雲海に紅葉、絶景の木曽御嶽山へ!ロープウェイで大パノラマを体感

2018.11.22 更新

標高3,067mと独立峰としては富士山に次ぐ高さを誇る木曽御嶽山(おんたけさん)。四季を通して移り変わる風景や雲海、高山植物など、豊かな自然と美しい景観が魅力です。御岳ロープウェイを使えば標高2,150mまで一気に上がれ、そこから1時間ほどの登山で日本屈指の紅葉の絶景が広がる8合目に到着。そんな御嶽山トレッキングの魅力を、周辺で楽しめる日帰り温泉やご当地料理とともにご紹介します。

▲初夏や晩秋には雲海の出現率が高くなる(写真提供:御岳ロープウェイ)

全国有数の信仰の山として今も多くの信者を集める御嶽山

高山植物や紅葉、雲海の名所として知られる木曽御嶽山。日本でも屈指の絶景スポットで、季節ごとに表情を変える景観は多くの登山者を魅了してきました。
▲雄大な山肌とハイマツ(針葉樹の一種)の中に点在するナナカマドの燃えるような紅葉は、息を呑むほどの美しさ(写真提供:御岳ロープウェイ)

また、約1300年前の開山時から修験道の場として栄え、富士山、白山、立山と並び、山岳信仰における霊山として古くから崇められてきた歴史ももちます。平安・鎌倉・室町時代にかけては、民間信仰として集団登拝する風習が誕生。江戸時代末期から明治初期にかけては、毎年何十万人もの人々が先祖供養や死後の安寧を願って登拝し、「富士山(富士講)」と並び庶民の信仰を集めました。
▲裾野がどっしりと広く台形状で、岩肌が荒々しい御嶽山

毎年夏になると、白装束に身を包み「六根清浄(眼・耳・鼻・舌・身・意の六根を清らかにすること)」を唱えながら、子孫繁栄や無病息災を祈念し登拝する信者の姿を見ることができます。

ちなみに、筆者が初めて木曽御嶽山に登ったのは2002年。山頂付近に立つ御嶽神社や霊神碑の不可思議さ、コバルトブルーの火口湖の神秘的な雰囲気に感動し、白装束の信者が登山をする様子を見て信仰の山として今も生き続けていることに感銘を受けたのを覚えています。

7合目までラクラクアクセスの御岳ロープウェイ

そんな自然と歴史文化の魅力が溢れる木曽御嶽山にはいくつかの登山道がありますが、今回は7合目にある黒沢口から、紅葉の名所・8合目まで約1時間の登山を楽しむことに。一般登山のきっかけをつくった覚明(かくめい)行者によって天明5(1785)年に開かれた御嶽山最古の登山道です。
なお、7合目までは御岳ロープウェイ(ゴンドラ)で一気に上がります。
▲車でアクセスする場合は「ホテル木曽温泉」前に立つ「御岳ロープウェイ入口」の看板が目印

5合目にあるロープウェイ乗り場の鹿ノ瀬(かのせ)駅(山麓駅)には、マイカーで行くことができます。カーナビゲーションを設定する場合は【ホテル木曽温泉TEL0264-46-2700】を目的地にセット。ホテルから約8km上って御岳ロープウェイ山麓駐車場に到着します。また、JR木曽福島駅前からおんたけ交通のバス(観光路線)も運行(税込片道1,500円、小学生750円、未就学児無料、ロープウェイ+木曽町内バス2日間有効フリーパス2,500円)。

なお、ロープウェイの運行期間は例年4月下旬~11月上旬。夏休み期間と紅葉シーズンは毎日運行、それ以外は土・日曜、祝日運行です(要問い合わせ)。
▲チケット売り場はセンターハウスの建物1階

センターハウスでチケット(大人2,600円、小・中学生1,300円 ※ともに往復、税込)を購入したら、売り場前に用意されている登山計画書に必要事項を記入し、設置されている登山ポストに投函を。この登山計画書の提出は長野県で義務化されているため、必ず登山前に提出してください。
▲チケット売り場前に設置された長机に登山計画書と登山ポストがあります。山頂駅の駅舎内にも同じ用意があるので、そちらで提出することもできます

さて、センターハウス2階に上がった先にある建物が鹿ノ瀬駅です。まず、第一の絶景ポイントがここ。鹿ノ瀬駅周辺には美しく管理されたお花畑が広がり、晴れた日は御嶽山を望むこともできます。
▲お花畑から御嶽山の絶景が!6~9月はサルビアやマリーゴールド、ベゴニアなどを見ることができます

