絶景広がる開田高原「木曽馬の里」で、乗馬からそば打ち体験まで満喫!

2018.10.19 更新

木曽御嶽山(おんたけさん)の麓、標高1,100~1,300mの開田(かいだ)高原は、日本古来種の馬・木曽馬(きそうま)のふるさとであり、そばの名産地としても知られています。この高原にある「木曽馬の里」は、約50haの広さを誇り、希少な木曽馬とふれあいながら、開田高原産のおいしいそばも味わえる絶好の観光スポット。そんな「木曽馬の里」の楽しみ方をご紹介します!

心優しい木曽馬とふれあえる「木曽馬の里」

富士山に次ぐ標高3,067mの独立峰で、日本百名山のひとつとして知られる霊峰・御嶽山。その東麓に広がる開田高原は、開放的な景観と豊かな自然にあふれた人気の観光スポットです。NPO法人「日本で最も美しい村」連合による“日本で最も美しい村”に2006年に認定された長野県木曽町に属し、どこからでも美しい御嶽山を望むことができます。

真夏でも平均気温が18度という冷涼な気候条件のもと、そばの栽培が盛んに行われているほか、日本では数少ない在来馬「木曽馬」が育まれている場所でもあります。
▲北海道の「道産子」や、国の天然記念物である宮崎県の「御崎馬」と同じ日本在来馬の「木曽馬」。古くから木曽地域で飼育されてきた

木曽馬は平安時代から江戸時代にかけて、武士の馬として使用されていました。農耕馬として需要が増した明治時代には7,000頭もが木曽地域で飼育され、昭和の初めごろまではどの農家でも一般的に飼育されていたそうです。
しかし、時代の流れとともに大型の外来種が輸入され始めると、木曽馬は淘汰されるように。昭和44(1969)年に木曽地域で木曽馬保存会が結成され保護されるようになったものの、今では数えるほどになりました。
▲「木曽馬の里」の敷地内には、木曽馬の親子の像もある

そんな木曽馬を保存する中心的施設が、平成7(1995)年にできた「木曽馬の里」。2018年10月現在、木曽地域に約50頭、全国でも150頭ほどが保護育成されるのみの木曽馬ですが、そのうちの36頭がここで飼育されています。
約50haにも及ぶ敷地内には、大きな放牧場が広がります。概ね8時半から16時半までは、放牧されている馬を自由に触ったり、道端の草を食べさせたりすることができます(入場無料)。

敷地内には「木曽馬乗馬センター」もあり、体験乗馬が可能。このほか、初夏には収穫体験が楽しめるブルーベリー園や、そば打ち体験ができるおみやげ・お食事センター「一本木亭」もあります。
▲例年7月中旬~9月上旬にはブルーベリー狩りも楽しめる
▲道路を挟んでブルーベリー畑の反対側にはそば畑も広がる。例年8月下旬~9月上旬は真っ白なそばの花のじゅうたんに

初めてふれあう木曽馬のかわいさに感激!

では早速、木曽馬にふれあうべく、敷地の中央にある放牧場へ。到着して周りを見回すと、のんびりと草を食むたくさんの馬たちが!それだけでテンションアップ!一生懸命草を食べる馬たちがなんだかとても愛らしい。
▲こんな風に柵越しに気軽に馬とふれあえます

平均体高133cmと馬の中では小柄でも、近寄ってくるとちょっとドキドキ。恐る恐る触ってみると、こちらのことは気にしない様子でひたすら草を食べていて、それがまたかわいい!
▲足が太くがっしりとしていて胴長短足、消化器官が発達したぽっこりとしたお腹で、太く短い首と耳、顔に丸みがあるのが木曽馬の特徴
▲まえがみやたてがみが長く密生しているのも特徴のひとつ。優しい目もキュート
▲こちらは乗馬用に調教された馬が18頭ほど放牧されているエリア
▲時折、寝転がって手足をバタつかせている馬も!どうやらこうして背中を掻いているそう

厩舎(きゅうしゃ)裏の放牧場にも行ってみると、こちらには親子の木曽馬がいました。眺めているだけで癒されます。
▲ゆったりと過ごす木曽馬の親子。2018年には新たに2頭が誕生したのだとか

放牧場全体に漂う穏やかな空気感も相まって、時間が過ぎるのを忘れてしまうほど。馬ってこんなにかわいい生き物だったのか!

