日本のワイン発祥地・山梨のおすすめワイナリー巡りエリア別ガイド

2018.12.07 更新

周りを山々に囲まれている環境から、山間(やまあい)という意味の「峡(かい)」を由来に「甲斐の国」と名付けられたと伝わる山梨県。古くからぶどう栽培が盛んで、現在では全国のぶどう生産量のうち25%ほどを占める日本一のぶどうの産地です。そんな山梨県にはワイナリーが数多く点在し、全国から多くの人々が訪れます。そこで、山梨県のワイナリーをいくつか紹介し、見学プランやワイナリーの楽しみ方などをお伝えします。

山梨が日本のワイン発祥地といわれる理由

山梨県は、扇状地が多く砂地で水捌けが良いこと、昼夜の温度格差が大きいこと、日照時間が長く傾斜地があること、さらに比較的降水量が少ない環境であることから、ぶどうの生産量日本一(農林水産省「平成29年産果樹生産出荷統計」)を誇っています。もちろんワインの製造にも精通。明治6(1873)年、政府による民間産業の育成が図られ、その一環として西洋農業の実践が試されました。そのひとつが山梨県におけるワイン造りだったと言います。

しかし、それよりも先の明治3(1870)年、民間人である山田宥教(ひろのり)と詫間憲久(たくまのりひさ)の2人によって、日本初のワイン醸造が甲府の地で開始されていました。その歴史から、山梨県は日本のワイン発祥地と呼ばれています。
▲一面に広がるぶどう畑

なお、当時用いられたのが「甲州ぶどう」。ヨーロッパを起源とした日本固有の品種で、現在は日本で最も広く栽培されています。平成22(2010)年には日本のぶどう品種として初めてワインの国際的審査機関「OIV」に登録され、ワイン醸造用ぶどう品種として世界に認められました。
▲1000年以上かけて造りあげられてきた甲州ぶどうのワイン

このように山梨県は、ぶどうの生産量・出荷量はもちろん、ワインの生産量においても全国有数。このような背景から、山梨県には小さな家族経営のものから大規模な大手企業のものまで、約80ものワイナリーが複数のエリアに点在しています。
▲ワイナリーが各地に点在する山梨県。なかでも勝沼町を中心とした甲府盆地に多種多様なワイナリーが揃っている

山梨県のワイナリー見学の魅力

山梨県のワイナリーの魅力は、まずアクセスの良さにあります。特に勝沼・石和温泉エリアには多くのワイナリーが点在しており、ワイナリーの看板を多く見つけることができます。複数のワイナリーがひとつの地域に密集しているため、ハシゴができることもワイン好きにはたまりませんね。
▲ぶどう畑の見学ツアーもある

このエリアには、日本のワイン発祥地ならではのサービスもあります。

一つは、JR中央線・石和温泉駅にある「駅ナカワインサーバー」。駅1階に併設された石和温泉駅観光案内所には、なんとワインサーバーが設置されているのです!笛吹市内にあるワイナリー10社の選りすぐられた銘柄1~2種、常時16種類が並んでいて200円(税込)から試飲ができます。

ワインとワイナリーを熟知しているスタッフから、おすすめのワイナリーを聞いたり、最新のワイン事情を聞きながら、これから向かうワイナリーに想いを馳せてみるのもいいですね。
▲カウンターでグラスを受け取り、銘柄や量を決めてからタッチパネルを操作しグラスに注ぐ
もう一つは、「ワイナリーに行ったものの車で来たから試飲ができない!」という悩みを抱えた人におすすめしたい「やまなしワインタクシー」。一定料金(2時間10,000円、延長30分2,500円 ※税込)で、ワイナリーをまわることができます。おすすめモデルコースもありますが、乗車場所や降車場所を自由に選ぶことも可能。貸切時間も選択できるので、利用しない手はありません!せっかくだから自分で行きたいワイナリーを選んで連れて行ってもらってはいかがでしょう。
とはいえ、「どのワイナリーに行けばいいのか分らない」と迷う人も多いはず。県内には、テイスティングができるところ、ギャラリーやレストランを併設するところなど、それぞれにオリジナリティ溢れるワイナリーが満載!次章からは、山梨県にあるおすすめのワイナリーをエリア別に紹介していきましょう。

