飛騨高山の古い町並み「さんまち通り」散策!地元ガイドさんに面白スポットを案内してもらった

2019.01.12 更新

日本人だけでなく海外からも多くの人が訪れる岐阜県の飛騨高山エリアは、江戸から明治時代にかけての面影を感じる古い町並みが残り「飛騨の小京都」とも呼ばれる人気観光地。有名観光スポットも多く、町歩きだけでも楽しいところです。今回は、飛騨高山の中でも人気が高い「さんまち通り」や「高山陣屋」を地元ガイドさん案内のもと巡ってきました!

▲土日の「さんまち通り」は観光客でいっぱい!

ガイドさんとの待合せは「高山陣屋」前!

今回申し込んだのは、「ふるさと体験飛騨高山」という団体が行っているガイドツアーです。「初めて飛騨高山を訪れた時はガイドブックを見ながら町歩きをして写真を撮っただけなので、もっと町の歴史が知りたい!みんなが行かない少しディープなところにも行ってみたい!ついでに秋の高山と飛騨牛ランチも満喫したい!」という筆者の希望にピッタリの内容でした。
待合せ場所は、高山で最も有名な観光スポット「高山陣屋」。ちなみに「高山陣屋」までのアクセスは、JR高山駅から徒歩約15分ですが、路線バスが意外に便利。高山市内を周遊している「まちなみバス(左回り)」(1人100円)に乗れば高山駅近くの「高山濃飛バスセンター」から約8分で「高山陣屋前」のバス停に到着します。
▲全国に唯一現存する郡代・代官所として知られる「高山陣屋」。1人430円の入館料はツアー料金に含まれます

ガイドさんと挨拶を交わしたら、早速ガイドツアーの始まりです!まずは「高山陣屋」を見学します。
▲今回担当してくれた地元観光ガイドの今井さん。10年以上の経験を持つベテラン!

ここは、いわゆる江戸時代の役所。幕府直轄領だった飛騨の行政・財政・警察の役割と、役人の住居、年貢米を保管する米蔵を併せて、現在は「高山陣屋」と呼ばれています。そんなことを以前「高山陣屋」を訪れた際に知った旨を今井さんに伝えると、「ではパンフレットに書いていないことをお話しますね」と言われ期待が高まります。
▲「高山陣屋」に入ってすぐの玄関の間にある「大床(おおどこ)」と「青海波(せいがいは)」の文様

青海波の文様の説明書きには「海の波のように永遠に平和な時代が続くようにと願いが込められている」とありますが、今井さんによると「青海波は江戸時代前からある古い文様ですが、江戸時代には徳川家だけに許された文様」だったそうです。
▲壁やふすま以外にこんなところにも青海波が!
▲次に教えてくれたのがコレ!
▲よく見ると、桃のようにも見える太ったうさぎの形!「高山陣屋」内に150個もあるそうです

「これは真向兎(まむきうさぎ)と呼ばれる図柄の釘隠しです。大きな耳で民の声をよく聞き良政を行うという意味合いのほか、うさぎは子だくさんなので縁起物でもあり、火事除けや魔除けなどの意味もあると言われています」と今井さん。
▲次は大広間の説明かと思いきや……

「横の廊下の天井を見てください!少し木の色が剥げているでしょう?」
▲確かに天井の板や柱が少し白っぽくなっています

「この建物は明治維新後に県庁の事務所として昭和の半ばごろまで使われていたのですが、当初は電灯が無く暗かったので、天井や柱を白いペンキで塗ったようなんです。木材を変えて復元せずに修復したところが興味深いですよね」
▲こちらは時代劇「大岡越前」などでもおなじみの取り調べの場「御白洲(おしらす)」。拷問道具が生々しい……

「ここは刑事事件用。もうひとつ民事事件用の御白洲が北側にあります。時代劇の御白洲だと屋外のイメージがありますが、高山では雪が降る冬に屋外だと取り調べができなくなるので、屋根付きの御白洲にしたようです」
▲米蔵の屋根の板にも秘密が……

