幻の絶景!雲海に浮かぶ「天空の城」越前大野城を見に行ってきました!

2019.01.19 更新

福井県大野市は四方を山々に囲まれた盆地。その中心部には「越前大野城」がそびえています。毎年10月~4月末頃の一定の気象条件がそろった時に雲海が現れ、まるで城が浮かんでいるように見えることから、越前大野城は「天空の城」と呼ばれるようになりました。とはいえ、そんな天空の城が見えるのは、1年で10回程度。今回、大野に向かった筆者はこの幻の景色を見ることができたのでしょうか……。

数日前から天気予報をチェック

おはようございます。時間は朝の5時。辺りはまだ真っ暗です。

数日前から天気予報をチェックし、今日ならもしかすると雲海が見られるかもしれない!と思い立ち、福井県大野市に向かいました。
▲大野市に向かう途中の道路でもすでに霧が

雲海とは、山間部や盆地などで起こる自然現象のこと。放射冷却によって地面が冷やされ、空気中の水分が霧や霞となり広域にわたって発生します。山の上など高いところから見下ろすと、まるで霧が海のように見えることから「雲海」と呼ばれています。

「天空の城」が見られる条件は
・期間は10月~4月末頃(多く見られるのは11月頃)
・時間は夜明け~午前9時頃
・前日の湿度が高く、前日の日中と翌日朝方の気温差が大きいこと
・風が弱いこと
このすべてがそろってはじめて見ることができるそう。

2013年に、地元のカメラマンがたまたま雲海のなかの「越前大野城」を撮影したことが大きな話題となり、その景色をひと目見ようと多くの人が訪れるようになりました。しかし、2013年の秋~2014年春の間で雲海が確認できたのは計9回、翌年は12回、さらに次の年は13回と決してその数は多くはありません。めったにお目にかかれない幻の景色なのですが、そう言われると、なおさら見たくなります。

天空の城は越前大野城の西にある標高324mの「犬山(いぬやま)」から見ることができます。犬山ヘの登山ルートは3つ。今回は初心者でも比較的登りやすい「鍬掛(くわかけ)コース」から向かいたいと思います。
▲大野市内に入るとさらに霧が出てきました。これは期待できるかも!

到着したのは国道158号線沿いにあるホームセンター「パルス」。ここは夜間~早朝にかけて登山者専用の駐車場として利用することができます。車を利用する人は、周辺の迷惑にならないよう静かに駐車しましょう。
▲この看板が目印。駐車台数も多いので、満車になることはほぼないと思います
▲この場所以外の無断駐車は控えましょう
▲すでに車が何台もとまっていました

駐車場から北に2~3分ほど歩くとトンネルが見えてきました。天空の城への道はトンネル横の側道を進んでいきます。あ、そうそう大事なことですが、山の上にはトイレはありませんので、必ず事前に済ませておきましょう。
▲トンネル左側の道から犬山に登っていきます

写真は下山してから撮ったものですが、往路はもちろん真っ暗。灯りもないので、ヘッドランプや懐中電灯は必須です。私は持参するのを忘れてしまったので、スマートフォンのランプを頼りになんとか登りました。
登山道は階段が整備されているところもあれば、道が狭く傾斜しているところも。地面はぬかるんでいる場所が多いので、長靴がおすすめです。スニーカーで登っている人やなかにはパンプスで登っている強者の女性もいましたが、ほとんどの方がドロドロになっていました。
▲滑って尻もちをつかないように気をつけて!

時間は朝の6時。夜明け前なので辺りはまだ暗いですが、多くの人が山頂を目指して山道を登っていきます。夜道の登山はなんだか不安……。
ところどころで知らせてくれる「あと◯◯m」という看板に励まされながら、20分ほど登り、ようやく展望スポットに到着しました。
展望スポットはひらけた場所になっていますが、すでに多くの人が雲海の出現を待ち構えていて、結構な混み具合でした。多い時には100名以上の人がこの場所に訪れるそう。

目の前には越前大野城が見えていますが、まだ雲海は出ていません。もしや、今日は見られないのか!?

