日本一を誇る秘湯!秋田「玉川温泉」で、強酸性の湯と天然岩盤浴に癒される

2019.02.05 更新

日本有数の名湯を数多く有し、温泉のメッカとして人気の高い秋田県。その中でも玉川温泉は「日本一の湧出量」と「日本一の強酸性」を誇る、日本各地から温泉ファンが訪れる秘湯です。地熱を利用した天然の岩盤浴が楽しめる散策路と併せ、効能あふれるお湯を体験してきました!

▲臨場感たっぷりの地獄谷で天然の岩盤浴を体験(写真提供:玉川温泉)

2つの「日本一」を誇る玉川温泉

秋田県北東部の仙北(せんぼく)市に位置する玉川温泉は、本州最北端の国立公園である「十和田八幡平(はちまんたい)国立公園」の中にあります。営業期間は例年4月中旬~11月下旬のみですが、湯治や観光を目的にした多くの人々がこの秘湯に訪れます。

東北自動車道・盛岡ICから車で約90分、澄んだ河川や生い茂るブナの木々、そして「ダム湖百選」にも選ばれている「宝仙湖」を横目に、山道ドライブを楽しみながら玉川温泉に向かいます。
▲コバルトブルーに染まる美しい宝仙湖(玉川ダム湖)

玉川温泉の最大の特徴は、1ヵ所から毎分9,000リットルという「日本一の湧出量」と、pH1.2という「日本一の強酸性」の泉質を誇る国内屈指の温泉であること(玉川温泉 調べ)。その歴史は古く、延宝8(1680)年に噴泉を発見、硫黄を採取したことが始まりとされています。1ヵ所から湧出する源泉の量は、国内屈指の自噴湧出量を誇る草津温泉の約9倍にもあたることから、いかに圧倒的な数値であるかがわかります。
▲大噴(おおぶき)と呼ばれる源泉湧出口(写真提供:玉川温泉)

強酸性の源泉は火山ガスを起源とするもので、その濃度は鉄やアルミニウムなどの金属をはじめ、コンクリート内のセメントも溶かすほど。レモンの約2倍以上ともいわれる強酸性は水田にも悪影響を及ぼすため、水質が改善されるまでは「玉川毒水」とも呼ばれ、人々から恐れられていました。
▲湧き出た温泉は幅3mにも及ぶ湯の川となる(写真提供:玉川温泉)

その後、度重なる工事で水質の除毒を繰り返しながら、湯の華の採取に長年を費やし明治時代に湯治場として発展。昭和9(1934)年に湯治宿「玉川温泉」と改名して以降も湯治場としての歴史を重ね、療養・静養を目的とした旅人が集う「湯治のふるさと」として親しまれるようになりました。
▲雄大な山々と河川に囲まれた玉川温泉(写真提供:玉川温泉)
▲宿泊プランの中には「自炊部」と呼ばれる、利用客自身が炊事場で調理し、食事の用意をするユニークなものも。療養目的で長期間滞在する湯治客に人気(写真提供:玉川温泉)

日本で唯一の「天然岩盤浴」を体験!

周辺には地熱を持つ岩場がいくつもあり、あちこちで源泉が湧き出ている様子を歩いて見学することができます。また、岩盤から発する地熱によって「天然の岩盤浴」を体験できると聞き、まずは周辺を散策してみることにしました。
▲温泉入口には駐車場があり、1回100円(税込)で利用できる

周辺には「玉川温泉園地自然研究路」と呼ばれる散策路(冬季閉鎖)が整備されており、道沿いで様々な火山現象を見られます。片道約30分で歩けるという全長約1kmのコースは、スタート地点から硫黄の匂いが辺りに立ち込め、湯煙がもくもくと上がる別世界でした。
▲湯煙が立ち込める散策路
▲通路沿いには約98℃の源泉が流れている

驚いたのは圧倒的な湯煙の量で、風向きが少し変わるだけで目の前が真っ白に…。この日は快晴でしたが、湧出量日本一の源泉を前に、あっという間に視界を奪われてしまいました。蒸気に含まれる温泉成分を吸引することで、肺や気管支の疾患に効能を期待できるといわれています。
▲煙で覆われる散策路

10分ほど歩き、最も火山活動が盛んな中心部に到着。ゴオオと大きな音を立てて蒸気を吹き上げる噴気孔や、グツグツと沸騰した源泉など、地獄谷と呼ぶに相応しい光景が筆者を待っていました…。
▲噴気孔には、蛍光色の強い硫黄が付着している
▲スチームドライヤーのように勢いよく蒸気が吹き上がる!
▲グツグツと源泉が沸騰している様子も見られる ※近づきすぎると危険

