お茶の一大産地・知覧で味わうおしゃれでおいしい知覧茶グルメ

2018.11.23 更新

鹿児島県は全国2位(※1)の生産量を誇るお茶処。中でも南九州市で生産されている「知覧(ちらん)茶」は、お茶好きならずとも一度は耳にしたことがあるのでは。そんなお茶の一大産地・南九州市知覧町には、おいしくておしゃれな知覧茶グルメを楽しめるスポットがあるんです。今回は、飲むお茶とはひと味違ったランチやスイーツを堪能できる知覧町のお店を2軒ご紹介します。

(※1 出典:公益社団法人鹿児島県茶業会議所
2007年、鹿児島を代表するお茶処である川辺町、頴娃(えい)町、知覧町が合併して南九州市が誕生しました。合併によって市町村単位でのお茶の生産量は日本一となり(出典:南九州市茶業振興会)、2017年にはこれまで地域ごとに展開してきた「川辺茶」「頴娃茶」「知覧茶」という独自のブランドを「知覧茶」に統一する運びとなりました。

一年を通じて温暖で日照時間も長く、桜島の火山灰によってつくられた水はけが良く肥沃な土壌は、お茶の栽培に最適で、全国茶品評会で農林水産大臣賞を受賞するなど、全国的にも高い評価を得ています。
また、独特な深むし製法により、濃い緑色をしているのが知覧茶の特徴。渋みが少なく、旨みや甘みが強いのが魅力です。
そんな知覧茶を使ったグルメを求めて、知覧町を訪れました。

ワンプレートランチで知覧茶を味わえるカフェ「cafe 201」

最初に訪れたのは、知覧武家屋敷群のすぐ近くにあるカフェ「cafe 201」です。2017年にオープンしたこのカフェでは、知覧茶を使ったランチやスイーツ、ドリンクなどが楽しめるんです。
▲知覧バーガー(税込1,188円)。このほか、デザートとドリンクがつく

一番人気のランチメニューはこの「知覧バーガー」。2種類のハンバーガーやサラダ、副菜がのったワンプレートランチにデザートとドリンクがつきます。手のひらサイズのハンバーガーは、バンズに知覧茶が練り込まれています。女性にぴったりのボリュームで、食べるのがもったいないぐらいのキュートさです。
具材はチャーシューとパテの2種類。具材はもちろん、バンズもすべて手作りしているそう。何層にも重ねられたチャーシューは、ほろっと柔らかく、パテもお母さんが作ってくれたような素朴でやさしい味わいです。

バンズのお茶の味は強く主張するわけではないものの、ほんのり爽やかな風味で後味もさっぱり!そして何よりグリーンの色合いがかわいいですよね。
▲取材時のランチには秋らしい「きのこのフラン」が

野菜の多くは地元でとれたものを使用。おかずは不定期で、デザートは日替わりで内容が替わるそうで、いつ訪れても旬の味を楽しめますよ。

パティシエが生み出す知覧茶デザートとは

店長は、知覧町出身。東京でパティシエとして経験を積み、地元に帰ってきました。レストランに勤務していた際にパンを焼いていた時期もあり、そのときの経験がバンズ作りに役立っているそうです。

「知覧茶は香りが良くて、料理の味を邪魔しない程度に風味を添えてくれるので料理やスイーツには取り入れやすいです」と、店長は食材としての知覧茶に魅力を感じている様子。
▲知覧茶シュークリーム(税込194円)

ハンバーガーの他にも、知覧茶を練り込んだパンに、これまたお茶の粉末が入った飼料を食べて育った鹿児島のブランド豚「薩摩茶美豚(チャーミートン)」のソーセージを挟んだホットドッグ「チャーミードッグセット」(税込972円、デザート・ドリンク付き)などのランチが楽しめます。とはいえ、「わたしはパティシエなので、うちのお店のメインはデザートなんです」と店長。

その言葉通り、デザートも大充実!こちらの「知覧茶シュークリーム」は、知覧茶を使ったカスタードクリームをサクサクのパイ生地で包んだ逸品。
フォークで切ると鮮やかなグリーンのカスタードクリームが溢れ出します。とろーんとなめらかなクリームは、香り豊かな知覧茶の風味が凝縮されていていくらでも食べられそう。

お茶処ならではのうれしいサービス

▲知覧茶ラテ(税込486円)

知覧茶を使った「知覧茶ラテ」も人気です。寒い季節、甘いラテは体も心も温まりますね。「ラテじゃなくて普通のお茶が飲みたい!」という場合も安心してください。「cafe 201」にはとってもうれしいサービスがあるんです。
なんとウォーターサーバーならぬ「知覧茶サーバー」があり、無料で知覧茶を飲むことができます。もちろんおかわりもOK!