ゴンドラは6人乗りのカプセル型なので、家族や仲間と気兼ねなく空中散歩を楽しめます。しかも約20秒間隔で発着しているので、待たずに乗れるのもうれしい。
▲ゴンドラは約60台。連続して往復運行しているので、取材日も並ぶことなく乗れました

鹿ノ瀬駅から7合目にある飯森高原駅(山頂駅)との標高差は580m。全長約2,330m、所要約15分の空中さんぽで、天気がよければ木曽駒ケ岳をはじめとする中央アルプス、乗鞍岳や穂高岳、槍ヶ岳の北アルプス、八ヶ岳などの山々を望むことができます。
▲ゴンドラから振り返ると中央アルプスなどの山々が
▲秋にはロープウェイ上から真っ赤に燃え上がるナナカマドも眺められます(写真提供:御岳ロープウェイ)

残念ながら取材日は厚い雲に囲まれていましたが、森を抜けてゴンドラがどんどん標高を上げていくと、少しずつ青空が見えてきました。
▲霧の中、標高2,150mの飯森高原駅が見えてきました!
▲どうやら雲を抜けたようです!飯森高原駅から御嶽山の眺め

御嶽山は特に天候の変化が激しく、一瞬で空模様が変わります。多少天候が悪くてもじっと待っていると晴れ間が見えてくることもあるので諦めないで。ただし、天気が良くても悪くても雨具は必須です。また、8合目まで徒歩約1時間とはいえ、決して平坦な道ではないので登山用の靴や帽子、防寒着などしっかりとした登山装備も忘れずに。
▲晴れていれば飯森高原駅にある屋上展望台から迫力ある御嶽山を間近に望むことも(写真提供:御岳ロープウェイ)
▲秋には御嶽山の紅葉も間近に(写真提供:御岳ロープウェイ)

なお、2018年8月には、この屋上展望台の壁一面に熱反射ガラスを貼り付けた「ミラーデッキ」が登場しました。好天の場合は、間近に迫る御嶽山のほか、北・中央アルプスの眺望がこのミラーに映り込みます。
▲高さ最大約2.2m、幅約1.2mのガラスを20枚並べた空間(写真提供:御岳ロープウェイ)
▲実際の景色と合わせて大自然を2倍楽しめるので、アイデア次第で面白い写真も撮れそう(写真提供:御岳ロープウェイ)
▲昼夜の寒暖差が大きくなる初夏や晩秋には雲海の出現率も高くなります(写真提供:御岳ロープウェイ)

8合目をめざす前に、まずは飯森高原駅周辺をぐるりと散策。自由に散策できる「高山植物園」には季節に応じたさまざまな高山植物が咲き誇ります。
▲取材時(8月末)はコマクサやヤマノコギリソウなどを楽しむことができました

高山植物の女王・コマクサがこんなところで見られるなんて!
こうした高山植物は氷河期からの生き残りで、高山帯に生育しています。厳しい自然環境の中で健気に生きているため、採取は禁物です。
▲高山植物園外にも、さまざまな高山植物が咲いています

高山植物園の近くには、大きな鳥居が立つ「御嶽社」も。ここで登山の無事を祈ります。
▲縁結びや家庭円満、子宝、子孫繁栄の神様が祀られている御嶽社(参拝自由)

幽玄の森を抜けてたどり着く絶景の8合目

さて、いよいよ7合目にある黒沢口登山道の入り口から登山のスタートです。8合目までは約1.7kmの道のり。原生林の中に通る「しらびその小径」を経由して向かいます。
▲周囲をシラビソが覆う「しらびその小径」は、ウッドチップが敷かれた約300mのコース。ほぼ平坦で、気軽に歩くことができます
▲豊富な水に恵まれているのも御嶽山の特徴。至るところに清水も見られます

10分ほど歩くと、標高2,180mにある山小屋「行場(ぎょうば)山荘」に到着しました。登山客が休憩に利用する森の中の山荘で、周辺は御嶽信仰の中で「行場」と呼ばれる場所です。
▲夏は全国から多くの信者が訪れる行場山荘(営業期間:7月上旬~10月下旬)。満天の星やご来光、雲海を望むことができます
▲御嶽教の信者たちの記念旗がずらり
▲すぐそばには御嶽山を開いた覚明霊神を祀る「覚明社」があります
▲行場山荘を抜けると、本格的な登山道に

