東北屈指の縁結びスポット「熊野大社」に3羽のうさぎを探しに行こう!

2018.12.19 更新

「東北の伊勢」と称される「熊野大社」は、ぶどうの産地として有名な山形県南陽市にあります。縁結びの神様として知られ、日本で初めてのプロポーズ伝説や3羽のうさぎ伝説などが残っています。また、例年11月中旬に鮮やかに色づくシンボリックな大イチョウなど、その魅力は尽きることがありません。必ず一度は訪ねてみたい、東北屈指のパワースポットです。

日本三熊野の一つとして、約1200年の歴史を繋ぐ

JR奥羽本線赤湯駅から車で15分ほどのところにある「熊野大社」は、和歌山県の「熊野三山」、長野県と群馬県の県境にある「熊野皇大神社」と並ぶ日本三大熊野のひとつ。大同元(806)年に平城天皇の勅命によって再興された東北屈指の歴史ある社には、平安時代の本尊仏、鎌倉時代の羅陵王(らりょうわう)の面、室町時代の獅子頭などの文化財が保存されています。
元旦には歳旦祭が行われることもあり、毎年約6万人の初詣客が訪れます。
▲最初に出迎えてくれるのは大きな石鳥居

石鳥居をくぐり、きれいな石畳を100mほど進むと巨大なイチョウの木が出迎えてくれます。源義家の命を受けて植えたと伝えられる、樹齢約900年の大イチョウ。山形県の天然記念物に指定されている、熊野大社のシンボルです。
▲参道の入口右手にある、高さ約30m・根回り約7.7mの大木に圧倒されます(11月中旬が見頃)
▲人の身長と比較すると樹木の大きさがわかりますね
▲参道を挟んで大イチョウの向かいにある手水舎(てみずしゃ)。心身を清めてから本殿へ

ここから「お御坂(おみさか)」と呼ばれる石段を上って、拝殿のほうへ向かいます。
▲上りやすい段差の石段は47段あります
▲石段を上りきるとすぐ拝殿が見えてきます
▲拝殿は朱赤の鮮やかさと相まって、神々しい雰囲気に包まれています

今回は、出仕の小室健一さんに、境内や拝殿を案内していただきました。
▲わかりやすく説明してくださる小室さん

日本古来の建築様式を採用した荘厳な拝殿

最初に案内していただいたのは、山形県の文化財に指定されている拝殿。平成18(2008)年の屋根修復工事の際に天明7(1787)年の古文書が発見されたことから、現在の拝殿は今から230年以上も前の江戸時代後期に建てられたとされています。ただ、その当時の建築部材よりも古い木材が使われていることから、拝殿の創立は江戸時代後期をさらにさかのぼるという研究もあるそうです。
▲県内最古の茅葺屋根

入母屋造(いりもやづくり)の茅葺で、屋根の正面に千鳥破風(ちどりはふ/三角形の部分のこと)、その前面に縋破風(すがるはふ/本屋根の棟先から一方にだけ突き出した部分のこと)で向拝(こうはい/参拝者が礼拝する所のこと)屋根を設け、その中央に唐破風(からはふ/曲線上の装飾)を配置しています。
▲素晴らしい彫りものも随所に。中央には、飛翔する鳳凰の彫刻が!

そのまま拝殿の中へ。巨大な提灯がいくつも吊るされた拝殿内は、歴史の長さと深さを醸し出す堂々とした空間です。静まり返った空気に包まれながら、心地良い時間を感じることができます。
▲参拝者が奉納した大きな提灯
▲拝殿内は最大600人を収容できる広さ
▲拝殿の中から眺める境内

日本で初めて交わされたプロポーズ

「熊野大社の御祭神は『むすひ』の神様です。『むすひ』とは、ものが生まれる力のことで、3柱の大神様(イザナミノミコト、イザナギノミコト、スサノヲノミコト)を含む30柱の神様をお祀りしています」と小室さん。
▲境内には、約30もの社が点在しています

「ちなみに、この社の大神様である男女の神様は、神話によると日本で初めてプロポーズをして結ばれた神様なんですよ」と小室さんは続けます。男の神様であるイザナミノミコトが、女の神様であるイザナギノミコトに「あなにやし、えをとめを(ああ、なんと素晴らしい女性だろう)」とプロポーズして結ばれたんだそう。とてもロマンチックな神話ですね。
なお、どちらの名前にも共通する「イザナ」は、「誘(いざな)う」という言葉に由来しているそうですよ。
▲プロポーズ伝説を物語るように、縁結びを願うスポットが境内のあちらこちらに(写真は授与所の並びにある「花結び」)
▲落ち葉で作られたハートも見つけました!

