塩釜水産物仲卸市場でブランドマグロ「ひがしもの」を「マイ海鮮丼」で食べまくってきた!

2018.11.25 更新

かつて北洋漁業の基地として栄え、現在も国内有数の生鮮マグロ水揚げ量を誇る宮城県塩竃市の塩釜港。その流通の拠点となるのが「塩釜水産物仲卸市場」です。こちらでは、場内で購入した魚介をその場で味わえる「マイ海鮮丼」と「自由焼炉」が大人気!9月中旬~12月の限られた時期だけ流通するメバチマグロのブランド魚「三陸塩竈ひがしもの」も味わってきました。

105の水産物専門店がひしめき合うノスタルジックな仲卸市場

塩釜水産物仲卸市場は仙台市内から車で約35分、県外からは三陸自動車道・利府中(りふちょう)ICから約15分の場所にあります。電車で向かう場合はJR仙石線・東塩釜駅で降りて約15分歩くか、「しおナビバス」に乗って約5分。塩釜港のすぐそばにあり、港の前の広い道路を大型トラックが行き来しています。
昭和41(1966)年の開設から50年以上がたち、年月を感じさせる建物。港のすぐそばにもかかわらず、東日本大震災による津波の影響からも免れ、現在も変わらない姿を見せています。築地市場が豊洲移転により閉鎖になった今、国内でも有数の古い仲卸市場となりました。
▲映画のロケにたびたび使われているという場内。ノスタルジックな日本の原風景を求めて外国人観光客も増えているそう

4,950平方メートルの面積に105の専門店がひしめき合っている場内(2018年11月時点)。東西に7本の通路が通り、通路を1本ずつ行ったり来たりすれば場内のお店をくまなく見て回ることができます。
▲正面(南側入り口)から南北に延びる通路を挟んで売り場が左右に分かれ、東西に延びる通路ごとに1番から14番まで番号が振られています

ずらりと並ぶ三陸の旬の魚介!広い場内を端から端まで見て歩こう

それぞれのお店には、塩釜はもちろん、七ヶ浜や気仙沼など、三陸各地で水揚げされた海産物が並びます。魚種に特化した専門店が多いのが特徴で、マグロ専門店が約20店舗と多く、タコ、貝類、サケ・マス、冷凍魚、加工品、干物、乾物、練り物、珍味の専門店、さらには刺し身などを盛る容器専門のお店もあります
▲塩釜といえば、国内有数の水揚げ量を誇る生鮮マグロ。冷蔵ケースにブロックが並んでいます
▲目玉やホホ肉、心臓など、市場ならではの部位もありました
▲その他にも、塩釜港で水揚げされた旬の魚介がずらり
▲こちらは干物の専門店。後ほどご紹介する「自由焼炉コーナー」で焼いて食べることもできます
▲南三陸名産のタコも。このところ不漁で仕入れが少なく、「今年は獲れなくてね~」とお店の方もおっしゃっていました
▲軒先には店の名前と取扱品目が書かれています。タコ専門店にはかわいいタコの姿も

訪れた日は平日にもかかわらず、業者さんの姿に交じって一般客も多く見られました。意外に若者も多く、大学生から20代前半の男女グループや子ども連れのファミリー、昔から買い物に来ている年配の常連客まで、幅広い世代が訪れる場になっていました。
▲若者のグループが新鮮な魚介がずらりと並ぶのを見て盛り上がっていました

宮城県の沖合海域は、黒潮(暖流)と親潮(寒流)がぶつかり合うため水産資源が豊かです。その豊富な漁獲量から、金華山・三陸沖漁場は世界三大漁場の一つに数えられるほど。また沿岸の養殖業も盛んで、県別生産量は全国第4位(農林水産省「平成28年海面漁業生産統計」)。そんな近海で水揚げされた多種多様な魚介が場内に所狭しと並んでいる様子は壮観です。
▲三陸の特産であるサンマ。訪れた時期にちょうど旬を迎えていました
▲三陸各地で養殖されたカキやホタテも産地別に並んでいます

店先に並ぶ魚介を眺めながら歩いていると、お店の方が「今日はこれがおすすめだよ~」と声を掛けてくれます。試食したり、おまけしてもらったり、さばき方や食べ方を教えてもらったり。お店の方とのコミュニケーションも楽しみの一つです。
▲あちらこちらでお店の方とお客さんの声が飛び交い、にぎわいを感じます

塩釜が誇るブランドマグロ「三陸塩竈ひがしもの」の魅力に迫る!