「ここの屋根は、ネズコ(ヒノキ科の常緑高木)や栗などの木材をへいだ(※木を薄い板に成形すること)榑板(くれいた)を使った板葺(こけらぶき)です。板を重ねて上から石を置いているだけですが、意外に雨風に強いんですよ。新しい板と古い板があるのは、台風などによる修復もありますが、5年ごとに表裏を入れ替えているんです」
ほかにも、職業や身分などに合わせて出入口が分けられていることや畳など部屋の造りも違うことなど、細部の意匠や構造、歴史のトリビアが盛り沢山!筆者的には、簡素な木造住宅としか思ってなかった「高山陣屋」に、人の営みを感じることができた見学でした。

古い町並み「さんまち通り」をそぞろ歩き

「高山陣屋」で今井さんのガイドに感銘を受けた筆者。次は高山で一番人気の観光地、古い町並み「さんまち通り」を案内してもらいます。
歩いていて筆者が最初に気になったのが、家の軒先の柱が白く塗られていること。今井さんに尋ねると……。
▲黒と白のコントラストが美しい軒先

「江戸時代に御用木は高級材だったので町人たちは使えない決まりだったのですが、柱の切り口を白く塗りカモフラージュして使っていたと言われています。ただ逆に高級材でなくても白く塗ることで安物と分からない利点もあったかもしれませんね。今ではこれが町並みの統一感になっていると思います」
▲こちらはなんてことない側溝ですが……

「側溝を流れる水は、木造住宅が立ち並ぶことから防火用水としても使われてきましたし、冬の融雪目的もあるのでフタがしてないんです。夏でも冷たいので今でも打ち水や生活用水として使われています。暑い日には足を浸ける外国人も見かけますよ(笑)」
▲大きな杉玉のかかる酒蔵が!高山の地酒「山車」で知られる「原田酒造場」です

酒好きとしてはたまらず寄り道したい場所ですね。ちなみに1月13日~2月26日に参加した場合はこちらの酒蔵見学、3月1日~4月3日は「飛騨高山雛祭り」、それ以外の期間は「飛騨高山まちの博物館」に連れて行ってもらえるそうです。
▲店内では販売もしていますが、お猪口(200円)を購入すれば10種類以上の日本酒や焼酎を1杯ずつ試飲できます!
「高山は、良質な米と水に恵まれた土地で寒冷な気候のため昔から酒造りでも有名です。今でも7軒の酒蔵があり、それぞれ特徴のあるお酒を作っています。どこでも試飲できますが、飲みすぎには注意してくださいね(笑)」と今井さん。
体が温まったところで、次は……。
「ここは高山で有名な味噌蔵の“大のや醸造”です。さっきはお酒の試飲でしたが、ここでは味噌汁が試飲できますよ」
▲試飲用の味噌汁は、赤味噌と糀(こうじ)味噌を半分づつブレンドしたタイプでした
お酒の後の味噌汁は最高です。煮干し出汁であとを引く美味しさ!個人的に好きな豆腐と油揚げの味噌汁用にお土産として購入しました!

続いては伝統工芸の技を見られるスポットのひとつ、版画店に立ち寄りました(立ち寄るスポットは日によって変わります)。
▲版画店が多いのも「さんまち通り」の特徴だそう

なぜ版画店が多いのか今井さんに尋ねると「高山市民にとって版画は小さい頃から馴染みのあるものです。伝統工芸である“一位一刀彫(いちいいっとうぼり)”の影響もあるかもしれませんが、雪が多い長い冬に家の中でできることとして親しまれてきました」
▲店内を覗くとカラフルな版画が。筆者が入った時、外国人の方が何点も購入していました

ちなみに「さんまち通り」には、定番のお楽しみ「食べ歩き」ができるお店がたくさんありましたが、今回のプランには飛騨牛のランチが含まれていたので、ひとつだけ今井さんおすすめの高山らしいおやつを食しました!
▲みだらしだんご(1本70円)です!

「のれんをよく見てくださいね。“みたらし”ではなく“みだらし”で、高山では“た”が濁ります。一般的なみたらしだんごは甘辛いですが、みだらしだんごは甘くない醤油味なのも特徴です。ちなみに高山では酒造りが盛んですが、酒造りでは米を削りますよね。その時にでる米粉を使ってだんごや五平餅が作られるようになったと聞いています」と今井さん。

ランチでも飛騨高山を堪能!