行場山荘から8合目までは木の階段がひたすら続きます。整備されているので道に迷うことはありませんが、階段は急でかなりハード。しっかりとした登山装備が必要です。必要であればストックなどを使って足に負担をかけず、呼吸を整えながらゆっくり登りましょう。
▲木の階段は濡れていると滑りやすいので特に注意が必要
▲登山道には大きな溶岩がゴロゴロしていて、古代から大噴火を繰り返してきたことがわかります

うっそうと茂る森と苔むした溶岩などが、神秘的な雰囲気を醸し出しています。このまま針葉樹林帯の上りがしばらく続き、広葉樹林帯に変わった辺りから背の高い笹が生い茂り始めます。
▲登山中にはほかのグループにも遭遇
▲白装束の登山者も見られました
▲次第に周りの木々の背も低くなってきたら8合目までは残りわずか
▲いよいよ8合目にある鳥居が見えてきました

ようやく標高2,470mの8合目に到着!森林限界を越えて高い木がなくなると視界が一気に開け、御嶽山頂の雄大な姿が間近に迫ります。
▲8合目から眺める御嶽山頂の姿
▲8合目の広場には徳島県阿波地方の人々の霊神碑を多く祀った「阿波ヶ嶽」があり、崇高な雰囲気が漂います

8合目には山小屋「女人堂」があります。
▲女人堂(営業期間:7月上旬~10月中旬)。夜は美しい星空が広がり、天気がよければ小屋の前からご来光や雲海も見られます

女人堂という名は、女性たちのおこもり堂であったことに由来しています。女人堂の先には「金剛童子(こんごうどうじ)」という神様をお祀りした地がありますが、明治初期まで金剛童子から先は聖域とされ、女人禁制でした。そのため女性たちは、頂上をめざした男性たちの帰りをこの小屋で待ち、金剛童子に参拝していたそう。
その後、明治10年頃からは女性の登拝も自由になり、現在のように登山客や信者の宿になりました。
▲下界から突いてきた金剛杖を洗い清めた石の蹲(つくばい)が、現在も女人堂の前に置かれており、登山者は杖やストックを洗うことができます

そして、ここ8合目が絶好の紅葉スポット!寒暖差が大きいためか、ナナカマドやダケカンバが赤や黄色に色づきます。
▲9月下旬~10月中旬には、木の葉が赤や黄色に色づく素晴らしい絶景に出合えます(写真提供:御岳ロープウェイ)
▲女人堂の奥には御嶽神社の中社(社務所)があり、御嶽神社の御朱印やお札を受けることも(開所期間:7月上旬~9月上旬の毎日、5~6月・9~10月の土・日曜、祝日/社務所受付時間:8時30分~16時30分頃)
▲下界にも見事な絶景が広がる

この女人堂から右手は「三ノ池」方面への登山道で、紅葉を見るならこの先約1kmが見どころです。ただし、その先は土砂崩落のため、2018年11月現在通行止め。一方、女人堂から左手に進むと、金剛童子を経て山頂へと続く登山道です。
▲鳥居をくぐり、8合目から先は岩や石がゴロゴロ散乱しているザレ場を進みます
▲ハイマツやナナカマドが生い茂る中、金剛童子へ

女人堂から5分ほど進んで金剛童子にたどり着きました。ここは御嶽の歴史書にも「金剛童子は八分メ大石の上に座す」と記されており、特に神聖な域とされました。
▲御嶽講の登拝者を祀った霊神碑が林立する、俗界と聖域の境
▲かつてはこれより先が女人禁制で、ここを「女人頂上」としていました
▲この金剛童子から望む麓の景色もまた見事

なお、2014年の噴火を受け、御嶽山の山頂登山は禁止されていましたが、ちょうど4年目を迎えた2018年9月に立ち入り規制が一部解除され、山頂登山が認められるようになっています。2018年は最寄りの山小屋の営業が終わる10月8日まで山頂登山が可能でした(冬期は御岳山麓の町道なども全面通行止となります)。
▲登山をもう少し頑張り、九合目付近から見下ろす紅葉もまた格別(写真提供:御岳ロープウェイ)

こうして約1時間の登山ながら、御嶽山の山頂が間近に望め、山岳信仰の幻想的な雰囲気も味わえ、大満足の山行となりました。
ちなみに、山ではグッと気温が下がる日が多くなります。天気には十分注意し、重ねてのお伝えになりますが、防寒着や雨具の用意は必須です。

登山の後は、効能抜群で食事もおいしい日帰り温泉へ!

