塩釜水産物仲卸市場でブランドマグロ「ひがしもの」を「マイ海鮮丼」で食べまくってきた!
かつて北洋漁業の基地として栄え、現在も国内有数の生鮮マグロ水揚げ量を誇る宮城県塩竃市の塩釜港。その流通の拠点となるのが「塩釜水産物仲卸市場」です。こちらでは、場内で購入した魚介をその場で味わえる「マイ海鮮丼」と「自由焼炉」が大人気!9月中旬~12月の限られた時期だけ流通するメバチマグロのブランド魚「三陸塩竈ひがしもの」も味わってきました。

105の水産物専門店がひしめき合うノスタルジックな仲卸市場


4,950平方メートルの面積に105の専門店がひしめき合っている場内(2018年11月時点)。東西に7本の通路が通り、通路を1本ずつ行ったり来たりすれば場内のお店をくまなく見て回ることができます。

ずらりと並ぶ三陸の旬の魚介!広い場内を端から端まで見て歩こう






訪れた日は平日にもかかわらず、業者さんの姿に交じって一般客も多く見られました。意外に若者も多く、大学生から20代前半の男女グループや子ども連れのファミリー、昔から買い物に来ている年配の常連客まで、幅広い世代が訪れる場になっていました。

宮城県の沖合海域は、黒潮(暖流)と親潮(寒流)がぶつかり合うため水産資源が豊かです。その豊富な漁獲量から、金華山・三陸沖漁場は世界三大漁場の一つに数えられるほど。また沿岸の養殖業も盛んで、県別生産量は全国第4位(農林水産省「平成28年海面漁業生産統計」)。そんな近海で水揚げされた多種多様な魚介が場内に所狭しと並んでいる様子は壮観です。


店先に並ぶ魚介を眺めながら歩いていると、お店の方が「今日はこれがおすすめだよ~」と声を掛けてくれます。試食したり、おまけしてもらったり、さばき方や食べ方を教えてもらったり。お店の方とのコミュニケーションも楽しみの一つです。

塩釜が誇るブランドマグロ「三陸塩竈ひがしもの」の魅力に迫る!

ひがしものは、親潮と黒潮が交わる三陸東沖の漁場で、はえ縄漁で獲った天然物の生メバチマグロのうち、色、つや、脂の乗り、うま味が上質なもの。さらに重さは40kg以上、競り値で1kg当たり2,000円以上という厳しい条件をクリアして、やっと認定されます。
100匹当たりせいぜい5~10匹程度しか認定されず、流通量が少ないため、安定供給できる小売店や飲食店は多くありません。塩釜のすし店ではほぼ取り扱っていますが、仙台市内でも扱う店は少なく、県外となるとめったにお目に掛かれません。都内では一貫1,000円というすし店もあるのだとか!

マグロ専門「松岡商店」の3代目店主・松岡敏行さんに、ひがしものについて伺いました。「マグロはホンマグロが一番とされ、メバチマグロはどうしても下に見られるんですけれども、ホンマグロにもいいものと悪いものがあります。この季節のひがしものは本当においしく、いいホンマグロにも引けを取りません」ときっぱり。

味わいについて伺うと、「味はやっぱり食べてもらうのが一番。『自分で確かめてみて』と、お客さんにも言っているんです」と松岡さん。おっしゃる通りです。

好きなものを好きなだけ!買ったその場で盛り付ける「マイ海鮮丼」
お店で出てくる海鮮丼はバランスよく美しく盛られていますが、苦手なネタが入っていることもありますよね。好みの具だけたらふく食べたいという人もいるでしょう。そんな夢がかなえられるのが、このマイ海鮮丼なんです!

