教室にお魚!プールにウミガメ!?ユニークな展示が楽しすぎる「むろと廃校水族館」

2018.11.18 更新

水族館×廃校というユニークさが話題となり、2018年4月26日のオープンから約半年間でなんと来館者数10万人を突破した「むろと廃校水族館」。イルカやペンギンもいなければ、ホームページもない高知県室戸市の水族館に、全国から老若男女が訪れているということで、さっそく調査に伺いました!

高知市内から海沿いの国道55号線を東へ車で走ること約2時間。「室戸ユネスコ世界ジオパーク」や「室戸岬」、キンメダイや海洋深層水などで有名な四国東南端のまち、室戸市に到着!「むろと廃校水族館」は、室戸市役所などがある市街地から県道202号線を経由し、東洋町方面へ少し進んだ先にあります。
▲室戸市内の様子。1番奥の突き出したところが室戸岬

廃校を再生した「むろと廃校水族館」誕生ストーリー

「むろと廃校水族館」は、2006年に廃校となった旧椎名小学校を再生した水族館です。水族館を運営しているのは、絶滅危惧種であるウミガメなどの調査・研究を行っている「日本ウミガメ協議会」。その室戸基地で活動し、水族館の館長も務めている若月さんに、誕生のきっかけを聞いてみました。
▲小学校の面影を残した水族館の外観

「2003年より地元漁師さん協力のもと、室戸基地でウミガメの調査などを行ってきました。ですが、2014年頃になると、収集した資料や標本が膨大な量になり、置き場所に困ってしまいました」と語る若月さん。その年、市のホームページで旧椎名小学校利活用の募集を発見し、資料の保管兼、展示場所として活用できないかと問い合わせたところ、室戸市長から「せっかくなら水族館にしてみては?」との提案があり、4年後の2018年、旧椎名小学校は水族館へと生まれ変わったそうです。
▲水族館の受付で出迎えてくれた館長の若月さん

楽しさと懐かしさ溢れる水族館を満喫

水族館に入るとロビーに3つの学校椅子を発見!これは廃校となる前、最後の児童数が3名だったことから置いてあるそうです。
▲水族館のロビー。かわいく並んだ3つの椅子が印象的

ロビーを抜けた先にある階段を2階に上ると、当時の手洗い場を利用したタッチプールが。ここでは、ヒトデやナマコ、貝など、室戸市で獲れた海の生き物たちと触れ合うことができます。
タッチプールの1番奥の手荒い場では実際に手を洗える

さっそくヒトデを触ってみると、意外と硬い…。もっと柔らかな生き物だと思っていたので驚きです!逆にナマコは、プヨプヨのポヨポヨ。ちょっぴりクセになる触感でした。
▲タッチプールにいる生き物たち。どれが生き物かわかるかな?

タッチプールの先には、教室の雰囲気をそのまま残した休憩スペースがあります。ここでは、子どもはもちろん、大人も懐かしさのあまり、座らずにはいられません!
休憩スペースには跳び箱を改造したユニークな水槽もあり、金魚が優雅に泳いでいました。何だか跳んじゃいたい気分になりますが、ここはグッとがまん!
さらに進むと、ウミガメやお魚たちがいる水槽エリアに。この水族館にいるウミガメやお魚たちのほとんどは、ウミガメ調査などで協力を得ている地元の漁師さんが提供してくれているということで、水槽の中には室戸市で獲れる魚介類がいっぱい!
▲水族館では50種類以上、およそ1,000匹を見ることができる

鋭い歯を持つ恐~い顔に子どもが必ず立ち止まるトラウツボや、綺麗な色彩から観賞魚として人気のあるカゴカキダイ、キュートなお顔のハリセンボンなど、様々な生き物が出迎えてくれます。
▲海のギャングの通り名で有名なトラウツボ。鋭い歯が恐すぎる!
▲縞模様が美しいカゴカキダイ
▲海の人気者ハリセンボン。まんまるフォルムがとってもキュート

中には、室戸海洋深層水を汲み上げている際に入り込んだ深海魚のユメカサゴや、足も含めると4mにもなるといわれている世界最大のカニ・タカアシガニなどもいます。
▲ほとんど泳がずに底でじっとしていることが多いユメカサゴ
▲足が1本無かったため、漁師さんが譲ってくれたというタカアシガニ

そして!水槽エリアのメインとなるのは、大きな円柱の水槽で泳ぐウミガメです!ここ、「むろと廃校水族館」には、アカウミガメやアオウミガメに加え、日本全国でも年に数件しか目撃情報がないとされるクロウミガメも展示。さらに、室戸の浜に産み落とされた卵をふ化させた、ウミガメの赤ちゃんもいるんですよ♪
▲円柱水槽では、アオウミガメ・クロウミガメの2種が仲良く泳いでいる
▲空を飛んでいるように泳ぐアオウミガメ
▲赤ちゃんガメの水槽には、ちょっぴり眠そうな赤ちゃんガメも

