ラーメン業界最高峰!行列ができる「らぁ麺屋 飯田商店」の秘密を探ってきた!
ラーメン好きの間で「ラーメンの聖地」と呼ばれるお店が、神奈川県湯河原町にあります。それが「らぁ麺屋 飯田商店」(以下、飯田商店)。2010年にオープンし、2017年と2018年には業界で最高権威とも言われる「TRYラーメン大賞」(講談社)を2年連続で受賞。2018年1月には「情熱大陸」(MBS/TBS系ネット)にも登場するなど、広く話題となっています。そんな飯田商店に、人気の秘密を探りに行ってきました!※本記事の情報は取材時点のものです。最新情報は直接施設にお問い合わせください。

湯河原町にある「飯田商店」へ、いざ!
店頭で待つのを極力避けたい人は、開店前の7:00、8:00、9:00、10:00、10:30の5回に分けて整理券を配布しているので、それに合わせてお店へ向かいましょう。

取材当日は10:30前にお店に到着。平日にもかかわらず、既に15名のお客さんが10:30の整理券配布を待っていました。客層を見ると、まさに老若男女といった感じで、おばあさんのグループから小さい赤ちゃんを連れた親子まで。一般的なラーメン屋とはちょっと客層が違うようにも思え、万人受けするラーメンの味にますます期待が膨らみます。
時間になるとスタッフがお店から出てきて、無事に整理券をもらうことができました。


2時間ほど湯河原の町を散策し、整理券に記された時間までにお店に戻りました。すると、ほどなくして番号を呼ばれ、店内にある券売機で食券を買うように促されます。整理券のおかげで店頭にほとんど並ぶことがなかったため、あっという間に自分の番が来たという印象です!


鶏の旨みがダイレクトに伝わるスープと、自家製麺の食感に驚愕!


卓上ポップの中には、チャーシューから器に至るまでさまざまなこだわりが。これを読んでいるだけでもラーメンへの期待感が高まります!そうこうしているうちに「わんたん入り醤油らぁ麺」が運ばれてきました。いい香り!

まずはスープを一口。(ワーーー!!!)鶏の香りが鼻から抜け、鶏油のたっぷりと入ったガラスープの旨みがぐわぁーと口の中に広がります。濃厚なのにスッキリ。なんでしょう、この味。そして醤油の深い味わいがついてきます。

続いて、麺をいただきます。一口食べようと思ったら麺が結構長い(笑)。それでもツルツルの細麺なので、スルスルと口の中に吸い込まれていきます。

「うまいっ!!!」声に出してそう叫んでしまいそうな味わいを噛み締めながら、トッピングへ。豚のロースチャーシューはしっとり、モモ焼豚の方も厚みがあるのに柔らかくて食べやすく、さらに食欲を掻き立てられます。

わんたん2つも中身のお肉が違う(鶏と豚)ということで、食べ比べる楽しさがあります。どちらもお肉がぎっしり入っていて、スープと一緒に食べると満足感抜群!

鶏の旨みがギュッと詰まったスープ、ツルッツルの麺、具材一つひとつのこだわりを感じられる美味しさです。食べていると思わず笑みがこぼれてしまうレベル!


5度にわたって楽しめる!こんな“つけ麺”はじめてかも!?

テーブルの上に置かれた「つけ麺のおいしい食べ方指南書」に従って、まずは麺に塩だけをつけて食べてみます。
(ん!?!)つけダレにまだ浸けていないのに、とろろ昆布の出汁に浸けたような味がします!ここでメニューを再確認すると、「つけ麺(濃厚昆布鰹水出汁)」とありました。つまり、もともと麺の浸かっていた冷たい黄色いスープ自体が、昆布と鰹の水出汁だったのです。

麺自体の小麦の香りがまたすごいので、麺のみを味わうためにもまずは塩だけでいただくのがベスト。味覚だけでなく、嗅覚もフル回転です!
次に、つけダレに麺をサッと浸けていただきます。汁の色味からも明らかなように、醤油らぁ麺のスープよりも醤油のコクと香りが強いのですが、麺が浸かった昆布鰹水出汁と合わさると、口の中でちょうど良い味わいになるのです。


ある程度食べ進めたところで、今度は柑橘果汁をつけダレに加えて味の変化を楽しみます。あぁ~これも柑橘の香りと酸味が加わっていい!

一般的なつけ麺は、食べ進めるうちにつけダレが薄くなったり若干飽きが来てしまうこともあるのですが、このつけ麺は柑橘果汁の他にも海苔を入れたり、わさびを麺につけて食べたりと、本当に様々な変化を楽しめて、お箸が止まりません!
麺を食べ終わったら、最後にお楽しみがもうひとつ。つけダレを昆布鰹水出汁で割ってスープとして飲めるんです。

つけ麺のスープも最後の一滴まで飲んで完食。昆布鰹水出汁に浸った麺はそのままでも楽しめますし、つけダレに浸けて食べた後も、次々に違う味わいを楽しめます。こんなつけ麺を食べたのは、初めてかもしれません!

