カラフルで美味しいヒオウギ貝は、産地でいただくべき海の宝石!
天然の色とは思えないヴィヴィッドなカラーで、近年テレビなどでも取り上げられ大きな話題となっている「ヒオウギ貝」。海の外では1日ほどしか生きられない繊細なヒオウギ貝は、生で購入できることは稀。でも、ヒオウギ貝のふるさと・愛媛県愛南町(あいなんちょう)には水揚げ後すぐに食べさせてくれるお店があると聞きつけ、さっそく車を走らせてきました!

ヒオウギ貝のふるさと、由良半島へ

2004(平成16)年に5町村が合併して誕生した愛南町。町内でもっとも宇和島市に近い旧内海村(うちうみむら)にある由良半島は、日本有数のヒオウギ貝の産地。ヒオウギ貝が好む水温の高い内湾でありながら、適度な潮流、プランクトンや藻などの餌が豊富という外洋性の特徴を併せ持つ最高の漁場です。
現在、由良半島では地元の漁協を中心に、4人の養殖業者がヒオウギ貝を育てて出荷しています(2019年1月時点)。人気沸騰中の食材でありながら4人という少なさには驚きです。

由良半島のヒオウギ貝の養殖業者の中には、作業場を公開している人もいます。その中のお一人、黒田光宣(くろだみつのぶ)さんの作業場にお邪魔してきました。
1981(昭和56)年にヒオウギ貝の養殖を始めたという黒田さん。本格的に販売を始めたのは2002(平成14)年から。それまではどの家も家族で食べる分だけを育てていたそうです。

由良半島では、すべて天然の稚貝から育てています。夏場に山から切り出してきた杉葉を養殖カゴに入れて海に沈めておくと、自然にヒオウギ貝の卵が付着して稚貝になるんだそう。
「1cmほどの稚貝の時点でオレンジや黄色、紫などのカラフルな色になっています。約7割がオレンジ色、そのほか黄色や赤、紫などが各1割程度。レインボーカラーやピンクはレア度が高く、さらに数年に一枚、万に一つもないといわれる白は非常に珍しいものです」と話してくれました。

約1年という期間をかけて養殖されるヒオウギ貝は、年中食べられる食材ですが、旬は11月下旬から5月頃。8.5cmを超えるサイズになると出荷されます。


出荷の際には、海中で付着したフジツボや海藻などを落とす貝の美容を行います。

専用の機械で一度目の美容を施したあとは、高圧洗浄機でさらに磨きあげます。するとあのヴィヴィッドなヒオウギ貝本来の美しさが現れます。

シーズン中なら町内の道の駅などで購入できることもあるそうですが、黒田さんの作業場にもシーズンになると見学を兼ねて購入に訪れる人も多いそう。1年に1度のご褒美として食べる人もいるほどのヒオウギ貝。せっかくなら、貝のふるさとの海まで車を走らせて鮮度抜群のものを食べるのがおすすめです。

と思っていると、なんと試食させてもらえることに!

ヒオウギ貝は、貝柱とヒモの2カ所が味わえます。海から上がってすぐの生きたヒオウギ貝は、味付は不要。ヒモはコリコリとした食感で海水が味のアクセントに。貝柱は楊枝を刺すとまだ身が動くほどの新鮮さで、フルーツのような上品な甘みが口に広がり、絶対にここでしか味わえない逸品!わざわざ買いにくる人がいるのも納得です。
現地で見学、購入したい場合は事前に連絡をしておくと安心です。
アコヤ ヒオウギ アワビ養殖 黒田光宣
愛媛県南宇和郡愛南町家串
[営業時間]不定
[定休日]不定休
[ヒオウギ貝料金]20枚でおおよそ税込3,900円 ※料金は目安
0895-85-0852
すぐに食べたいと思ったら町内の食事処へ
しかし!旬のものを生産地で食べる贅沢は、食通でなくとも譲れないところ。由良半島を離れ、国道56号を南下すること車で5分。複合施設「ゆらり内海」ならヒオウギ貝はもちろん、愛南町のブランド食材もいろいろと食べられます。

潮湯で疲れを癒せるお風呂とレストランがある「ゆらり内海」は、レストランだけの利用もOK。
愛南町内の深浦漁港にその日のうちに水揚げされ、徹底的に鮮度を管理された「びやびやかつお」。そして4種の鶏のいいところだけを凝縮、掛け合わせた「媛っ子地鶏」などの地元のブランド食材を使った料理が揃います。もちろんヒオウギ貝もその中の一つとして、年中提供しています。