【甲州市勝沼町】勝沼ICを降りれば、もうそこはぶどうの楽園

勝沼といえば、ぶどうと連想されるほど全国でも有名なぶどうの産地。町中至るところに、ぶどう狩りができる観光農園やワイナリーがひしめき合っています。
▲JR中央線・勝沼ぶどう郷駅からもアクセスしやすい

なお、甲州市にはワイナリーを巡るお客様のための「甲州市市民バス」もあります。「ぶどうコース」と「ワインコース」があり、各ワイナリーの近くにバス停があります。しかも乗車賃は、距離・区間関係なく1回300円(税込)とリーズナブル。ただし、1日3便しか出ていないので、時刻表はしっかりチェックしてくださいね。なかでも勝沼町のおすすめワイナリーは…

【おすすめワイナリー1.】日本ワイナリーアワード2018で五つ星を獲得した「シャトー・メルシャン」

まずご紹介するのは、JR中央線・勝沼ぶどう郷駅下車、タクシーで約8分の場所にある「シャトー・メルシャン」。時代を遡ること140年以上の明治10(1877)年創業、日本で初めて設立されたワイン醸造所をルーツに持つ老舗ワイナリーです。
▲ヴィンヤード(ぶどう園)をはじめ、醸造所、ワイン資料館、カフェ、テイスティングカウンター、ショップが揃う

ぶどうの品種に適した栽培地選びからこだわり、その個性を引き出した調和のとれた上品な味わいのワイン造りを行っています。その実績から、優れた本質のワインを生み出すワイナリーを表彰する「日本ワイナリーアワード2018」において、五つ星を獲得しました。ワイナリーには、カフェやワイン資料館などが併設されているので、じっくり時間をかけて楽しむことができます。
▲ワイナリーツアーで見学できる地下セラー(樽庫)

2018年に一新されたワイナリーツアーは、シャトー・メルシャンを気軽に体験できる「スタンダードコース ~体験!シャトー・メルシャン~」(約60分)、醸造施設見学を始め、シャトー・メルシャンのワイン造りを隅々まで堪能できる「プレミアムコース ~探求!シャトー・メルシャン~」(約90分)の2つ。テイスティングカフェ、ワインギャラリー、ワイン資料館(無料)などを見て周り、ワインのあれこれに触れることができます。

【おすすめワイナリー2.】ワイン造りを肌で感じられる「ロリアンワイン白百合醸造」

▲勝沼ぶどう郷駅下車、タクシーで約10分。建物の外壁にはぶどうが実っている

「ロリアンワイン白百合醸造」の1番の魅力は、実際にワイン造りの一コマを自分で体験できること。樽から生ワインを注いでコルクまでセットする「生ワインのボトル詰め」と、絵などを描いたラベルをボトルに貼る「オリジナルラベル作り」を同時に体験できます。自分で手をかけたワインなんて、きっと愛情もひとしお。世界にたったひとつのワインを手に入れましょう。
▲樽から直接注ぐ「生ワインのボトル詰め」。この後、コルク栓打ちも自分で行う

もちろんワイン造りの工程を学べる見学ツアーもあります。ツアーは所要時間10分ほどの「無料ツアー」と、有料の「スペシャルワインツアー」の2種。日本初の減圧蒸留方式でグラッパ(蒸留酒の一種)を造っているので、その製造過程も見学できますよ。
▲減圧蒸留方式によるグラッパ造り