まずは場内のお店でパック売りされている刺し身を購入。刺し身になっていない丸魚や貝類、サクでもお店の方にお願いすればその場で刺し身にしてもらえます。最初のお店でビニール袋に入れてもらって、どんどんネタを買い足していきましょう。

ネタを購入したら、場内の6号売り場にある「マイ海鮮丼コーナー」へ。ご飯とみそ汁の「ごはんセット」(並400円、大500円、特600円、200円増しでみそ汁をマグロのあら汁に変更可 ※すべて税込)を購入します。

さっそく購入した具材をご飯にのせていきましょう。

ひがしものも含め総額5,000円ほどの丼になりましたが、ネタは3~4人分のボリュームがあり、全部は丼にのせきれません。4~5人でシェアする若者グループも多いそうで、1人当たりにすればかなりお得です。

いざ実食。ひがしものはしゃきっと心地良い歯触りで、かむと柔らかくとろけます。マグロのうま味がしっかり感じられつつ後味はさっぱり。脂の質がよいためすっきりした食後感です。

ほかの具材もみずみずしくうま味がしっかり。自分が好きなものを好きなだけのせているんですから、もう箸が止まりません。

こんなに贅沢な思いをしてもいいのかしら……。缶ビール(税込350円)や生ビール(税込500円)はもちろん、「浦霞」などの地酒(税込700円)も販売しているので、昼から魚を肴に一杯もいいですねえ。

このマイ海鮮丼コーナー、平成22(2010)年に始めた当時は20席にも満たないスペースだったそうです。しかし、震災後は復興支援に訪れた多くの人たちが食べに訪れ、SNSなどで話題になったこともあって利用者が増えたそう。現在では100席近いスペースが用意されていますが、それでも土・日曜は朝から昼時まで8割方席が埋まるという人気ぶりです。
手ぶらで魚介バーベキューが楽しめる「自由焼炉コーナー」

貝は焼炉に置いて直接焼き(5個まで税込100円)、魚は網に挟んで焼きます(1尾1網・税込100円)。



炭火でじっくりと焼き上げられたサンマとカキ。遠赤外線で焼かれたサンマは香ばしくふっくらジューシー。カキはうま味が閉じ込められていて、プリプリとした食感が味わえました。三陸の海が育む素材の味が存分に引き出されています。家ではこうはいきません。


焼いた魚介と刺し身のパックにごはんセットを付けて、定食のようにして食べている人もいました。なるほど、そういう手もありですね。行くたびにいろいろな楽しみ方ができるのも魅力です。広い場内を歩いて自分で目利きをして魚介を選び、丼に盛り付け、網で焼いて食べてと、食のテーマパークのような楽しい時間が過ごせました。
まだまだある卸売市場の楽しみ。食事処にイベントも


毎年10月ごろ(2018年は9月30日)には年に1度の魚の祭典「塩釜魚市場開放どっと祭」を塩竃市魚市場と塩釜水産物仲卸市場で開催。マグロの解体ショーや鉄火巻き体験、マグロの鮮魚つかみ取りのほか、マグロの模擬セリも行われ、駐車待ちの車の列ができるほど多くの人が訪れます。
また、毎週日曜には季節の果物や野菜を農家さんが露地販売する「日曜朝市」(6:00~14:00)も開かれています。

マグロをはじめ三陸の港で水揚げされる魚介が一堂に集まる塩釜水産物仲卸市場。活気のある場内の雰囲気を楽しみ、お店の方と交流し、新鮮な魚介をお得に手に入れ、おなかいっぱいになるまで味わい、すっかり満喫しました。世界に誇る三陸の豊かな海が育む旬の魚介を見つけに、食べに、ぜひ訪れてみてください。

塩釜水産物仲卸市場
宮城県塩竈市新浜町1-20-74
[開場時間]平日3:00~13:00、土曜3:00~14:00、日曜・祝日6:00~14:00(場内店舗の営業時間はそれぞれ異なる)
[定休日]水曜(ただし、GWおよび12月後半の水曜は開場)、1月1~4日、8月14~16日
022-362-5518

菊地正宏
大船渡生まれ仙台在住のライター/漁業ジャーナリスト/編集者。 仙台経済新聞編集長。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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