宮崎地鶏「じとっこ」を味わうならココ!新鮮やわらか、うまみあふれる地鶏の魅力

2018.12.22 更新

日本有数の畜産県である宮崎県。数々のブランド牛や豚がありますが、宮崎地鶏も忘れてはいけません。そこで宮崎市に来たら一度は行ってほしい「みやざき地頭鶏(じとっこ)」のお店をご紹介。宮崎の郷土料理である地鶏の炭火焼きから、その店オリジナルのメニューまで、どーんとご紹介します!

宮崎の地鶏といえば「みやざき地頭鶏」。ルーツをたどれば江戸時代に霧島山麓で飼育されていたニワトリで、そのうまさから島津藩の地頭、つまり領主に献上されていたそう。昭和18(1943)年に国の天然記念物に指定され、昭和60(1985)年にこの鶏を原種としたブランド鶏の開発が始まり、平成16(2004)年から「みやざき地頭鶏」として流通するようになりました。

平成8(1996)年に生産者や畜産関係者からなる普及協議会などが設立されたことを経て、現在は地元の業界団体「みやざき地頭鶏事業協同組合」が生産の拡充や販路拡大、PRを行っています。

1号店としての誇り。地鶏を食べ尽くせる店「ぐんけい本店 隠蔵」

▲蔵のような外観が目印の「ぐんけい本店 隠蔵(かくしぐら)」。2階席や個室もあり

ではさっそく、「みやざき地頭鶏事業協同組合」の指定店1号である「ぐんけい本店 隠蔵」におじゃましましょう。宮崎市最大の繁華街、西橘通(通称ニシタチ)に近い場所にあり、サラリーマンをはじめ家族連れのお客さんも多いお店です。もちろん、「じとっこは初めて」という旅行客も多く訪れます。
▲組合のポスターでモデルを務めているのが、「ぐんけい」の創業者で代表の黒木賢二さん

宮崎の地鶏料理のバリエーションは、炭火焼きを筆頭に、串焼き、チキン南蛮、から揚げ、揚げ手羽先など豊富。その中から、やはり代表格のじとっこの炭火焼きからご紹介します。
▲「プレミアムもも焼き」。オプションの「ゆずごしょう」(50円)もぜひ注文してほしい

今回注文したのは炭火焼きの「プレミアムもも焼き」。大きさは「大」(400g・2,600円)、「中」(300g・2,000円)、「小」(200g・1,400円)から選べます。ほかに「むねみ(胸身)焼き」(850円~)、ももとむねみが一緒に味わえる「ブレンド焼き」(1,150円~)もあります。
見た目が黒く硬そうな印象があるかもしれませんが、食べてみると柔らかく、うまみがじわっと口の中に広がります。味付けはぐんけい手作りの炒り塩のみ。ゆずごしょうをつけるとさわやかなピリ辛感が加わって、またまたおいしくなります。
▲つくねはバットに入れて準備

次にカウンターに現れたのは仕込み中のつくね。一度この状態のままオーブンで軽く火を入れ、その後串につけて成型し、炭火で焼き鶏のように焼きます。するとおいしい「鶏つくね串」(290円)が完成。今回は「月見トッピング」(50円)で卵の黄身をつけていただきます。
▲もちろん、鶏つくね串にもじとっこを使っています

柔らかく、かつ適度な弾力のある地鶏はとってもジューシー。刻んだ白ネギが練り込まれていて、食感のアクセントになっています。卵黄をつけて食べるとよりクリーミーで、“親子”のハーモニーが感じられます。
▲あっさり食べられるタイプの「ちきん南蛮」(600円)

3品目はお待たせしました!宮崎人なら誰もが大好き(筆者調べ)な「ちきん南蛮」です。こちらのチキン南蛮は「ササミ」を使用。「揚げ物をさっぱり食べていただきたいので、脂身が少ない部位を使い、揚げた後甘酢にさっとくぐらせています」と店長の佐藤裕さんが教えてくれました。
オリジナルのタルタルソースはゆで卵入り。宮崎県人にとって、このゆで卵の有無は大きなポイントです。基本、入っていないと“認めない”という雰囲気もあるほど。ゆで卵入が入るとソースの存在感が増し、「つける」というより「食べる」感覚に。コクがプラスされます。

肝心のササミの味わいはというと、むね肉よりもあっさりしていながら、地鶏のうまみがしっかり感じられます。薄くて小ぶりなので、つまみにもピッタリ。宮崎県人の間ではチキン南蛮は部位によって「もも派」「むね派」に分かれますが、私は今日から「ササミ派」になりました!
▲店長が発案した辛みのある「地頭鶏 砂ずりえんがわチャンジャ」(350円)

「これもぜひ食べてみてください」と佐藤店長が満面の笑みで出してくれたのが、「地頭鶏 砂ずりえんがわチャンジャ」。佐藤店長が開発に半年を要した自慢の一品です。砂ずりは別名・砂肝で、鶏の胃袋のこと。えんがわは砂肝の中でも外側の部分のことをいうそうです。コリコリした食感とコクのある唐辛子の辛みがたまらない。どうしたってお酒がすすみます。
▲宮崎県内では焼酎のボトルキープが一般的。こんなボトル棚が用意されているお店が多いです