ちなみに驚いたのが、他のお客さんの中にも1人で2杯、2人で3杯などと連食している人が多いこと。後で聞いた話によると、この日の最高記録は1人で7杯だったとか!!!
最初に食券を買わなくても、お腹と相談しながら追加注文することもできます。行列はお店の外なので、一度店内に入ると他のお客さんのことを気にせずラーメンとじっくり向き合えるのも嬉しいですね。
先輩たちからヒントを得た麺とスープ
神奈川県真鶴町出身の飯田さんは大学卒業後、日本料理店で料理人を目指し始めていました。しかし25歳の時、商売をしていた実家の諸事情で実家に戻ることに。そして、叔父さんが営んでいたチェーン系ラーメン店のフランチャイズオーナーになります。

「ラーメン店をやることになった時は少し戸惑いましたが、大学も出してもらって好き勝手やらせてもらっていたので、これまでの恩返しかなと思いました。それから寝る間も惜しんでめちゃめちゃ働きましたよ。今思い出すだけでも眠くなる」
そう当時を振り返る飯田さん。そして、その仕事を通して「お客様を大切にすること」を学んだと言います。
「働いていたお店はチェーン店だったため、味や調理法は決まっています。そんな中でもお客様に来てもらうためには+αの工夫が必要で、僕は来てくれるお客様を好きになることから始めました。人は好かれると悪い気はしないし、好きな奴が作ったラーメンは美味しく感じますよね(笑)」

8年ほど働いた頃、もともと料理人を夢見ていた飯田さんは、やはり自分自身のラーメンを作りたいと思うように。そして、理想の味を求めてラーメン屋を巡る中で、ラーメン界の巨匠である故・佐野実氏のラーメンに衝撃を受けました。

「それまでラーメンはスープ料理だと思っていたんですが、麺の旨さに軽いパニックになりましたよ。小麦の味がある麺にスープの味がしっかり入っていて、こんな料理性のあるラーメンはすごいなと感激しました」
そこから飯田さんは佐野氏のお店に通い続け、麺の研究に励むことに。佐野氏が使っているという小麦粉を使用してみたり、実際に小麦の産地まで足を運んでみたり、とにかく佐野氏の麺をお手本に、自分の味を突き詰めていきました。


「麺はメニューによって小麦の種類や配合、形状など全て変えています。例えば、つけ麺では2種類の形状の麺をブレンドして使用しています。平打ち麺と真四角の切り出し麺なんですが、平打ち麺はスープを拾い、切り出し麺は食感に主張を加える、といった具合にそれぞれ役割があるんです」


「挽きたての小麦は鮮度が違うので、それだけでも香りが違ってきますね。小麦の香りと味を際立たせるために、塩らぁ麺の麺には自分で挽いた小麦粉を2%だけ使用しています。逆に醤油らぁ麺の場合は醤油のキレや香りを大事にしたいので、石臼挽きの粉は使用しません」

さらに飯田さんには、佐野氏の他にもう一人強く影響を受けた職人がいるそう。飯田さんがラーメン屋巡りをしていた当時、神奈川県相模原市にあった「69’N’ROLL ONE」(現在は兵庫県尼崎市に移転し「ロックンビリーS1」として営業)の店主・嶋崎順一さんです。
「鶏と水のみで作る69’N’ROLL ONEのラーメンがすごいと思って通い詰めていた時、たまたま嶋崎さんと店内で2人になって。2号ラーメン(醤油ラーメン)を続けて2杯食べたら話しかけてくれて、営業終了後、スープの手ほどきを受けたんです。これをキッカケに僕のラーメン人生は大きく変わりました」


醤油は兵庫、群馬、和歌山などから、濃口醤油、淡口醤油、再仕込醤油、たまり醤油など6種を厳選してブレンドしています。
「6種類の醤油それぞれに役割があって、たまりはコク、濃口はキレやふくよかさ、淡口は香りの華やかさを演出してくれます」

こうして自身の麺とスープを完成させていった飯田さんは2010年3月、もともと実家の家業の倉庫があった湯河原に、晴れて「飯田商店」をオープンさせました。
お店ができるまでの経緯や今のラーメンの味に至るまでの話を伺って、ラーメン一杯にかける飯田さんの情熱の深さを改めて垣間見ることができました。

湯河原へわざわざ行く価値のある店
「“古人の跡を求めず、古人の求めたるところを求めよ”という言葉があるんですが、先輩のマネをするだけでなく、なぜ先輩がそれをしたかをきちんと理解することが大切だと思っています。なぜを知れば、材料のありがたみも分かりますし、未来にきちんとラーメンを残せると思います」


素材や製法はもちろん、飯田さんの仕事に対する真摯な姿勢に、全国からお客さんが足を運ぶ理由がわかったような気がしました。ラーメン好きも普段ラーメンを食べない人も、ぜひ一度湯河原の飯田商店へ行ってみてください。それまでのラーメンの印象が変わるかもしれませんよ!
らぁ麺屋 飯田商店
神奈川県足柄下郡湯河原町土肥2-12-14
[営業時間]11:00~15:00 ※ご利用にはご予約が必要です。
ご予約は、毎週火曜日正午に「1週間分」のご予約を受付開始いたします。
[定休日] 毎週火・水曜日。不定期に月曜日休業あり
0465-62-4147

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)
広告出版社を退職後、世界一周、日本一周を経て「くらしさ」を設立。全国各地のモノ・コト・ヒトを伝え、つないでいく活動に尽力している。全国の仕事人に会いに行ける旅「Life Design Journey」も運営。 http://lifedesign-j.com/
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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