さて、お目当ての「三陸塩竈ひがしもの」(以下、ひがしもの)を物色しましょう。ひがしものは9月中旬~12月に塩釜港で水揚げされるメバチマグロのうち、厳選されたものだけに与えられる称号です。「ひがし」は、おいしいメバチマグロが獲れる漁場である三陸東沖のことを指しています。
▲その時々で値段は異なりますが、この日はサクで2,000円代からありました

ひがしものは、親潮と黒潮が交わる三陸東沖の漁場で、はえ縄漁で獲った天然物の生メバチマグロのうち、色、つや、脂の乗り、うま味が上質なもの。さらに重さは40kg以上、競り値で1kg当たり2,000円以上という厳しい条件をクリアして、やっと認定されます。

100匹当たりせいぜい5~10匹程度しか認定されず、流通量が少ないため、安定供給できる小売店や飲食店は多くありません。塩釜のすし店ではほぼ取り扱っていますが、仙台市内でも扱う店は少なく、県外となるとめったにお目に掛かれません。都内では一貫1,000円というすし店もあるのだとか!
▲認定を受けた業者しか扱うことができず、塩釜水産物仲卸市場の中でも取り扱いは14店舗だけ。店には誇らしげに認定証が置かれていました

マグロ専門「松岡商店」の3代目店主・松岡敏行さんに、ひがしものについて伺いました。「マグロはホンマグロが一番とされ、メバチマグロはどうしても下に見られるんですけれども、ホンマグロにもいいものと悪いものがあります。この季節のひがしものは本当においしく、いいホンマグロにも引けを取りません」ときっぱり。
▲マグロへの熱い思いを語ってくださった松岡さん。「マグロは目利きが本当に難しい。一生勉強です」

味わいについて伺うと、「味はやっぱり食べてもらうのが一番。『自分で確かめてみて』と、お客さんにも言っているんです」と松岡さん。おっしゃる通りです。
▲塩竃市魚市場で水揚げされ、競り落とされたマグロが9時ごろには場内に到着。店先で解体する様子が見られます

好きなものを好きなだけ!買ったその場で盛り付ける「マイ海鮮丼」

松岡さんのお言葉に従い、ひがしものを味わってみましょう。塩釜水産物仲卸市場の名物なのが、「マイ海鮮丼」作り。場内で好きな魚介の刺し身を買いそろえ、自分で盛り付けるというものです。
お店で出てくる海鮮丼はバランスよく美しく盛られていますが、苦手なネタが入っていることもありますよね。好みの具だけたらふく食べたいという人もいるでしょう。そんな夢がかなえられるのが、このマイ海鮮丼なんです!
▲店頭に並ぶ刺し身のパック。好きなものを購入していきましょう

まずは場内のお店でパック売りされている刺し身を購入。刺し身になっていない丸魚や貝類、サクでもお店の方にお願いすればその場で刺し身にしてもらえます。最初のお店でビニール袋に入れてもらって、どんどんネタを買い足していきましょう。
▲マイ海鮮丼向けに刺し身のパックを販売しているお店もあります。一般客の多い土・日曜は小さなパック売りも多くなるそうです

ネタを購入したら、場内の6号売り場にある「マイ海鮮丼コーナー」へ。ご飯とみそ汁の「ごはんセット」(並400円、大500円、特600円、200円増しでみそ汁をマグロのあら汁に変更可 ※すべて税込)を購入します。
▲「マイ海鮮丼コーナー」(営業時間6:30~12:00 ※土・日曜・祝日は13:00まで/水曜定休)では、ごはんセットのほかに天丼や定食も販売しています

さっそく購入した具材をご飯にのせていきましょう。
▲筆者が買ったのはひがしもの、エビ、ホタテ、イクラ、活タコ、エンガワ、赤貝。白いものが多くなりましたが……いいんです。自分好みの海鮮丼が作れるのもマイ海鮮丼ならではなんですから

ひがしものも含め総額5,000円ほどの丼になりましたが、ネタは3~4人分のボリュームがあり、全部は丼にのせきれません。4~5人でシェアする若者グループも多いそうで、1人当たりにすればかなりお得です。
▲完成!食べる前に写真をパチリ。SNSを使った「マイ海鮮丼コンテスト」が定期的に行われているので、きれいに盛り付けできたら投稿してみましょう

いざ実食。ひがしものはしゃきっと心地良い歯触りで、かむと柔らかくとろけます。マグロのうま味がしっかり感じられつつ後味はさっぱり。脂の質がよいためすっきりした食後感です。
▲さすが、色とつやも認定基準となっているひがしもの。透き通るように鮮やかな赤色で、見た目でおいしさが伝わってきます

ほかの具材もみずみずしくうま味がしっかり。自分が好きなものを好きなだけのせているんですから、もう箸が止まりません。
▲ホタテもこの厚み!たっぷりイクラをのせて頬張ります