大自然の息吹に感動しながら歩いていると、岩盤地帯まで到着。この地帯は地下のマグマにより地表が40~50度まで温められているため、天然の岩盤浴を楽しめちゃうんです。
▲もくもくと上がる蒸気が岩盤地帯を覆う(写真提供:玉川温泉)
▲天然岩盤浴が体験できる岩盤地帯

やり方はとてもシンプルで、野外に寝るか、設営されているテント小屋(無料)を利用するかの2パターン。岩盤の上にゴザを敷いて寝転がり、地熱を体内に取り入れるのが一般的です。熱を逃がさないよう体の上にタオルケットなどをかけるとより効果的ですよ。
▲好きな場所にゴザを敷いて岩盤浴を楽しむ人たち
▲こちらは熱がこもり、本格的な岩盤浴ができるテント小屋

実際に寝てみるとゴザ越しに背中がじんわりと温まり、体の芯からぽかぽかに。ほど良く汗をかき、天然の岩盤浴を満喫できました。
※1回30~40分程度を目安とし、低温火傷や火山性ガスの噴出にご注意ください
▲天気も良く、温かさについウトウト…

玉川温泉の地盤には微量のラジウムや豊富なマイナスイオンなどが含まれていて、新陳代謝の促進や鎮痛に効果が期待できるといわれています。その評判から「癌や難病に効く」とも噂され、毎日のように岩盤浴を利用している方も多いそうです。
▲ゴザは温泉の入口そばにある売店で販売(950円〜・税込)している。自前でゴザを持ち込んでいる人も多いが、利用したい場合は事前の購入を忘れずに
▲温泉や売店など周辺施設の入口には「ゴザ置場」がある。盗難や取り間違い防止のため、名前を書くのを忘れないように。使用後は売店に返却してもOK

岩盤浴の後も散策を続けていると、自然研究路を見渡せる高台に到着しました。こちらでは壮大な景色を楽しむことができます。ちょっとしたハイキングになるので、履物はスニーカーなど動きやすいもの、日差しが強い日は日焼け止めを塗っておくことをおすすめします。
▲高台から見た自然研究路
▲散策路と白く濁った湯の川

これぞ日本一の強酸性!ピリピリが心地よい「玉川温泉」

天然の岩盤浴を堪能した後は、いよいよ玉川温泉に浸かりにいくことに。自然研究路のすぐ隣にあり、大浴場は宿泊客だけではなく日帰り客も入浴(大人800円・税込)できます。タオルやバスタオルの貸し出しもしているので、手ぶらで立ち寄れるのもいいですね。
▲大浴場の入口

すぐに温泉に浸かりたいところですが、「日本一の強酸性」を安全に堪能するためにはいくつかの注意が必要です。
まずは温泉で顔を洗ったり、湯に浸かっている間に体を擦ったりしないこと。特に肌の弱い人は炎症を起こす危険性もあるので禁物です。また、アクセサリー類は変色してしまうため持ち込まないこと。そして入浴後はかけ湯で温泉成分をしっかり流すこと。この3つをしっかり守って入浴しないと、筆者のようにしばらくヒリヒリ感を持ち帰ることになります…。
中に入ると、湯治場の歴史を感じる内観がお出迎え。ここでは「源泉100%の浴槽」「源泉50%の浴槽」「ぬる湯」「あつ湯」「浸頭湯・寝湯」「蒸気湯・箱蒸し」「飲泉」など、10種類の入浴方法を楽しむことができます。源泉の効能を生かすために、湯温は加水ではなく「熱交換槽」を使って手作業で適温に管理しているそう。手間暇がかかったお湯を早速堪能しましょう。
▲木のぬくもりを感じる大浴場(写真提供:玉川温泉)

十分なかけ湯(心臓から遠い足元から順に)をしたら、まずは「源泉50%の浴槽」にゆっくり浸かり、体を慣らしていきます。42度ほどの無色透明なお湯はじわ~っと温かく、ピリピリ感が心地いい。強酸性のお湯なので、3~5分浸かる程度で殺菌作用や免疫力の向上が期待できるそうですよ。
ちなみにこの時点で肌への強い刺激を感じた人は、無理をせず「弱酸性の湯」(pH3以上の弱酸性温泉)に入ることをおすすめします。
▲源泉50%の浴槽。「ぬる湯」(40度以下)と「あつ湯」(約44度)も同じ源泉50%のため、好みの温度に合わせて入浴を楽しめる(写真提供:玉川温泉)