【おすすめワイナリー3.】日本のワイナリーでは珍しいグラスギャラリーを保有した「勝沼醸造」

▲昭和48(1937)年創業、ワイン文化の担い手でありたいと言う

勝沼ぶどう郷駅下車、タクシーで約7分のところにあるのは、侘び寂びのある日本家屋を母屋とする「勝沼醸造」。こちらは日本のワイナリーでは珍しくグラスギャラリーを所有し、オーストリア「リーデル社」のワイングラス、デキャンタ、ワインセーバーなどのガラス製品を展示しています。
▲グラスギャラリーで本格的ワイン講座をうけられる

甲州から世界中の人々に感動を与えたいと、甲州種のワインに特化し、甲州をなによりも愛しているワイナリーです。ワイナリーツアーは、「スタッフコース」と「テイスティングコース」の2種があり、なかでもスタッフコースは、グラスギャラリーで甲州ぶどうの栽培や歴史、文化などを学べるので女性に大人気です。色、香り、味わいでワインを感じ取るテイスティングの極意を知った後は、ちょっとしたワイン通になっているはずですよ!
▲ツアーに参加するとぶどう畑を自由に見学することができる

ワイナリーから車で5分ほどの場所に直営の「レストランテ風」もあり、ワインに合う食事を楽しむこともできます。

【笛吹市】「フルーツ王国」と呼ばれる理由に想いをめぐらす

勝沼町と隣接する笛吹市では、ぶどうをはじめ、さくらんぼ、すもも、柿など様々な果物が生産されています。特に桃においては、ぶどうと同じく全国トップクラスの生産シェアを誇り、「フルーツ王国」と呼ばれています。市内12社のワイナリーが属する「笛吹市ワイン会」も発足されていて、笛吹市のワインを広める活動をしているそうです。
▲笛吹市では、15種以上の果物を生産

【おすすめワイナリー4.】130年以上の歴史を持つ老舗「ルミエール」

勝沼ぶどう郷駅下車、タクシーで約10分。笛吹市一宮町にある「ルミエール」は、明治18(1885)年に創設されたワイナリー。所有する石蔵発酵槽が平成10(1998)年に国登録有形文化財に指定されたことをきっかけに、敷設から約100年の時を経て、伝統的な醸造方法を復活させました。
▲石蔵の中でぶどうを発酵させる「石蔵発酵槽」

この石蔵で造られたワインは、複雑な香りで味わい深く、ロングセラーとなっています。ちなみに平成30(2018)年には、「葡萄畑が織りなす風景」の構成要素として、この石蔵が日本遺産にも認定されました。
▲地下にあるワインセラー

ワイナリーツアーは、「60分コース」と「30分コース」の2コース。ヨーロッパ式の垣根仕立てによるぶどう畑(60分コースのみ)や石蔵発酵槽、地下ワインセラーなどを見学することができます。特に地下ワインセラーは、静寂に包まれた神秘的な空間で、いくつものワイン樽が眠っていて見応え十分。
▲併設のレストラン「ゼルコバ」では、季節に合わせたフルコースメニューがワインと共に楽しめる

地元の食材を生かし、ワインに合わせた山梨のフレンチを堪能できる「レストラン ゼルコバ」や、ワイナリーショップなども併設。ワインの魅力を思う存分感じることができます。

【おすすめワイナリー5.】想い出深い年のワインが飲める「マルス山梨ワイナリー」

車で向かうことが多いワイナリーの中にあって、石和温泉駅から徒歩10分ほどで行けるのが「マルス山梨ワイナリー」です。ワイナリーの入場と試飲はなんと無料(一部有料試飲あり)!樽に付いている注ぎ口から自由に注ぐことができるんです。
▲石和温泉駅下車、徒歩約10分というアクセスの良さ

ワイナリーの地下貯蔵庫には、ワインとぶどうをテーマにした壁画が描かれていて、ワインと芸術のコラボレーションを楽しむことができます。5名以上からの完全予約制で利用できる地下ゲストルームでは、コンクール受賞ワインを試飲(有料)できるので、優雅な時間を過ごせそうですね。
▲静寂な雰囲気の地下ゲストルーム