宮崎の酒といえば、やっぱり焼酎。一般的に広く飲まれているのは「木挽BLUE」(雲海酒造、1杯450円)や「霧島(宮崎限定)」(霧島酒造、同450円)などの芋焼酎ですが、せっかく宮崎に来たのだから貴重なお酒が飲みたいという人には、地元の人でもあまりお目にかかれないこちらをおすすめします。
▲パッケージデザインもおしゃれな「百年の孤独」(1杯1,030円)。明治18(1885)年創業の酒蔵・黒木本店の麦焼酎です

アルコール度数40度で、宮崎ではめずらしい麦焼酎ですが、木樽で長期熟成し、ウイスキーのような芳醇な香りが特徴。あのグルメコミック『美味しんぼ』にも登場した名酒です。それがここ、ぐんけいではグラスで飲めるんです。1杯1,030円。とはいえ「いつもあるわけではないんですよね?」と聞いてみると、「いや、うち、いつも数本用意しているんですよ」と佐藤店長。それはすごい。
▲具材がたくさん入った「鶏飯」(720円)

地鶏も地酒もたっぷり楽しんだところで、最後は「鶏飯」で〆ましょう。ご飯にむねやせせりといった地鶏の具材をのせ、カツオ、昆布、干しシイタケでとった出汁をかけたさっぱりとした一品です。
ゴボウ、ニンジン、三つ葉などの野菜も入って、ユズの皮の香りがさわやかで、さらさらといただけます。きちんととった出汁のおいしさを感じられる一品です。

料理に対する思いについて伺うと、「うちは自社農園で育てた、朝どれのじとっこを使っています。柔らかく、うまみがあるじとっこの特徴を生かして調理しています」と佐藤店長。焼き方にもこだわりがあるということで特別に焼き場を覗かせていただきました。
▲佐藤店長の華麗なヘラさばき。かなり熱い…

焼き場に入ると、うっ、思ったより熱気が…!佐藤店長、熱くないんですか?「毎日やっていますが熱いです。でも、我慢しています(笑)」。男は我慢なんですね!

ステンレスのヘラを使い、地鶏をひっくり返すこと数分。焼き終わった地鶏をすばやく、皿に取り出します。
▲もも焼きをさっと皿に載せた!とってもスムーズ&スマートです
▲そのワケはこれ。焼き台に取り出し口がついています。そして、ヘラと取り出し口のサイズがぴったり。無駄なくデザインされています!

「焼いているところをお客さまに見せるというのは、代表のアイデアですが、トングで調理するのはカッコ悪い。だから見た目がよく、炎の中でダイナミックに焼ける小道具として、柄が長めのステンレス製の専用ヘラを特別に作ったんです。取り出し口のサイズもヘラの幅とぴったり合うようにして、カッコよく効率的に作業できるようにしました」(佐藤店長)。

なるほど!ぐんけい、こだわりの美意識です。
鶏、鶏、鶏…と見事なまでの鶏づくし。じとっこの部位ごとのうまさに加え、焼く、揚げる、蒸すなどのさまざまな調理法や味つけによって、バリエーション豊かに楽しむことができました。ごちそうさまでした!

住宅街の中の隠れ家のような「kuturogi 三四郎」。ここにしかないじとっこ料理に舌鼓

JR宮崎駅から徒歩で10分ほど。次なるおすすめは、住宅街にたたずむ「kuturogi 三四郎」。宮崎市内のおいしいもの好き女子の間で噂になっているじとっこ料理専門店です。
お客さんに「隠れすぎている」と言われることもあるお店。あえて看板だけでお知らせしています。
▲「三四郎」の名は店主が以前飼っていたワンちゃんの名前から。中に入ってみると、芸能人のサインもいくつか飾られていました

店一番の人気メニューは「地頭鶏炙り四種」(1,200円)。
ソリレス、おび、鶏フィレ、チャックテンダー……どれも他のお店では聞き慣れない部位の盛り合わせです。それもそのはず、「ふつうは捨ててしまうところだから。でも、ソリレスはフランス語で『バカはそれを残す』という意味なんですよ」と店主の山口虎太郎さんが教えてくれました。
▲「地頭鶏炙り四種」。ちなみにチャックテンダーと鶏フィレは牛肉をイメージして山口さんが名付けたそう

珍しいじとっこの部位がそれぞれサッと炙っただけの状態で供されます。少し火を入れ、新鮮な地鶏のうまみを引き出し、味わいの違いをお客さんに楽しんでもらうための一皿とのこと。それでは1種ずつ食べてみましょう。
▲柔らかな肉質だからこそ食べられる繊維質のソリレス