初心者でも安心!初めての木曽馬乗馬体験へ

存分に木曽馬見学を楽しんだら、続いて、体験乗馬ができる「木曽馬乗馬センター」へ。いざ乗馬にチャレンジします!
▲体験乗馬は10~12時と14~16時に可能。開始時間は日により30分ほど早くなることも

馬が待機している場所が乗り場。そばにいる飼育員さんに「乗馬体験をしたい」旨を伝えればOKです。
▲この日は2頭の木曽馬が待機
▲ここから体験乗馬スタート

料金は、約140mの「引き馬ショートコース」(所要約3分)が500円、約280mの「引き馬ロングコース」(所要約5分)が1,000円、屋内にある馬場で行う「一人乗り」(約15分)が2,000円です(いずれも税込)。引き馬コースは飼育員さんが馬を引いて歩いてくれるので初心者でも安心です。
▲今回は引き馬ロングコースを体験することに!

ヘルメットをかぶったら、いざ体験スタートです。
まずは飼育員さんからのレクチャーがあると思ったら、いきなり乗馬!緊張しますが、飼育員さんがゆっくりと引いてくれるので怖くはありません。
▲あまり高くないので、飼育員さんとの会話も楽しみながら進める

それに、この揺れが心地いい!ゆっくり滑らかに歩くサラブレッドに比べ、木曽馬はどっしりとしている分、馬上の揺れが大きいのだそう。それでも、この揺れがかえってリラックス効果を促してくれるような気がします。
▲ショートコースは乗り場の先の小山を一周、ロングコースはさらにその外側の外馬場も含めて一周する
▲なんだか馬と一心同体になった気分。これは今までにない体験!

乗っている最中、突然、馬がブルブルっと鼻先を揺らす瞬間が。飼育員さん曰く「これは馬のくしゃみなんです。馬は鼻呼吸な上に鼻が大きいので異物が入りやすく、しょっちゅうくしゃみをするんですよ」。
怒っているようにも感じますが、馬は怒りを耳で表現するのだそう。険しい目つきで耳を伏せているのが怒っている証拠。そんな時に近づくと、咬まれたり蹴られたりする可能性があるので注意が必要です。
▲仕草や表情の意味を知ることで、馬の気持ちを理解してあげることができる

一方、同じ「蹴る」でも前肢で地面を叩くようにするのは、独りにされて寂しい時など、何かを求めているサイン。馬のことがわかると、より親しみを込めてふれあうことができますね。
▲頸を軽く叩くのが「ありがとう」の合図。首元をなでてみたら、なんだか喜んでいるようで、これまたとてもかわいい!

乗馬にも慣れてきたところで、あっという間に体験乗馬は終了。馬の温もりに癒され、飼育員さんからさまざまな興味深い話も聞くことができ、短いながらも非日常感あふれる充実の時間となりました。

ちなみに飼育員さん曰く、ここの木曽馬は特に人に慣れているそうで、弱点である鼻先を触っても嫌がったり怒ったりしないそう。
▲鼻先を触ってみると…最高に気持ちがいい!ベルベットのように滑らかで赤ちゃんの肌のように柔らかく、触れるだけで幸せな気持ちに

なお、引き馬の体験乗馬は、子どもでも一人で乗ることができればOK(親子2人での乗馬は鞍が小さいためNG)。特に身長や年齢制限はないそうです。服装も、一人乗りの場合はスニーカーなどの靴とくるぶしまであるズボンが必要ですが、引き馬の場合はスカートでさえなければ、ショートパンツやパンプスなどの服装でもよいそう。
▲体験乗馬を案内してくれた飼育員のおふたり

また、取材日は運休でしたが、タイミングがよければ8人ほどが乗れる馬車に乗って敷地内を周ることもできます。晴れた日には御嶽山を眺めつつの乗車も楽しそうですね。ただし、開催の有無は馬の体調やイベント出張などのスケジュール、天気などに左右されるため、「開催日をあらかじめ告知するのは難しく、訪れた日に馬車が運行していたらラッキーです」と飼育員さん。乗馬センターの厩舎で確認してください。
▲1周15分のそば畑コースを進む馬車(税込大人1,000円・子ども700円)
▲1月中旬~2月下旬頃には、大人3人または子ども4人までが乗車できる馬ぞりも実施(税込1~2名2,000円、3~4名2,500円)

