人気の「ブレッド&サーカス」がある湯河原へ!美味しいパン屋をめぐる旅

2018.09.08 更新

都心から電車で約1時間半。万葉集にも詠まれた湯河原は、趣ある人気の湯の里。かつて文豪や画家などが保養に訪れたこの町は、今や美味しいパンの町としても知られています。その代表格である「ブレッド&サーカス」をはじめ、わざわざ立ち寄りたい絶品ベーカリー3軒を紹介。読んだらすぐに駆け付けたくなるかも!

相模湾に面し一年中温暖な湯河原は、万病に効くといわれる良質な温泉と、海山の豊かな自然が息づく別天地。古くからの保養地でもあり、別荘地でもある湯河原には、わざわざ遠方からも立ち寄りたいパン屋さんが点在しています。はるばる訪れて、ここぞとばかりに買い込んで帰るパンフリークも続出!そんな町、湯河原のパン屋さん巡りに、私たちもさっそく出発しましょう。
▲清流や緑が美しい、湯河原の豊かな自然も迎えてくれます

朝から行列ができる名店【BREAD&CIRCUS】

朝11時のオープン前から、平日でも行列が絶えない人気店「BREAD&CIRCUS(ブレッド&サーカス)」。湯河原駅から徒歩5分ほどの場所に、1996(平成8)年に喫茶店として誕生後、1998(平成10)年にベーカリーとなり、2018年で20年。天然酵母を用いたハード系を中心とした、ほかにはない独特な製法でつくられるパンを求めて、全国から人々が集います。
窓から店内を覗くと、次々と焼きあがったパンが並べられていき、期待で胸が高鳴ります。
赤い縁が可愛い扉を開けて一歩入ると、開店直後の店内には、焼きあがったばかりのパンがずらり。食事パン、全粒粉やライ麦パン、甘いパン、総菜パン、焼き菓子まで、40~50種ものパンが並んでいる様子は壮観です。どれも大ぶりで、手に持つとみっしりと重く、中身の充足感と味わいの深さ、美味しさまでもがこの重量感から伝わってくるようです。

小ぢんまりとした店内に一度に入れるのは5名まで。あれもこれもと迷いつつ何を食べようかと選ぶひとときは、パン好きにとってはたまらない至福の時間です。

味の変化を数日間にわたって楽しめるシンプルな食事パン

ここブレッド&サーカスは、もと建築家のご主人・寺本五郎さんと奥様の康子さんのご夫婦のお店。ここでまず手に取るべきは、「うちのパンは余韻があるのよ」と康子さんが語る、ハード系をはじめとする食事パンでしょうか。

20年もの歳月と試行錯誤の結晶ともいうべきパンは、全粒粉小麦由来の自家製天然酵母を種にしたもの。その製法はまったく独自で、洋書をはじめアメリカ渡航での経験、ユダヤ人の職人を招いて学ぶなど、型にはまらないものです。焼きあがったパンの一つひとつが頼もしいほど大きく、日もちも良く、数日間にわたって味の熟成と変化を楽しめる逸品揃いです。
▲カンパーニュだけでも数種。こちらは、パンの頭がふくらんだ形も特徴的な「石臼挽全粒粉カンパーニュ」(ホール670円、ハーフ360円)。時間をかけた発酵の香り、酸味と甘味のバランスも絶妙
▲「ポテトクラウン」(ホール1,280円、ハーフ640円、クォーター320円)、右は、もっちりした食感が後をひく美味しさの「ブール(田舎風白パン)」(400円)

直径が25cmほどもあるリング型の「ポテトクラウン」の存在感は店内でも群をぬいています。少々かさ張りますが、ぜひホールで持ち帰り、家族や仲間とおいしさを分かち合いましょう。
スカンジナビアにルーツをもつポテトクラウンは、生地に茹でたジャガイモが練り込まれたもの。皮がパリッと香ばしく、中がしっとりするためには、この大きさが必要なのだとか。カットすると中には程よい気泡が入り、噛むほどにたちのぼるほのかな甘さが魅力です。
▲左は、強力粉を使ったハード系の中でも、ふんわりソフトな口どけで親しみやすい「カリフォルニアソフト」(400円)。右は、ローストしたクルミがたっぷり入った「くるみパン」(420円)
▲大人気で瞬く間に売れてしまうという「食パン」(ホール600円、ハーフ320円)。右は、こちらも食べやすい「フランスコッペ」(330円)
▲「イングリッシュマフィン」(175円)

もともと、「料理に合うパンをつくろう」との思いからパンを焼き始めたという康子さん。スープにはこのパン、サンドイッチにはこのパンとあるそうですが、エッグベネディクトに合うパンをとつくったのが、この「イングリッシュマフィン」。ふんわり厚みがあり、むっちりした食感です。

絶品・総菜パンもボリュームたっぷり!甘めパンや焼き菓子も美味!