拝殿の裏手には、イザナミノミコトをお祀りする本殿(本宮)、イザナギノミコトをお祀りする二宮神社社殿(県指定文化財)、そして江戸時代に建立されたスサノヲノミコトをお祀りする三宮神社社殿(市指定文化財)があります。残念ながら中に入っての参拝はできませんが、ロマンチックな愛の物語に思いを馳せてみるのも良いかもしれませんね。
▲本殿と二宮神社社殿への参拝はこの場所で

3羽のうさぎを見つけると良縁に恵まれる!?

古来からうさぎは縁を結ぶ動物として親しまれてきました。ここ熊野大社にもうさぎの逸話があります。境内のとある場所にうさぎが隠れているようなので、早速向かってみましょう。
▲縁を結びたい人へ、最強のパワースポットがここ!

小室さんに連れられて辿り着いたのは、本殿の裏側。ここに3羽のうさぎが隠し彫りされているそうです。いつ頃からか、「うさぎを3羽すべて見つけると願いが叶う」と評判になり、今では恋が成就するパワースポットとして全国から大勢の人が訪れるそう。
▲「あ、そこにいる!」1羽はすぐに見つけられます。どこかわかりますか?

小室さんに残り2羽の場所を尋ねると、「2羽目はあの辺かな、3羽目はご自分で探してください。うさぎの場所を他人に言ったり、聞いたりすると御利益が無くなると言われています」とのこと。
▲「一日中探していた方もいますよ。『3羽見つけて結婚できた』という嬉しい知らせもいただきます」

「探すコツは波模様からうさぎ、うさぎから波模様に見える隠し彫り。方角など物の見方によって姿形が変わってきますよ」(小室さん)。
んー、これは難問ですね!結局この日は、2羽目は見つけたものの、3羽目を見つけることはできませんでした。

選ぶのに迷ってしまうほど可愛いお守り

うさぎを探した後は、お守りを求めて授与所へ。実はこちらにもうさぎをモチーフにした可愛らしいお守りがあると評判なんです。
▲授与所は初詣シーズンにも対応できる広さです
▲レトロな色使いが可愛いお守りの数々(初穂料500円~)

どれにしようか迷っていたら、巫女さんが「きずな」のお守りを見せてくれました
▲「きずな」は優しいピンク色のお守り(初穂料500円)
▲「かなう」のお守りも。何個も欲しくなります(初穂料500円)

「カワイイ!」
そして目に留まったのは、整列した姿が愛らしいピンク色のうさぎたち。3羽のうさぎをイメージしてつくられたもので、尾に紙のおみくじが結んであります。
▲ここでしか手に入らない置物「結(ゆわい)うさぎ」(初穂料500円)

もうひとつの可愛らしいお守りが、毎月、満月に近い土・日曜に開催される「えんむすび祈願祭」の月結び参列者限定で頒布される「たまゆら守」。「たまゆら」とは「魂を揺り起こす」という語源からきている言葉。月ごとにお守りの色が変わります。
▲持っていることを自慢したくなるほどキュートな「たまゆら守」(縁結び祈願祭初穂料2,000円)
▲一つ一つ「水引」で手作りされています
▲御朱印をいただくこともお忘れなく!(御朱印帳2,000円、御朱印300円)

熊野大社では、1~3月末(新春参宮)と10・11月(秋参宮)の土・日曜に「太々神楽(だいだいかぐら)」の奉納を行っています。熊野大社の太々神楽は、伊勢神宮より直伝を許された日本最古の最も尊いお神楽。現在は伊勢神宮と熊野大社だけで奉納されています。
▲太々神楽の人長舞(にんじょうまい)

また、毎年6月上旬~9月末日には本殿周辺に風鈴が飾られます。他にも四季折々、表情を変えた社を楽しむことができますよ。
荘厳な建物を眺め、静寂に包まれた境内に身を置きながら特別な時間を過ごしてみませんか?可愛いうさぎがご縁を運んでくれるかも!