実はcafe201を運営する会社では知覧茶の生産・加工も行っているそうで、お店で扱っているお茶はすべて自社で製造されたもの。このサーバーに入れているティーバッグは、色や味が出やすい刻み茶を使用しています。
▲知覧茶ティーバッグ(5個入り税込432円)、知覧茶クッキー(税込200円) ※焼き菓子は日によって種類が異なる

お店の知覧茶サーバーで使っているのと同じティーバッグや茶葉、知覧産の紅茶、手作りの焼き菓子、雑貨などを購入することもできますよ。ちなみにティーバッグはパッケージが3色ありますが、中身は同じなので、好きなカラーを選んでくださいね。

ティーバッグは、水出し用としても使用でき、1個で1リットルの冷茶を作れます。温かいお茶を飲む場合は、60~70度の少しぬるめのお湯を注ぎ、30秒ほど蒸らし、お茶の濃さが一定になるよう交互に湯呑みへ注ぎ、最後の一滴まで注ぐとおいしくいただけるそうです。

「最後の一滴にお茶の旨みが詰まっているので、冷茶の場合もバッグを取り出すときにギュッと搾るといいですよ」と店長。

目指しているのは「友達の家」

また、「cafe201」は、雰囲気も素敵なんです。広々とした店内に飾られたおしゃれな雑貨や観葉植物、麓川(ふもとがわ)に面した大きな窓からの景色に心が和みます。
▲テント気分を味わえる小上がりの席は子どもはもちろん、大人もテンションが上がります

小上がりの席は家族連れにも大人気。「以前、住んでいた部屋が201号室だったのがお店の名前の由来です。友達の家に遊びに行く感覚でお店に来てほしいと思ってつけたんです」と店長は話します。
おしゃれでありながら、誰もが入りやすくて友達の家のようにくつろげる――
店長が目指しているものは、温かいお茶を飲むとホッとする、あの感覚に通じるものがあるような気がします。

とっておきのリラックス空間で、おいしい知覧茶グルメとスイーツを召し上がれ。

武家屋敷でいただく豪華御膳「郷土料理 髙城庵」

続いて訪れたのは、知覧武家屋敷群にある「郷土料理 髙城庵(たきあん)」。武家屋敷でお食事を楽しめる老舗です。
▲「よかにせ御膳」税込2,100円。これに知覧茶抹茶と黒糖だんごがつく

こちらでいただける知覧茶グルメがこの「よかにせ御膳」です。田舎煮しめ、酢の物、香の物、自家製さつまあげ、さつま豚骨ことこと煮、知覧茶うどん(温・冷で選択可)、あわ入りごはんと料理だけで8品。これに加え、黒糖だんごと知覧茶抹茶までついてくる、何とも贅沢な御膳です。

鹿児島弁で「よか」は「良い」、「にせ」は「青年」。つまり「よかにせ」とは今でいう「イケメン」という意味です。知覧武家屋敷群でNHK大河ドラマ「西郷どん」のロケが行われたことを記念して、西郷隆盛の好物だった豚骨(鹿児島の郷土料理)と黒糖を組み合わせたメニューにしたそうです。
とはいえ気になるのはやっぱり知覧茶グルメ。さっそく知覧茶うどんをいただきま~す!コシのある細麺は食感も良く、知覧茶の風味もしっかり感じられます。知覧茶の爽やかな香りとやさしいダシの相性が抜群です。
髙城庵の料理は基本的にすべて手作りですが、このうどんは特注で業者さんにつくってもらっているのだそう。よかにせ御膳以外でうどん・そばがついてくるメニューでも、プラス30円で知覧茶うどんにチェンジすることができますよ。
▲髙城悟志(たきさとし)さんはお店で使う米も栽培している。現在、3代目になるべく修行の真っ最中!