購入後すぐに豪華なランチタイムを楽しめるような総菜パンのラインナップもさすが。川辺で、海辺で、高台の公園で、湯河原の自然の中で味わえば、旅の途中にピクニック気分も楽しめます。もちろん、電車の車中でいただくお弁当にもオススメです。
▲ジューシーなパテのほかに、パプリカやなすなど野菜もたっぷり入った「女神のハンバーガー」(480円)
▲いろいろな野菜がのった彩りもカラフルな「野菜のピザ」(各230円)。冷めても美味しい
スイーツ系のパンや焼き菓子類も、日本のベーカリーショップとは思えないほど欧米サイズのボリューム感で個性派揃い。いずれもここでしか味わえないもので、一度食べたらまた食べたくなるほど印象的で、ラインアップも充実!ドライフルーツや餡、チョコレートなどがたっぷり使われていて、食べ応えも十分です。
▲ユダヤ教のお祭りで食べられるお菓子をアレンジしたという、ドライフルーツやベリー類を包んだ三角形の「ハーマントッシュ」(260円)。時計周りに、チーズによく合う「デーツといちじくの甘めのパン」(420円)。これ1個でパワーブレックファストになる「シナモンレーズンカップ」(280円)。たっぷり入ったチョコレートの甘さとベリーの酸味がマッチした「チョコクランベリー」(430円)。ティータイムを豊かにしてくれる「ジンジャーマン・スコーン」(189円)
中身が数種あるピロウシリーズからは「芋南瓜小豆ピロウ」(580円)を。ずっしり重い理由は、カットすれば一目瞭然。女子が大好きな焼き芋と蒸したカボチャ、小豆の蜜煮などがぎゅうぎゅう入り、一切れで満足度高し!後ろは、円筒形のルックスもユニークなパンドミ(ホール400円、ハーフ220円)。こちらはクロックムッシュなどに絶好です。
▲左:「ブルーベリーマフィン」(280円)、右:「 カボチャと小豆のマフィン」(280円)

ほかにも、酸味豊かなライ麦パンやドライフルーツやナッツたっぷりのパン、季節のマフィンなどどれも美味しく、全部買い占めたくなるほど。

寺本さんご夫妻はもともと東京・青山に住んでいて、別荘が真鶴にあったことから、湯河原という土地が気に入ってお店をオープンさせたのだとか。ふたりのインテリジェンスやセンス、独学で培ったパンの製法とおいしさへのこだわりは出色。世界各国のパン文化からインスパイアされた、ここにしかない逸品との出合いは、パン好きならずとも、きっと心躍る体験になるでしょう。美味しさを求めて湯河原に通いたくなるかもしれません。

途中下車してでも立ち寄る価値大なブレッド&サーカス。お昼すぎにはだいぶ商品が減ってしまうので、開店直後の訪問がオススメです。

※すべて税抜価格です。

懐かしい昭和のパン屋を思わせる【サン・ボンジュール】

湯河原駅から歩いて約12分ほどでたどり着く、「サン・ボンジュール」。湯河原の住宅街で35年以上もの間、地元で愛され続けるパン屋さんは、前夜から仕込むふんわり柔らかくしっとりした無添加パンが自慢です。

また、近隣のペンションにも卸している「ソフトフランス」というふわふわ白パンに、好きな具材を店頭で選んで、目の前でつくってもらうオリジナルサンドも大人気。パンと一緒に並ぶ、お好み焼きやミートソースなど手作りのお惣菜のおいしさでも評判なんです。
明るい店内には、具沢山の手づくりサンドイッチをはじめアンパンやピザパン、カレーパンなど、子供のころから食べていた親しみやすいパンが並びます。
お昼前から、ランチを求めに訪れるお客さんが続々。お年よりから子供まで、幅広い世代の人々に支持される人気店としての歴史を感じます。
▲長時間発酵熟成させたバゲッドや、お総菜の美味しさも評判です
サンドイッチ好きにはたまらないラインナップからいくつかご紹介。
上写真左から、近所のお肉屋さんのジューシーなメンチカツを使った「メンチカツサンド」(260円)。新鮮なトマトとレタスたっぷりな「BLTサンド」(350円)。「ハムサラダサンド」(260円)。パンから焼きそばがはみだしそうな「焼きそばロール」(250円)など、すべてフレッシュで美味しそう!
大小2種あるソフトフランス×18種もの豊富な具材から2種を組み合わせてオーダーできるオリジナルサンドは、ランチにもおやつにもぴったり。選んだ2種類の味を同時に楽しめることでも好評です。目の前で店長さんがつくってくれるので、まさに出来立て!
▲左手前から小さいパン×ホイップクリーム×イチゴジャム(190円)。左奥は、小さいパン×アンバター×ピーナッツバター(190円)。右は大きいパン×ポテトサラダ×ハム&チーズ(290円)