レストランメニューの中でもヒオウギ貝は人気のメニュー。お造り、浜焼き、天ぷら、フライの4つの食べ方で味わえます。
なかでもヒオウギ貝は刺し身が一番美味しいと聞いて、迷わず「ヒオウギ貝のお造り」(税込540円)を注文。

透明度が高く、きらきら輝いている貝柱は、食べなくても新鮮であることが分かるほど。ここでも貝殻がお皿代わりに。わさびも小さな貝殻に入っていて、かわいい計らいです。

まずは普通の刺し身のように、醤油とわさびをつけて1枚。水揚げ後すぐに食べたヒオウギ貝とはまた違う、柔らかい食感。そして上品な甘さがあってとってもおいしい!ヒモのコリコリとした食感は変わらず健在でした。
筆者的には、貝柱の上品な甘さが楽しめるので、貝柱は醤油控えめでわさびなし。ヒモはあえてわさびをたっぷりとのせて醤油!これがベストマッチでした。

せっかくだから、火を通したヒオウギ貝はどんな感じ?と「ヒオウギ貝の浜焼き」(税込460円)も追加注文。醤油とお酒で和風仕立てになったヒオウギ貝です。身の甘みに薄めの和風だしが利いていて、これも美味!火を通しても食感はそのまま、ホタテの貝柱などよりも濃い甘みを感じるものでした。

館内には愛南町の特産品を扱うお土産コーナーも併設されています。
中でもヴィヴィッドカラーのヒオウギ貝の商品は目を引きます。貝殻をキレイに磨いて加工したもので、すべての商品が手作りだそう。

キーホルダー(税込280円)や根付(税込380円)はお手頃な価格だったので好きな色を見つけて購入しました。カラーも豊富なので、人とはちょっと違う個性が出せそうです。

ヒオウギ貝の商品だけでなく、みかんの産地としても有名な愛南町。みかんの加工品もずらりと並んでいます。
ゆらり内海
愛媛県南宇和郡愛南町須ノ川286
[営業時間]レストラン11:00~14:00(土・日曜、祝日は~15:00)、17:00~22:00(L.O.21:00)
お土産コーナー11:00~22:00
[定休日]水曜(7月20日~8月31日は無休)、1月1日
0895-85-1155
美味しくいただいた後は、貝殻を使ったアートに挑戦!
館内に、ヒオウギ貝の貝殻を使ったランプシェードが置かれているのです。

聞けば、海岸に流れ着いたシーグラスやヒオウギ貝の貝殻などを使ったシーボーンアートを作れる教室が、館内2階の多目的室で開催されているのだそう。まだ帰路に着くのは早い時間だったのでちょっとのぞいてみました。
教室の片隅には、定期的に通っている生徒さんの作品が並んでいて、ちょっと真似できそうにない高いクオリティにびっくり。

さすがにここまでのクオリティは初心者には難しいそうですが、約2時間でできる初心者向けの体験コースもあるとのことで、チャレンジすることに!
1~2cmぐらいの小さなヒオウギ貝を使ったペットボトルランプ作りに挑戦してみました。

短くカットしたペットボトルの表面にホットボンドで貝殻をつけていくだけの簡単な作品です。でも、不器用な筆者には大変な作業!曲がった表面にかっこよく貝殻をつけていくのは至難の技。教室には2名のインストラクターと大勢の生徒さんがいらっしゃるので、アイデアもちょっと拝借しながらなんとか完成することができました。

今回は特別に飛び入りで体験させていただきましたが、毎月第2・第4日曜の13:00~16:00開催で、ヒオウギ貝アートにチャレンジする場合は、体験人数と到着時間を事前に連絡する必要があります。体験したペットボトルランプ(税込1,500円)のほか、フォトフレーム(税込1,500円)やランプシェード(税込4,000円)なども体験可能です。
シーボーンアート愛南教室
愛媛県南宇和郡愛南町須ノ川286 ゆらり内海内
[開講日時]第2・第4日曜13:00~16:00 ※要予約
[体験料]ペットボトルランプ1,500円、フォトフレーム1,500円、ランプシェード4,000円(すべて税込)
0895-85-1155(ゆらり内海)
撮影:光藤知泉

長山 歩
純粋愛媛っ子のフリーライター。4人の子ども達が騒ぐ中、一人別世界にトリップし原稿を書き上げる能力に長ける。取材で知った美味しいお店、楽しいスポットに一緒に出かけ、子ども達に尊敬してもらうのがこの上なく嬉しい。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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