海のギャング「ウツボ」を、土佐名物のたたき・刺身・唐揚げ・鍋で味わい尽くす!

2018.12.09 更新

尖った顔に、鋭い歯、その獰猛(どうもう)な姿と凶暴な性格から“海のギャング”と呼ばれている「ウツボ」。しかし、食べてみると意外に美味しく、高知県ではカツオに並ぶ人気食材として古くから親しまれてきました。そんなウツボを使った、刺身やたたき、唐揚げや鍋などが美味しいと評判の人気店を、漁師町生まれで魚にうるさい筆者がご紹介します。

昔は漁師が仕掛けた罠や餌を噛み切ってしまう嫌われ者だったウツボ。どうして高知県で食べられるようになったかというと理由は簡単!ウツボが豊富に獲れること、そして食べてみると美味しかったからです。美味しいのに全国に流通しなかったのは、大小様々な骨が複雑に入り組んでいるため、捌くのが難しいからだと言われています。

多彩なウツボ料理を取り揃える「土佐料理 たたき亭」

まず一軒目は、JR高知駅から南へ徒歩約10分の場所にある「土佐料理 たたき亭」(以下、たたき亭)です。こちらは、ウツボの骨を包丁一本で取り除く独自の技術をあみだしたという先代の和田氏が、昭和47(1972)年に創業したお店で、「うつぼたたき」の元祖ともいわれています。
▲赤提灯が灯るノスタルジックな外観が印象的

昭和時代の懐かしさを感じる和やかな店内では、生け簀の中で地獲れの魚介類が元気に泳いでいます。メニューには、こだわりのカツオやウツボ料理をはじめ、高知の海・山・川の幸を使った一品料理から刺身、鍋などがズラリ!
▲店内入口にはテーブル席、奥にはカウンター席と座敷を完備
▲店内の生け簀で泳ぐウツボ。多い日には10匹以上いることも!こんな外見の生き物を食べようとした最初の人はスゴイ!

では早速いただきます。一品目は、ウツボ本来の美味しさをシンプルに味わえる「うつぼさしみ」(税抜1,500円)です。本当に新鮮でなければ、刺身にできないといわれるウツボ。「たたき亭」では、その日に生け簀から揚げたウツボを使用するため、臭みは全くありません。
身はもちろん、頭のコブや皮、肝まで全て味わえちゃうんです!高知にウツボ料理を提供するお店は数あれど、ここまで鮮度の良い刺身を食べられるお店は数少ないんですよ!
▲「うつぼさしみ」。キュウリの手前の白い部位はえんがわ、その左が肝と胃袋。キュウリの上に見えるのが皮、その左は頭のコブ※日によって変更する場合あり

見てください、あの恐~い顔からは想像できない、この美しい身!まるでフグ刺しのようです。味わいもフグに似ていて淡白ですが、旨みはウツボの方が強い!ほんのりと甘い豊潤な旨み、弾力があるのにむっちりと噛み切れる食感もたまりません!
▲刺身は自家製ポン酢と薬味でいただきます

一方、頭のコブはザクザクッとした食感で噛めば噛むほど旨い!皮は、ゼラチン質が多くブリンッとした食感で、エンガワは身よりも脂が乗って濃厚です。お酒好きの方には、後味にほんの少しクセのある肝もオススメですよ♪
幾度となくウツボを食べてきた筆者ですが、この鮮度と美味しさには脱帽です。
▲「うつぼたたき」は、ポン酢や薬味と合わせていただこう

二品目は、ウツボ料理の王道「うつぼたたき」(税抜1,300円)です。たたきは刺身と違って、生け簀から揚げて捌いた後、1~2日ほど寝かせて身が程よく柔らかくなったものを使用。オーダーを受けてから店内で焼き上げられます。
口に運べば、ふんわりもっちりとした食感や芳ばしい香り、身に程よく染み込んだポン酢の爽やかな酸味や、ゼラチン質の多い皮目部分の濃厚な旨みが口いっぱいに広がります。
▲「うつぼのひれ酒」。提供する際に、余分なアルコールをとばすため火をつけてくれる

こうなれば、料理に合わせていただくお酒も、もちろんウツボ!店主自身が天日で干したウツボを店内で焼き上げ、熱燗を注ぐ「うつぼのひれ酒」(税抜800円)は、ここでしか味わえないお店のオリジナル!芳ばしい香りと旨みが、じんわりと五臓六腑に染み渡ります。
▲ウツボを捌く大西さん

お店によって捌き方などが異なるウツボ。現在2代目の料理長を務める大西さんは、先代の技を受け継ぎつつ、自身が培ってきた新たな技術も取り入れ、さらに美味しいウツボ料理を提供しています。
お腹から尾にかけて変化する背骨の形や、一般の人が触っても分からない身の小骨も、独自の技と経験でキレイに取っていきます。