大イチョウが見守る境内のカフェでひと休み

参拝した後は 、参道の入口にあるカフェ「icho cafe」で休憩しましょう。その名の通り、あの大イチョウのところに位置しています。
▲イチョウの木の右下に見えるのが「icho cafe」です
▲11月中旬になると、カフェの前がイチョウの葉で敷きつめられます

このカフェは、以前、熊野大社の売店だった建物を、地元の若者たちがリノベーションして2015年にオープンさせたもの。地元の酒蔵とコラボしたオリジナルのランチや、農家から直接仕入れた食材を使ったスイーツやスムージーなどが人気を呼んでいます。
▲この店の人気ベスト3!「フレンチトースト」「スムージー」「ナポリタン」

ランチメニューのナポリタンは、地元酒蔵とのコラボによって生まれた逸品。純米吟醸酒の酒粕を使うことで、コクと香りを深めたトマトソースが自慢です。
▲「ナポリタン」単品800円(サラダ付)、ドリンクとのセットにすると1,000円(ともに税込)※セットドリンクにスムージーは含まれません

一番人気のフレンチトーストは、地元「ながめやま牧場」の牛乳をベースにした卵液に時間をかけて浸し、銅板でじっくり焼き上げたもの。外側はさっくり、中はもっちりの食感です。
スムージーは、フレッシュなりんごにハチミツを加えた優しい味でした。
▲「ふわふわフレンチトースト」500円(税込)
▲この日の「スムージー」600円(税込)は、地元で収穫したりんごとハチミツを使って

秋になると、地面に舞い落ちるイチョウの葉で辺りは黄色に染まります。景色をガラス越しに眺めながら、時間を忘れてゆっくりしたくなる素敵な空間。居心地の良さに何度も訪れたくなるカフェです。

白うさぎの駅長にも会いたい!

うさぎにまつわる話題は、熊野大社だけにとどまりません。なんと、近くの鉄道駅の駅長がうさぎなのだとか!?興味津々で、熊野大社の最寄り駅である「宮内駅」へ立ち寄ってみることにしました。
▲フラワー長井(ながい)線の沿線上にある宮内駅は、熊野大社から車で5分ほど

フラワー長井線は、山形新幹線に接続しているJR赤湯駅から、白鷹(しらたか)町にある荒砥(あらと)駅まで運行されている約30kmのローカル線です。2004年に公開された映画「スウィングガールズ」の舞台になったことでも知られています。宮内駅は赤湯駅から2つ目のところにある小さな駅です。
▲1~2時間に1本運行されているローカル線

駅に着いたら、そのまま改札口を通ってホームに向かいます(駅外からホームに入る場合も入場券は必要ありません)。案内板に従って、「もっちい」駅長がいる事務室のほうへ。入口の扉には「もっちい駅長」と会う際の5つの禁止事項が貼ってありました。

触ったり、大声を出したり、フラッシュ撮影などは禁止ということで、そっと扉をあけてみると…。サークルの中で餌を食べている「もっちい」駅長と念願のご対面です!高齢になり、ほとんど動くこともなくなったようですが、愛らしさは健在。
▲まるまるっとした宮内駅のアイドル

うさぎが駅長を務めている駅は、全国でもわずか。メディアでもたびたび紹介され、写真集も発売されるほどの人気者ですが、定休日があるので駅に確認してから会いに行ったほうがいいかもしれません。
由緒ある縁結びの神様「熊野大社」への参拝の旅は、発見と出会いの連続でした。熊野大社を中心に町全体がコンパクトにまとまっているので散策しやすいのも良いところ。うさぎたちが待つ東北屈指のパワースポットへ、さあ出かけてみませんか?


撮影:佐藤友美
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

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