うどんに知覧茶を使うことは、元々は地元のお茶農家さんからの要望で始めたことなのだそう。

「予想以上にお客さんから好評で、知覧茶うどんにチェンジする人も多いんですよ。よかにせ御膳自体もはじめは期間限定にする予定だったのですが、好評なので定番メニューにしてしまいました」と悟志さんは話します。

大人気のよかにせ御膳。もちろん知覧茶グルメ以外の料理にもこだわりがいっぱい詰まっています。
箸を入れるとホロッと崩れる柔らかな豚骨は、もともとは武士の野戦料理。武家屋敷にふさわしい郷土料理ですね。
自家製のさつまあげは注文後に揚げるので、アツアツをいただけます。鹿児島のさつまあげは、一般的なさつまあげに比べると甘みがあり、煮物に入れるだけではなく、このようにそのまま食べてもおいしいんですよ。
食後に出てくる知覧茶抹茶と黒糖だんごも絶品です。さっぱりとしつつもコクのある黒糖の甘さと濃厚な旨みを味わえる知覧茶抹茶が相性抜群!御膳でお腹いっぱいになってもぺろりと平らげてしまいます。

空間も調度品も当時のまま再利用

▲武家屋敷をそのまま食事処に。手入れの行き届いた庭園の眺めも楽しめる

髙城庵の魅力は、お料理だけではありません。郷土料理と一緒に昔の武家屋敷の雰囲気が味わえることも人気の秘密です。
▲入り口も武家屋敷らしい立派な門構え

髙城家の先祖は半農半士の郷士だったそう。先祖代々住み続けた家を食事処にしたのは悟志さんの祖母・髙城タミさんでした。創業は昭和52(1977)年。観光地であるにもかかわらず、当時は近辺に飲食店がなかったことから、お茶と両棒餅(ぢゃんぼもち、鹿児島の郷土菓子)を出す甘味処としてオープンしたそうです。
▲2代目の髙城宰(たきつかさ)さん

次第に「食事も提供してほしい」との要望が増え、うどん・そばを出すようになりました。悟志さんの父・2代目の宰さんが後を継ぎ、郷土料理を提供する現在のスタイルになったそうです。
店内には、武士の暮らしを思わせる調度品がたくさん並んでいます。写真上部に飾ってある鉄の棒のようなものは槍と袖絡み。袖絡みとは、袖に棒を引っ掛けて相手をひっくり返す武器なのだそう。写真下部のたんすは、嫁入り道具を入れる長持(ながもち)です。
▲広々とした座敷の中でも縁側の席は特に趣がある

さらに、窓際の席のテーブルは、火鉢を再利用したもの。これだけ大きな火鉢は、今ではなかなか手に入りません。テーブルとして利用しているもののほかにも火鉢があり、冬になると自家製の炭を使って火鉢で暖を取るそうです。それもまた風情があって素敵ですよね。

髙城庵は1月9日以外は毎日営業しています(1月1~3日とゴールデンウィーク、お盆は予約不可)。定休日がないことにも驚きますが、逆に1月9日はなぜ休みなのか気になって聞いてみると「氏神様を祈る祭祀があって、親族で集まるんです」という、素敵な答えが返ってきました。

先祖や先祖が残してきたこの屋敷を尊び、後世に受け継いでいこうとする精神が、創業以来40年以上に渡って髙城庵が愛され続けてきた理由なのかもしれません。
知覧茶グルメをいただけるお店をご紹介しましたが、いかがでしたか?cafe201が友達の家なら、髙城庵はおばあちゃんの家。テイストは違いますが、どちらもゆったりと食事を楽しめるくつろぎの空間です。

知覧茶の新たな魅力を和洋異なるアプローチで堪能できるので、知覧を訪れた際にはぜひ両店ともに足を運んでみてくださいね。
さわだ悠伊

さわだ悠伊

鹿児島市出身・在住のフリーライター。グルメ、旅、コラム等ジャンルや媒体を問わず活動中。鹿児島県内の離島取材も豊富。

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