ソリレスはもも肉の中でも筋肉の部分で、少しサクサクするような珍しい食感を味わえます。にんにくを少し付けて食べるのがおすすめです。
▲モチモチした食感のおび

おびももも肉の一部分。ももの付け根にあたるところで、モチモチした食感が特徴です。薬味はわさびをつけて、刺身のようにしょうゆで食べるとGood!
▲きれいな薄ピンク色のチャックテンダー

もともとは牛肉の部位の名前であるチャックテンダー。もも肉の筋の中にあり、非常に取り出しにくいそうです。こちらは淡白な味ともちっとした適度な弾力が魅力。さしみじょうゆだけでなく、塩でいただくのもおすすめです。
▲むね肉の一部分の鶏フィレ

鶏フィレも牛フィレをイメージして名付けられた部位。炭火でサッと炙ったときの焼き色がほんのりついています。むね肉に近い部位ですが、しっとりとした肉質が特徴。上にのせられたゆずごしょうとの相性も抜群です。ピリッとするだけでなくうまみのある辛さがアクセントになって、とっても美味。
▲店主の山口さん

山口さんは27歳で同店をオープン。リニューアルを経て、2018年で5年目を迎えました。宮崎県中のさまざまなじとっこを試し、もも、むね、手羽などすべての部位を食べ比べ、今お店で使用している生産者に行きついたと言います。

「地鶏の炭火焼きは宮崎の郷土料理ですが、どこで食べても同じということに前から疑問を感じていました。そんな宮崎地鶏の概念を変えたい、革命を起こしたいと思ったんです」と話します。
▲むねみを使った炭火焼き「みやざき地頭鶏 元祖 むねみ」(1,400円)

こちらはレアに仕上げてあるのが特徴。じとっこ特有の、柔らかく弾力のある肉質のよさを感じてもらうために、レアにこだわっています。出来たて熱々もいいけれど、不思議と冷めてもおいしい。特製味噌との相性もバッチリ。添えられたキュウリは中身の種の部分がくり抜かれ、皮の食感を楽しめる非常に印象的な脇役になっています。

なお、こちらのお店は「地鶏以外のメニューもおいしい」と評判なので、他のメニューも少しご紹介します。
▲「生ハムとアボカドの温玉シーザーサラダ」(880円)

グラスに入った別添えの温玉をくずしてサラダにかける「生ハムとアボカドの温玉シーザーサラダ」。取材した日も来店した女子が、「インスタ映えする!」と言いながら写真を撮っていました。映えるし、パルミジャーノ・レッジャーノ、黒こしょうに温玉のコクのあるソースがレタスとアボカドにからんでおいしい!
▲「佐土原ナスと豆腐の揚げ出し」(680円)

切れ目を細かく入れて揚げた、宮崎の特産ナス「佐土原ナス」と豆腐の揚げ出しのコラボレーションが生んだ「佐土原ナスと豆腐の揚げ出し」。皮をむいて揚げたナスの緑色が美しく、青ユズの風味が効いたあんかけがおいしい。
▲「未来の巨匠の親子丼」(600円)

〆におすすめしたいのは親子丼。「未来の巨匠の親子丼」という謙虚なネーミングは山口さん本人によるものです。地鶏のうまみ、甘めのつゆ、半熟卵のとろとろ感があわさって、バランスのとれたおいしさです。丼といっても、ご飯はごく少量なので呑んだ後でもペロリと食べられます。

名前の由来を山口さんに伺うと、「まだまだ勉強中の身ですから。僕は休みの日も鶏しか食べない、鶏屋さんです」と笑顔で答えてくれました。探求心旺盛な山口さん、巨匠になる日も近そうですね。
▲白木のカウンター席の他、テーブル席や小上がりに個室もあり

お酒は焼酎の他、日本酒やワインも豊富。ワインは炭火焼きのスモーク感にあうものなどをソムリエに選んでもらい、用意しているとのことです。米・ナパバレーのプレミアムワイン「オーパス・ワン」もセラーに鎮座しておりました。

こんなお店で宮崎旅行の最後の夜を締めくくることができたら、きっと最高です。じとっこの新たなおいしさを発見できること、間違いなしですよ。
地元・宮崎だからこそ味わえる、みやざき地頭鶏の世界。新鮮な地鶏を丁寧に処理し、最高の状態でお客さまに提供する達人たちの店で堪能してみませんか?柔らかいだけじゃない、うまみと弾力のあるじとっこのおいしさ。腕自慢の料理人があなたのお越しを待っています。

※記事内の価格表記はすべて税抜です
小御門綾

小御門綾

編集者/ライター 福岡県生まれ、神奈川県川崎市育ち。宮崎県在住。明治学院大学卒業後、メーカー勤務。その後、出版社勤務を経て、フリーランスの編集者、ライターに。現在、「日向経済新聞」(みんなの経済新聞ネットワーク)の編集長を務め、宮崎から情報を発信する。築150年ほどの古民家に住み、おいしいもの探しが趣味。 (編集/株式会社くらしさ)

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