写真で使われている具材の他、卵やツナ、生クリームなどもあり、いろいろな味の組み合わせを楽しめます。
親子3世代でファンという人も多いという、サン・ボンジュールのパン。無添加&手作りならではのやさしいおいしさは、どこか懐かしい味わいです。

※すべて税込価格です。

酒種の天然酵母×石窯で焼くパンが自慢の【石窯パン工房TAKU】

最後にご紹介するのは、湯河原駅からのんびり歩いて約15分。マックスバリュに程近い、住宅街の一角にある可愛い外観のパン屋さん「石窯パン工房TAKU」です。
「TAKU」という店名は、オーナーの高橋拓也さんの名前から。東京都内のパン屋での修行中に、都内ホテルのパントリー勤務経験があったパン職人の上野歩さんと出会い、一緒に2012年に独立。土産物屋だった故郷の実家に戻り開業した、パンの町のニューフェイスです。
▲左手前から時計周りに「クリームパンDX」(160円)、「焼きりんごデニッシュ」(180円)、焼いたパン生地をシロップに漬け込みパイに仕立てた「オリジナルパイ」(200円)

こだわりは、「石窯で焼くこと」。パンの酵母として「小田原の造り酒屋の酒粕からつくる酒種を使うこと」。そして、「地元湯河原の特産品やショップとコラボしたパンをつくること」。そんなこだわりから作られるパンは40~50種にもおよび、その中でも、フレッシュバターたっぷりのクロワッサンやデニッシュ類が特に人気です。
▲写真左の「デニッシュブレッド」(ホール450円、ハーフ230円)、写真右の「クロワッサン」(150円)は、共にバターを丹念に折り込んだ生地が風味豊か。石窯で焼いただけに外はパリっと、中はもっちりなバゲッドにクリームを挟んだ「ミルキーフィセル」(140円)も人気

また、地元湯河原産のみかんの皮を生地に練り込んだパンも豊富です。
プレミアムな「食パン~山~」(1斤500円・半斤250円)は軽くトーストするとさらに美味しくなるそうです。右は、みかんの酸味と香りがおいしい「みかんマドレーヌ」(5個入り250円)。ほかにもみかんの皮入り生地で小倉アンを包んだご当地アンパン「湯河原あんぱん みかん」(160円)もあって、すぐ売り切れてしまうのだとか。
▲地元で有名なお豆腐屋さん「十二庵」とのコラボ商品も!フレッシュな豆乳を使った「豆乳パン」(90円)は、ふうわり柔らかでもっちり。左の「豆乳プリン」(200円)も優しい味わいです

このほかにも、こわだりの石窯で焼いた、表面はパリっとしていて、中はもっちりしたバゲッドも自信作。また、「町立湯河原美術館」にあるカフェで出されているサンドイッチのパンは、実はここTAKUさんが焼いた豆乳入り食パン。湯河原の町と人に溶けこんで、日々パンを真摯に焼き続けるお店です。

※すべて税込価格です。
ブレッド&サーカス、サン・ボンジュール、TAKUと、それぞれのお店のこだわりで、丁寧に作られたパンに巡り会える湯河原旅。温泉や自然だけでなく、美味しい魅力がある町だから、のんびり散策するのもとびきり楽しいはず。お土産ハンティングにも絶好です。
ついついパンを買い込んでしまって、いっぺんに食べ切れない場合は、ご近所や友人に御裾分けしたり、上手に冷凍を。一口ひとくちかみしめるたびに、湯河原旅の思い出が甦ることでしょう。
ゴトウヤスコ

ゴトウヤスコ

ホテル、レストラン、神社、婚礼、旅、食、暦&歳時記、ものづくりなどの広告コピー、雑誌記事、インタビュー記事などを多数執筆し、言葉で人と人をつなぎ、心に響くものごとを伝える。旅は、基本一人旅好き。温泉、パワースポット、絶景、おいしいものがあるところなら、好奇心がおもむくままどこへでも。得意技は、手土産&グルメハンティング。最近は伝統.芸能、日本刀、蓄音機など和文化への興味を深堀中。読書会なども開催。(制作会社CLINK:クリンク)

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