カラフルで美味しいヒオウギ貝は、産地でいただくべき海の宝石!

2019.01.16 更新

天然の色とは思えないヴィヴィッドなカラーで、近年テレビなどでも取り上げられ大きな話題となっている「ヒオウギ貝」。海の外では1日ほどしか生きられない繊細なヒオウギ貝は、生で購入できることは稀。でも、ヒオウギ貝のふるさと・愛媛県愛南町(あいなんちょう)には水揚げ後すぐに食べさせてくれるお店があると聞きつけ、さっそく車を走らせてきました!

ヒオウギ貝のふるさと、由良半島へ

ヒオウギ貝のふるさとは、愛媛県最南部にある愛南町。北は愛媛県宇和島市、南は高知県宿毛(すくも)市に挟まれ、深い緑の山々と宇和海、太平洋の2つの海に囲まれた自然豊かな町です。町内の海域は「足摺(あしずり)宇和海国立公園」の一部で、ヒオウギ貝が育つのに適した、水温が高く内湾の静かな海として有名です。旬の時期には、ヒオウギ貝を求めて県内外から多くの人々が訪れます。
▲穏やかな海に面している愛南町。キャンプやマリンレジャーなどを楽しめる

2004(平成16)年に5町村が合併して誕生した愛南町。町内でもっとも宇和島市に近い旧内海村(うちうみむら)にある由良半島は、日本有数のヒオウギ貝の産地。ヒオウギ貝が好む水温の高い内湾でありながら、適度な潮流、プランクトンや藻などの餌が豊富という外洋性の特徴を併せ持つ最高の漁場です。

現在、由良半島では地元の漁協を中心に、4人の養殖業者がヒオウギ貝を育てて出荷しています(2019年1月時点)。人気沸騰中の食材でありながら4人という少なさには驚きです。
▲透明度の高い穏やかな海はヒオウギ貝の養殖に最適

由良半島のヒオウギ貝の養殖業者の中には、作業場を公開している人もいます。その中のお一人、黒田光宣(くろだみつのぶ)さんの作業場にお邪魔してきました。
1981(昭和56)年にヒオウギ貝の養殖を始めたという黒田さん。本格的に販売を始めたのは2002(平成14)年から。それまではどの家も家族で食べる分だけを育てていたそうです。
▲養殖業者の黒田さん。加工場からほど近い生簀へと向かう船上で

由良半島では、すべて天然の稚貝から育てています。夏場に山から切り出してきた杉葉を養殖カゴに入れて海に沈めておくと、自然にヒオウギ貝の卵が付着して稚貝になるんだそう。
「1cmほどの稚貝の時点でオレンジや黄色、紫などのカラフルな色になっています。約7割がオレンジ色、そのほか黄色や赤、紫などが各1割程度。レインボーカラーやピンクはレア度が高く、さらに数年に一枚、万に一つもないといわれる白は非常に珍しいものです」と話してくれました。
▲稚貝は殻が薄く、アコヤ貝などにまぎれて水揚げされることもしばしば

約1年という期間をかけて養殖されるヒオウギ貝は、年中食べられる食材ですが、旬は11月下旬から5月頃。8.5cmを超えるサイズになると出荷されます。
▲養殖カゴに入れて成長させる。出荷できるサイズになるまで早いもので1年弱、2年を超すものも
▲海から上げたばかりのヒオウギ貝は、パクパクと口を開けている。縁に見える青い斑点はなんと「目」だそう

出荷の際には、海中で付着したフジツボや海藻などを落とす貝の美容を行います。
▲磨きを施す前のヒオウギ貝。付着物が多いのは、海の中で長時間生育した証

専用の機械で一度目の美容を施したあとは、高圧洗浄機でさらに磨きあげます。するとあのヴィヴィッドなヒオウギ貝本来の美しさが現れます。
▲出荷前には2度にわたる磨きの作業を行う

シーズン中なら町内の道の駅などで購入できることもあるそうですが、黒田さんの作業場にもシーズンになると見学を兼ねて購入に訪れる人も多いそう。1年に1度のご褒美として食べる人もいるほどのヒオウギ貝。せっかくなら、貝のふるさとの海まで車を走らせて鮮度抜群のものを食べるのがおすすめです。
▲美しさに磨きがかかったヒオウギ貝。非常にデリケートなため、スーパーなどではお目にかかれない

と思っていると、なんと試食させてもらえることに!
▲海辺で味わうヒオウギ貝は貝殻をお皿がわりに直接食べる

ヒオウギ貝は、貝柱とヒモの2カ所が味わえます。海から上がってすぐの生きたヒオウギ貝は、味付は不要。ヒモはコリコリとした食感で海水が味のアクセントに。貝柱は楊枝を刺すとまだ身が動くほどの新鮮さで、フルーツのような上品な甘みが口に広がり、絶対にここでしか味わえない逸品!わざわざ買いにくる人がいるのも納得です。

現地で見学、購入したい場合は事前に連絡をしておくと安心です。

すぐに食べたいと思ったら町内の食事処へ

水揚げ後わずか1日ほどで死んでしまうデリケートなヒオウギ貝は、県内であってもなかなか飲食店でお目にかかれない高級食材。しかも生産者も限られているため、愛南町内でも貴重なものとなっています。
しかし!旬のものを生産地で食べる贅沢は、食通でなくとも譲れないところ。由良半島を離れ、国道56号を南下すること車で5分。複合施設「ゆらり内海」ならヒオウギ貝はもちろん、愛南町のブランド食材もいろいろと食べられます。
▲国道56号沿い、須ノ川キャンプ場の向かいにある「ゆらり内海」

