大阪混ぜカレー界ツートップの1つ「ニューライト」は芸能人も訪れる不思議なお店

2015.09.04

今や世界中で愛されるカレー。しかし、一言でカレーといっても日本人に馴染み深い欧風カレーに始まり、スープカレーやキーマカレー、さらには独自の進化を遂げた個性派まで、カレーの世界というのは本当に奥深いもの。

この企画では、これまで7,000店舗以上のカレー店を制覇したカレーの第一人者・井上岳久先生(株式会社カレー総合研究所代表取締役)と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!前回は軽井沢でとろ~りチーズの「軽井沢焼きチーズカレー」をご紹介しました。さてさて今回はどんなカレーが登場するのでしょうか……?

【Contents】

1. 知らなきゃ入れない!アウトローな外観にタジタジ
2. ルーの旨み、香りをたっぷりまとったお米にノックアウト
3. 混ぜカレーって大阪のどこで生まれたの?

本日、井上先生と私がやってきたのはO・S・A・K・A~!本企画初の関西圏入りです。
大阪といったらやっぱりココ、道頓堀からこんにちは!この日の大阪は東京より一段と暑く、まさに絶好のカレー日和です。
井上「今日のヒントは『ビシャビシャ・せっかち・伝統』の3つです」
こん「確認ですけど、最初の2つは悪口じゃないですよね?」
井上「違う違う、見れば分かるから!とにかく行ってみましょう」

1.知らなきゃ入れない!アウトローな外観にタジタジ

地下鉄なんば駅からのんびり歩いて5分ちょっと。

井上「今から行くとこだけど、外観が変わっててね……」

こん「大丈夫ですよ~私これまで取材で変わってるとこ結構行ってますから」
井上「はい、あそこ」
こん「ニューライト……」
こん「……」

え~とアレかな?ギャングのアジトなのかな?壁中に貼られた無数のポスターやステッカーで店内がまるで見えませんけど。ここまでアウトロー感が強いと、ちょっと気弱な人なら回れ右して引き返すレベル。
大丈夫?本当に大丈夫?Yoブラザーとか言えないよ、私。

井上「早く」

意を決して入店すると……
Yoブラザーなお兄さんはいませんが、壁や天井にはミュージシャンなど有名人のサインがびっしり!今にも「ワッツアップマ~ン?」とか聞こえてきそう。
「あぁこれね、ET-KINGの故TENNさんが高校生のときから通ってくれててね。今でもTENNさんの音楽仲間やファンの子たちが来てくれるのよ」と女将・石村さん。ET-KINGといったら泣く子も黙るお兄さんユニットじゃないですか!
「あとは芸人さんも多いわね。飾り切れないものも入れると200枚以上はあるかしら」。芸能界にも多くのファンを持つニューライトさん。とんねるずのバラエティ番組の1コーナー、「きたなシュラン」で3つ星を獲得される以前は地元客が中心だったそうですが、番組放送以降は「ずっと来たかったんです!」と遠方から訪れる人も少なくないとか。

2.ルーの旨み、香りをたっぷりまとったライスにノックアウト

ラーメンやエビフライ、丼ものなど50種類以上ものメニューがそろう中で圧倒的な人気を誇るのが「セイロンライス」500円(税抜)。
はい、これが押しも押されぬいちおしメニュー「セイロンライス」です。レトロな銀皿に乗るのは……ん、これってもしかしてカレーリゾットじゃない?ルーとライスの混じりあいといい、先生が言っていたビシャビシャなルックスといい……やっぱりお前カレーリゾットだな!?

井上「カレーリゾットに見えるけど実は別物。リゾットは煮込んで作るのに対しこれはルーとライスを混ぜるだけ、ずばり『混ぜカレー』です」

こん「なんで混ぜちゃったんですかね?」

井上「大阪人の“せっかち”な性格が関係していますね。店主もお客もサッサと作ってサッサと食べたい人が多い。どうせ口の中で一緒になるなら混ぜてしまえ、という発想から生まれたとされています。北海道のスープカレーや北九州の焼きカレーのように、特定地域に根付いた“進化型カレー”のひとつです」
こん「女将もせっかちですか?のんびりされているように見えるけど」

女将「せっかちせっかち!ほんまにせっかちよ私も(笑)」
では、いただいちゃいましょう!
(パクッ)

うっんまぁぁぁ!サラッと軽めのルーに使っているのは、ラーメン用の豚骨と鶏ガラのWスープやデミグラスソース。あとから追いかけてくるスパイスが爽やかさをプラスしてくれます。これらをお米と混ぜることでお米がすべての旨みと香りをまとい、どこを食べてもムラなく美味しい。なるほど、これが混ぜカレーの醍醐味だな。

ちなみに、同店にはセイロンライスとは別にルーとライスが分かれた「カレーライス」もありますが、それぞれ使うルーも違うのだとか。
ここまであえて触れなかったんですけど……卵、そろそろ割っちゃいます? 割っちゃおうか? 割っちゃえ!
あぁぁぁぁ~もうこれがおいしくないわけないじゃない。ルーの角が取れ、全体がまろやかな味わいに。卵を以(も)ってすればカレーも2度美味しく食べられるってもんです。

井上「卵を割って全部混ぜてもいいし、半分だけにすれば交互に楽しむこともできます」

3.混ぜカレーって大阪のどこで生まれたの?

こん「そういえば『セイロンライス』の名前の由来って何でしょうね?」

女将「それが分からないのよ(笑)。54年前くらいに先代(現店主の叔父)がつけたらしいんだけど」

井上「おそらくセイロンっていうくらいだからスリランカあたりをイメージしたのでは」

女将「かもねぇ。私も43年くらいいるけどいつも聞かれて困っちゃうの(笑)」
井上「お腹も落ち着いたことだし、混ぜカレーの歴史についてお話しましょう。すでに話したとおり混ぜカレーが生まれたのは大阪ですが、その発祥は『自由軒』というお店。1910(明治43)年創業の歴史あるお店で、大阪でカレーといえば自由軒というくらい有名なんですよ」
井上「混ぜカレーの存在が全国に広まることになった背景には、頻繁にメディアに出演していた自由軒の功績が大きいですね」

こん「混ぜカレーの元祖ってことですね」

井上「そう。現在でもグルメ雑誌の常連で観光客を中心に人気です。一方、こちらのお店は地元客やツウが好みますね」

こん「ひと口食べれば通いたくなるけど、やっぱり外観で躊躇する人は少なくないでしょうね」

井上「いや、逆にこういう感じが穴場っぽくてツウ心をくすぐるのかも。そういうわけで、大阪の混ぜカレー界は自由軒とニューライトのツートップといえるでしょうね」
な~んて話していたら、あら2人ともペロッと完食してしまいました。それでは、本日のカレー格言タ~イム!
女将「いつも書いてるの?大変ね~」

こん「私、どうもバシッと決まらなくていつも足引っ張ってるんです……」
井上「……」

こん「先生、なんか言ってください!」
では、格言を発表します!

井上「大阪混ぜカレー、長年地元に根付いたカレーを食べるべし!」

こん「卵が辛さを包み込む!」
こん「ってただの感想か!」

井上「う~ん、こんさんは今回もアレだね」

女将「いいのよ」

パパッと食べてパパッと帰る――そんな大阪の文化が生んだ混ぜカレーには意外にも長い歴史と伝統がありました。でも、ニューライトさんには食べ終わったあと長居したくなるくらいの居心地の良さがあったりして。

粉ものだけじゃない、大阪に混ぜカレーありです!
最後は女将と一緒に混ぜ混ぜポーズではい、チーズ!
ニューライトさん、ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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