しかし夜明けとともに、少しずつ霧が現れ始めました!
まるで舞台装置のように、どこからともなく霧が出てきます。

10分も経たないうちに、霧は越前大野城のそばまで覆い始めました。
霧は現れてもうまく城の周りを取り囲まないと、きれいな天空の城を見ることはできません。山頂に集った人たちも固唾を飲んで霧の動きを見守ります。
待つこと約15分。おおー!一部をのぞき、ほぼ霧が城を覆いました。みなさんカメラをスタンバイし、シャッターを押す準備は万端です!
▲みなさんの緊張感と興奮がこちらにも伝わってきます

そして、ついに霧が城の周りを覆い尽くしました。これが天空の城です!
「天空の城」の言葉通り、まさに雲のなかに城が浮かんでいるよう。夜明けの太陽の光が城を照らし、なんとも幻想的な景色です。

歓声をあげる人もいれば、言葉を失う人もいて、その場にいる人すべてがこの景色に圧倒されている様子。なんだか言葉になりません。

撮影していた地元の方に話を聞くと、今シーズンですでに6回通い、この日やっと見ることができたそう。「初めて訪れて見ることができたなんて、あなたすごく幸運だよ」と言われ、嬉しくなりました。
霧はさらにもくもくと増えていき、約20分後には城がすっぽりと隠れてしまいました。
▲城は跡形もありません

雲海は夜明けから9時頃までが見頃。すっかり日も射し、さわやかな朝となりました。
運良く素晴らしい雲海を見ることができましたが、大野市は雲海以外にも見どころがたくさんあります。ここからは雲海帰りに立ち寄りたい大野のおすすめスポットをご紹介しましょう。

「北陸の小京都」大野は名水のまちだった

古くから、越前・美濃両国を結ぶ交通の要所として栄えてきた大野。先ほど犬山山頂から見た越前大野城は、天正3(1575)年、織田信長に仕えた武将・金森長近(かなもりながちか)が、4年の歳月をかけて築城したもので、同時に京都に似た碁盤目状の城下町を建設したことから「北陸の小京都」とも呼ばれています。
今でも大野市街地は城下町の名残があり、なかでも「七間(しちけん)通り」で行われる朝市は400年以上の歴史を持ちます。春分の日~大晦日の毎朝7~11時頃、地元の農家が丹精込めて育てた農産物がゴザに所せましと並べられ販売される、大野の名物です。ただ買い物をするだけではなく、情報交換の場としても重要な「七間朝市」。農家のお母さんたちとの会話はほっこりと心があたたかくなること間違いなしですよ。
▲気さくに話しかけてくれるお母さんたち。野菜の美味しい調理方法など、ためになる話題が満載
また、大野市は水が美味しい「名水のまち」としても有名です。その秘密は、四方が1,000m級の山々に囲まれている盆地だから。冬場は雪が多く、その雪解け水が地下に浸透するため、上質なミネラルを適度に含んだ水が、地下から出てくるのです。

市内には「御清水(おしょうず)」と呼ばれる湧水スポットが20カ所以上あり、市民の憩いの場として親しまれています。何カ所かめぐりながら水を汲むのもおすすめです。
▲昭和60(1985)年に環境庁の名水百選に選ばれた「御清水」
▲眼病に効くといわれている「篠座(しのくら)神社」にある御霊泉
▲平成の名水百選に選ばれた「本願清水」では、きれいな水でしか生息しない絶滅危惧種のイトヨが生息しています

大野のまちを巡ると、雲海も美味しい水も、その豊かな自然と独特の地形によるものだということがわかると思います。雲海の出現は運を天に任せるしかありませんが、大野の散策もきっと楽しめるはず。晴れた日を狙って、ぜひ大野に遊びに行ってみてくださいね。
石原藍

石原藍

ローカルライター。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。

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