一番大きな湯船の「源泉100%の浴槽」にも浸かってみました。ぬるめ(約39度)のお湯に足元からピリピリと刺激され、思わず「おおお」と声が…。最も温泉の効能が期待できる浴槽ですが、その分カラダへの負担も大きいため、ここは無理はせず早々に上がりました。
▲「日本一の強酸性」を誇る源泉100%の浴槽(写真提供:玉川温泉)

ひときわ目立っていた「蒸気湯・箱蒸し」にも挑戦。こちらは頭を出すタイプの蒸し風呂で、50~60度の箱の中に入って汗を流すと、新陳代謝の活性化が期待できます。もくもくと出る蒸気を口から吸い込んでゆっくり深呼吸をすると、気管支炎や喘息にも効果があるといわれています。
▲「蒸気湯・箱蒸し」コーナー。隣にある「飲泉」もぜひチャレンジを。日本一の強酸性を文字通り味わうことができます ※水で約40倍に薄めてゆっくりと飲用し、飲用後は必ずうがいをすること(写真提供:玉川温泉)

他にもユニークなお風呂が目白押し。超音波の刺激によるマッサージ効果が癖になる「気泡湯」(源泉50%)、浅い浴槽に頭を浸して横になる「浸頭湯・寝湯」(源泉50%)などでもゆったりリラックスできました。色々なお湯を体験できるのも玉川温泉の魅力ですが、長湯には十分注意が必要です。
▲効能や源泉濃度・温度がそれぞれ異なる10の入浴を楽しんで(写真提供:玉川温泉)

最後にかけ湯で温泉成分を落としてから上がります。湯上りはさっぱり気持ちよく、ぽかぽか感が長続き。外の風を感じながら、足湯で休憩するのも癒されますよ。
▲利用客同士の語らいの場にもなっている足湯(写真提供:玉川温泉)
▲もちろん宿泊も可能。和室と洋室があり、湯治のため長期間滞在している人も多い(写真提供:玉川温泉)
▲宿泊客限定の「屋内岩盤浴」(無料)も人気。天然岩盤浴と同様、微量のラジウムを含んでいる(写真提供:玉川温泉)
▲施設内のお土産処で一番人気の入浴剤「玉川温泉の華」(1,080円・税込)
▲湯上りは秋田名物「ババヘラアイス」でさっぱり(250円・税込)

露天風呂も楽しめる姉妹館「新玉川温泉」

玉川温泉から約2km離れた「新玉川温泉」は、平成10(1998)年にオープンしたバリアフリー設計のホテルです。2018年には浴場やロビー、客室などもリニューアルされ、より一層便利で快適に。老舗の玉川温泉とはまた違う魅力を感じることができます。こちらでも日帰り入浴が楽しめるので、玉川温泉と合わせて立ち寄ってみるのもおすすめです。
▲ブナの森に囲まれた新玉川温泉(写真提供:新玉川温泉)
▲リニューアルしたばかりの館内はとても綺麗で高級感がある(写真提供:新玉川温泉)

温泉は玉川温泉と同じ源泉から湧出したものを使っていて、大浴場には14種類の浴槽があります。源泉100%の湯や打たせ湯、箱蒸し湯など玉川温泉と同様、自分に合った入浴を楽しめますが、こちらには露天風呂もあるのが特徴。ブナの木々などの自然を眺めながらお湯に浸かれば、一層癒し効果が高まることでしょう。
▲青森ヒバで造られた大浴場(写真提供:新玉川温泉)
▲豊かな自然と爽やかな風が心地よい露天風呂(写真提供:新玉川温泉)
▲夜はライトアップされて幻想的な雰囲気に(写真提供:新玉川温泉)

玉川温泉は冬季休館ですが、新玉川温泉は1年中営業している点も魅力。ただし冬季は国道の通行止めにより、路線バスでしかアクセスできないため注意が必要です。
大自然の中で生まれた天然の岩盤浴と効能あふれる温泉は、まさにここだけの癒しの空間。日頃の疲れやストレスを吹っ飛ばす、温泉の旅に出かけましょう!
▲湯煙が空に上っていく玉川温泉(写真提供:玉川温泉)
下田翼

下田翼

東京生まれ、東京育ち。観光で青森県に初上陸し、人の暖かさに感動し2015年に移住。地域おこし協力隊を経て、青森の魅力を伝えるフリーランスのプランナー・ライターとして活動中。

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