いよいよ今回の筆者が楽しみにしていた、飛騨牛のランチです。案内してもらったのは「さんまち通り」から歩いてすぐにある「飛騨高山まちの博物館」の隣りにある「銀風亭」です。
▲老舗食事処「銀風亭」。入口の提灯が目印
▲今回のプランに含まれている季節メニューの「飛騨路いろどり御膳」※飛騨牛メニューは時期によって変更があります

メニューの「飛騨路いろどり御膳」は筆者の想像通り!飛騨牛の朴葉みそ焼き、飛騨牛ローストビーフサラダ盛り、飛騨牛と温玉のユッケ風盛りのほか、煮物などの郷土料理が数品付いてボリュームも十分。入口の雰囲気に少し敷居の高さを感じましたが、店内は落ち着きがありスタッフも気さくで居心地がよかったです。

飛騨高山の季節が感じられる「東山遊歩道」

お腹が膨れた後は、お寺が立ち並ぶ「東山寺町」に向かいます。このエリアは城下町の構造が今も残り、高山の歴史を満喫できるスポットです。
「高山の町は元々、戦国時代に飛騨を治めた金森家が城下町を整備する際に、城の東の山裾に多くの寺院を建てたり移築したりしました。それが現在の東山寺町です。それらの寺院や神社を巡る道が“東山遊歩道”として整備されており、高山の歴史と季節を感じるのにオススメです」とのこと。

ということで、いざ町の東へ!「銀風亭」からは歩いて5分ほど。少し坂道ですが、ほどよい運動になりました。
▲立派な「大雄寺(だいおうじ)」(終日拝観可能。無料)の山門
▲「法華寺」の門から見えるのが「さんまち通り」です
▲取材した11月中旬はちょうど紅葉の時期でした
10以上のお寺や神社が並ぶ遊歩道を歩きながら、それぞれの建物のトリビアやゆかりのある人物についてなど、今井さんの熱いお話が続きます。どうやらガイドさんによって得意なジャンルがあり、今井さんは歴史や民俗史、食などのジャンルについて語らせたら何時間でもいけるそう。今回の筆者のガイドにはピッタリでした。
そしてやってきたのが、曹洞宗の「善応寺(ぜんのうじ)」。ここには、13世紀頃の中国のものを模して造られた座禅堂があり座禅体験ができるということで体験してみました!
▲部屋の真ん中に鎮座する文殊菩薩に一礼して座禅堂に入ります
住職の中井さんから座禅の作法や簡単な説明を受けます。

「“起きて半畳、寝て一畳”という言葉があるように、修行場である禅堂では本来畳一枚の上で食事も就寝も座禅も行います。体験は約1時間ですが、実際に座るのは40分ほどです。希望があれば30分位にもします。辛い体験ではなく、静かに心を見つめる体験をして頂ければ幸いです」と中井さん。
▲風や鳥の声しか聞こえない中で座禅をすると、想像以上に頭がスッキリしました

なお、座禅体験は女性の場合はスカートはNGだそうです。
▲「さんまち通り」では人力車も走っていました!

今回、書き切れないほどいろいろな話題をガイドの今井さんと話すことができ、筆者的には想像以上に満足度の高いガイドツアーでした。しかも今回できなかった酒蔵巡りや春の雛祭りに行ってみたいと思える話も聞けたので、必ずやリピートしたいです。

今回参加したプラン以外にも「ふるさと体験飛騨高山」では、半日で巡れるものなど他のプランも提供しています。知れば知るほど奥が深い高山を、ぜひガイドツアーで巡ってみてください!
※プランの内容は予約状況、時期によって巡る順番が多少前後する場合があります
※記事内の価格・料金は全て税込です
澤井敏夫

澤井敏夫

愛知県・清須市在住のライター。情報誌の編集制作、音楽事務所でのマネジメント業務を経て独立。読書と落語鑑賞とヨガが趣味。

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