帰りは登山道を再び下り、ロープウェイで下山。疲れた体は温泉で癒しましょう。
鹿ノ瀬駅から車で15分ほどの標高1,050mに位置する「ホテル木曽温泉」は、御嶽山の地下600mから湧き出る鹿の瀬温泉を源泉とし、日帰り入浴も可能(税込600円)。内湯と露天風呂があり、茶褐色の濁り湯は慢性皮膚炎や筋肉疲労に効果があるといわれています。
▲「御岳ロープウェイ入口」の看板のすぐ近くに立つ「ホテル木曽温泉」
▲泉質は炭酸水素塩泉。浴槽は温泉の鉄分やカルシウムなどの成分が付着し、茶褐色に染まっています。浴槽の縁はデコボコになっていて、近くで見るとなんだかサンゴのよう!(写真は男湯)

よく見るとお湯の表面に小さな気泡が弾けていて、炭酸成分が感じられます。ほんのりと鉄の匂いもあり、唇を舐めると鉄錆味と塩味が感じられました。
▲男湯の露天には木曽ヒノキの湯船(奥)のほかに、かつて寒天作りで使っていた釜の湯船も(女湯はヒノキの湯船のみ)。湯船は緑がかった湯ですが、湯口の源泉は無色透明。空気に触れることで成分が変化しています

なお、源泉は約45.5度ですが、引湯することで37度まで下がってしまうため、内湯は加温しているのだそう。一方、露天風呂は源泉のまま掛け流しをしているので、内湯よりも低い温度設定ですが、よりフレッシュな源泉を堪能することができます。ちなみにこの日は外気が涼しかったせいか、露天風呂の湯のほうが温かく感じました。12月からは露天風呂は閉鎖され、内湯のみの利用になります。
▲ヒノキの浴槽はかつて真っ白だったそうですが、温泉の成分により茶褐色に。外周は温泉が固化しており、成分の強さが感じられます

それにしても、やわらかくなめらかな湯は肌触りがやさしくて本当に気持ちがいい!ぬるめの湯温もちょうどよく、ずっと浸かっていられそうな気になります。そして、湯上がりのさっぱり感とサラサラな肌は感動的!体も芯から温まって大満足でした。

疲れを癒したあとは、雄大な御嶽山を望みながら地元の食材にこだわった季節の料理に舌鼓。実はこちらのホテル、食事のおいしさも評判なんです。
▲一般的な1,800円(税込)の「おまかせ定食」は揚げ物が中心。米はいずれも長野県産米で、そばはどのメニューにも必ず添えられます

1,800円~3,000円(税込)の「おまかせ定食」(要予約)は、開田高原で採れる野菜など地のものを使い、ボリュームもたっぷり。木曽名物のそばを使った「そば定食」(1,800円・税込)もあります。
希望に応じて秋はマツタケ、春は山菜なども味わうことができます。
▲こちらは宿泊者向けの夜メニュー「満腹定食」の一例。真ん中が名物料理「岩魚のみどりがけ」で、ほかに豚陶板焼きや信州サーモンなど信州名物の小鉢が並びます

社長の深沢公二さん曰く、同館の温泉の泉質は良いものながら、築20年以上となる建物の設備が古い分、食事には一段と力を入れているのだそう。山菜などの食材は社長自ら山に入って採っており、特に門外不出のソースを使った「岩魚のみどりがけ」は、遠方から食べに来る人がいるほどの人気メニューだとか。宿泊者限定メニューですが、今回特別にいただくと、さっぱりとしたソースは今まで食べたことがない、和洋折衷のような不思議な味わい!ほどよい酸味が揚げた岩魚とよく合います。
▲「満腹定食」の鍋料理は季節や希望に応じて対応。写真はマツタケを使った秋のきのこ鍋。ヤマブドウやドクダミ、ツルムラサキなど珍しいものを使った薬膳天ぷらも

なお、「木曽のおいしいそばを存分に味わってほしい」との思いから、夜の食事(宿泊者限定)はどのプランでもそばが食べ放題なのだとか。太っ腹すぎる!
日帰り入浴もいいですが、良質な温泉においしい食事までいただけ、しかも手頃な価格(1泊2食付9,980円~ ※2名1室利用時、税込)で泊まれるとあって、ついついこのまま泊まりたくなってしまいました。
紅葉や雲海の絶景だけでなく、信仰の山の神秘的な雰囲気も味わえ、帰りには温泉やグルメまで楽しめる木曽御嶽山のトレッキング。春から秋にかけてのグリーンシーズンには、山深い木曽路にひと足延ばしてみませんか。
島田浩美

島田浩美

編集者/ライター/書店員。長野県出身・在住。信州大学卒業後、2年間の海外放浪生活を送り、帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店「ch.books(チャンネルブックス)」をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。(編集/株式会社くらしさ)

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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