潮湯で疲れを癒せるお風呂とレストランがある「ゆらり内海」は、レストランだけの利用もOK。
愛南町内の深浦漁港にその日のうちに水揚げされ、徹底的に鮮度を管理された「びやびやかつお」。そして4種の鶏のいいところだけを凝縮、掛け合わせた「媛っ子地鶏」などの地元のブランド食材を使った料理が揃います。もちろんヒオウギ貝もその中の一つとして、年中提供しています。
▲靴を脱いでゆっくりくつろげるレストラン

レストランメニューの中でもヒオウギ貝は人気のメニュー。お造り、浜焼き、天ぷら、フライの4つの食べ方で味わえます。
なかでもヒオウギ貝は刺し身が一番美味しいと聞いて、迷わず「ヒオウギ貝のお造り」(税込540円)を注文。
▲「ヒオウギ貝のお造り」。レモン、わさび、醤油はお好みで

透明度が高く、きらきら輝いている貝柱は、食べなくても新鮮であることが分かるほど。ここでも貝殻がお皿代わりに。わさびも小さな貝殻に入っていて、かわいい計らいです。
▲どうです!このツヤツヤ&ピッカピカの貝柱

まずは普通の刺し身のように、醤油とわさびをつけて1枚。水揚げ後すぐに食べたヒオウギ貝とはまた違う、柔らかい食感。そして上品な甘さがあってとってもおいしい!ヒモのコリコリとした食感は変わらず健在でした。
筆者的には、貝柱の上品な甘さが楽しめるので、貝柱は醤油控えめでわさびなし。ヒモはあえてわさびをたっぷりとのせて醤油!これがベストマッチでした。
▲「ヒオウギ貝の浜焼き」は、ややお酒が強め

せっかくだから、火を通したヒオウギ貝はどんな感じ?と「ヒオウギ貝の浜焼き」(税込460円)も追加注文。醤油とお酒で和風仕立てになったヒオウギ貝です。身の甘みに薄めの和風だしが利いていて、これも美味!火を通しても食感はそのまま、ホタテの貝柱などよりも濃い甘みを感じるものでした。
▲貝殻はマグネットやキーホルダーなどの小物からランプまで、様々なものに加工されている

館内には愛南町の特産品を扱うお土産コーナーも併設されています。
中でもヴィヴィッドカラーのヒオウギ貝の商品は目を引きます。貝殻をキレイに磨いて加工したもので、すべての商品が手作りだそう。
▲ヒオウギ貝の殻を磨いて加工した、ヒオウギキーホルダー

キーホルダー(税込280円)や根付(税込380円)はお手頃な価格だったので好きな色を見つけて購入しました。カラーも豊富なので、人とはちょっと違う個性が出せそうです。
▲お土産コーナーには、愛南町の特産品がずらり

ヒオウギ貝の商品だけでなく、みかんの産地としても有名な愛南町。みかんの加工品もずらりと並んでいます。

美味しくいただいた後は、貝殻を使ったアートに挑戦!

ゆらり内海には、まだまだヒオウギ貝に関するものが。
館内に、ヒオウギ貝の貝殻を使ったランプシェードが置かれているのです。
▲柔らかな光を放つランプシェード

聞けば、海岸に流れ着いたシーグラスやヒオウギ貝の貝殻などを使ったシーボーンアートを作れる教室が、館内2階の多目的室で開催されているのだそう。まだ帰路に着くのは早い時間だったのでちょっとのぞいてみました。
教室の片隅には、定期的に通っている生徒さんの作品が並んでいて、ちょっと真似できそうにない高いクオリティにびっくり。
▲教室の生徒さんたちの作品。残念ながら非売品

さすがにここまでのクオリティは初心者には難しいそうですが、約2時間でできる初心者向けの体験コースもあるとのことで、チャレンジすることに!
1~2cmぐらいの小さなヒオウギ貝を使ったペットボトルランプ作りに挑戦してみました。
▲ホットボンドは熱くなるので、小さな貝殻などを取り扱う時はやけどに注意

短くカットしたペットボトルの表面にホットボンドで貝殻をつけていくだけの簡単な作品です。でも、不器用な筆者には大変な作業!曲がった表面にかっこよく貝殻をつけていくのは至難の技。教室には2名のインストラクターと大勢の生徒さんがいらっしゃるので、アイデアもちょっと拝借しながらなんとか完成することができました。
▲手芸は不得意と胸を張れる筆者でもできる簡単な体験。写真はパズルのように貝殻を隙間なくはめ込んでいる途中

今回は特別に飛び入りで体験させていただきましたが、毎月第2・第4日曜の13:00~16:00開催で、ヒオウギ貝アートにチャレンジする場合は、体験人数と到着時間を事前に連絡する必要があります。体験したペットボトルランプ(税込1,500円)のほか、フォトフレーム(税込1,500円)やランプシェード(税込4,000円)なども体験可能です。
ヒオウギ貝のふるさとを訪れ、1日たっぷりヒオウギ貝に触れて、食べて、持ち帰る、ヒオウギ貝を満喫する旅は引きこもりがちな冬場にオススメの旅。旬を迎える11月下旬から5月を狙って、出かけてみてはいかがでしょうか。

撮影:光藤知泉
長山 歩

長山 歩

純粋愛媛っ子のフリーライター。4人の子ども達が騒ぐ中、一人別世界にトリップし原稿を書き上げる能力に長ける。取材で知った美味しいお店、楽しいスポットに一緒に出かけ、子ども達に尊敬してもらうのがこの上なく嬉しい。

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