「近江神宮」に聖地巡礼!かるたと時計の魅力に浸る

2019.01.25 更新

滋賀県大津市にある「近江神宮」は日本で最初の時計・漏刻(ろうこく)を採用した天智天皇を祀る神社。また、小倉百人一首では天智天皇の歌が巻頭を飾ることから「かるたの聖地」とも呼ばれており、映画『ちはやふる』の舞台にもなりました。今回は境内の見どころを巡りながら、映画の気分に浸ってみましょう!

近江の発展の礎をつくった天智天皇

近江神宮へは、JR湖西線・大津京駅から徒歩20分またはタクシーで約3分、もしくは京阪石山坂本線・近江神宮前駅から徒歩約10分。荘厳な雰囲気が漂う鳥居をくぐりぬけると、鮮やかな朱色の楼門(ろうもん)が目に飛び込んできました。
近江神宮は年間50万人以上が訪れる大津を代表する神社。平日にも関わらず多くの参拝客が訪れていました。
近江神宮は比較的新しい昭和15(1940)年の創建。社殿は近江造り、または昭和造りと呼ばれる様式で、近代神社建築を代表する神社の一つとして、国の登録有形文化財の指定を受けています。

近江神宮は、近江の国の発展に欠かせない天智天皇を祀った場所。天智天皇にピンとこない方も、「大化の改新」を行った中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)と言えば、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

さかのぼること天智6(667)年。天智天皇は飛鳥から大津に都を移しましたが、その5年後に壬申(じんしん)の乱があったことからわずか5年で廃都に。しかし、この短い間にも画期的な政治を行なったことから、後の近江の発展の土台をつくったとも言われています。

時の守護神とも言われた天智天皇

天智天皇が行なった改革のなかでも画期的だったのが、日本ではじめて水を用いた時計「漏刻」をつくったこと。水を流し、容器に溜まった水位の変化から時間を読み取ることができます。もともと中国から伝わったものですが、天智天皇はこれを大津の都に取り入れ、人々に時刻を伝えたことから「時の守護神」とも呼ばれています。

境内には有名な時計メーカーから寄贈された漏刻のほか、火時計や日時計も設置され、こちらも見どころの一つです。
▲オメガ社から奉納された漏刻
▲中国で使われていた古代火時計はロレックス社から奉納されたもの
▲岐阜天文台の矢橋徳太郎氏が考案した「矢橋式日時計」
▲「精密日時計」。中央の棒は、天の北極(およそ北極星の方向)を指しているそう
また、昭和38(1963)年に日本初の時計博物館として開館した「時計館宝物館」も要チェックです。
▲時計館宝物館。入館料は大人300円、小中学生150円(ともに税込)
館内では櫓(やぐら)時計や香の燃焼の長さで時間を計る香時計、江戸時代の懐中時計など、貴重な品々約180点を展示。また、時計博物館では附属の学校として「近江時計眼鏡宝飾専門学校」が設けられ、時計の技術者を養成していることから、時計の修理を請け負う時計工房も設けられています。
▲日本最古と言われる江戸時代の懐中時計。表面には精緻な彫刻が施され、スイスで製造したものと考えられている
▲動力に、重錘(おもり)を使用した櫓時計は、徳川家康が宣教師から寄贈された時計を櫓の上に据えたといういわれも

近江神宮では、はじめて天智天皇が漏刻を用いて時間を伝えた日を「時の記念日」に制定し、毎年6月10日に「漏刻祭」を開催。舞楽や各時計メーカーの新製品の奉納が行われます。

かるたの聖地で『ちはやふる』の気分を味わう

天智天皇は時の守護神だけではなく、「歌かるたの祖神」とも呼ばれています。小倉百人一首の巻頭にも、天智天皇による「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ」の歌が残されていることから、近江神宮は「かるたの聖地」としても有名です。
▲境内にも天智天皇の歌が刻まれた歌碑が

近江神宮の敷地内には、競技かるたの最高峰の大会である「名人位・クイーン位戦」や高校生の「全国高等学校かるた選手権大会」(通称:かるた甲子園)が行われる「近江勧学館」があります。

競技かるたに励む人たちにとって、まさに憧れの地!競技かるたを題材にした映画『ちはやふる』のロケ地にもなったことから、館内は映画にまつわる展示が盛りだくさんです。

ちなみに『ちはやふる』とは、主人公・千早(ちはや)が、福井からやってきた転校生・新(あらた)や幼馴染の太一(たいち)、かるた部の個性的なメンバーたちとともに競技かるたに情熱を燃やす青春ストーリー。映画版では女優の広瀬すずさんが主演を務めています。
▲近江勧学館は入場無料。大会やイベントがない時は自由に入館できます

なかに入ると、入口近くには作者の末次由紀(すえつぐゆき)さんの原画や映画ちはやふるメンバーのサインが展示。
▲映画の主演、広瀬すずさんのサインもありました
▲登場人物の一人「机くん」が描かれたノートは、来館者が自由にメッセージを書き込めるようになっています
▲競技かるたの選手や『ちはやふる』ファンからの熱いメッセージが!
▲映画さながらの「競技かるた体験」ができるコーナーもあります

2階にあがると、毎年熱戦が繰り広げられる「名人位・クイーン位戦」の舞台、「浦安の間」があります。使用している時以外は自由に出入りができるので、ここで名人やクイーンを目指す人たちの気分を味わうのもおすすめです。
この場所に来るために、選手たちは血のにじむような努力をしているのかと思うと、なんだか感慨深い気持ちになります。
館内では、オリジナルのかるたグッズも販売。近江勧学館にしか売っていない商品もあるため、要チェックですよ!
▲「かるたトート」780円(税込)
▲上「かるた煎餅 ちはやふる」540円、左「近江百人一首さぶれ」1,080円、右「ちはやふるカレー」480円(※すべて税込)

『ちはやふる』の登場人物になりきれるキモノ体験

もっと『ちはやふる』の世界に入り込みたい!という方には、登場人物になりきれるキモノ体験がおすすめです。近江神宮の衣裳部では、着物・袴のレンタルを行っており、近江神宮の境内で散策や写真撮影などを自由に行うことができます(要事前予約)。

利用料金は1人1,000円(税込)とリーズナブル。時間も1時間と気軽に体験できるので大人気なんですよ。
▲まずは好みの着物を選びます
▲スタッフの方が着付けをしてくれるので安心。5分くらいで着付けられました

じゃーん!映画『ちはやふる』の主人公・千早をイメージしてみました!広瀬すずちゃんに程遠いのは重々承知していますが(笑)、スタッフの方いわく、この組み合わせで千早になりきる人が多いそうです。よかった、私だけじゃなかった……(笑)。
境内の散歩はもちろん、先ほど訪れた近江勧学館で競技かるたっぽいことをして遊ぶのもめちゃくちゃ楽しいです。
▲気分はすっかりクイーン

さらに、金屏風・几帳の前で模擬十二単(じゅうにひとえ)を着て、自らかるたの一枚になりきれる「かるたなりきり体験」(1人1,000円・税込)も。30分くらいの体験なので、キモノ体験と組み合わせて利用する人が多いそうです。十二単を着る機会なんてめったにないので、こちらもおすすめです(要事前予約)。
▲模擬十二単なので、こちらも着付けは簡単
参拝に加え、さまざまな楽しみ方ができる近江神宮。にわか『ちはやふる』ファンの私もすっかりかるたの魅力にハマり、さらに時計の奥深さも感じることができました。時の守護神のご利益をいただきに、大津を訪れてみませんか。
石原藍

石原藍

ローカルライター。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。

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