建物を利用して建てられています」
広報の方にお話しをうかがいながら、館内を案内していただきました。

まず目に飛び込んできたのは、エントランスロビーですごい存在感を放つ、なにやら巨大な機械。
環状織機
▲環状織機
「これは、『環状織機』。自動織機を発明した佐吉が、「大きな布を静かに、効率よく製織する」方法を模索して、明治39(1906)年に発明したものです。現存している完成機は、この一台だけなんですよ」

回転円運動により、布を織り上げるという画期的な織機で、「夢の織機」と評価され、世界19カ国で特許を取得したというこの機械。
今でこそ、たくさんの日本のものづくり企業が、世界に通用する高い技術力で活躍しています。
しかし当時の日本は、欧米の模倣が精いっぱいだった時代だそうですから、これが日本人の技術力や科学力の可能性を示した革命の瞬間だったのかもしれません。

「このものづくりスピリッツこそが、日本の技術力だ」
記念館のシンボルとして、堂々とたたずむこの機械の姿には、そんなメッセージが込めれている気がしました。

圧巻!佐吉の発明の歩みがわかる繊維機械館

展示場は、「繊維機械館」と「自動車館」のふたつに分かれています。
前半は、繊維機械館。
糸紡ぎの実演
▲糸紡ぎの実演
紡ぐ・織るといった初期の道具から、現代の繊維機械まで約100台が展示されており、機械の実演も交えながら、技術の進歩の経過を紹介しています。
豊田式木製人力織機
▲佐吉の最初の発明となる「豊田式木製人力織機」(とよだしきもくせいじんりょくしょっき)
この「豊田式木製人力織機」、見た目は鶴の恩がえしに出てきそうなただの機織り機ですが、よこ糸が自動的に左右に移動し、織布の生産性が4~5割向上したという優れもの。

まだ機械というよりは、「からくり」といった印象です。
しかし、このたくみに工夫された、からくりがお見事。
「係の人の実演をいつまでも見続けていたい」
そんな感覚に襲われます。
そして、ついに…
無停止杼換式豊田自動織機(G型自動織機)
▲日本機械学会の機械遺産にも認定されている無停止杼(ひ)換式豊田自動織機(G型自動織機)
大正13(1924)年、佐吉の代表作のひとつとなる無停止杼換式豊田自動織機(G型自動織機)が完成します。
生涯をかけて発明、完成させた完全なる自動織機です。

この機械には、生産性が大幅に向上するさまざまな工夫が満載。
当時は、この発明に世界が驚き、その完成度は『マジックルーム(魔法の織機)』と評されたといいます。

佐吉の涙ぐましい努力の跡や、進化の課程が手にとるようにわかる展示の数々。繊維機械館では、現代の最新自動織機にいたるまで、しっかり紹介されています。空気圧で高速によこ糸を飛ばすマシンなど、人類のめまぐるしい進歩には目を見張るばかり。

「クルマ目当てで来たお客さんは、最初、なんで機織り?となるんです。ところが、展示を見進めていくうち、みなさんとても興味を持って下さるようになって…」
係の人いわく、来場者は、精密な仕掛けに、今のトヨタの技術を重ねるようになるといいます。

自動車館の前のおまけなどと思っていたら大間違い。
これだけで、十分な見応え。大満足の内容です。

喜一郎の熱い思いがあふれ出す自動車館

自動織機の発明で、日本の産業近代化の礎を築いた豊田佐吉。そのものづくり精神は、息子の喜一郎に受け継がれ、トヨタグループは、いよいよ自動車産業へのチャレンジへと乗り出すことになります。
豊田喜一郎
自動車館へ入ってまず最初に飛び込んできたのは、自転車のそばで真剣な表情をしている、若き日の喜一郎と作業員の姿でした。

「ん?自転車…?」

どうやら、自転車に補助輪のようなカタチでエンジンをつけようとしているご様子。

「これは、試作した小型エンジンを試すため、自転車にとりつけて試運転しているところ。エンジンが動いて、ガッツポーズをしています」
広報の方が解説してくれました。

欧米視察を通して車時代の到来を予感した喜一郎。
「自分たちの手で自動車をつくる!」
一大決心をし、自動車製作部門を設置し、自動車試作の準備に取りかかったはいいが、はじめは、わからないことだらけ。織機工場の一角で小型エンジンを試作したり、外車のシボレーを分解し、部品をスケッチしたり、というところからのスタートだったといいます。
自動車館の展示
展示場では、喜一郎が初の量産車「トヨダスタンダードセダンAA型」を生み出すまでを、模型や人形、マンガなど、さまざまな手法で紹介。
果てしない工程を一つひとつクリアしていく喜一郎の奮闘ぶりには、ただ感嘆するばかりです。
個人的に、特に興味深かったのは、「エピソードの森」と名付けられたコーナー。
喜一郎自身や彼と親しかった人物が語った内容から、喜一郎の性格や思想など人柄を浮き立たせるエピソード(言葉)が紹介されているコーナーです。
エピソードの森
「議論を先にすることをやめた -豊田喜一郎」
「最初はモノをつくれ、形をつくれ、理屈などは後で考えろ -岩岡次郎(元アイシン精機会長)談」

ものづくりへの熱い情熱がビシビシと伝わってくる言葉たち。
思わず、自分にあてはめていろいろと思いを巡らせてしまいます。
開いたはまぐり
▲喜一郎が初めて量産化に成功させた車、「トヨダスタンダードセダンAA型」
試行錯誤を繰り返し、ついに喜一郎が、初めて量産化に成功させた車、「トヨダスタンダードセダンAA型」。
流線型のきれいなフォルム。
何ともいえない味わいのある車です。

自動車工場をまるごと移築してきたような一角や、歴代の代表車種がずらりと並ぶコーナーなど、展示はまだまだ続きます。
スフィアと呼ばれる係員
館内のいたるところにいる係の方は、非常に親切で丁寧。
子どもには、直感的にわかりやすい説明で、ブーブークッションのような当時のクラクションの説明をしたり、外国の方には英語で解説したりと、さりげなくとても気配りのある対応をしてくれます。
これぞ神対応ってやつでしょうか?
とても居心地のいい空間でした。
広大な自動車館
工場を丸ごと飲み込んだよう
この他にも、館内には、「テクノランド」や、「わくわく体験コーナー」といった、さまざまなアトラクションやイベントも盛りだくさん。
テクノランド
「テクノランド」には、子どもたちにものづくりの楽しさを体感してもらおうと繊維機械や自動車に使われている原理や仕組みを取り入れたオリジナルの遊具がいっぱい。

遊園地さながらの本格的アトラクションで、子どもたちに大盛況。
しかも、遊びながら車や織機のことが学べるのですから、言うことありません。
トヨタパートナーロボット
▲出口付近では上海万博で展示されたという「トヨタ パートナーロボット」が、プロ顔負けのバイオリン自動演奏を披露
とにかく、圧巻のスケール。
とてもすべてを紹介しきれません。車や織機に興味ないと思っている方も、思わず引き込まれてしまう展示が、目白押し。
筆者のように、トヨタの歴史に啓発されるもよし。近代工業のめまぐるしい発展に思いを馳せるのもよし。
展示されているトヨタ歴代の懐かしい車たちをみながら、「お父さんのお父さんは、昔この車に乗っててね…」などと昔話を子どもに聞かせてやるのもいいかもしれません。
ぜひ一度、足を運んでみてはいかかでしょうか。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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