そのほか、エイが泳ぐ水槽や水族館のスタッフが夢中で釣り上げたというグレを鑑賞できる水槽などもありました。
▲スタッフが釣ったグレなどが泳ぐ水槽
▲エイが優雅に泳ぐ水槽

ここまでですでに結構楽しめましたが、まだまだ前半戦!エイの水槽の向かいにある階段を上り、3階の資料展示ルームへ。3階の廊下には、2015年に室戸市の三津漁港の定置網で捕獲された、とても珍しい魚の標本が!
▲採集例が極めて少ないムツエラエイの標本

エイの仲間で六つの鰓孔(えらあな)をもつムツエラエイの標本の横には、巨大なタチウオのように細長く神秘的な姿が特徴的な深海魚・リュウグウノツカイなどの標本もズラリと並んでいます。
廊下の1番手前には家庭科室があり、聞けば地元で獲れた魚の捌き方体験などを計画しているとのこと!これはもう一度足を運ばねば!
▲理科準備室の棚には魚の骨の標本がいっぱい!

そのお隣には理科準備室があり、おなじみの人体骨格模型と共にウミガメやツバクロエイ、マトウダイやアオブダイなどの、骨の標本が展示されていました。人の骨と海の生き物の骨が一緒に展示されているなんて、何だか面白いですよね♪
▲理科室にあるウミガメの甲羅(写真手前)は、なんとリュックのように背負えるようになっており、子どもに大人気

お次は、理科室です。こちらにも、スタッフが収集した魚の資料や液浸標本(アルコールやホルマリンの水溶液につけた標本)などを展示しています。そのお隣の図書室には、なんと巨大なミンククジラの標本が!
▲図書室の本棚の上に鎮座?するミンククジラの骨。ここでしか見られない不思議な光景

こちらの骨は、室戸市の椎名漁港で水揚げされたミンククジラが解体された後、鮮魚店などで捌かれたものを、スタッフが総出で回収したものなんだとか!

どの部屋も小学校の面影を残したノスタルジックな雰囲気に、子どもより筆者をはじめ大人たちが興奮しっぱなしでした。
図書室の向かいには、室戸市内のおじいちゃんが大切に育てていた艶やかな金魚や、市内の防火水槽のメンテナンスの際に発見された金魚たちがいますよ。
▲室戸市内のおじいちゃんが育てていた金魚は、3階の手洗い場を利用した水槽でスイスイ♪
▲防火水槽で発見されたことにちなんで、消火用バケツで展示されている

ここからまた階段で2階まで降りると、いよいよ水族館の目玉となる屋外大水槽(25mプール)の入口へ!階段には、旧椎名小学校にあった備品などがズラリと並んでおり、思わず「懐かし~」の声が漏れますよ。

先程の人体骨格模型もそうですが、学校机や椅子、水族館内に散りばめられた備品たちは、旧椎名小学校やその他の廃校などから集めたものを活かしているそうです。
▲3階から2階へと続く回り階段。おじいちゃんやおばあちゃん世代にしか分からない年代物の備品も!
▲3階から見下ろした屋外大水槽の様子

2階に下りると外階段から1階の屋外大水槽へ!
プールでは、アカウミガメはもちろん、シロシュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)や室戸でツバスと呼ばれているブリの子ども、頭に天狗の鼻のような突起があるテングハギなど、色とりどりの魚たちが仲良く泳いでいました。
▲人懐っこいアカウミガメ。近くまで寄ってきてくれた
▲ハンマーのような形の頭部が特徴的なシロシュモクザメ

屋外大水槽は「小学校のプールに魚!?」という驚きの光景以外に、お魚たちを真上から見られるという醍醐味もあります。シロシュモクザメのハンマーのような形の頭部がしっかり見られたり、ツバスを上から見ると、とても綺麗な青色をしていることが分かります。
▲シロシュモクザメの左を泳いでいる小さい魚がツバス
▲大きな3匹の魚がテングハギ。頭の突起に注目してみよう!

屋外大水槽を満喫し終わる頃には、すっかり「むろと廃校水族館」の虜に!廊下にあった視力検査表で視力まで測っちゃいました。
▲プールへと降りる階段の入口には、視力検査表のほか、身長計や懐かしい黄色の傘を設置

子どもたちの声や笑顔がふたたび戻った「むろと廃校水族館」。水族館×廃校という異色の組み合わせは、どこか懐かしくて不思議な気分を味わえました。お魚たちは時々クラス替えも行っているそうなので、何度訪れても新たな発見が出来るハズ!みなさんもぜひ、「むろと廃校水族館」に登校してみてくださいね♪
畔元志保

畔元志保

高知県生まれ、高知県育ち、高知県が大好きな高知県民。高知県のタウン誌「ほっとこうち」の編集部勤務を経て、フリーライターになり、横長の高知県を西へ東へ駆け巡っている。高知県の大自然と、可杯・箸拳・菊の花を愛するお酒好き!

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