ウツボ料理を堪能した後は、ウツボと共にお店の看板メニューである「鰹塩たたき」(税抜1,500円)をいただきます。「使用するのは生の鰹。しかも、仕入れた際に質が良くなければ使わない」と語る大西さん。焼き上げる際の藁も無農薬とこだわりにこだわり抜いた逸品!ひと口では入りきらない肉厚の身は、脂が乗っていてとってもジューシーです。
▲注文を受けてから焼き上げる「鰹塩たたき」

「たたき亭」のウツボ料理はほかにも、唐揚げや煮こごり、酢のものや卵とじなどがあります。生きたウツボの仕入れが無い場合は、ウツボ料理を提供していないため、事前に確認するのがオススメですよ。みなさんも、お店1番人気の「うつぼさしみ」と「うつぼたたき」を味わってみてくださいね♪

高知名物・ウツボのすき焼きが味わえる「土佐の心 林」

お次は、「たたき亭」から南へ歩いて約2分の場所にある「土佐の心 林」(以下、林)へ!筆者のおすすめはこちらで有名な、コラーゲンたっぷりの「ウツボのすき焼き」です。
2013年にオープンした「林」では、落ち着きのある上質な空間で、和食の道を極めた店主が握る寿司や割烹料理を楽しめます。メニューには、高知県産の魚介類をメインとした一品料理や、牛・豚・鶏などの肉料理もあります。
▲店内には、カウンター席と掘りごたつの座敷席を完備。生け簀やカウンターのショーケースには、新鮮な魚介類が!

まずはやっぱり、名物の「ウツボのすき焼き」(税抜2,500円 ※2人前~)!使用するウツボは、生きた状態のものを仕入れて捌いた後、1~2日ほど寝かせているので、旨みがさらに強くなっています。
▲ウツボがたっぷり入った「ウツボのすき焼き」(写真は2人前)

すき焼きには、ウツボと共に白菜やネギ、ゴボウやニンニクの葉などが入っています。鍋が沸騰し始めると、食欲をそそる甘い香りがフワリ…。
割り下がウツボに染み渡り、白い身がほんのり色付いたら出来上がりです。
身はふわふわでホクホク、皮目はゼラチン質がとろけてプルプルに!この食感が何ともクセになります。淡白なウツボは甘めの割り下と相性抜群で、コクがあるのに後味さっぱり。野菜にもウツボの旨みがしっかり染み渡っています。
▲見るからにプルンとした皮目と、ホクホクとした身の部分の違いも楽しもう

なんとこのすき焼き、残った汁を冷蔵庫に入れて1晩寝かせると、煮こごりが出来るほどゼラチンとコラーゲンがたっぷり!筆者をはじめ、女性のファンが多いのも頷けます。
コラーゲンをたっぷり摂った後は、お酒のアテにぴったりな「うつぼ唐揚げ」(税抜800円)をいただきます。
▲「うつぼ唐揚げ」は、土佐の居酒屋メニューの定番!

ネギポン酢ともみじおろしで和えた「うつぼ唐揚げ」は、カリッと香ばしく、旨みがギュッと凝縮されたジューシーな味わい。ポン酢の酸味やもみじおろしの辛みも効いていて、お酒がグイグイ進みます!揚げたての身はふわふわなのに、時間が経つとモチモチ食感に変化するのも楽しいですよ。
筆者がウツボ料理と合わせて飲んだのは土佐の地酒。「唐揚げにはビール!」と思うかもしれませんが、高知で造られているお酒はキレのある淡麗辛口が多く、すっきりとしているので、唐揚げはもちろん、どんな料理とも相性がいいんです。
▲淡麗辛口はもちろん、フルーティーな日本酒もあり

「林」では、高知で有名な酒蔵のお酒を豊富に取り揃えているので、飲み比べも楽しめますよ♪
料理を作るのは、和食料理店やホテル、レストランなどで経験を積んできた店主の林さん。
▲林さんは、板前歴35年以上の大ベテラン

林さんも包丁一本でウツボを捌き、骨を取っています。水をかけると臭みが出るため、はらわたなどを取った後は丁寧に布で拭き、その後は一切水を使わずに捌いているんですって!
▲「特選ちらし寿司」※テイクアウトも可能

最後の締めは、お店自慢の「特選ちらし寿司」(税抜2,000円)をいただきます。高知や瀬戸内で水揚げされた、新鮮な魚介類を散りばめた丼は、まるで宝石箱のよう。今回は、キンメダイやカンパチ、大トロをはじめ、イサキ、アオリイカ、イクラ、エビといったラインナップ。

美味しいウツボと贅沢な丼に大満足!寒い時期は、「うつぼ柳川鍋 ※要予約」(税抜1,200円)なども登場するそうなので、また食べに来たいと思います。
南国土佐の郷土食材・ウツボ。恐~い顔ですが、食べてみると本当に美味しいヤツです。みなさんも、高知を訪れた際はぜひ味わってみてくださいね。
畔元志保

畔元志保

高知県生まれ、高知県育ち、高知県が大好きな高知県民。高知県のタウン誌「ほっとこうち」の編集部勤務を経て、フリーライターになり、横長の高知県を西へ東へ駆け巡っている。高知県の大自然と、可杯・箸拳・菊の花を愛するお酒好き!

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