そば畑に囲まれた食事処でそば打ち体験&ランチ

お腹が空いたら、開田高原の名物!「霧下そば」を味わえる「一本木亭」へ。昼夜の寒暖差が激しく、夏場によく霧が発生する開田高原は、霧の下で栽培される「霧下そば」の産地。「木曽馬の里」でも約1haの畑で毎年そばを栽培しています。
▲「木曽馬の里」に入ってすぐの場所に佇む「一本木亭」

「一本木亭」には食事処のほかに「そば道楽体験道場」を併設しており、自分で打ったそばを味わえるとのこと。早速そば打ちにも挑戦してみました!
▲そば打ち体験ができる「そば道楽体験道場」。体験受付は10:00~15:00(12~3月は~14:00頃)で1人1,500円(税込)

打つのは、開田高原のそば粉を8割、強力粉を2割使った二八そば。2名分を打っていきます。
▲エプロンをつけて、いざスタート。教えてくれたのは「一本木亭」で食事用の手打ちそばも打つ中村和代さん

まず、鉢にそば粉と強力粉が混ざった粉を広げ、水を3回に分けて入れながら、粉と水をなじませる「水回し」という作業をします。
▲この「水回し」が手打ちそばの良し悪しを決める重要なポイント!次第にピーナッツのような香ばしい香りがしてきて、粉の色がぐっと深まったらOK
▲次にそば粉をひとつにまとめていく「練り」を行う。細かく空気を抜くように練りこむことで強いそばができる
▲練り上がったそばをのし台の上に置き、手のひらで押し広げていく「押しのばし」をしたら、麺棒を使って中心から外側にのばしていく
▲何度ものばす作業を繰り返し、1mmちょっとの厚さになったら、生地を10cm幅ほどにたたむ

こうして、いよいよ切る段階へ。駒板を左手で持ち、駒板に沿うよう包丁を垂直に立てて手前から奥に押し出す要領でリズムよく生地を切っていきます。
▲駒板を1.5mmから2.0mmほど左側にずらしながら切っていく

今回かかった時間は約30分。通常は所要40~50分ほどだそうですが、「そば打ちは素早い作業で進めるとキメが細かくもちもちとおいしくなるので、よくできました!」とお褒めの言葉をいただきました。
▲バットに並べて完成!

特に練る作業が早かったことが功を奏したそう。この作業に時間をかけると手の温度で生地が温まって乾燥し、短く切れたそばになってしまうのだとか。長野県民ながら実は初めてのそば打ちでしたが、大満足の出来栄えで充実感もたっぷり味わえました。

とはいえ、大事なのは味!ということで、最後に茹でてもらい、食堂でざるそばとして味わいます。
▲2人前のざるそばになりました!
▲いざ実食!

コシがあってなかなかおいしい上に、なにより自分で打ったというだけで感慨深い!そば打ちにハマる人が多いことにも納得です。

なお、こちらの体験は小学生以上で可能。基本的に予約制(最小催行人数2名)ですが、空きがあれば予約なしでの体験もOK。取材時も、飛び込みで体験を申し込む家族連れの姿が見られました。打ったそばは今回のように食堂で食べることもできますし、持ち帰りも可能ですよ。
▲「一本木亭」では食事のみの提供もしており、10月からは新そばが出るそう。「食堂では天ざるそばが一番人気」と所長の上出(かみで)操さん
▲一本木亭のおみやげ売り場では、開田高原産のそば粉(500g・850円)や生麺(2食入り・360円)、そばまんぢゅう(100円)やそばかりんとう(360円)なども販売(いずれも税込)
穏やかで心優しい木曽馬に癒され、そば打ち体験を楽しんで、おいしいそばに舌鼓。特に秋は新そばに紅葉と、見どころが盛りだくさんです!秋晴れの行楽日和には「木曽馬の里」でゆっくり過ごす1日はいかがでしょうか。
▲例年10月下旬~11月上旬には真っ赤に色づいたブルーベリーの紅葉が見頃に。一本木亭の前からは御嶽山とのコントラストを望める
島田浩美

島田浩美

編集者/ライター/書店員。長野県出身・在住。信州大学卒業後、2年間の海外放浪生活を送り、帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店「ch.books(チャンネルブックス)」をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。(編集/株式会社くらしさ)

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