イチオシは、昭和20(1945)年から平成14(2002)年までの年号を冠したヴィンテージワインにブランデーやスピリッツを加え、カメで熟成させた酒精強化ワインを1杯100円(税込)で試飲できるプラン。自分の生まれた年や思い出のある年のワインを探して味わってみてはいかがでしょう。

ワイン樽をテーブルにしたバーカウンターもあるのでグラス片手に心地よい時間を楽しんでみませんか。
▲ワイン樽でできたバーカウンター

【甲斐市】大手製造会社が伝えるワインの魅力

南に富士山、西に南アルプス連峰、北に八ヶ岳など雄大な山々に囲まれた甲府盆地。その一部に含まれる甲斐市も日当たりに恵まれ水はけが良く、昼夜の寒暖差が大きく、山梨の中でも最も雨が少ない地域であることからぶどう栽培が盛んです。もちろん、いくつかのワイナリーも点在しています。
▲富士山、南アルプス、八ヶ岳を見渡せるぶどう畑

【おすすめワイナリー6.】美しい丘の上から富士山を望める「サントリー登美の丘ワイナリー」

JR中央線・竜王駅下車、タクシーで約15分の小高い丘の上にある「サントリー登美の丘ワイナリー」は、富士山、南アルプス、八ヶ岳など多くの山々の美しい景観が魅力のワイナリーです。自園産ぶどう100%にこだわり、土壌づくりから徹底して行われるワイナリーは、「日本ワイナリーアワード2018」でも五つ星を獲得!敷地内には、テイスティングカウンターやワインショップ、富士山を正面に望む展望デッキもあって開放感たっぷり。おいしいワインと景色に癒されます。
▲静かにワインが眠る樽熟庫

こちらで開催されているツアー&イベントは複数ありますが、中でも「登美の丘ツアー」がイチオシ!四季折々のぶどう畑の様子や、こだわりのワイン造りを行う醸造所、さらにはワインが眠る神秘的な樽熟庫や瓶熟庫を見学することができます。日本ワイン3種のテイスティングもできるので、ワイン造りの現場を肌で感じてみてください。
▲ワインショップには、自社ワイン以外にも全国各地の日本ワインやワイングッズ、おつまみまで豊富に揃う

【おすすめワイナリー7.】家族連れにおすすめ!オリジナルチーズなどの試食もできる「シャトレーゼベルフォーレワイナリー」

JR中央線・塩崎駅下車、徒歩約5分の場所にある「シャトレーゼベルフォーレワイナリー」。こちらは、お菓子事業で海外にも店舗を持つ「シャトレーゼ」が展開するワイナリーです。ワインの製造工程の見学や、ワインの歴史を辿るローマンガラス美術館まで設けられています。
▲入場無料、チーズケーキの無料試食もできるので週末は多くの子ども連れで賑わう

非加熱・無濾過の「樽出し生ワイン」をはじめとするオリジナルワインはもちろん、そのワインに合うチーズとチーズケーキも試食・購入することができます。菓子メーカーだからこそできる充実したサービスに、ワクワクしちゃいます。
▲ワイナリーに併設されている「ローマンガラス美術館」

過ごし方は、シアタールームでワインの歴史を学んだり、ローマンガラス美術館(有料)を見たり、森の中のワインセラーを見学したりとさまざま。子ども連れの家族なら、敷地内にあるどんぐり坂で自然と戯れたりすることもできますよ。
いかがでしたか?山梨県には独自の手法でワイン造りを行うワイナリーがまだまだたくさんあります。長い年月をかけてワインを守り続ける想いや、こだわりのワイン造りをもっともっと知りたくなっちゃいますね。都内からなら1時間弱。車でも電車でもアクセスしやすい場所にある山梨のワイナリーを巡る旅に出かけましょう!くれぐれも飲み過ぎには気をつけて楽しんでみてください。
平岡宏枝

平岡宏枝

ライター。毎日を楽しく幸せに過ごせるような小さな発見をしていけたらと、 日々アンテナを張り巡らせています。 (編集/株式会社くらしさ)

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