こんなに贅沢な思いをしてもいいのかしら……。缶ビール(税込350円)や生ビール(税込500円)はもちろん、「浦霞」などの地酒(税込700円)も販売しているので、昼から魚を肴に一杯もいいですねえ。
▲およそ100席ほどのマイ海鮮丼コーナー。平日は昼時、土・日曜は朝から混雑します

このマイ海鮮丼コーナー、平成22(2010)年に始めた当時は20席にも満たないスペースだったそうです。しかし、震災後は復興支援に訪れた多くの人たちが食べに訪れ、SNSなどで話題になったこともあって利用者が増えたそう。現在では100席近いスペースが用意されていますが、それでも土・日曜は朝から昼時まで8割方席が埋まるという人気ぶりです。

手ぶらで魚介バーベキューが楽しめる「自由焼炉コーナー」

購入した海産物を市場内で楽しめるもう一つの場所が「自由焼炉コーナー」(営業時間8:00~12:00、土・日曜・祝日は13:00まで/水・木曜定休)。魚や貝類、エビやイカ、干物などを購入し、外の焼き炉で自由に焼いて食べることができます。生ものが苦手な人や子どもにも人気だそう。
▲基本はセルフで焼きますが、スタッフの方がサポートしてくれるので安心です。一般客が多い土・日曜はいくつかの焼炉が使われます

貝は焼炉に置いて直接焼き(5個まで税込100円)、魚は網に挟んで焼きます(1尾1網・税込100円)。
▲旬のサンマとカキを1つずつ買って試してみました。炭火で焼かれ、勢いよく火柱が立ち上がります
▲時々ひっくり返して焼き加減を確かめます
▲出来上がり!マイ海鮮丼コーナーに戻っていただきます

炭火でじっくりと焼き上げられたサンマとカキ。遠赤外線で焼かれたサンマは香ばしくふっくらジューシー。カキはうま味が閉じ込められていて、プリプリとした食感が味わえました。三陸の海が育む素材の味が存分に引き出されています。家ではこうはいきません。
▲炭火で焦げた皮はパリパリ。箸を入れると骨からするするとほぐれていきます
▲ぷっくりとした身は濃厚な味わい。殻に残ったエキスも美味!

焼いた魚介と刺し身のパックにごはんセットを付けて、定食のようにして食べている人もいました。なるほど、そういう手もありですね。行くたびにいろいろな楽しみ方ができるのも魅力です。広い場内を歩いて自分で目利きをして魚介を選び、丼に盛り付け、網で焼いて食べてと、食のテーマパークのような楽しい時間が過ごせました。

まだまだある卸売市場の楽しみ。食事処にイベントも

場内にはマイ海鮮丼コーナー以外にお食事処が3店あり、いずれも市場にある新鮮な魚介を使ったメニューを提供しています。
▲「塩釜市場食堂 只野」(営業時間6:00~13:00、土・日曜・祝日は14:00まで/水曜定休)。各種海鮮丼や刺し身定食のほか、ネタを自分で選ぶ「塩竈よくばり丼」などもあります
▲「加瀬 塩釜市場店」(営業時間7:00~13:00、土・日曜・祝日は14:00まで/水曜定休)。限定10食の名物「まるごと鮪(まぐろ)丼」「焼穴子丼」のほか、「おまかせ三色丼」「中トロ&あなご刺丼」など丼メニューが豊富です

毎年10月ごろ(2018年は9月30日)には年に1度の魚の祭典「塩釜魚市場開放どっと祭」を塩竃市魚市場と塩釜水産物仲卸市場で開催。マグロの解体ショーや鉄火巻き体験、マグロの鮮魚つかみ取りのほか、マグロの模擬セリも行われ、駐車待ちの車の列ができるほど多くの人が訪れます。

また、毎週日曜には季節の果物や野菜を農家さんが露地販売する「日曜朝市」(6:00~14:00)も開かれています。
▲「どっと祭」でのマグロの模擬セリの様子。原価割れの値段で競り落とされるそうです(写真提供:株式会社塩釜水産振興センター)

マグロをはじめ三陸の港で水揚げされる魚介が一堂に集まる塩釜水産物仲卸市場。活気のある場内の雰囲気を楽しみ、お店の方と交流し、新鮮な魚介をお得に手に入れ、おなかいっぱいになるまで味わい、すっかり満喫しました。世界に誇る三陸の豊かな海が育む旬の魚介を見つけに、食べに、ぜひ訪れてみてください。
▲お昼以降は閉めるお店が増えるので、午前中の来場がおすすめとのこと
菊地正宏

菊地正宏

大船渡生まれ仙台在住のライター/漁業ジャーナリスト/編集者。 仙台経済新聞編集長。

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